最新号より100号前のメルマガ

2012-02-23 00:00:00

カテゴリー:ブログ

診療マル秘裏話 Vol.330 平成21年4月1日作成


作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨





★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

目次



  

1)  歯茎の再生実験成功

2) 耐性アシネトバクター菌





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



  

 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは

1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を

増やして欲しいという要望もあるのですが、私の能力の

なさから1週間に1回が限度となっています。これからも

当たり前の医療をしながら、なおかつ貪欲に新しい知識

を吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思って

おります。不撓不屈の精神で取り組む所存ですので

どうかお許し下さい。



本日はエプリルフールですが、メルマガの内容はうそでは

ありません。

 

1】 歯茎の再生実験成功



 歯ぐきが細菌によって溶ける歯周病について、患者の骨髄液

から骨や筋肉のもとになる幹細胞を採取して培養後に患部へ移植

し、歯ぐきを再生させることに広島大の研究グループが成功

しました。患者を対象にした臨床研究で、移植をした患部は

4-8ミリほど歯ぐきが回復しました。細胞培養技術の向上など

で再生効果を高め、3年以内に厚生労働省へ先進医療を申請し、

実用化を目指すとのことです。



 広大の栗原英見教授(歯周病学)と広大発祥のベンチャー

「ツーセル」(広島市、辻紘一郎社長)の臨床研究で、3月18日

から広島市である日本再生医療学会で成果を発表します。



 30-65歳の歯周病患者の男女11人から骨髄液を採取しました。

この中に含まれる間葉系幹細胞を培養・増殖させ、医療用コラーゲン

と混ぜて歯周病患部へ注入しました。11人のうち、転居などで経過

を追跡できなかった3人を除く8人中6人で、歯ぐきの回復や、

歯周病で生じた歯と歯ぐきの間のすき間(歯周ポケット)が

小さくなりました。移植した幹細胞が歯周組織となったり、もともと

あった細胞の増殖を促す物質を出して自力での組織再生を後押しした

ものとみられます。



 歯周病患者は軽症者も含めると国内に約3700万人いるとされます。

今回の臨床研究は軽症者を対象としましたが、今後、中・重症者でも効果が

出るよう、採取した細胞からある程度組織を作成したうえで移植する

などの方法で臨床研究を重ねます。糖尿病の下肢壊疽で再生医療の評判が

芳しくないと聞いています。重症者で成績が特に良くないと言われて

います。何らかのブレイクスルーを見つけて下肢壊疽から一本でも足を

救っていただきたいものです。



 栗原教授は「治療へ向けた基本的なスキーム(計画)は出来上がった。

これを進化させてさらに効果を高め、多くの人に使える治療法を確立

させたい」と話しています。



 老化は歯からは定説です。は?と言わないで。笑



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



2】 耐性アシネトバクター菌



 ほとんどの抗菌薬が効かない多剤耐性のアシネトバクター菌

のうち、日本国内では感染例がないとみられる特に強いタイプ

のものが愛知医科大病院(愛知県長久手町)に搬送された県内

の男性会社員(59)から検出されていたことが3月20日、

分かりました。



 アシネトバクター菌は水回りや土壌などの自然界のほか、

人間の皮膚などにも広く存在します。免疫力が低下した人が

感染すると肺炎や敗血症を起こし、死亡することもあります。

岡大病院(福岡市)で昨年1月、入院患者23人が感染した例

があります。



 愛知医科大病院の三鴨広繁(みかも・ひろしげ)教授に

よると、男性は2月初旬、アラブ首長国連邦(UAE)への

出張中に事故で大腿(だいたい)部を切断されました。

緊急治療を受けた後、同月下旬に帰国しました。



 切断部が感染症にかかっており、同病院の検査で未確認の

アシネトバクター菌に感染していたことが判明しました。

足の切断面を蛆に食べさせるという方法がかなり有望とされて

います。ナポレオン・ボナパルトの時代から使われていたと

思われますが、蛆を使う治療は健康保険が使えない上、蛆

は成長すると瞬く間にハエになってしまうので注意が必要です。

強い抗生物質を投与しましたが効果がなく、別の細菌

「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)」の治療薬

で改善、症状も快方に向かいました。ほかの患者や職員の感染は

確認されていないということです。



 三鴨教授は「このタイプの菌が国内に存在していても

おかしくない。各病院とも感染対策を取ることが重要だ」と

指摘しています。



 耐性が、大勢となって欲しくないものです。笑



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



編集後記



 歯の歯周病の患者さんが3700万人もいるとは知りません

でした。皆さんこまめに歯磨きをして歯周病を予防

しましょう。歯周病は夜寝てる間に進行することが多い

ようです。少なくとも夜寝る前と起床時の歯磨きをお勧め

します。耐性菌は、適切な抗生物質の使い方で減らすこと

