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2022-03-07 22:17:30

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診療マル秘裏話  号外Vol.2107 令和3年5月6日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
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目次

1)肝ガン発症の危険、転移のリスクに関わる血液成分
2)2週間で,武漢熱ウイルスを人工合成する新技術確立

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
1】 肝ガン発症の危険、転移のリスクに関わる血液成分

 
 
 
 
 金沢大学は4月9日、肝ガン発
症の危険、転移の危険に関わる
血液成分(血液マーカー)の同
定に成功したと発表しました。
この研究は、同大附属病院総合
診療部の山下太郎准教授および
医薬保健研究域医学系の金子周
一教授、東京工業大学生命理工
学院の越川直彦教授(東京大学
医科学研究所人癌病因遺伝子分
野客員教授)、東京大学の清木
元治名誉教授、アボットジャパ
ン合同会社総合研究所の吉村徹
所長らの研究グループによるも
のです。研究成果は、米国医学
誌「Hepatology」にAccepted A
rticleとして掲載されています。

 肝ガンは膵ガンに次ぐ高悪性
度ガンとして知られ、C型肝炎
ウイルスなどの肝炎ウイルス感
染が肝ガンの危険因子として知
られています。基礎研究、創薬
研究の成果により、C型肝炎は
治療によりウイルスが消失する
病気となりました。しかし、C
型肝炎治癒後も肝ガンを発症す
る危険が完全に消えるわけでは
なく、このような患者さんで肝
ガンを早期に診断する技術の開
発が求められています。

 さらに、高悪性度肝ガンの特
徴として肺や骨など他臓器に転
移する能力(遠隔転移能力)が
ありますが、これまで転移を起
こす前の段階でガンの遠隔転移
能力を見出す方法はありません
でした。

 研究グループは、これまでに
上皮細胞の接着や生存に関わる
生体膜(基底膜)の主要成分で
あるラミニンの中でガン特異的
に発現するラミニンγ2単鎖(L
G2m)に注目し,血液検査で微量
のLG2mを再現性よく測定できる、
アボット社アーキテクト測定装
置を用いた検査薬の基礎研究、
開発研究を行ってきました。今
回の研究では血液中の微量LG2m
の上昇が肝炎、肝ガン患者さん
の診断やその後の経過にどのよ
うな影響があるのか、基礎的、
探索的、検証的研究を行いまし
た。

 ガンには発生、増殖、転移、
治療抵抗性などに関わるガン幹
細胞の存在が知られています。
研究グループはこれまでの肝ガ
ン幹細胞研究から、肝ガンには
局所で増殖する上皮系ガン幹細
胞(EpCAM陽性) と遠隔転移を
制御する間葉系ガン幹細胞(CD
90陽性)の2種類が存在するこ
とを見出してきました。

 肝ガンでは、現在アルファ・
フェトプロテイン(AFP),ピブ
カ・ツー(PIVKA-2)の2つの
腫瘍マーカーの測定が行われて
いますが、これらはいずれもEp
CAM 陽性細胞で発現しており、
CD90陽性細胞での発現は認めら
れません。

 今回、14種類の肝ガン細胞を
用いてLG2mの測定を行った所、
LG2mはAFP、PIVKA-2が発現して
いないCD90陽性細胞でも上昇し
ていること、肝ガン患者さん血
清を用いた測定データからAFP,
PIVKA-2とは相関のない新しい
マーカーであることが分かりま
した。

 これまでの研究からCD90陽性
細胞の存在は、肝ガン治療後に
遠隔転移を起こす危険が高いと
考えられています。そのため、
研究グループは肝ガン診断時の
血清LG2mと治療後の遠隔転移の
関係について解析しました。肝
ガン診断時に血清LG2mが高値(
60pg/ml以上)の患者さんでは,
治療後に高率に遠隔転移を引き
起こし予後が悪いことが2つの
独立した後ろ向きコホート(コ
ホート1:治療として外科切除、
もしくはラジオ波焼灼療法を受
けた肝ガン患者47例、コホート
2:コホート1とは独立した、治
療として外科切除、もしくはラ
ジオ波焼灼療法を受けた肝ガン
患者さん81例)の解析で明らか
になりました。

 現在用いられているAFP、PIV
KA-2ではこのような傾向が全く
認められないことから、血清LG
2mの測定は遠隔転移能力の高い
細胞集団を反映する、新たな肝
ガンマーカーである可能性が示
唆されました。

 これまでにガン遠隔転移能力
を反映する腫瘍マーカーが存在
しないことから、今回の研究成
果は世界で初めてのガン遠隔転
移マーカーの開発につながる可
能性が期待されるということで
す。

 研究グループは、画像的に肝
ガンがないと診断されたC型慢
性肝炎患者さんで血清LG2mを測
定し、約3分の1の患者さんで血
清LG2mが健常人上限であるカッ
トオフ値(30pg/ml) を超えて
いることを見出しました。血清
LG2mが上昇している患者さんは
経過で高率に肝ガンを発症して
いる一方、血清LG2mが正常な患
者さんからは一例も肝ガンを発
症していないことが後ろ向きの
コホート解析で明らかになりま
した。

 そこで、2014~2018年までに
C型肝炎ウイルス治療を受けウ
イルスが消失した、これまでに
肝ガンを発症したことがない39
9 例の患者さんを登録、血清LG
2mを測定し肝発ガンを前向き多
施設共同研究で検討しました。
その結果、血清LG2mの上昇が認
められる患者さんは正常な患者
さんに比べ、経過で肝ガンを発
症する危険が約20倍高いことが
明らかになりました。

 さらに、既存の肝発ガン予測
マーカーである血小板数や線維
化マーカー、AFP などと比較し
た結果、血清LG2mは最も肝発ガ
ンの危険に関わるマーカーであ
ることが明らかになりました。

 今回の研究により、血中に存
在する微量の特殊な基底膜成分
LG2mを測定することで、「画像
的に肝ガンのないC型慢性肝炎
治療後の患者さんで、将来の肝
発ガンの危険を血液診断する」
「画像的に遠隔転移のない肝ガ
ン患者さんで、将来の遠隔転移
の危険を血液診断する」という、
ガン研究における画期的な2つ
のブレイクスルーを将来達成す
ることが期待される、と研究グ
ループは述べています。

 肝臓ガンの最新治療について

解説している動画です。

 
 


 
 
 遠隔地の沿革を持つ会社。笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 2週間で,武漢熱ウイルスを人工合成する新技術確立

 
 
 
 
 
 
 大阪大学は4月13日、Circul
ar Polymerase Extension Reac
tion(CPER)法を用いることに
より、わずか2週間で新型コロ
ナウイルス(武漢熱ウイルス)
を人工合成する新しい技術を確
立したと発表しました。この研
究は、同大微生物病研究所の鳥
居志保特任研究員、同感染症総
合教育研究拠点の松浦善治特任
教授(兼、微生物病研究所特任
教授)、北海道大学大学院医学
研究院の福原崇介教授らの研究
グループによるものです。研究
成果は、「Cell Reports」に掲
載されています。

 ウイルス研究では、ウイルス
の遺伝子配列情報をもとに人工
的にウイルスを合成する技術が
確立され、治療法や予防法の開
発に役立てられています。コロ
ナウイルスでも、SARSウイルス
やMERSウイルスの人工合成技術
が開発されていますが、複雑か
つ高度な遺伝子操作技術と数か
月もの期間が必要であり、限ら
れた研究者しか武漢熱ウイルス
を人工合成できないという問題
がありました。しかし、次々と
現れる変異ウイルスに対応し、
かつ病原性の解明や治療法・予
防法の開発を行うためには、迅
速かつ簡便に感染性ウイルスを
作出する技術の開発が求められ
ています。

 研究グループは今回、任意の
遺伝子変異を素早く簡便に導入
できる武漢熱ウイルス人工合成
技術を確立するため、PCR を利
用した方法の開発に取り組みま
した。デング熱を起こすデング
ウイルスなどが含まれるフラビ
ウイルスでは、CPER法というPC
R を活用した手法で、感染性ウ
イルスクローンを作出する技術
が開発されています。このCPER
法を武漢熱ウイルスにも応用で
きないかと考えて研究を進めま
した。

