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2012-09-27 00:00:00
カテゴリー:ブログ
診療マル秘裏話 Vol.361 平成22年11月4日作成作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨
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目次
1) 血管の老化のメカニズム
2) 生殖細胞の形成に重要な働きをするタンパク質
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医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を
増やして欲しいという要望もあるのですが、私の能力の
なさから1週間に1回が限度となっています。これからも
当たり前の医療をしながら、なおかつ貪欲に新しい知識
を吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思って
おります。不撓不屈の精神で取り組む所存ですので
どうかお許し下さい。
1】 血管の老化のメカニズム
京都府立医大の松原弘明教授と草場哲郎研究員らのグループ
は10月18日、抗老化たんぱく質「クロトー」が不足する
ことで血管が老化し、動脈硬化につながるメカニズムを解明
したと発表しました。近く米アカデミー紀要(電子版)で発表
されます。
グループは、動脈硬化で心筋梗塞(こうそく)や脳卒中
となる患者さんは、腎臓から分泌されるクロトーが少なくなっ
ていることに着目しました。生まれつきクロトーを持たない
マウスを用いた実験で、血管内側の細胞(血管内皮細胞)内の
カルシウム濃度が極めて高くなっていることを突き止めました。
さらに、このカルシウム濃度上昇で細胞が死んで血管壁に
すき間が生じ、血しょうが侵入することを発見しました。
入り込んだ血しょう成分が、血管を石灰化して老化が導かれる
ことを解明しました。
松原教授は「血管病の予防や治療に向けた新たな戦略を開発
できる可能性がある」と話しています。
クロトーによる血管病の予防には欠陥はない。笑
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2】 (GVHD)の発症メカニズム
白血病治療に伴う骨髄移植の合併症のうち、半数以上が発症
するといわれる急性移植片対宿主病(GVHD)の発症
メカニズムを渋谷彰・筑波大教授のチームが動物実験で
突き止め、10月19日発表しました。特定の分子の働きを
抑えることでGVHDを防げるため、骨髄提供を待つ血液ガン
患者さんと提供者(ドナー)との白血球型の一致度が多少
異なっても移植成功の可能性が大きくなったということです。
チームは、血液中のリンパ球にもともと存在する特定の分子
(DNAM-1)がGVHD発症にかかわっていることを見つけ
ました。この分子はガン細胞を殺すキラーT細胞の表面に現れて
ガンを攻撃する半面、患者の正常な肝臓や小腸などの細胞も攻撃
してしまうことも分かりました。
実験では、ドナー役と患者役で白血球の型が50%異なるマウス
の間で骨髄移植を実施し、重度のGVHDを発症させました。
DNAM-1の働きを抑える抗体を1回投与すると、90日後の
生存率は約80%に達し、投与しなかったマウスの約10%を
大きく上回りました。渋谷教授は「一つの分子を標的に絞った
療法で、人間にも適用できると確信している」と話しています。
HLAが違う異色の移植が成功する。笑
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編集後記
動脈硬化のメカニズムが完全に分かれば、血管病
の治療は飛躍的に進歩するでしょう。しかし石灰化
のメカニズムが分かっただけでも本当に画期的な発見
と言えるでしょう。HLAが異なるだけで骨髄移植が
受けられないということは、沢山ありましたし、この
発見が完全に臨床応用されるまでは、できないでしょう。
またGVHDがDNAM-1の働きだけで起こると考える
のは早計かもしれません。しかし、HLAの異なる人の
間での骨髄移植の可能性が大きく開かれたと言える
でしょう。
総計を少なく見積もるのは早計かも知れない。笑
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