ができます。耐性菌を作らないための唯一の方法は、点滴

加療で作用機序の違う2剤以上の抗生物質を大量に使い

徹底的に細菌を死滅させることです。当然健康保険は

通りません。でも問題が起きた時に厚生労働省は医師の裁量を

理由に自らの責任を回避しようとします。あまり大きな声では

いえませんが、通す方法はあります。しかし、この方法でも

結核菌や、非定型抗酸菌症や上記のアシネトバクター菌、

MRSAや耐性腸球菌、セラチア菌や耐性マイコプラズマや

多剤耐性緑膿菌を抑えることはできませんので、

内服薬の抗生剤を使う場合で、呼吸器、泌尿器症状、心臓の

症状が収まらない場合は、レントゲンを撮ったり、

聴診を入念にしたり、CVA叩打痛を確認の上、尿の培養を

行いましょう。簡単な診察で熱源をある程度推測し、万が一

胸に影がある場合は、陰影に応じて専門の病院に紹介

しましょう。



 抗生物質の使い方を後世に伝える。笑



************************



このメールマガジンは以下の配信システムを利用して

発行しています。

  解除の手続きは下記ページよりお願い致します。

「まぐまぐ」http://www.mag2.com/m/0000121810.htm
(イジニイワト)



発行者名  医療法人永徳会 皿沼クリニック院長 

藤田 亨

職業    医師の箸くれ(はしくれ)

運営サイト http://www.eitokukaisalanuma.or.jp/
ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。

sara2162@atlas.plala.or.jp

このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること

を禁じます。

ただしお友達への転送はご自由はご自由です。

このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント

最新号より100号前のメルマガ

2012-02-16 00:00:00

カテゴリー:ブログ

診療マル秘裏話 Vol.329 平成21年3月25日作成


作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨





★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

目次



  

1) 「たばこ規制枠組み条約」の目標は未達成

2) 顆粒(かりゅう)球コロニー刺激因子(G-CSF)の心筋への作用





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



  

 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは

1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を

増やして欲しいという要望もあるのですが、私の能力の

なさから1週間に1回が限度となっています。これからも

当たり前の医療をしながら、なおかつ貪欲に新しい知識

を吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思って

おります。不撓不屈の精神で取り組む所存ですので

どうかお許し下さい。



 

1】 「たばこ規制枠組み条約」の目標は未達成



 世界保健機関(WHO)が、保健分野で初の多国間条約である

「たばこ規制枠組み条約」の発効から2月末で5年が経過した

現状をまとめたところ、各国でさまざまな禁煙措置が導入されて

いるにもかかわらず「喫煙者を減らす」目標はほとんど成果を

あげていないことが分かりました。



 WHOは「世界的に喫煙者数が減少しているとは言えない。

途上国では増加傾向にあり、女性の喫煙者は増えている」と

認めています。喫煙は今なお、国・地域ごとの文化・風俗の要因

が強い傾向がうかがわれます。



 WHOはたばこを「法律で禁止されていない唯一の有害物質」

と位置づけ、世界の喫煙人口を13億人とし、年500万人が

喫煙が原因の病気で死亡していると推定しています。喫煙者は

2025年までに17億人に増えるとの推計もあります。



 地域別で比べると、規制強化と喫煙者数の因果関係は必ずしも

はっきりしません。喫煙制限が最も進んでいるヨーロッパでは、

男性喫煙者が減ったものの、女性喫煙者は16%と世界で最も多く、

最も少ない東地中海地域(4・5%)の3倍以上に上ります。



 また、東南アジアはたばこ税率が58・3%でヨーロッパの

50・2%より高いですが、男性喫煙者は43%と最も多くなって

います。逆に、喫煙規制があまり進まず税率も35・4%に

とどまるアフリカは、男性喫煙者が28%と一番少くなっています。



 WHOは条約に、たばこ税の強化、公共の場での喫煙制限などを

盛り込み、各国で多くの取り組みを進めています。



 また、WHOは、新たな規制作りに意欲的で、14日からの

政府間交渉では、たばこの不法貿易に関する規制原案をまとめます。

正規の輸入ルートを通らない安いたばこが若年層への喫煙を

広げているとして、たばこ1箱単位で追跡するシステムを導入する

構想です。11月にウルグアイで行われる第4回たばこ規制枠組み

条約会議での採択を目指しています。



 近縁の人から禁煙を勧めましょう。笑



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



2】 顆粒(かりゅう)球コロニー刺激因子(G-CSF)の心筋への作用



 新型万能細胞(iPS細胞)や胚(はい)性幹細胞(ES細胞)から

作った心筋細胞に、顆粒(かりゅう)球コロニー刺激因子(G-CSF)

