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2012-02-08 00:00:00

カテゴリー:ブログ

診療マル秘裏話 Vol.328 平成21年3月18日作成


作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨





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目次



  

1)  気管支喘息とアレルギー性鼻炎の関係

2) 糖尿病の原因たんぱく質





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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは

1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を

増やして欲しいという要望もあるのですが、私の能力の

なさから1週間に1回が限度となっています。これからも

当たり前の医療をしながら、なおかつ貪欲に新しい知識

を吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思って

おります。不撓不屈の精神で取り組む所存ですので

どうかお許し下さい。



 

1】 気管支喘息とアレルギー性鼻炎の関係



 気管支ぜんそくの患者の67%はアレルギー性鼻炎も

発症していることが、専門医のグループによる大規模

調査で分かりました。鼻炎はぜんそくの発症リスクを

高めることが知られていますが、ぜんそくと鼻炎の強い

関連性が改めて示されました。



 アレルギー性鼻炎はダニや花粉などによる鼻粘膜の

アレルギー反応で、くしゃみや鼻水などを起こします。

調査対象は主治医に気管支ぜんそくと診断され、薬を

処方されている全国の15歳以上の患者さんです。

ぜんそくや鼻炎についての質問票を記載してもらい、

主治医が鼻炎を診断しました。



 協力を得られた2万6680人のうち、アレルギー性

鼻炎と診断された患者さんは1万7945人で約67%

(男性65%、女性69%)を占めました。



 海外の調査では、アレルギー性鼻炎の患者さんは、鼻炎の

ない人に比べてぜんそくを発症するリスクが3倍高いと

言われています。また、アレルギー性鼻炎のあるぜんそく

患者さんは救急受診したり入院する割合が約2倍高い

というデータもあります。調査にあたった大田健・

帝京大教授(呼吸器・アレルギー内科)によると、鼻粘膜

と気管支粘膜は気道でつながっており、鼻粘膜の炎症が

気管支の炎症を悪化させると考えられるということです。

大田教授は「調査では鼻炎の患者はぜんそく症状をうまく

コントロールできない傾向がみられた。鼻炎を治療すれば

ぜんそくの症状もよくなる可能性を示している」と

話しています。



 アレルギー性鼻炎のお陰で喘息の治療が全速力となった。笑



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2】 糖尿病の原因たんぱく質



 肥満や高脂血症になると、血糖値を下げるインスリンを

分泌する膵臓(すいぞう)のβ細胞に普段あまりないたんぱく

質がたまり、β細胞が死んで糖尿病になることを、

神戸大保健学研究科の木戸良明准教授らがマウスの実験で

確認しました。メタボリック(内臓脂肪)症候群に関連した

糖尿病の発症メカニズムの重要部分を明らかにした研究成果

です。このたんぱく質を抑える物質や薬は見つかっており、

予防・治療薬に結びつく可能性があります。米医学誌に

発表されました。



 このたんぱく質は「C/EBPβ」と呼ばれ、肝臓での

糖の分解や脂肪細胞の増殖を助けています。木戸さんらは

マウスに脂肪の多い餌を与え、肥満状態にしました。

すると糖尿病でない状態でも、このたんぱく質がβ細胞で

増え始めました。



 マウスの遺伝子を改変してβ細胞でこのたんぱく質が

活発に働くようにすると、糖尿病を発症しました。一方、

糖尿病のマウスの遺伝子を改変してこのたんぱく質を

働かなくすると、β細胞が増えて血糖値が改善しました。



 木戸さんは「糖尿病用の血糖値降下剤やホルモンの一種、

漢方薬の成分が、C/EBPβの働きを抑えると報告されて

いる。これらをモデルに薬を作れそうだ」と話しています。



 遺伝子の改変が、糖尿病の壊変につながった。笑



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編集後記



 気管支喘息とアレルギー性鼻炎の関係は、昔から

One way One Diseaseと言われ、その相関の程度は

知られていました。喘息のコントロールをよくする

ために鼻炎の治療をするということが臨床応用される

ことになれば、喘息患者さんにとっては大きな福音

となるでしょう。早く「C/EBPβ」の働きを

打ち消す薬を作ってほしいものです。



血糖値を下げてC/EBPβと決闘する。笑



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