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2012-08-16 00:00:00

カテゴリー:ブログ

診療マル秘裏話 Vol.355 平成21年9月23日作成


作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨





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目次



  

1) 光合成で心停止後時間の経った移植臓器の機能を回復

2) ゴキブリの脳内抗生物質のヒト感染症への応用



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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは

1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を

増やして欲しいという要望もあるのですが、私の能力の

なさから1週間に1回が限度となっています。これからも

当たり前の医療をしながら、なおかつ貪欲に新しい知識

を吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思って

おります。不撓不屈の精神で取り組む所存ですので

どうかお許し下さい。





 

1】 光合成で心停止後時間の経った移植臓器の機能を回復



 クロレラの光合成能力を利用し、心停止から時間が経過した

膵臓(すいぞう)内の酸素、二酸化炭素濃度を改善、機能まで

回復させることに、山岡一平・大塚製薬工場主任研究員らの

チームが動物実験で成功しました。世界で初めて動物と植物の

間で、酸素と二酸化炭素のやり取りを実現させた成果で、

心停止後の臓器を移植する道が開かれる可能性があります。

9月11日に宇都宮市で開かれた日本蘇生学会で発表されました。



 チームは、呼吸不全状態にしたラットの腹膜上に酸素が

溶け込みやすい液体とクロレラを入れてLED(発光ダイオード)

を照射しました。低かった血液中の酸素濃度が、光合成を行った

クロレラからの酸素によって高まる一方で、高濃度だった二酸化

炭素濃度はクロレラに取り込まれ、元通りに近づきました。



 また、心停止から3時間放置したラットの膵臓を摘出しました。

同様の仕組みの液体に30分間膵臓を入れ、別の糖尿病のラット

に移植しました。その結果、移植された全6匹の血糖値が改善し、

膵臓が機能していることが分かりました。移植で使われる

臓器保存液に入れた膵臓は、6匹中1匹しか血糖値が改善しません

でした。



 現在、心停止後に移植可能な臓器は腎臓、眼球だけで、それも

心停止直後の摘出が必要です。人に応用できるかどうかは安全性

を含めて調べなければなりませんが、同社特別顧問の小林英司・

自治医大客員教授は「呼吸不全に陥った患者の治療や、心停止後

の臓器提供の機会を増やすのに役立つのではないか。心停止から

の時間が延びれば、家族が別れを告げる時間も十分確保できる」

と話しています。



 光合成では咬合性は調べられません。笑



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2】 ゴキブリの脳内抗生物質のヒト感染症への応用



 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)や病原性大腸菌など、

ヒトにとって致死性のある細菌を死滅させる天然の抗生物質を

ワモンゴキブリの中枢神経系が作り出すという研究が発表され

ました。また、現在までに3種のバッタも細菌を殺す同じ分子を

その小さな脳の中に持つことがわかっています。



 研究の共著者でイギリスのノッティンガム大学の

サイモン・リー氏によると今回の発見は、地球上の動物の80%

を占める昆虫の世界には新しい抗生物質が豊富に存在している

可能性があることを示唆するということです。



 現在、従来の抗生物質に耐性を持つMRSAなどの細菌が引き起こす

複数の感染症の対策が急務になっており、こうした発見は非常に

重要な意味を持つとリー氏は話しています。



「これは有望だと思う。普通は調べないような場所を我々は調べて

いる。私が知る限り、ゴキブリの脳を調べている人はほかにいない。

しかし、新たな抗生物質を見つけるにはこのような研究が必要だ」

ということです。土壌微生物、菌類、人工的に作られた分子など、

「普通に思い付く場所はもう調べ尽くされている」とも話しています。



 リー氏の研究チームは実験室でゴキブリを解剖し、組織と脳を分析

しました。「見た目も嫌だが、臭いもひどいものだった」とリー氏は

明かしています。また、バッタの組織と脳も分析しました。



 ゴキブリとバッタの脳から見つかった9種類の抗菌性の分子を調べた

ところ、各分子が異なる種類の細菌を殺すよう特化していることが

わかりました。この“非常に賢い防御メカニズム”によって、昆虫たち

は極めて非衛生的な環境でも生き延びることができるとリー氏は説明

しています。



 さらに、抗生物質は最も重要な部分である脳の組織にしかないことも

わかりました。例えば脚に細菌が感染しても昆虫は生き伸びられそう

ですが、脳への感染は致命的となる可能性が高いと考えられます。



 昆虫の脳から医薬品が開発されるのはかなり先になるということですが、

希望がないわけではありません。研究チームが昆虫の抗生物質をヒトの

細胞に付加する実験を行ったところ、有害な作用は起きませんでした。



 この研究の予備報告は、ノッティンガム大学で2010年9月6~9日に

開催された英国総合微生物学会で発表されました。



 何億年も生き延びてきたゴキブリの簡単な知恵に感嘆。笑



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編集後記



 クロレラの光合成によって臓器の機能が回復すると

いうのは、本当に不思議な気がします。早く人間に

近いサルなどの動物の移植実験を試みて欲しいと思い

ます。何億年も生き延びているゴキブリの生命力は

脳の中の抗生物質にもその一因があったとは、いやはや

驚きの限りです。多剤耐性遺伝子を持つ細菌の問題が

院内感染にて広がりを見せている昨今、早い段階での

臨床試験をお願いしたく存じます。



 乾癬は感染症ではありません。笑

  

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