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2021-06-22 23:15:03

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診療マル秘裏話  号外Vol.1885 令和2年8月20日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
 
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目次

1)ウイルス感染胃ガンが,如何なるメカニズムで惹起か解明
2)肥満の脂肪組織の肥大化機構の制御にSDF1関与

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
 
1】 ウイルス感染胃ガンが,如何なるメカニズムで惹起か解明

 
 
 
 
 
 
 
 
 千葉大学は7月28日、エプス
タインバー(EB)ウイルス胃ガ
ンについて、ウイルス感染によ
る胃ガンがどのようなメカニズ
ムで引き起こされるかを解明し
たと発表しました。これは、同
大大学院医学研究院の金田篤志
教授、国立シンガポール大学医
学部のパトリック・タン教授ら
の研究グループによるものです。
研究成果は、「Nature Genetic
s 」オンライン版に掲載されて
います。生物の基本設計図は、
ゲノムと呼ばれる全遺伝情報に
描かれています。細胞は、エピ
ゲノムと呼ばれるゲノムの飾り
情報で性質が決まります。ゲノ
ム配列の中で必要のない部分に
は「不活性マーク」を飾り付け、
閉じ込めて利用できないように
しています。ガンは、ゲノム配
列の変異とエピゲノムの異常が
蓄積して起こることが知られ、
例えば、細胞が増殖し過ぎない
ように抑制する遺伝子は正常細
胞の維持に必須ですが、ゲノム
配列の変異で機能を失ったり、
DNAメチル化など「不活性マーク」
を誤って修飾されることで、発
現消失しガン化に寄与します。
EBウイルス胃ガンは、胃ガンの
8~10%を占める悪性腫瘍です。
しかし、ウイルス感染から発ガ
ンに至るまでのメカニズムには
不明な点が残されています。研
究グループは、さまざまな胃ガ
ン細胞と正常胃細胞を比較解析
した結果、どのEBウイルス胃ガ
ンでもほぼ同じゲノム領域にEB
ウイルスが接近していることが
明らかになりました。その領域
の多くは、胃細胞中で本来は閉
じているはずの不活性領域であ
り、EBウイルスDNA が接近した
うえ、本来あるはずの「不活性
マーク」が消えて活性化してい
ることも分かりました。

胃培養細胞にEBウイルスを感染
させる実験を行ったところ、上
記と合致する領域にEBウイルス
が接近し、異常活性化する様子
が再現されました。さらに、ウ
イルスが接近した領域のエンハ
ンサーも異常活性化し、周辺の
増殖関連遺伝子の発現量を上昇
させ、細胞を異常増殖させるこ
とが分かりました。これらの結
果から、EBウイルスは胃細胞に
感染すると、いつもほぼ同じ不
活性領域を襲い、眠っていたエ
ンハンサーを叩き起こして発ガ
ンとなるというメカニズムが判
明しました。感染したウイルス
が「不活性マーク」を引き剥が
し、閉じ込められ眠っているエ
ンハンサーを叩き起こすという、
この全く新しいエピゲノム発ガ
ン機構を、ウイルスの「エンハ
ンサー侵襲」と研究グループは
名付けました。

金田教授は、「胃ガンは、細菌
やウイルスなどの感染が発症に
大きく関わる疾患で、日本で年
間13万人以上が罹患する悪性腫
瘍です。このたび発見した「エ
ンハンサー侵襲」が、EBウイル
ス胃ガンの、そしてエピゲノム
異常やウイルス感染が関わるそ
の他多くのガンの解明と治療法
の開発につながることを願って
いる」と、述べています。

慢性活動性EBウイルス感染症に

ついて解説している動画です。

 
 


 
 
 発ガン機構について聞こう。


 
 
 
 
 
 
 
 
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2】 肥満の脂肪組織の肥大化機構の制御にSDF1関与

 
 
 
 
 
 
 
 
 富山大学は7月27日、肥満病
態における脂肪組織の肥大化機
構を検討し、その制御に間質細
胞由来因子1(SDF1)が重要な
役割を果たすことを発見したと
発表しました。この研究は、同
大学術研究部(薬学・和漢系)
の笹岡利安教授、和田努講師、
渡邊愛理大学院生らの研究グル
ープによるものです。研究成果
は、科学専門誌「Angiogenesis」
電子版に掲載されています。近
代化によるライフスタイルの変
化に伴い、内臓脂肪蓄積を背景
とするメタボリックシンドロー
ムや2型糖尿病患者の増加が社
会問題となっています。これら
の多くの病態は肥満抑制により
改善するため、肥満の進展機序
の解明に基づく効果的な治療法
の開発は重要な研究課題です。

脂肪組織の肥大化には、大きく
なった組織を維持するために血
管も発達する必要があります。
血管が新しく生まれる過程は血
管新生と呼ばれ、研究グループ
は先行研究により、血管新生因
子PDGF-Bが、内臓脂肪での血管
新生の引き金として重要な機能
を示すことを明らかにしていま
す。

