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2022-03-17 21:35:57

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診療マル秘裏話  号外Vol.2115 令和3年5月15日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
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目次

1)IL-11陽性細胞高発現遺伝子と大腸ガン再発相関
2)緑茶カテキンに表皮細胞の垂直分裂を促進する効果

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
1】 IL-11陽性細胞高発現遺伝子と大腸ガン再発相関

 
 
 
 
 
 東邦大学は4月16日、IL-11陽
性細胞で高発現している一群の
遺伝子発現が、ヒト大腸ガンの
再発率と関係していることを明
らかにしたと発表しました。こ
れは、同大医学部生化学講座の
仁科隆史助教、中野裕康教授、
順天堂大学の多田昇弘先任准教
授、八木田秀雄先任准教授、東
海大学の大塚正人教授、東京理
科大学の松島綱治教授、西山千
春教授、金沢大学ガン進展制御
研究所の大島正伸教授、ミシガ
ン大学の猪原直弘准教授らの共
同研究グループによるものです。
研究成果は、「Nature Communi
cations」に掲載されています。

 日本における大腸ガンは食事
の欧米化に伴って増加し、死亡
数は男性では3番目、女性では1
番目となっています。このよう
な状況で、大腸ガンの早期発見
や有効な治療法の開発は喫緊の
課題であると考えられます。ガ
ン細胞の増殖・進展は、ガン細
胞の力だけでは不十分で、その
周囲に存在するガン間質細胞と
の相互作用が重要であることが
分かっています。それらの細胞
の中には、免疫系の細胞である
腫瘍随伴マクロファージや、ガ
ンに対する免疫を阻害するよう
な制御性T細胞が存在します。
さらに、ガンの促進に線維芽細
胞も関与することが知られてお
り、それらは腫瘍随伴線維芽細
胞(Cancer-associated fibrob
lasts:CAFs) と総称されてい
ます。しかし、免疫細胞と比較
してCAFsで特異的に発現してい
る分子の情報が不足しているこ
とから、生体において、それら
がどのような特性をもった集団
なのかについては不明点が多く
ありました。

 一方で、研究グループは、今
回注目したIL-11 と呼ばれるサ
イトカインは活性酸素により発
現が誘導され、肝細胞の増殖を
誘導することを報告していまし
た。また、他の研究グループか
らは、ヒトおよびマウスの胃ガ
ンや大腸ガンでIL-11 の発現が
亢進していることが報告されて
いました。さらに、IL-11 の機
能を阻害することでマウスの大
腸ガンや胃ガンが縮小すること
も報告されており、IL-11 を標
的とした大腸ガンの治療の可能
性が示唆されています。しかし、
これまでの報告ではIL-11 を産
生する細胞がどのような細胞な
のかは明らかにされておらず、
大腸ガンの予後とIL-11 の発現
との関係についても不明でした。

 研究グループは、まず、どの
ような細胞がIL-11 を産生する
かを明らかにするために、IL-1
1 の発現を蛍光蛋白質EGFPでモ
ニタリングできるIL-11 レポー
ターマウスを作製しました。IL
-11 の発現量は通常環境下では
精巣などの一部の臓器を除き非
常に少なく、今回注目した大腸
においてもEGFP陽性細胞は検出
できませんでした。一方で、IL
-11 レポーターマウスを用いて
炎症誘発大腸ガンモデルやヒト
家族性大腸腺腫症のモデルマウ
スを作製して腫瘍部を解析した
所、大腸ガンの間質を埋めるよ
うな形でIL-11 陽性細胞が出現
してくることが組織学的な解析
から示されました。また、フロ
ーサイトメーターを用いた解析
により、大多数のIL-11 陽性細
胞は線維芽細胞であることが明
らかになりました。

 さらにIL-11 陽性細胞の特徴
を明らかにするため、IL-11 陽
性の線維芽細胞とIL-11 陰性の
線維芽細胞で発現している遺伝
子をRNA-seq 解析を用いて網羅
的に解析した所、IL-11 陽性細
胞では約350 個の遺伝子が高発
現し、これらの遺伝子の中には
組織修復や細胞増殖を制御する
遺伝子が含まれることが判明し
ました。また、IL-11 陽性細胞
は放出するIL-11 により、周囲
の腫瘍細胞だけでなく、自分自
身も活性化させている可能性が
示唆されました。

 加えて、ヒト大腸ガンのデー
タベースを用いた解析から、腫
瘍におけるIL-11 の発現は大腸
ガンの再発とは無関係なものの、
IL-11 陽性細胞で発現の高い一
群の遺伝子と大腸ガンの再発に
は有意な正の相関があることが
明らかとなりました。

 ヒト大腸ガンや胃ガンではIL
-11 が高発現し、発ガンモデル
マウスではIL-11 受容体に対す
る阻害剤処置やIL-11 受容体遺
伝子の欠損により、ガンが縮小
することが報告されています。
今回の解析から、IL-11 は腫瘍
形成を促進するものの、大腸ガ
ンの予後不良因子ではない可能
性が示唆されました。また、IL
-11 陽性細胞はIL-11 だけでな
く他の増殖因子を産生すること
や、IL-11 陽性細胞で発現の亢
進している一群の遺伝子と大腸
ガンの再発が正に相関したこと
から、IL-11 ではなく、IL-11
陽性細胞を標的としたガン治療
が有用となる可能性が示唆され
ました。

 「今後は、IL-11 陽性細胞で
高発現しているどのような遺伝
子が大腸ガンの再発に関与して
いるかを解析していく必要があ
ると考えられる」と、研究グル
ープは述べています。

 腫瘍の特徴・分類・症状につ

いて解説している動画です。

 
 


 
 
 一軍の中での成績良好の選手
の一群。         笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 緑茶カテキンに表皮細胞の垂直分裂を促進する効果

 
 
 
 
 
 
 ファンケルグループのアテニ
アは、緑茶カテキンに表皮細胞
の垂直分裂を促進する効果を見
いだしました。垂直分裂は乾燥
などの外的刺激から皮膚を守る
仕組みの一つで、分裂が乱れる
と表皮の恒常性を保てなくなり
ます。同社ではメラニンが過剰
発生した部位でもその乱れがみ
られること、垂直分裂にかかわ
る蛋白質「PKCδ(プロテイ
ンキナーゼCゼータ)」の活性
化に着目し、細胞実験などで緑
茶カテキンが有効と確認しまし
た。新知見により、貯留したメ
ラニンや古い細胞の排出促進が
期待できるとしています。

 乾燥や異物といった外的刺激
から皮膚を守るため、表皮は基
底から外部へと垂直方向に細胞
分裂し、あかとなって定期的に
剥がれ落ちることで恒常性を保
っています。垂直分裂は加齢な
どで乱れますが、同社ではメラ
ニンの過剰発生部位でも乱れ、
角化(表皮で基底細胞が角層細
胞に変わる過程)が低下してい
ることに着目しました。PKC
δの活性化に焦点を当て、垂直
分裂を促進し、角化を促進する
成分を探索することにしました。

 表皮角化細胞に緑茶カテキン
の一種「EGCG(エピガロカ
テキンガレート)」を添加した
所、PKCδの活性化を意味す
る「リン酸化PKCδ」の増加
が確認できました。ヒト表皮3
次元皮膚モデルにもEGCGを
添加して11日間培養後に皮膚の
厚さを観察すると、表皮厚が増
加していました。

 結果を踏まえ、EGCGは表
皮細胞の垂直分裂を活性化し、
表皮恒常性機能を亢進するとし
ました。角化が進むと、貯留し
たメラニンなどの排出促進につ
ながるということです。

 強力な抗炎症作用のある食物

について解説している動画です。

 
 


 
 
 閣下の足も角化が進む。 笑

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 東邦大学が4月16日、IL-11陽
性細胞で高発現している一群の
遺伝子発現が、ヒト大腸ガンの
再発率と関係していることを明
らかにしたと発表したのは、素
晴らしい業績です。研究の結果
から、IL-11 ではなく、IL-11
陽性細胞を標的としたガン治療
が有用となる可能性が示唆され
たということです。それゆえに、
今後の研究で、IL-11 陽性細胞
で高発現しているどのような遺
伝子が大腸ガンの再発に関与し
ているかを解析していって頂き
たいと思います。この解析が進
めば、IL-11 陽性細胞を標的と
したガン治療が実際の臨床で、
使われる第一歩となることでし
ょう。ファーストステップがク
リアーされて次の段階へと進み
ガン治療に各段の進歩をもたら
すことを期待したいと思います。
 ファンケルグループのアテニ
アが、緑茶カテキンに表皮細胞
の垂直分裂を促進する効果を見
いだしたのは、素晴らしい業績
です。しかし、このような緑茶
カテキンの有用性が明らかにな
るにつれて、緑茶は、健康に良
いから、大量摂取しても大丈夫
という誤った捉え方をする人が
増えてしまう可能性があります。
実際に、緑茶カテキンは、身体
に良いからと言って、一日に、
2~3リットル飲んだ女性患者さ
んがいらっしゃいました。緑茶
のカフェインが原因で副腎疲労
を起こしていました。何が原因
か分かりませんが、身体が異常
に浮腫んでいました。大量摂取
を止めて副腎疲労の治療を施し
たところ数日間で元気になって
浮腫みもなくなっていました。

 講演で副腎疲労の原因につい
ての資料を披露する。   笑

 
 
 
 
 
 
 
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藤田 亨
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