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2012-08-29 00:00:00
カテゴリー:ブログ
診療マル秘裏話 Vol.357 平成22年10月7日作成作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨
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目次
1) 臍帯血の免疫細胞がガン細胞を死滅
2) 造血幹細胞の維持や増殖を調節する司令塔の役割を果たす細胞
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医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を
増やして欲しいという要望もあるのですが、私の能力の
なさから1週間に1回が限度となっています。これからも
当たり前の医療をしながら、なおかつ貪欲に新しい知識
を吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思って
おります。不撓不屈の精神で取り組む所存ですので
どうかお許し下さい。
1】 臍帯血の免疫細胞がガン細胞を死滅
ヒトのへその緒にある臍帯血(さいたいけつ)を
もとに作製した免疫細胞が、ガン細胞の中に入り込んで
内部から細胞を死滅させたと林原生物化学研究所(岡山市)
が9月15日発表しました。
こうした現象が確認されたのは世界で初めてということ
です。新たなガン治療法の開発が期待されます。
この免疫細胞は2006年に同研究所が発見し
「HOZOT(ホゾティ)」と名付けました。
研究で、ヒトのガン細胞とHOZOTをまぜたところ、
HOZOTがガン細胞に近づき、侵入しました。
その後、約2~4時間で徐々にHOZOTが死滅し始め、
同時にガン細胞の生存率も低下しました。死滅した
HOZOTから細胞を死に至らせる物質が漏れ、ガン細胞
の構造を壊すのが原因とみられています。正常な細胞には
侵入しませんでした。
記者会見した同研究所の竹内誠人(たけうち・まこと)
主任研究員は「ガン患者の血液で、HOZOTと同様の働き
を持つ細胞を作りだし、治療につなげたい」と話しました。
5~6年後をめどに臨床研究を始めたいと話しています。
ガン細胞がホゾをかむHOZOT細胞。笑
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2】 造血幹細胞の維持や増殖を調節する司令塔の役割を果たす細胞
赤血球や白血球のもとになる造血幹細胞の維持や増殖を
調節する司令塔の役割を果たす細胞を、京都大の長沢丘司
(ながさわ・たかし)教授(免疫学)らのチームがマウス
で突き止め、9月16日付の米科学誌イミュニティーに
発表しました。
造血幹細胞を維持するための細胞(ニッチ)の正体は、
免疫学では長年の謎とされていました。
長沢教授は「司令塔役の細胞を取り出して培養すること
ができれば、造血幹細胞を増殖するなど、再生医療や、
薬の開発に役立てられる可能性がある」と話しています。
造血幹細胞が増殖するにはCXCL12と呼ばれる
タンパク質が必要で、チームは造血幹細胞がこのタンパク質
を多く出す「CAR細胞」の突起部分に付着し、未分化な
状態で維持されていることに着目しました。
実験でマウスのCAR細胞を取り除くと、造血幹細胞の
分化が進んでしまい、2日間で造血幹細胞が約半分まで減少
しました。赤血球やリンパ球も大きく減ったため、この細胞
が造血幹細胞の増殖や免疫細胞を作る司令塔となっている
ことが分かりました。
司令塔は、死霊塔ではありません。笑
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編集後記
ガンの免疫療法も臍帯血を使うようになったら、
飛躍的に進歩するかもしれません。今のところ
末期のガン患者さんだけに臨床試験がなされている
ようですが、もっと状態がいい段階で臨床試験が
なされると成績も伸びるのではないかと期待して
います。長らく造血器幹細胞の維持に必要な要件は
謎でした。しかしここまで明らかになれば、再生
医療や白血病などの造血器悪性腫瘍の治療に充分
生かせるものと期待しています。
ガンと臍帯血で再対決。笑
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