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2012-02-02 00:00:00

カテゴリー:ブログ

診療マル秘裏話 Vol.327 平成21年3月11日作成


作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨





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目次



  

1)  ガン細胞の生存を助けているたんぱく質

2) 新しい遺伝子の運び屋





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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは

1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を

増やして欲しいという要望もあるのですが、私の能力の

なさから1週間に1回が限度となっています。これからも

当たり前の医療をしながら、なおかつ貪欲に新しい知識

を吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思って

おります。不撓不屈の精神で取り組む所存ですので

どうかお許し下さい。



 

1】 ガン細胞の生存を助けているたんぱく質



 肝細胞ガンや脳腫瘍(しゅよう)で過剰に作られる

特定のたんぱく質が、ガン細胞を傷つける酸化ストレス

を軽減させ、薬剤への耐性を高めるなど、ガン細胞の生存

を助けている可能性が高いことを、東京都臨床医学総合

研究所、東北大などの研究チームが突き止めました。

2月21日の英科学誌「ネイチャー・セル・バイオロジー」

(電子版)に発表しました。このたんぱく質の蓄積を

抑えることで新たな抗ガン剤開発につながる可能性がある

ということです。



 チームが注目したのは「p62」と呼ばれるたんぱく質

です。肝細胞ガン、脳腫瘍などの細胞で多量に蓄積すること

が確認されていました。チームは、マウスの肝細胞ガンなど

の細胞を使い、p62の機能を分析しました。酸化ストレス

を軽減させる別のたんぱく質を分解する細胞内のセンサー

部分にp62が結びつき、分解を阻害していることを見つけ

ました。



 p62の働きの結果、ガン細胞で酸化ストレスを減らす

たんぱく質が作られ、抗ガン剤などを細胞外に運び出す

遺伝子の働きが高まるなど、ガン細胞の生存を助けている

可能性が高まりました。チームの小松雅明・都臨床研

副参事研究員は「p62の働きを阻害することによって、

ガン細胞の増殖や薬剤耐性を抑制する抗ガン剤を開発

できる可能性がある」と話しています。



 ガン細胞の酸化ストレスを増やす研究に参加する。笑



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2】 新しい遺伝子の運び屋



 遺伝子の”運び屋”として、炭素の原子がサッカーボール

のようにつながった分子「フラーレン」を使い、マウスの

体内に遺伝子を導入することに成功したと、東京大の

野入英世(のいり・えいせい)准教授(腎臓病学)と

中村栄一(なかむら・えいいち)教授(有機化学)ら

が2月22日付の米科学アカデミー紀要電子版に

発表しました。



 この方法でインスリンを作る遺伝子を入れ、血液中の

インスリン濃度が上昇することも確認しました。

研究チームは「毒性が低く、安価に大量合成が可能」とし、

将来は遺伝子治療に応用できるのではないかと話しています。



 ”運び屋”には、ウイルスや脂質などを使う方法が

ありますが、ウイルスは安全性に、脂質は効率に課題が

ありました。



 研究チームは、通常のフラーレンに四つのアミノ基を

取り付け、水に溶けやすく、DNAと結合する「水溶性

フラーレン(TPFE)」を合成しました。



 緑色に光るタンパク質を作る遺伝子をTPFEに

結合させてマウスに静脈注射すると、肺や肝臓、膵臓

(すいぞう)に遺伝子が導入されて働き、光るタンパク質

ができました。肝臓と膵臓では、脂質を使った導入方法

より遺伝子が多く運ばれていました。インスリンを作る

遺伝子を結合させて投与すると、血液中のインスリン

濃度が上昇し、血糖値が下がりました。



 細胞内に取り込まれた後、TPFEは運んだ遺伝子との

結合状態をほどくと推測されています。実用化に向けては、

安全性確認などの課題があるということです。



 車と遺伝子治療の違いは、電子制御と遺伝子導入の副作用

というべきでしょうが、課題の共通点は安全性確認です。笑



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編集後記



 ガン細胞の生育を助けるタンパク質が存在した

とは驚きです。早くこのp62遺伝子の働きを

阻害する薬が臨床に役立てて欲しいと願うばかり

です。遺伝子の運びやには、ウイルスと脂質の

他に人工染色体というものがあります。TPFEと

人工染色体の比較を是非していただきたいもの

です。人工染色体については以前のメルマガに

載せました。



 花台の上に乗せる物を考えるのが課題だ。笑



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