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2021-06-04 00:57:39

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診療マル秘裏話  号外Vol.1868 令和2年7月31日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
 
目次

1)SIRPαに結合する環状ペプチド 貪食作用を上昇
2)オリーブ油主成分であるオレイン酸,大動脈解離を防ぐ

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】 SIRPαに結合する環状ペプチド 貪食作用を上昇

 
 
 
 
 
 
 
 神戸大学は7月8日、マクロフ
ァージ上のSIRPαに特異的に結
合する環状ペプチドを発見し、
そのペプチドが抗体医薬により
誘導されるマクロファージのガ
ン細胞に対する貪食作用を高め
ることを明らかにしたと発表し
ました。これは、同大大学院医
学研究科シグナル統合学分野の
村田陽二准教授、的崎尚教授ら
と、東京大学大学院理学系研究
科の菅裕明教授、大阪大学蛋白
質研究所の中川敦史教授らの研
究グループによるものです。研
究成果は、「Cell Chemical Bi
ology 」にオンライン掲載され
ています。近年、分子標的薬を
用いたガンの治療が行われ、そ
の有効性が示されつつあります。
分子標的薬の中でも、薬剤の製
造コストや副作用の面などから
低分子薬と抗体医薬の特性を併
せ持つ中分子サイズの「環状ペ
プチド」が注目されており、抗
ガン剤や他の薬剤の作用を増強
する薬剤としての利用が期待さ
れています。これまでに、的崎
教授らの研究グループでは、マ
クロファージの細胞膜に存在す
る蛋白質SIRPαとその貪食標的
となるガン細胞の細胞膜に存在
する蛋白質CD47が結合すると、
ガン細胞を標的とする抗体によ
り誘導されるマクロファージの
ガン細胞に対する貪食活性が弱
められ、一方で、SIRPαとCD47
の結合を阻害するとその活性が
高められることを見つけていま
した。

そこで、研究グループは、菅教
授らが先に開発した「RaPID シ
ステム」(環状ペプチドを迅速
かつ安価に同定できる実験系)
を利用し、SIRPαに結合する中
分子サイズの環状ペプチドの探
索を行いました。 これにより、
15個のアミノ酸からなるSIRPα
結合環状ペプチドを見つけまし
た。また、得られたSIRPα結合
環状ペプチドがSIRPαとCD47の
結合を阻害する作用を持つこと
を発見しました。X線結晶構造
解析を行い、環状ペプチドとSI
RPαの結合の様子を捉えた結果、
その阻害メカニズムはSIRPαの
ペプチドとの結合によるダイナ
ミックな構造の変化によるもの
であると考えられました。さら
に研究グループは、SIRPαとCD
47との結合を阻害する能力を持
つSIRPα結合環状ペプチドが、
ガンの治療薬として利用可能で
あるかについて検討を進めまし
た。その結果、ヒトBリンパ腫
由来ガン細胞を標的とする抗体
医薬「リツキシマブ」やマウス
由来のメラノーマ細胞を標的と
する抗体(TA-99 抗体)により
誘導される、ガン細胞に対する
マクロファージの貪食作用を、
SIRPα結合環状ペプチドが高め
ることが確認されました。

加えて、メラノーマ細胞を移植
した腫瘍モデルマウスにTA-99
抗体とSIRPα結合環状ペプチド
を同時に投与した場合、それぞ
れの単独投与に比べ、マウスの
肺に形成されたメラノーマ細胞
の腫瘍結節(メラノーマ細胞の
塊)の数が著明に減少すること
が分かりました。これらのこと
から、少なくともマウスの生体
内では、SIRPα結合環状ペプチ
ドがガン細胞を標的とする抗体
医薬の抗ガン作用を増強するこ
とが示されました。

研究グループは、「今後、有効
性と安全性の高い最適化された
SIRPα結合環状ペプチドを開発
できれば、ガンの新たな治療薬
になることが期待される」と述
べています。

免疫細胞の働きについて解説し

ている動画です。

 
 


 
 
 著明に減少する現象。笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 オリーブ油主成分であるオレイン酸,大動脈解離を防ぐ

 
 
 
 
 
 