脂肪血管は周皮細胞に囲まれて
おり、これらが血管を安定させ
ています。肥満状態ではこの周
皮細胞がPDGF-Bの作用で血管か
ら剥がれることで、血管が増殖
して脂肪組織が大きくなります。
しかし、PDGF-Bによる血管新生
促進作用を制御する機構は、こ
れまで明らかになっていません
でした。研究グループは、痩せ
マウスと肥満マウスの全身の各
組織の解析によって、肥満の脂
肪組織でのみ特徴的に増減する
血管新生因子の探索を実施しま
した。その結果、血管新生因子
SDF1が肥満脂肪組織で特徴的に
増加することを見出しました。
SDF1は骨髄から血管の前駆細胞
を、血管新生の必要な部位に送
り届けるメッセンジャーとして
機能する血管新生因子ですが、
脂肪組織血管への作用は明らか
になっていませんでした。

そこで今回の研究では、脂肪組
織の肥大化に関わる血管新生に
果たすSDF1の役割を、培養内臓
脂肪組織、培養細胞、および肥
満マウスを用いて研究しました。
SDF1が脂肪組織の血管におよぼ
す影響を、マウスの内臓脂肪を
器官培養して詳細に解析した結
果、肥満状態を想定したPDGF-B
刺激による血管からの周皮細胞
の脱離は、SDF1により消失しま
した。すなわち、SDF1は血管新
生を抑制して無秩序な脂肪組織
肥大化を抑制する機能を有する
ことが分かりました。

また、マウスの解析から、肥満
状態では脂肪組織のSDF1が増加
しますが、ともに増加したDPP4
によって分解されることで、肥
満状態での周皮細胞脱離と血管
新生を止められない状態になっ
ていたということです。そこで、
抗糖尿病薬のDPP4阻害剤をマウ
スに経口投与したところ、SDF1
の分解は抑制され、脂肪組織で
の周皮細胞の脱離、血管新生と
脂肪組織肥大化が抑制されまし
た。マウスでのDPP4阻害剤によ
る血管への影響は、SDF1受容体
阻害剤の追加投与により消失し
たことから、DPP4阻害剤による
脂肪組織血管への効果はSDF1の
作用を介していると考えられる
ということです。上の結果から、
肥満の進展に伴って増加するPD
GF-Bが血管から周皮細胞を脱離
させることで血管が増殖し、脂
肪組織が肥大化すること、また
肥満状態では内臓脂肪でSDF1も
増加しますが、同時に増加した
DPP4により分解され、その機能
を示さないことが明らかになり
ました。一方で、DPP4阻害剤投
与によりSDF1は分解されないた
め、SDF1はPDGF-Bによる周皮細
胞の脱離を抑制して血管新生を
停止させ、脂肪組織の肥大化を
進行させないことも分かりまし
た。これらの結果は、糖尿病患
者さんにDPP4阻害剤を用いたと
きに体重増加を来しにくい理由
と考えられるということです。
また、DPP4作用阻害によるSDF1
作用促進は、肥満病態を改善す
ることから、SDF1が糖尿病など
肥満に伴う様々な生活習慣病に
対する新たな治療標的であるこ
とが示されました。

肥満に伴う内臓脂肪の血管新生
制御メカニズムの解明が進んだ
ことに基づき、今後はその機序
をさらに解明するとともに、脂
肪組織での血管新生が脂肪細胞
におよぼす影響に焦点を当てて
その意義を深く研究し、肥満病
態に対する安全でより効果的な
治療法の開発を追究していきた
い、と研究グループは述べてい
ます。

脂肪組織と脱共役蛋白質につい

て解説している動画です。

 
 


 
 
 商店で笑点を視聴し、昇天し
た。           笑
 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
 千葉大学が7月28日、エプス
タインバー(EB)ウイルス胃ガ
ンについて、ウイルス感染によ
る胃ガンがどのようなメカニズ
ムで引き起こされるかを解明し
たと発表したのは、素晴らしい
業績です。胃ガンは、細菌やウ
イルスなどの感染が発症に大き
く関わる疾患で、日本で年間13
万人以上が罹患する悪性腫瘍と
いうことですが、細菌が関わる
のは、ヘリコバクターピロリで
あり、ウイルスが関わるのが、
EBウイルスということでしょう。
ヘリコバクターピロリの除菌療
法のように、EBウイルスが関わ
る場合にも、メカニズムさえ分
かれば、対策の立てようもある
ということだと理解しました。
 富山大学が7月27日、肥満病
態における脂肪組織の肥大化機
構を検討し、その制御に間質細
胞由来因子1(SDF1)が重要な
役割を果たすことを発見したと
発表したのは、偉大な業績です。
近代化によるライフスタイルの
変化に伴い、内臓脂肪蓄積を背
景とするメタボリックシンドロ
ームや2型糖尿病患者の増加が
社会問題となっている今だから
こそ、内臓脂肪の脂肪組織の肥
大化機構のメカニズムが解明さ
れたことは、喜ばしいことです。
近代化は、メタボリックシンド
ロームや2型糖尿病をもたらし
たため、決して良いライフスタ
イルを産んだとは言えないと思
います。

 献上米となった八俵の米俵を
発表する。        笑

 
 
 
 
 
 
 
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