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2022-03-14 21:19:47

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診療マル秘裏話  号外Vol.2113 令和3年5月13日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
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目次

1)転写因子を標的とする核酸医薬候補の開発成功
2)武漢熱に新規経口抗ウイルス薬が有効な可能性示唆

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
1】 転写因子を標的とする核酸医薬候補の開発成功

 
 
 
 
 
 慶應義塾大学は4月20日、乳
ガンおよび膵ガンで発現が亢進
している転写因子PRDM14遺伝子
を標的とする、配列特異性の高
い「キメラ型siRNA」 と核酸を
病変に送達する「Y-shaped blo
ck co-polymer」(YBC)からな
る核酸医薬候補の開発に成功し
たこと、ならびに、再発乳ガン
患者さんに対する医師主導治験
(第1相)が現在進行中である
ことを発表しました。この研究
は、同大医学部臨床研究推進セ
ンターの谷口博昭特任准教授(
東京大学医科学研究所分子療法
分野客員准教授)、同医学部の
名取幸和客員研究員(大阪大学
医学系研究科招聘教授)、神奈
川県立ガンセンター臨床研究所
の宮城洋平所長、ナノ医療イノ
ベーションセンターの林光太郎
研究員、東京大学医科学研究所
先端医療開発推進分野の長村文
孝教授、ナノ医療イノベーショ
ンセンターの片岡一則センター
長(東京大学名誉教授)、北海
道大学遺伝子病制御研究所の今
井浩三客員教授の研究グループ
によるものです。研究成果は「
International Journal of Can
cer」に掲載されています。

 乳ガンにおいてPRDM14分子の
発現が特に高いことが、札幌医
科大学の豊田実氏(故人)らに
よって発見されました。その後、
PRDM14分子が膵ガン等の悪性腫
瘍においても発現が高く、ガン
幹細胞性形質(抗ガン剤耐性、
転移・浸潤、血管新生等)を腫
瘍細胞に付与することが見出さ
れました。PRDM14分子は、ガン
組織にのみ発現し、正常細胞で
発現を認めないことから、ガン
治療の良い分子標的になること
が想定されていました。

 PRDM14分子が核内転写因子で
あることから、研究グループは、
遺伝子情報から創薬が可能であ
る核酸創薬に着手しました。目
標は、治癒的切除ができない患
者さんを対象とした静注投与に
よる全身投与法の創出としまし
た。核酸医薬のハードルを克服
するため、核酸、およびそのデ
リバリーシステムに関して革新
的な技術の適用を検討しました。
具体的には、東京大学大学院理
学研究科で開発された、極めて
安全性・血中安定性が高く十分
なRNA 干渉効果が得られるキメ
ラ型siRNA を用い、また、siRN
A 配列探索プログラムを基盤に、
off target効果を排除した治療
用配列を選定した。さらに、東
京大学大学院工学系研究科、ナ
ノ医療イノベーションセンター
で開発された核酸ナノキャリア
であるYBC を用いることにしま
した。YBC は、ポリオルニチン
とポリエチレングリコール(PE
G) から構成され原材料の安全
性の懸念がなく、優れた血中滞
留性を示し、EPR 効果によりガ
ン組織への高い集積性を示しま
す。

 RDM14siRNA核酸医薬候補の治
療効果を評価するため、難治性
であるトリプルネガティブ乳ガ
ン、および膵ガンより樹立され
たPRDM14分子陽性のガン細胞株
を用いた動物モデルを作製しま
した。同モデルに静注投与した
結果、乳ガン同所移植モデル、
膵ガン皮下移植モデルの双方に
おいて、腫瘍径の増大を抑制し、
その効果は抗ガン剤との併用で
相乗的な治療効果を示しました。
さらに、遠隔転移モデルに適用
したところ、転移巣の減少、生
存期間の延長が認められたとい
うことです。

 また、YBC の先行型である、
分岐型PEG-poly(L-lysine)と
比較して、分岐型PEG-poly(L-
ornithine) を用いることによ
り、より少量のポリマーにて同
等の治療効果が得られることも
判明しました。