 
 東京大学は7月8日、脂質を代
謝する酵素群の生体内機能に関
する研究から、血管内皮細胞か
ら分泌される脂質分解酵素が大
動脈の健康を維持する脂肪酸(
オリーブ油の主成分であるオレ
イン酸)を作り出し、大動脈解
離を防ぐ役割を持つことを発見
したと発表しました。この研究
は、同大大学院医学系研究科の
村上誠教授、山梨大学医学部呼
吸器循環器内科の久木山清貴教
授らの研究グループによるもの
です。研究成果は、「Journal
of Biological Chemistry 」に
オンライン掲載され、特に優れ
た論文に与えられる「Editors’
Picks」に選ばれました。 大動
脈解離は大動脈壁の中膜が突然
破断することで発症する疾患で、
日本を含む先進諸国で発症が急
増しています。中高年者の突然
死の原因となることから社会的
影響も大きく、中でも全体の6
割以上を占める胸部上行大動脈
解離は特に予後不良で、院内死
亡率は30%を超え、加えて病院
到着前死亡が相当数存在すると
推定されています。臨床的には、
血圧上昇物質であるアンジオテ
ンシン2(AT-2)が大動脈解離
の主要因の1つとされており、
これまでにAT-2を用いた複数の
マウス大動脈解離モデルを用い
た研究が試みられてきました。
これらの多くは動脈硬化モデル
マウスにAT-2を投与する系が利
用されていますが、臨床的に大
動脈解離は必ずしも動脈硬化と
関連しているわけではなく、ま
たヒトとは異なり腹部大動脈に
解離を発症する点で、最適なモ
デルとは言えません。病変部位
における細胞外マトリックスの
脆弱性が大動脈解離発症の一因
と考えられていますが、ヒトの
臨床病態を反映した胸部上行大
動脈解離を発症する簡便な動物
モデルが存在しないため、発症
機序はほとんど解明されておら
ず、それゆえに疾患の治療方策
は手術以外に皆無でした。解離
発症後の外科的治療には限界が
あることから、発症予測および
内科的治療・予防法の開発が望
まれています。

疫学的に、不飽和脂肪酸の一種
であるオレイン酸を主成分とす
るオリーブ油を豊富に含む地中
海食が動脈疾患の予防に役立つ
と言われていますが、その分子
基盤は不明でした。栄養素とし
て摂取された脂肪酸は細胞膜を
構成するリン脂質に取り込まれ、
必要時にリン脂質分解酵素ホス
ホリパーゼA2(PLA2)の作用に
よりリン脂質から遊離されます。
これまでに、PLA2により遊離さ
れた脂肪酸代謝物が動脈硬化や
心筋梗塞などの循環器疾患に関
わることが報告されていました
が、大動脈解離との関連につい
ての知見はありませんでした。
今回、研究グループはまず、マ
ウス大動脈におけるsPLA2 分子
群の発現を網羅的に解析しまし
た。その結果、sPLA2-V が大動
脈の血管内皮細胞に構成的に高
発現しており、血管内腔表面に
結合していることを見出した。
全身性及び血管内皮細胞特異的
にsPLA2-V を欠損させたマウス
にAT-2を投与すると、わずか数
日のうちに胸部上行大動脈解離
を高率に発症しました。この現
象は他のsPLA2 分子種の欠損マ
ウスでは観察されず、sPLA2-V
欠損マウスに特有の表現型でし
た。sPLA2-V 欠損マウスの胸部
上行大動脈では、炎症関連遺伝
子の発現には変化がありません
でしたが、AT-2刺激によるリジ
ルオキシダーゼ(LOX ;細胞外
マトリックスの主成分であるコ
ラーゲンやエラスチンを架橋す
る酵素)の発現誘導が野生型マ
ウスと比べて有意に低下してい
ました。そこで、sPLA2-V 欠損
マウスの胸部上行大動脈におい
て変動している遊離脂肪酸を脂
質の網羅分析(リピドミクス)
により探索した結果、これまで
に報告のある同酵素の基質特異
性と合致して、リン脂質からの
オレイン酸とリノール酸の遊離
が野生型マウスと比べて減少し
ていました。