という物質を加えると、心筋細胞が非常によく増殖するとの研究結果を、

慶応大の福田恵一(ふくだ・けいいち)教授と下地顕一郎

(しもじ・けんいちろう)助教らが3月5日付の米科学誌

「セル・ステム・セル」電子版に発表しました。



 心筋梗塞(こうそく)など重症心不全の患者に対する心筋細胞を使った

再生医療の実現に向けて一歩前進としています。



 福田教授らは、ES細胞に特定のタンパク質を加えると心筋細胞に

効率よく分化することを解明していましたが、その際によく働いている遺伝子

があることに注目しました。妊娠10日目のマウスの胎児を調べると、

心臓でこの遺伝子がよく働き、G-CSFが多く分泌されていました。



 G-CSFが胎児期の心筋細胞増殖に深く関与していると考え、サルの

ES細胞やヒトのiPS細胞から心筋細胞を作る際にG-CSFを加えると、

従来に比べ数十倍程度、心筋細胞を増やすことができました。



 G-CSFは、骨髄を刺激して白血球を多く作るようにする作用が知られ、

抗ガン剤治療で白血球が減少した場合などに使われています。



 福田教授は「薬の開発や病態の解析などに役立てたい。最終的には

再生医療に応用したい」と話しています。



 文化が変われば、分化の再生医療は進み、イルカ漁は

やり玉にあげられる。笑



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



編集後記



 先日、俳優の藤田まことさんが解離性大動脈瘤で

お亡くなりになりました。藤田さんは、食道ガンと

COPD(慢性閉塞性呼吸器疾患)も患っておられ

ました。若い頃はヘビースモーカーだったようで、

この3つの病気は喫煙が原因だったのではないかと

言われています。先日厚生労働省が公共の機関や

飲食店での全面禁煙を打ち出しました。またたばこ税

も一本5円程度値上げされることが決まっています。

こうした措置は、世界的にみて禁煙が進んでいない

というWHOの焦りからきているようにも見えます。

いかんせんたばこが健康に良くないのは周知の事実

です。内服の禁煙薬や、ニコチンパッチを使って

禁煙の輪を広げましょう。アカデミー賞でイルカ漁

を題材にした映画が受賞されました。文化がちがう

からイルカ漁は正当な行為と日本人は考えている

ようですが、イルカやクジラなどの大型ほ乳類と

マグロなどの大型回遊魚類には、食物連鎖により水銀

がたくさん含まれています。毎日汗を流す肉体労働の

方以外は、食べるとデトックス(解毒)療法が必要に

なるでしょう。



 イルカなんか食品としてイルカ。笑



************************



このメールマガジンは以下の配信システムを利用して

発行しています。

  解除の手続きは下記ページよりお願い致します。

「まぐまぐ」http://www.mag2.com/m/0000121810.htm
(イジニイワト)



発行者名  医療法人永徳会 皿沼クリニック院長 

藤田 亨

職業    医師の箸くれ(はしくれ)

運営サイト http://www.eitokukaisalanuma.or.jp/
ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。

sara2162@atlas.plala.or.jp

このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること

を禁じます。

ただしお友達への転送はご自由はご自由です。

このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント

最新号より100号前のメルマガ

2012-02-08 00:00:00

カテゴリー:ブログ

診療マル秘裏話 Vol.328 平成21年3月18日作成


作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨





★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

目次



  

1)  気管支喘息とアレルギー性鼻炎の関係

2) 糖尿病の原因たんぱく質





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



  

 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは

1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を

増やして欲しいという要望もあるのですが、私の能力の

なさから1週間に1回が限度となっています。これからも

当たり前の医療をしながら、なおかつ貪欲に新しい知識

を吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思って

おります。不撓不屈の精神で取り組む所存ですので

どうかお許し下さい。



 

