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2021-06-28 21:46:05

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診療マル秘裏話  号外Vol.1890 令和2年8月25日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
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目次

1)変異導入による,自然発症型糖尿病モデルマウス作製
2)GLP-1 受容体作動薬を使ったダイエットの広告

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】 変異導入による,自然発症型糖尿病モデルマウス作製

 
 
 
 
 
 
 
 東京工業大学は7月29日、マ
ウスのインスリン2蛋白質への
Q104del 変異導入による自然発
症型の糖尿病モデルマウスを作
製したと発表しました。この研
究は、同大生命理工学院生命理
工学系の粂昭苑教授、坂野大介
助教、井上愛里大学院生(博士
後期課程1年)ら、熊本大学生
命資源研究・支援センターの荒
木喜美教授、同大ヒトレトロウ
イルス学共同研究センターの岡
田誠治教授、順天堂大学大学院
医学系研究科の小池正人教授ら
の研究グループによるものです。
研究成果は、英国科学誌「Scie
ntific Reports」にオンライン
掲載されています。膵臓β細胞
は、血糖の恒常性維持のために
内分泌ホルモンのインスリンを
産生分泌します。血糖値を感知
し、インスリンを分泌する機能
に関与する蛋白質群の遺伝子に
変異があった場合には、糖尿病
を発症します。従来、インスリ
ン遺伝子において、生後すぐに
糖尿病を引き起こすことで知ら
れている変異がいくつか報告さ
れていましたが、今回、新生児
糖尿病変異の原因となる新規の
インスリン遺伝子変異としてQ1
04del 変異を同定しました。

一方で、糖尿病の治療には膵臓
移植または膵臓内のランゲルハ
ンス島の移植が有効な治療手段
ですが、ドナー不足がその妨げ
になっています。そこで、ヒト
iPS 細胞やES細胞を膵臓細胞へ
分化させ移植源とすることが期
待されています。試験管内で作
製された膵臓細胞の糖尿病治療
効果を評価するには糖尿病モデ
ル動物への細胞移植を行い、血
糖値の改善効果によって評価す
ることが有効な手法です。

糖尿病モデルマウスを作製する
方法としては、薬剤を使ってβ
細胞を破壊する方法がよく使用
されていますが、研究グループ
は遺伝子変異糖尿病モデルのほ
うが安定した高血糖状態を作り
出せると考えました。従来から
よく使われている自然発症糖尿
病モデルマウスは重篤な免疫不
全の系統ではないため、ヒトの
細胞の移植後の生着率を上げる
必要がありました。そこで、従
来のモデルマウスと比べてさら
に重篤な免疫不全モデルである
BRJ マウスのインスリン遺伝子
に変異を導入した重度免疫不全
糖尿病モデルを作製することに
しました。研究グループは当初、
ゲノム編集技術の一つであるCR
ISPR/Cas9 システムを使用して
重度免疫不全マウスであるBRJ
マウスのInsulin2遺伝子を編集
し、得られたマウスのなかにイ
ンスリン2蛋白質の104 番目の
アミノ酸であるグルタミンが欠
失したマウスを得ました。この
マウスは糖尿病の症状を示した
ことから、この変異型をKuma変
異と名付けました。Kuma変異を
もつマウス(Kumaマウス)は、
生後4週以降に血糖値が上昇し
たということです。

得られたKumaマウスの解析によ
り、変異インスリン蛋白質の安
定性が低く、生後3週以降にKu
maマウスの膵臓β細胞における
インスリン蛋白質の産生量が減
少していたことが判明しました。
電子顕微鏡観察結果により、生
後3週以降では、Kumaマウスの
膵臓β細胞内のインスリン顆粒
の数が減少していることが分か
りました。

さらに、成長とともに膵臓内の
β細胞が減少していく様子も観
察されました。これらの表現型
の変化に伴いインスリンの分泌
する能力は失われていきますが、
インスリンを徐々に放出するチ
ップをマウス体内に入れ、イン
スリンを投与することで高血糖
を是正できることを確認しまし
た。

これらの結果から、インスリン
を分泌するiPS 細胞由来の膵臓
細胞を移植し、糖尿病の治療効
果を評価する動物モデルとして、
このKumaマウスが有用であるこ
とが明らかになったとしていま
す。今回作製した糖尿病モデル
マウスは、遺伝的な変異により
発症するため、従来の薬剤投与
による糖尿病モデルよりも安定
して糖尿病を発症することがで
きます。そして、重度免疫不全
モデルマウスの系統に遺伝子変
異を導入したため、ヒトiPS 細
胞やES細胞から作製された膵臓
細胞の糖尿病治療効果を評価す
るための細胞移植実験への活用
が期待されています。

研究グループは今後、ヒトiPS
細胞から血糖値に応じてインス
リンを分泌できる膵臓細胞(iP
S-β細胞)を再生医療に利用し、
長期間の治療効果を発揮できる
かどうかを判断するためKumaマ
ウスへの細胞移植実験を進める
ことを予定しています。