細胞外マトリックスの構築を促
進する因子として、TGF-β1が
知られています。培養系におい
て、血管内皮細胞をAT-2で刺激
するとTGF-β1の発現が亢進し、
TGF-β1は血管平滑筋細胞にLO
X の発現を誘導しました。この
LOX の発現誘導は、血管内皮細
胞のsPLA2-V を人為的にノック
ダウン(発現抑制)するか、ま
たはsPLA2 阻害剤を添加するこ
とにより消失し、ここにオレイ
ン酸またはリノール酸を補充す
るとLOX の発現が回復しました。
分子機序として、これらの不飽
和脂肪酸はTGF-β1による小胞
体ストレスを抑制することで、
LOX の発現を増強することが判
明しました。すなわち、LOX の
発現は転写因子GATA3 により負
に制御されており、TGF-β1刺
激により小胞体ストレスが生じ
るとGATA3 の発現が亢進し、LO
X の発現が低下しました。オレ
イン酸やリノール酸は小胞体ス
トレスを緩和することでGATA3
の発現を抑え、結果的にLOX の
発現を上昇させます。

さらに、sPLA2-V 欠損マウスに
オリーブ油含有食(高オレイン
酸食)またはコーン油含有食(
高リノール酸食)を与えると、
大動脈において低下していたLO
X の発現が正常レベルに戻り、
大動脈解離の発症が完全に抑え
られました。以上の結果から、
血管内皮細胞のsPLA2-V はオレ
イン酸やリノール酸の遊離を介
してLOX の発現を増強し、細胞
外マトリックスの架橋を高める
ことで、大動脈壁の脆弱化を防
ぐ役割を持つことが分かりまし
た。今回の研究は、不飽和脂肪
酸(オレイン酸、リノール酸)
の大動脈解離予防効果に新たな
学術的理解を与えるとともに、
大動脈壁の微小環境においてこ
れらの脂肪酸が内因的に動員さ
れるメカニズムの一端を解明し
たもので、オリーブ油に富む地
中海食が血管の健康に良い影響
を及ぼす分子機序の一部を提供
するものです。

sPLA2-V 欠損マウスは、簡便な
処置で高頻度に胸部上向大動脈
解離を誘発できる世界初の心血
管病モデルと言えます。sPLA2-
V による脂肪酸の遊離を賦活化
する戦略は、大動脈解離の新規
予防・治療法の開発につながる
ことが期待されます。 例えば、
血管内皮細胞のsPLA2-V を抗体
あるいは薬剤で安定化させる、
遺伝子治療によりその発現を増
強させる、食生活の改善や健康
食品の摂取を通じて適量のオレ
イン酸やリノール酸を補充する
などの方策が将来の予防・治療
構想として考えられます。また、
血中のsPLA2-V をモニタリング
できる簡易診断法を開発するこ
とで、大動脈解離の発症を予測
できる可能性があります。

大動脈瘤(大動脈解離)につい

て解説している動画です。

 
 


 
 
 
 豊作にする方策を考える。笑

 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
 
編集後記

 
 
 神戸大学が7月8日、マクロフ
ァージ上のSIRPαに特異的に結
合する環状ペプチドを発見し、
そのペプチドが抗体医薬により
誘導されるマクロファージのガ
ン細胞に対する貪食作用を高め
ることを明らかにしたと発表し
たのは、素晴らしい業績です。
SIRPαに結合する中分子分子サ
イズの環状ペプチドの探索を行
い、15個のアミノ酸からなるSI
RPα結合環状ペプチドを見つけ、
得られたSIRPα結合環状ペプチ
ドがSIRPαとCD47の結合を阻害
する作用を持つことを発見した
のは、慧眼でした。ガン細胞に
対するマクロファージの貪食作
用を、SIRPα結合環状ペプチド
が高めることが確認され、その
機序によって、ガン細胞を標的
とする抗体医薬の抗ガン作用を
増強することが示されたのは、
喜ばしいことです。
 東京大学が7月8日、脂質を代
謝する酵素群の生体内機能に関
する研究から、血管内皮細胞か
ら分泌される脂質分解酵素が大
動脈の健康を維持する脂肪酸(
オリーブ油の主成分であるオレ
イン酸)を作り出し、大動脈解
離を防ぐ役割を持つことを発見
したと発表したのは素晴らしい
業績です。sPLA2-V 欠損マウス
は、簡便な処置で高頻度に胸部
上向大動脈解離を誘発できる世
界初の心血管病モデルと言うこ
とですので、sPLA2-V による脂
肪酸の遊離を賦活化する戦略は、
大動脈解離の新規予防・治療法
の開発に是非繋げて頂きたいも
のです。特に、食生活の改善や
健康食品の摂取を通じて適量の
オレイン酸やリノール酸を補充
するという方策が将来の予防・
治療構想として優れているので
はないかと考えられます。

 高層マンションを建てる構想
を練る。         笑

 
 
 
 
 
 
 
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