1】 気管支喘息とアレルギー性鼻炎の関係



 気管支ぜんそくの患者の67%はアレルギー性鼻炎も

発症していることが、専門医のグループによる大規模

調査で分かりました。鼻炎はぜんそくの発症リスクを

高めることが知られていますが、ぜんそくと鼻炎の強い

関連性が改めて示されました。



 アレルギー性鼻炎はダニや花粉などによる鼻粘膜の

アレルギー反応で、くしゃみや鼻水などを起こします。

調査対象は主治医に気管支ぜんそくと診断され、薬を

処方されている全国の15歳以上の患者さんです。

ぜんそくや鼻炎についての質問票を記載してもらい、

主治医が鼻炎を診断しました。



 協力を得られた2万6680人のうち、アレルギー性

鼻炎と診断された患者さんは1万7945人で約67%

(男性65%、女性69%)を占めました。



 海外の調査では、アレルギー性鼻炎の患者さんは、鼻炎の

ない人に比べてぜんそくを発症するリスクが3倍高いと

言われています。また、アレルギー性鼻炎のあるぜんそく

患者さんは救急受診したり入院する割合が約2倍高い

というデータもあります。調査にあたった大田健・

帝京大教授(呼吸器・アレルギー内科)によると、鼻粘膜

と気管支粘膜は気道でつながっており、鼻粘膜の炎症が

気管支の炎症を悪化させると考えられるということです。

大田教授は「調査では鼻炎の患者はぜんそく症状をうまく

コントロールできない傾向がみられた。鼻炎を治療すれば

ぜんそくの症状もよくなる可能性を示している」と

話しています。



 アレルギー性鼻炎のお陰で喘息の治療が全速力となった。笑



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



2】 糖尿病の原因たんぱく質



 肥満や高脂血症になると、血糖値を下げるインスリンを

分泌する膵臓(すいぞう)のβ細胞に普段あまりないたんぱく

質がたまり、β細胞が死んで糖尿病になることを、

神戸大保健学研究科の木戸良明准教授らがマウスの実験で

確認しました。メタボリック(内臓脂肪)症候群に関連した

糖尿病の発症メカニズムの重要部分を明らかにした研究成果

です。このたんぱく質を抑える物質や薬は見つかっており、

予防・治療薬に結びつく可能性があります。米医学誌に

発表されました。



 このたんぱく質は「C/EBPβ」と呼ばれ、肝臓での

糖の分解や脂肪細胞の増殖を助けています。木戸さんらは

マウスに脂肪の多い餌を与え、肥満状態にしました。

すると糖尿病でない状態でも、このたんぱく質がβ細胞で

増え始めました。



 マウスの遺伝子を改変してβ細胞でこのたんぱく質が

活発に働くようにすると、糖尿病を発症しました。一方、

糖尿病のマウスの遺伝子を改変してこのたんぱく質を

働かなくすると、β細胞が増えて血糖値が改善しました。



 木戸さんは「糖尿病用の血糖値降下剤やホルモンの一種、

漢方薬の成分が、C/EBPβの働きを抑えると報告されて

いる。これらをモデルに薬を作れそうだ」と話しています。



 遺伝子の改変が、糖尿病の壊変につながった。笑



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



編集後記



 気管支喘息とアレルギー性鼻炎の関係は、昔から

One way One Diseaseと言われ、その相関の程度は

知られていました。喘息のコントロールをよくする

ために鼻炎の治療をするということが臨床応用される

ことになれば、喘息患者さんにとっては大きな福音

となるでしょう。早く「C/EBPβ」の働きを

打ち消す薬を作ってほしいものです。



血糖値を下げてC/EBPβと決闘する。笑



************************



このメールマガジンは以下の配信システムを利用して

発行しています。

  解除の手続きは下記ページよりお願い致します。

「まぐまぐ」http://www.mag2.com/m/0000121810.htm
(イジニイワト)



発行者名  医療法人永徳会 皿沼クリニック院長 

藤田 亨

職業    医師の箸くれ(はしくれ)

運営サイト http://www.eitokukaisalanuma.or.jp/
ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。

sara2162@atlas.plala.or.jp

このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること

を禁じます。

ただしお友達への転送はご自由はご自由です。

このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント

最新号より100号前のメルマガ

2012-02-02 00:00:00

カテゴリー:ブログ

診療マル秘裏話 Vol.327 平成21年3月11日作成


作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨





★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

目次



  

1)  ガン細胞の生存を助けているたんぱく質

2) 新しい遺伝子の運び屋





◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



  

 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは

1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を

増やして欲しいという要望もあるのですが、私の能力の

なさから1週間に1回が限度となっています。これからも

当たり前の医療をしながら、なおかつ貪欲に新しい知識

を吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思って

おります。不撓不屈の精神で取り組む所存ですので

どうかお許し下さい。



 

