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2013-05-18 16:33:28

カテゴリー:ブログ

診療マル秘裏話 Vol.393 平成23年6月16日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

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目次

1) ホルモン抵抗性の進行前立腺ガン(ガン)患者の生存率を改善
2) 関節リウマチ(RA)患者が慢性閉塞性肺疾患(COPD)を発症

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医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を
増やして欲しいという要望もあるのですが、私の能力の
なさから1週間に1回が限度となっています。これからも
当たり前の医療をしながら、なおかつ貪欲に新しい知識
を吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思って
おります。不撓不屈の精神で取り組む所存ですので
どうかお許し下さい。

1】ホルモン抵抗性の進行前立腺ガン(ガン)患者の生存率を改善

化学療法で効果の得られなかったホルモン抵抗性の進行前立腺ガン
(ガン)患者の生存率が、新薬のZytiga(一般名:酢酸アビラテロン
abiraterone)とプレドニゾン(ステロイド薬)の併用療法により
高まるとの研究結果が、米ワシントンD.C.で開催された米国泌尿器科
学会(AUA)年次集会で報告されるとともに、米医学誌
「New England Journal of Medicine」5月26日号に掲載されました。

Zytigaは、現在進行中の臨床試験のデータに基づき、4月に
米国食品医薬品局(FDA)の承認を受けました(※日本では未承認)。
同薬はガン細胞の増殖を促す男性ホルモンであるテストステロンの
産生抑制作用をもち、この点ではホルモン療法に類似しています。

カナダ、ノートルダムNotre-Dame病院(モントリオール)泌尿器科
のFred Saad氏は、13カ国147施設の研究者らとともに、ホルモン療法
に反応せず、化学療法が失敗に終わった前立腺ガン患者1,195例を対象
とした臨床試験を実施しました。同氏らは被験者を、Zytiga+
プレドニゾン併用群またはプラセボ投与群のいずれかに無作為に
割り付けました。

研究の結果、併用群の平均(average)生存期間は14.8カ月でしたが、
プラセボ投与群は10.9カ月でした。薬剤併用の忍容性は良好で、
プラセボに比べて疲労、背部痛、脊髄圧迫(spinal compression)は
少なかったということです。併用群における最も一般的な副作用は、
白血球数減少、体液貯留、カリウム濃度低下、肝機能検査の異常、
高血圧および心臓障害でした。

Saad氏は「Zytigaは化学療法後、治療選択肢が極めて限られている
これら患者集団の全生存期間(OS)を延長しました。同薬は化学療法歴
のあるホルモン抵抗性の進行前立腺ガン患者にとって貴重な治療選択肢
であり、治療関連毒性は非常に扱いやすい」と述べています。同薬を
製造し、今回の研究に資金を提供した米セントコア・オーソバイオテック
Centocor Ortho Biotech社(ペンシルベニア州)のKelly McLaughlin氏
によれば、1カ月分の同薬120錠で5,000ドル(約40万円)になるという
ということです。

米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(ボストン)のAnthony D’Amico
博士は、「今回の研究は、標準的なホルモン療法や化学療法を受けた患者
において作用するアビラテロンという一種のホルモン療法の存在を示して
いる。非常にアグレッシブな前立腺ガンは、ガン細胞の増殖に必要な
テストステロンを自身で産生することができるが、Zytigaはそれを遮断
する」と述べています。

新訳聖書には新薬は出ていない。笑

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2】 関節リウマチ(RA)患者が慢性閉塞性肺疾患(COPD)を発症

関節リウマチ(RA)患者さんが慢性閉塞性肺疾患(COPD)を発症する
可能性は健常者の2倍であることが、新しい大規模研究で示され、
英ロンドンで開催された欧州リウマチ学会(EULAR)年次集会で
報告されました。RAと呼吸障害の関係は、喫煙、年齢、肥満、性別
について調整しても明白であったということです。

イスラエル、シバShebaメディカルセンターのHoward Amital博士
は、「RAおよびCOPDでは、主要な生理学的プロセスの同様の変化が
症状を引き起こすことがわかっている。今回の研究結果が、この2つ
の病態における遺伝的プロセスの変化と自己免疫プロセスの変化との
関係の可能性に対する新しい研究を促すものになってほしい」と
述べています。

同氏らは、イスラエル最大の医療保険であるクラリットClalit
ヘルスサービスのデータを用いて、20歳以上のRA患者さんほぼ1万6,000人
と、年齢および性別をマッチングさせた健常対照群1万5,000人超の
情報を比較しました。その結果、COPD発症率はRA患者群では8.9%、
対照群では4.4%でした。本研究には、収入レベルを含む生活習慣や疾
患リスクも含まれていました。

自己免疫疾患であるRAは、高齢になると発症する一般的な関節炎である
変形性関節症(OA)とは異なります。RAは関節の疼痛、腫脹、こわばりを
引き起こしますが、口や肺など身体の別の部分にも影響を及ぼす可能性が
あります。重症の場合は一生涯持続することもあります。学会発表された
研究は、ピアレビューを受けて医学誌に掲載されるまで予備的なものと
みなされています。

腫脹を主張する。笑

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編集後記

前立腺ガンの治療は、いまやホルモン療法が効かなかった
症例に対する治療に熱い視線が注がれています。ホルモン療法
を行っても再発したり、再発した際にガンが抵抗性を身につけて
いたりとなかなか思うように治療が進まないのが前立腺ガンの
治療です。そこを突破するべく新薬とステロイドの組み合わせ
療法が考えられたのでしょう。私の記憶では、RAの患者さんは
間質性肺炎から肺線維症に進む人が多いと習ったような気が
します。病棟のポリクリ一番最初のRA患者さんが間質性肺炎から
肺線維症となり、目の前で亡くなるという衝撃的な体験を
しました。間質性肺炎のみならずCOPDも発症するのですね。
COPDの定義は、タバコの害によるものと疾患概念が変わりました
RAの疾患ストレスからタバコに逃げるとも考えられます。

概念は概年で決まった。笑

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