 安全性試験(非臨床試験)に
おいて重篤な有害事象は認めら
れなかったことから、2020年9
月より、ガン研究会有明病院に
おいて、治癒的切除不能または
遠隔転移のある再発乳ガン患者
さんに対する同核酸医薬候補の
医師主導治験(第1相)が進め
られています。

 核酸医薬品について解説して

いる動画です。

 
 


 
 
 
 主要な腫瘍径を測定する。笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 武漢熱に新規経口抗ウイルス薬が有効な可能性示唆

 
 
 
 
 
 
 新型コロナウイルス(武漢熱)
感染の予防および治療に新規経
口抗ウイルス薬が有効な可能性
が、米国立衛生研究所(NIH)
の研究グループによる研究から
示唆されています。新型コロナ
ウイルス(武漢熱)感染ハムス
ターモデルで、開発中の抗ウイ
ルス薬MK-4482 を武漢熱ウイル
ス感染12時間前または感染から
12時間後までに投与することに
よって、肺組織中のウイルス量
と肺病変が有意に減少したとい
うことです。この結果は、「Na
ture Communications」4月16日
オンライン版に発表されました。

 今回の試験では、ハムスター
モデルを武漢熱ウイルス曝露前、
曝露後の治療群と未治療の対照
群の3群に分けてMK-4482の有効
性を比較しました。治療群には
いずれもMK-4482 を12時間ごと
に3日間経口投与しました。そ
の結果、両治療群では、対照群
に比べて肺組織中に検出される
ウイルス量が100分の1へと有意
に減少し、肺病変も有意に少な
いという結果がでました。

 MK-4482 の投与量は、サーズ
ウイルス感染およびマーズウイ
ルス感染マウスモデルを用いた
過去の研究に基づいて決定しま
した。なお、この研究では、MK
-4482 によるウイルス複製阻止
効果が認められました。単独投
与のほか、別の治療薬との併用
投与も可能だと考えられます。

 MK-4482 は、米エモリー大学
の研究グループが米国立アレル
ギー・感染症研究所 (NIAID)
の助成を受けて開発したインフ
ルエンザ治療薬です。現在、メ
ルク社とRidgeback Biotherape
utics 社が新型コロナウイルス
感染症(武漢熱)治療薬として
共同開発しており、第2相およ
び第3相臨床試験が進行中です。

 メルク社の経口薬の申請につ

いてのニュース動画です。

 
 


 
 
 有意に減少した現象を解析す
る。           笑

 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 慶應義塾大学が4月20日、乳
ガンおよび膵ガンで発現が亢進
している転写因子PRDM14遺伝子
を標的とする、配列特異性の高
い「キメラ型siRNA」 と核酸を
病変に送達する「Y-shaped blo
ck co-polymer」(YBC)からな
る核酸医薬候補の開発に成功し
たこと、ならびに、再発乳ガン
患者さんに対する医師主導治験
(第1相)が現在進行中である
ことを発表したのは、素晴らし
い業績です。ポリマーを付ける
ことで、EPR 効果が発揮されて、
腫瘍だけに、核酸医薬が到達す
るよう設計するなど、スマート
な開発だと思いました。
 新型コロナウイルス(武漢熱)
感染の予防および治療に新規経
口抗ウイルス薬が有効な可能性
が、米国立衛生研究所(NIH)
の研究グループによる研究から
示唆されているのは素晴らしい
ことです。今まで、ドラッグリ
ポジショニングで既存の薬剤の
治療薬が発掘されてきましたが、
新規の経口抗ウイルス薬を開発
していたのには、驚きました。
新薬を開発するには巨額の金銭
が必要なはずです。その中で、
第2相および第3相臨床試験が
進行しているというのは、米国
の底力を感じました。

 心機一転、新規経口ウイルス
薬を開発する。      笑

 
 
 
 
 
 
 
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藤田 亨
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