1】 ガン細胞の生存を助けているたんぱく質



 肝細胞ガンや脳腫瘍(しゅよう)で過剰に作られる

特定のたんぱく質が、ガン細胞を傷つける酸化ストレス

を軽減させ、薬剤への耐性を高めるなど、ガン細胞の生存

を助けている可能性が高いことを、東京都臨床医学総合

研究所、東北大などの研究チームが突き止めました。

2月21日の英科学誌「ネイチャー・セル・バイオロジー」

(電子版)に発表しました。このたんぱく質の蓄積を

抑えることで新たな抗ガン剤開発につながる可能性がある

ということです。



 チームが注目したのは「p62」と呼ばれるたんぱく質

です。肝細胞ガン、脳腫瘍などの細胞で多量に蓄積すること

が確認されていました。チームは、マウスの肝細胞ガンなど

の細胞を使い、p62の機能を分析しました。酸化ストレス

を軽減させる別のたんぱく質を分解する細胞内のセンサー

部分にp62が結びつき、分解を阻害していることを見つけ

ました。



 p62の働きの結果、ガン細胞で酸化ストレスを減らす

たんぱく質が作られ、抗ガン剤などを細胞外に運び出す

遺伝子の働きが高まるなど、ガン細胞の生存を助けている

可能性が高まりました。チームの小松雅明・都臨床研

副参事研究員は「p62の働きを阻害することによって、

ガン細胞の増殖や薬剤耐性を抑制する抗ガン剤を開発

できる可能性がある」と話しています。



 ガン細胞の酸化ストレスを増やす研究に参加する。笑



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



2】 新しい遺伝子の運び屋



 遺伝子の”運び屋”として、炭素の原子がサッカーボール

のようにつながった分子「フラーレン」を使い、マウスの

体内に遺伝子を導入することに成功したと、東京大の

野入英世(のいり・えいせい)准教授(腎臓病学)と

中村栄一(なかむら・えいいち)教授(有機化学)ら

が2月22日付の米科学アカデミー紀要電子版に

発表しました。



 この方法でインスリンを作る遺伝子を入れ、血液中の

インスリン濃度が上昇することも確認しました。

研究チームは「毒性が低く、安価に大量合成が可能」とし、

将来は遺伝子治療に応用できるのではないかと話しています。



 ”運び屋”には、ウイルスや脂質などを使う方法が

ありますが、ウイルスは安全性に、脂質は効率に課題が

ありました。



 研究チームは、通常のフラーレンに四つのアミノ基を

取り付け、水に溶けやすく、DNAと結合する「水溶性

フラーレン(TPFE)」を合成しました。



 緑色に光るタンパク質を作る遺伝子をTPFEに

結合させてマウスに静脈注射すると、肺や肝臓、膵臓

(すいぞう)に遺伝子が導入されて働き、光るタンパク質

ができました。肝臓と膵臓では、脂質を使った導入方法

より遺伝子が多く運ばれていました。インスリンを作る

遺伝子を結合させて投与すると、血液中のインスリン

濃度が上昇し、血糖値が下がりました。



 細胞内に取り込まれた後、TPFEは運んだ遺伝子との

結合状態をほどくと推測されています。実用化に向けては、

安全性確認などの課題があるということです。



 車と遺伝子治療の違いは、電子制御と遺伝子導入の副作用

というべきでしょうが、課題の共通点は安全性確認です。笑



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



編集後記



 ガン細胞の生育を助けるタンパク質が存在した

とは驚きです。早くこのp62遺伝子の働きを

阻害する薬が臨床に役立てて欲しいと願うばかり

です。遺伝子の運びやには、ウイルスと脂質の

他に人工染色体というものがあります。TPFEと

人工染色体の比較を是非していただきたいもの

です。人工染色体については以前のメルマガに

載せました。



 花台の上に乗せる物を考えるのが課題だ。笑



************************



このメールマガジンは以下の配信システムを利用して

発行しています。

  解除の手続きは下記ページよりお願い致します。

「まぐまぐ」http://www.mag2.com/m/0000121810.htm
(イジニイワト)



発行者名  医療法人永徳会 皿沼クリニック院長 

藤田 亨

職業    医師の箸くれ(はしくれ)

運営サイト http://www.eitokukaisalanuma.or.jp/
ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。

sara2162@atlas.plala.or.jp

このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること

を禁じます。

ただしお友達への転送はご自由はご自由です。



このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント