最新号より100号前のメルマガ

2022-03-09 22:29:58

カテゴリー:ブログ



藤田のブログランキングアップにご協力お願いします。
以下のバナーをぽちっとクリックお願いします。


病院・診療所ランキング

 
診療マル秘裏話  Vol.854 令和2年4月22日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
目次

1)吸入薬が,風邪コロナウイルスの増殖誘導物質放出抑制
2)骨粗鬆症治療薬による疼痛軽減作用解明に成功

 
 
 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 吸入薬が,風邪コロナウイルスの増殖誘導物質放出抑制

 
 
 
 
 
 東北大学は3月27日、一般に
使用されている呼吸器疾患吸入
薬が風邪コロナウイルスの増殖
と炎症を誘導する物質の放出を
抑えることを明らかにしたと発
表しました。この研究は、同大
大学院医学系研究科先進感染症
予防学寄附講座の山谷睦雄教授、
同医工学研究科聴覚再建医工学
研究分野の川瀬哲明教授、同呼
吸器内科学分野の一ノ瀬正和教
授、国立病院機構仙台医療セン
ター臨床研究部ウイルスセンタ
ーの西村秀一センター長、東北
公済病院耳鼻咽喉科の菅原充部
長らの研究グループによるもの
です。研究成果は、「Respirat
ory Investigation 」の電子版
に掲載されています。慢性気管
支炎などの慢性閉塞性肺疾患や
気管支喘息は風邪ウイルス感染
で症状が悪化することがあり、
最悪の場合、呼吸不全で死亡す
ることもあります。成人では風
邪ウイルスの中でライノウイル
スが最も多く検出され、次にイ
ンフルエンザウイルスや風邪コ
ロナウイルスが検出されます。
風邪コロナウイルスはRNA ウイ
ルスの一種で、風邪症候群を生
じる病原性の低いウイルスです。
新型コロナウイルスは風邪コロ
ナウイルスとは別のタイプのウ
イルスです。ライノウイルスや
インフルエンザウイルス感染に
よる症状悪化の仕組みは研究が
進んでいる一方で、風邪コロナ
ウイルス感染による症状悪化の
仕組みはこれまで研究が行われ
ていませんでした。 一般的に、
ウイルス感染時の慢性閉塞性肺
疾患や気管支喘息の悪化予防に、
気管支拡張薬や吸入ステロイド
薬などの呼吸器疾患吸入薬が使
用されています。今回の報告で
研究グループは、一般に使用さ
れている呼吸器疾患吸入薬が風
邪コロナウイルスの増殖と炎症
を引き起こす物質の放出を抑え
ることを明らかにしました。

はじめに研究グループは、ヒト
由来の呼吸器の培養細胞(気道
上皮細胞)に風邪コロナウイル
ス(HCOV-229E )を感染させ、
呼吸器疾患吸入薬がウイルスの
増殖(放出量)に与える効果を
調べました。その結果、細胞に
気管支拡張薬(ムスカリン受容
体拮抗薬、β2 アドレナリン受
容体刺激薬)を添加すると風邪
コロナウイルスの放出量が減少
することが明らかになりました。
また、β2 アドレナリン受容体
刺激薬を添加すると、風邪コロ
ナウイルスが細胞に吸着するた
めに必要な細胞表面に存在する
受容体の量が減少しました。さ
らに、気管支拡張薬を添加しま
すと、ウイルスの遺伝子が細胞
内に放出されるために必要な構
造体(酸性エンドソーム)が減
少しました。これらの結果より、
受容体および酸性エンドソーム
の減少がウイルス放出量の減少
に関連していることが明らかに
なりました。また、細胞に気管
支拡張薬や吸入ステロイド薬を
添加すると炎症を誘導する物質
の放出量が減少しました。

今回の研究結果から、慢性閉塞
性肺疾患や気管支喘息の治療に
用いられる気管支拡張薬や吸入
ステロイド薬が風邪コロナウイ
ルスの増殖・放出を減少させ、
炎症誘導物質の放出を抑制する
効果があることが明らかになり
ました。研究グループは、「呼
吸器疾患吸入薬のこれらの効果
が、風邪コロナウイルス感染時
における慢性閉塞性肺疾患や気
管支喘息の悪化に対する予防に
貢献していると考えられる」と
述べています。

 喘息とCOPDの武漢熱感染症

について解説している動画です。

 
 


 
 
 酸性エンドソームを産生する。


 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
2】 骨粗鬆症治療薬による疼痛軽減作用解明に成功

 
 
 
 
 
 
 北海道大学は3月27日、骨粗
鬆症治療薬「PTH 製剤(テリパ
ラチド)」による疼痛軽減作用
の解明に成功したと発表しまし
た。これは、同大大学院歯学研
究院の飯村忠浩教授らと旭化成
ファーマ株式会社の共同研究グ
ループによるものです。研究成
果は、「Scientific Reports」
に掲載されています。骨粗鬆症
では、背骨や手足の骨がわずか
な力で骨折しやすくなり、日常
生活動作(ADL )が低下します。
加えて、80%以上の患者さんが
背中や腰の痛みを抱えており、
痛みによるADL の制限により、
骨や筋肉がさらに弱くなります。
これが悪循環となり、患者さん
のQOL低下が深刻化します。