10年前の糖尿病モデルマウスの

動画です。

 
 


 
 
 
 理容店を利用した。笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 GLP-1 受容体作動薬を使ったダイエットの広告

 
 
 
 
 
 
 
 「食事制限や運動なしに痩せ
る」「打つだけで痩せる」。こ
んなうたい文句で、少なからぬ
クリニックなどが「GLP-1 受容
体作動薬」を使ったダイエット
の広告を出しています。一度試
してみたいと思われた方もいる
と思います。このダイエットは
1日1回、糖尿病治療用の注射
薬をおなかに打ち、体重減少を
狙うといったもの。しかし、結
論から申し上げますと、糖尿病
患者さん以外が安易に手を出す
べき薬ではありません。当然、
医師の処方が必要です。GLP-1
は私たちの体の中にもともとあ
るホルモンの一つで、血糖値を
下げる働きがあります。この働
きを補助するのがGLP-1 受容体
作動薬で、日本では糖尿病の治
療に使われています。食欲を低
下させる作用と消化管の運動を
抑制する作用もあるため、海外
では肥満症治療薬としても承認
されています。

 「夢のような痩せ薬だ」と思
われるかもしれませんが、副作
用があります。血糖値が下がり
すぎると、低血糖という状態に
なり、倦怠(けんたい)感や意
識消失といった症状が出ます。
糖尿病薬の中では、比較的低血
糖を起こしにくいとされていま
すが、絶対に低血糖にならない
わけではありません。わたし自
身、GLP-1 ダイエットをされて
いる方が低血糖発作を起こし、
意識障害で救急搬送となった例
を経験しています。

 幸い適切な治療によって意識
は回復しましたが、誰にも気づ
かれない場所で意識を消失し、
救急搬送されなかった場合、命
を落としていたかもしれません。
低血糖は最悪の結果につながり
かねない重篤な状態だというこ
とを、ご理解いただきたいと思
います。リスクを考えれば、GL
P-1 受容体作動薬ダイエットは、
食事制限と運動によるベーシッ
クなダイエットに先立って行う
べきものではないと言えるでし
ょう。

 しかし、個々の事情があり、
どうしても医療のチカラを借り
て体重を落としたいという方が
いらっしゃいます。そういった
方は、糖尿病専門医や肥満症専
門医がいるクリニックを受診し、
相談してみてください。肥満の
診断や治療、そして予防につい
ての知識をしっかり持っている
医師と一緒に方針を決めていた
だければと思います。

GLP-1作動薬について解説して

いる動画です。

 
 


 
 
 
 方針を失い放心状態となった。


 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
 東京工業大学が7月29日、マ
ウスのインスリン2蛋白質への
Q104del 変異導入による自然発
症型の糖尿病モデルマウスを作
製したと発表したのは、素晴ら
しい業績です。糖尿病モデルマ
ウスを作製する方法としては、
薬剤を使ってβ細胞を破壊する
方法がよく使用されていますが、
研究グループが遺伝子変異糖尿
病モデルのほうが安定した高血
糖状態を作り出せると考えたの
は慧眼だったと思います。イン
スリンを分泌するiPS 細胞由来
の膵臓細胞を移植し、糖尿病の
治療効果を評価する動物モデル
として、このKumaマウスが有用
であることが明らかになったと
いうことですので、移植の評価
をするためというのがこのマウ
スを作るための本当の目的だっ
たと思われます。ただ、Kumaマ
ウスは、2型糖尿病のモデルと
考えるのが普通で、2型糖尿病
の場合、膵島移植をすることは、
稀ですので、人間の病態に合わ
ない気がします。1型糖尿病は、
自己免疫性疾患であり、このKu
maマウスに膵島移植するのは、
無理があると思います。
 「食事制限や運動なしに痩せ
る」「打つだけで痩せる」。こ
んなうたい文句で、少なからぬ
クリニックなどが「GLP-1 受容
体作動薬」を使ったダイエット
の広告を出しているというのは、
知りませんでした。低血糖のリ
スクを甘くみているということ
でしょう。似たような広告で、
長期作用型ステロイドホルモン
を皮下注射することで、花粉症
を年一回の注射で治療しようと
するクリニックがあることも分
かっています。こちらは、副腎
不全のリスクを甘くみていると
いうことでしょう。薬を注射す
る治療では急激に身体の中に非
生理的なホルモンを入れるとい
うことに問題があると私は、考
えています。どちらも謳い文句
だけで、安易に患者さんを集め
ることができそうですが、副作
用の恐ろしさを軽視しては、い
けないと思います。糖尿病専門
医や肥満症専門医がこのような
治療を行うとも思えませんが、
地道にリバウンドのないマイル
ドな糖質制限を行うことをお勧
めしたいと思います。

 警視は証人の証言を軽視しな
かった。         笑

 
 
 
 
 
 
 
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