2015-03-20 14:37:10

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診療マル秘裏話　Vol.289 平成21年6月11日作成
作者　医療法人社団　永徳会　藤田　亨

 
 
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目次
1)　 サルに緑色蛍光蛋白質を作り出す遺伝子の導入に成功
2）　不要な蛋白質を分解する酵素の形成に不可欠な蛋白質

 
 
 
 
 
 
 
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医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を
増やして欲しいという要望もあるのですが、私の能力の
なさから1週間に1回が限度となっています。これからも
当たり前の医療をしながら、なおかつ貪欲に新しい知識
を吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思って
おります。不撓不屈の精神で取り組む所存ですので
どうかお許し下さい。

 
 
 
1】 サルに緑色蛍光蛋白質を作り出す遺伝子の導入に成功

 
 
 
サルの仲間で実験動物とし
て使われるマーモセットに、
緑色蛍光タンパク質「ＧＦ
Ｐ」を作り出す遺伝子を組
み込むことに慶応大や実験
動物中央研究所（川崎市）
などの研究チームが成功し
ました。5 月28日付の英科
学誌ネイチャーに発表しま
した。

人を含む霊長類で、遺伝
子組み換えを実現したのは
世界初ということです。
現在、医学研究では主に
遺伝子組み換えマウスが使
われていますが、より人に
近いマーモセットで自在な
遺伝子操作が可能になれば、
遺伝子の異常で起きる神経
難病の研究などに幅広く
応用できるということです。
岡野栄之（おかの・ひでゆ
き）慶応大教授は「脳科学
や再生医療研究にも新しい
ステージを切り開くだろう」
と話しています。

マーモセットは、尾を除
く体長が20センチほどの
小型のサルで、短期間に多
くの子を産み、繁殖させや
すいのが特徴です。

研究チームは、ＤＮＡに
入り込む性質を持つウイル
スを使い、培養したマーモ
セットの受精卵にＧＦＰ遺
伝子を導入しました。その
際、受精卵の培養方法に
独自の改良を加え、効率良
く遺伝子が組み込まれるよ
うにしました。

受精卵を仮親の子宮に戻
したところ、2006年以降に
５匹が誕生しました。紫外
線を当てると毛や皮膚が光
り、組み込んだＧＦＰ遺伝
子が働いていることが分か
りました。さらに、このう
ち１匹の雄から精子を採取
し、通常の雌と体外受精さ
せて生まれた「第2世代」
でも、ＧＦＰ遺伝子が働い
ていることが確認されまし
た。

霊長類の遺伝子組み換え
について岡野教授は「あく
まで人の病気を知るための
実験に使うもの。生命倫理
上、人に応用してはいけな
いのは大前提だ」と強調し
ています。

GFP蛋白質を入れた大腸菌

が紫外線を当てると光る様子

の動画です。



 
 
 
 
全艇が必死の競争をする
ことが、大前提だ。笑

 
 
 
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2】 不要なタンパク質を分解する酵素の形成に不可欠なタンパク質

 
 
 
体内で邪魔になった物質を
分解する酵素「プロテアソ
ーム」の形成に不可欠な４
種のたんぱく質を、東京都
臨床医学総合研究所などと、
東京大などがそれぞれ突き
止め、5 月29日付の米科学
誌セルに発表しました。
ガン細胞でプロテアソーム
が作られなくなると、不要
なたんぱく質がたまったり、
分裂できなくなって死滅す
るため、新たな抗ガン剤の
開発に役立つとして注目さ
れそうです。

東京都臨床医学総合研究
所のチームは酵母の細胞、
東京大のチームはヒトの
腎臓ガンの細胞を使い実験
し、４種のたんぱく質を突
き止めました。酵母細胞で
これらの働きを止めると、
プロテアソームが作られず、
不要物質が蓄積して細胞が
死にました。ヒトの細胞で
は細胞内のプロテアソーム
が減りました。

プロテアソームの働きを
止める抗ガン剤の開発が進
んでいますが、これらは、
不要物質の分解以外の役割
を持つプロテアソームの働
きまで止めてしまうため、
副作用の恐れがありました。
今回の４種のたんぱく質は、
不要物質の分解にだけ働く
プロテアソーム形成にかか
わるため、副作用の心配が
少ないということです。

村田茂穂・東京大教授
（たんぱく質代謝学）は
「ガン細胞のように無秩序
に増殖を繰り返す細胞は、
プロテアソームを大量に作
り出している。プロテアソ
ームが作られなければ、
ガン細胞は生存できなくな
り、治療効果が期待できる」
と話しています。

プロテアソームの構造解析の

基礎研究とその応用系につい

ての講義動画です。



 
 
 
芙蓉が不要となって浮揚
した。笑

 
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編集後記

マーモセットは実験動物
として使ったことはありま
せん。しかし、体長が20セ
ンチほどの小型のサルで、
短期間に多くの子を産み、
繁殖させやすいと言われて
いるので、マウスやラット
と扱いはそれほど変わらな
いと推測されます。神経
難病の人は治療が待った
なしです。マーモセットを
使った遺伝子組み換え実験
が進み、神経難病の治療に
早く反映して欲しいもので
す。プロテアソームが作ら
れないという今回の成果を
新たな抗ガン剤の開発につ
なげて頂きたいものです。

抗ガン剤の研究にガンガ
ン反映するプロテアソーム。
笑

 
 
 
 
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