 武漢熱ウイルスの遺伝子全長
をカバーする9個のウイルス遺
伝子断片とプロモーターを含む
リンカー断片をPCR で増幅しま
した。各断片が隣り合う断片と
重なる領域を持つよう設計する
ことで、もう一度PCR を行うと、
10個の断片が1つにつながり、
ウイルス遺伝子全長をコードす
る環状のDNA を作製できること
が分かりました。この環状DNA
を武漢熱ウイルスがよく増殖す
る培養細胞に導入すると、細胞
の中でDNAをもとにRNAが合成さ
れ、さらにこのRNA をもとにウ
イルスが合成されて、約7日間
で感染性の新型コロナウイルス
を作出することができました。

 すなわち、CPER法を用いるこ
とで、高度な遺伝子操作技術を
用いずに、PCR のみで武漢熱ウ
イルスの感染性DNA クローンを
作製できることが分かりました。
さらに、GFP などの蛍光蛋白質
を導入したウイルスや、任意の
遺伝子を変異させたウイルスも
作出可能であることが示されま
した。

 今回開発された技術により、
従来数か月かかっていたウイル
スの合成が大幅に短縮されるこ
とで、武漢熱ウイルスの研究開
発が加速化するとともに、世界
中で出現するさまざまな変異を
持つ新型コロナウイルスに対し
ても迅速に解析することが可能
となります。

 「人工的に外来遺伝子を組み
込むなど遺伝子操作をしたウイ
ルスを用いた研究は病原性解析
や予防法・治療法の開発にも応
用できることから、今後、武漢
熱ウイルス研究において中心的
な役割を担うと期待される」と、
研究グループは述べています。

 新しいオミクロン株について

解説している動画です。

 
 


 
 
 忠臣が中心的な役割を果たす。


 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 金沢大学は4月9日、肝ガン発
症の危険、転移の危険に関わる
血液成分(血液マーカー)の同
定に成功したと発表したのは、
素晴らしい業績です。肝ガンは
膵ガンに次ぐ高悪性度ガンとし
て知られ、C型肝炎ウイルスな
どの肝炎ウイルス感染が肝ガン
の危険因子として知られていま
す。基礎研究、創薬研究の成果
により、C型肝炎は治療により
ウイルスが消失する病気となり
ました。しかし、C型肝炎治癒
後も肝ガンを発症する危険が完
全に消えるわけではなく、この
ような患者さんで肝ガンを早期
に診断する技術の開発が求めら
れていた所に、渡りに船という
感じだと思います。肝ガンに対
して、動脈塞栓術が有効ですが、
肝門部に腫瘍が広がってしまう
と、カテーテルを入れることが
できなくなり、塞栓術が使えな
いという症例を過去経験しまし
た。肝ガン研究における画期的
な2つのブレイクスルーを将来
達成することを期待したいと思
います。
 大阪大学が4月13日、Circul
ar Polymerase Extension Reac
tion(CPER)法を用いることに
より、わずか2週間で新型コロ
ナウイルス(武漢熱ウイルス)
を人工合成する新しい技術を確
立したと発表したのは、素晴ら
しい業績です。次々と現れる変
異ウイルスに対応し、かつ病原
性の解明や治療法・予防法の開
発を行うためには、迅速かつ簡
便に感染性ウイルスを作出する
技術の開発が求められていまし
た。従来法では、複雑かつ高度
な遺伝子操作技術と数か月もの
期間が必要であり、限られた研
究者しか武漢熱ウイルスを人工
合成できないという問題があっ
たのをあっさり解決してしまっ
たというのは、本当に驚天動地
と言わざるを得ません。人工的
に外来遺伝子を組み込むなど遺
伝子操作をしたウイルスを用い
た研究は病原性解析や予防法・
治療法の開発にも応用できるの
で、この技術を使って武漢熱ウ
イルスの根絶を是非目指して頂
きたいと切に願う次第です。

 研究機関が、限られた期間で
結果を出す。       笑

 
 
 
 
 
 
 
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