骨粗鬆症治療薬であるテリパラ
チドは、骨の形成を促し、骨の
量や強さを増すことで骨粗鬆症
による骨折を予防します。また、
骨粗鬆症患者さんの背中や腰の
痛みが、同剤による治療で改善
したとの報告があります。しか
し、その作用機序については十
分な解析が行われていませんで
した。そこで研究グループは、
閉経後骨粗鬆症モデル動物であ
る卵巣摘除(OVX )ラットおよ
び培養神経細胞を用いて、痛覚
過敏に対するテリパラチドの作
用について詳細に検討しました。
まず、12週齢のメスのラットに、
卵巣摘除(OVX )で閉経後骨粗
鬆症の状態を誘発し、摘除4週
後からテリパラチドを週3回、4
週間投与しました。足裏への刺
激に対する逃避行動(疼痛行動)
を解析した結果、OVX により痛
覚過敏が発症し、テリパラチド
の投与はその痛覚過敏を改善す
ることが確認されました。また、
その効果は、テリパラチドの本
来の作用である骨組織への作用
よりも早く、投与から数時間後
に認められました。

そこで研究グループは、痛みを
知覚する一次感覚神経に着目し、
テリパラチドによる影響を詳細
に解析しました。PTH 受容体の
分布を調べた所、一次感覚神経
の細胞体の集合である脊髄後根
神経節(DRG)に、PTH受容体が
発現していることが観察されま
した。続いて、DRG から神経細
胞を取り出して培養し、テリパ
ラチドを作用させた所、細胞内
シグナルの変化が認められまし
た。さらにDRG での遺伝子発現
を調べたところ、テリパラチド
投与によって疼痛関連因子の発
現が変動し、特に痛みを軽減す
るための分子が増加することが
明らかとなりました。一次感覚
神経が受けた痛み刺激は脊髄後
角を経て脳へ伝達されますが、
最近、脊髄後角のミクログリア
という免疫担当細胞の活性化が、
慢性的な痛みの原因の1つであ
ることが報告されています。

今回の研究では、OVX によりミ
クログリアが活性化すること、
テリパラチド投与がこの活性化
を抑制することが明らかになり
ました。同研究成果により、テ
リパラチドが、骨組織のみなら
ず、神経系細胞にも直接作用し、
骨形成とは独立したメカニズム
により疼痛軽減作用を発揮する
ことが、世界で初めて明らかに
されました。

研究グループは、「本研究は、
これまで臨床的に報告されてい
たテリパラチドによる疼痛軽減
作用に、科学的な考察を与えた。
本研究の発展により、ロコモテ
ィブシンドロームに対する治療
選択肢の拡大や、新たな疼痛治
療薬開発に繋がることが期待さ
れる」と述べています。

 テリパラチドについて解説し

ている動画です。

 
 


 
 
 伊丹空港で腰に痛みを覚えた。


 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
編集後記

 東北大学が3月27日、一般に
使用されている呼吸器疾患吸入
薬が風邪コロナウイルスの増殖
と炎症を誘導する物質の放出を
抑えることを明らかにしたと発
表したのは、喜ばしいことです。
新型コロナウイルスについては、
世界中の沢山の研究者が、凌ぎ
を削って研究していますが風邪
コロナウイルスの研究をしてい
る人は、殆どいないと思います。
しかし、風邪は万病の元ですか
ら、風邪コロナウイルスをバカ
にしてはいけません。新型コロ
ナウイルスは流行が去れば研究
の価値さえ、下がってしまいま
す。ところが、風邪コロナウイ
ルスは、流行に関係なく、毎年
冬になると患者さんが出現し、
高齢者などのハイリスクの人は、
十分注意すべきだと思います。
 北海道大学が3月27日、骨粗
鬆症治療薬「PTH 製剤(テリパ
ラチド)」による疼痛軽減作用
の解明に成功したと発表したの
は素晴らしい業績です。骨粗鬆
症治療薬であるテリパラチドは、
骨の形成を促し、骨の量や強さ
を増すことで、骨粗鬆症による
骨折を予防します。また、骨粗
鬆症患者さんの背中や腰の痛み
が、同剤による治療で改善した
との報告があることを見逃さな
かったのは慧眼と言えましょう。
今回の研究では、OVX によりミ
クログリアが活性化すること、
テリパラチド投与がこの活性化
を抑制することが明らかになっ
たということですから、ミノマ
イシンに似た働きと言うことが
できましょう。本研究の発展に
より、ロコモティブシンドロー
ムに対する治療選択肢の拡大や、
新たな疼痛治療薬開発に繋がる
ことを大いに期待したいと思い
ます。

 八点の作品から個展に発展し
た。           笑

 
 
 
 
 
 
************************

このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

発行者名  医療法人永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト www.eitokukaisalanuma.or.jp/
ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。
このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント