最近の号外Vol.2032メルマガ

2021-12-10 20:40:22

カテゴリー:ブログ



藤田のブログランキングアップにご協力お願いします。
以下のバナーをぽちっとクリックお願いします。


病院・診療所ランキング

 
診療マル秘裏話  号外Vol.2032 令和3年2月7日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)卵巣明細胞ガンマイクロRNAが再発,抗ガン剤耐性関与
2)重症武漢熱患者等の重症度判定する体外診断薬

 
 
 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
1】 卵巣明細胞ガンマイクロRNAが再発,抗ガン剤耐性関与

 
 
 
 
 
 名古屋大学は1月12日、卵巣
明細胞ガンにおいて、X染色体
長腕27.3領域に存在する複数の
マイクロRNA が、再発や抗ガン
剤抵抗性に関与していることを
明らかにしたと発表しました。
これは、同大大学院医学系研究
科産婦人科学の吉田康将特任助
教、横井暁助教、梶山広明教授
らの研究グループによるもので
す。研究成果は「Oncogene」に
掲載されています。

 卵巣ガンは、早期発見が困難
であり、治療を繰り返すたびに
抗ガン剤耐性を獲得するため、
依然として予後不良な疾患です。
また、卵巣ガンは、漿液性ガン、
明細胞ガン、類内膜ガン、粘液
性ガン等、さまざまな組織型が
知られており、各組織型で特徴
は大きく異なっています。全世
界的には漿液性ガンの頻度が最
も高いため、広く研究が進めら
れていますが、日本人で2番目
に多い明細胞ガンについては、
あまり研究が進められていませ
ん。明細胞ガンは、抗ガン剤耐
性が高いという特徴をもってい
るため、その抗ガン剤耐性を克
服することが求められています。

 マイクロRNA は、複数の遺伝
子発現を制御する小分子であり、
ガンの進展に深く関与していま
す。そのマイクロRNA の遺伝子
は、ゲノム上に均一に存在する
のではなく、特定の領域に密集
して存在していることが知られ
ており、マイクロRNA クラスタ
ーと呼ばれています。1つのマ
イクロRNA の発現変動だけでも、
細胞の性質を変えるのに十分な
効果があることが知られており、
複数のマイクロRNA が同時に発
現変動するマイクロRNA クラス
ターは、細胞の性質に非常に強
い影響を与えている可能性があ
ります。研究グループは、これ
までに卵巣ガンのマイクロRNA
に関わる研究を進めてきました。

 今回研究グループは、初発の
卵巣明細胞ガン検体20例(いず
れもステージ1期)と、再発の
卵巣明細胞ガン検体5例を用い
て、マイクロRNA シーケンス解
析を行いました。その結果、初
発ガンと再発ガンでは異なるマ
イクロRNA 発現パターンを示し
ました。そして、再発ガンの5
例中4例で、X染色体長腕27.3
番領域にあるマイクロRNA クラ
スターに属している4つのマイ
クロRNA(miR-508-3p、miR-509
-3p、miR-509-3-5p、miR-514a-
3p)が著明に低下していること
を発見しました。

 さらに、進行期の明細胞ガン
において、卵巣病変と大網転移
病変のマイクロRNA の発現パタ
ーンの解析を行った所、大網転
移病変においてもそれらの4つ
のマイクロRNA の発現が低下し
ていることが明らかになりまし
た。このことから、それらのマ
イクロRNA は、転移や再発とい
った明細胞ガンの悪性化に関与
していることが示唆されました。

 また、それらのマイクロRNA
の機能を明らかにするために、
明細胞ガンの細胞株を用いた実
験を行いました。その結果、mi
R-509-3pおよびmiR-509-3-5pを
強制発現させると、ガン細胞の
シスプラチン感受性が増強され、
細胞死が誘導されることが分か
りました。さらに、次世代シー
ケンサー解析を通して、これら
のマイクロRNA の強制発現によ
りYAP1遺伝子の発現が低下する
ことが明らかになりました。加
えて、YAP1の発現を低下させた
り、その阻害剤を用いたりする
ことによっても、シスプラチン
感受性は増強されたことが分か
りました。さらに、YAP1の発現
は、前述の再発明細胞ガン検体
においては発現上昇しているこ
とも明らかになりました。これ
らの結果から、明細胞ガンにお
いて、miR-509-3pとmiR-509-3-
5pは、YAP1を介した抗ガン剤耐
性に関わることが示唆されまし
た。

 今回同定したマイクロRNA の
機能や、そのターゲット遺伝子
の機能をさらに追及することに
より新たな卵巣ガンの治療法の
開発につながることが考えられ
ます。「なぜ再発ガンでX染色
体長腕27.3領域クラスターの発
現が低下するのかを探ることで、
再発をきたすメカニズムの解明
につながり、再発抑制に関する
研究に発展することが期待され
る」と、研究グループは述べて
います。

 ガンの転移とマイクロRNAと栄

養の関係について解説している

動画です。

 
 


 
 
 昨日の遺伝子の機能をさらに
追及する。        笑

 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
2】 重症武漢熱患者等の重症度判定する体外診断薬

 
 
 
 
 
 
 
 重症の武漢熱患者さんなど、
救急搬送または集中治療を必要
とする患者さんの重症度を判定
する体外診断薬(IVD) エクル
ーシス試薬IL-6が、今年(2021
年)1月1日付で保険収載された
と臨床検査薬大手のロシュ・ダ
イアグノスティックスが発表し
ました。炎症性サイトカインの
一種であるインターロイキン(
IL)-6の血中量を測定する国内
初のIVD で、昨年8月18日に承
認、9月15日に発売後は保険適
用外で使用されていました。専
用の装置を用いて測定すると、
約18分という短時間で判定結果
が得られます。

 IL-6は、感染症、外傷・熱傷、
急性膵炎、自己免疫性疾患など
の疾患で上昇し、全身のさまざ
まな部位で免疫応答を活性化さ
せ、過剰に産生されるとサイト
カインストーム(免疫暴走)を
引き起こし、臓器障害を誘発し
ます。

 同診断薬は、血中のIL-6の測
定に基づく炎症の重症度の把握
や臓器障害の予測に有用であり、
救急搬送または集中治療が必要
な患者さんを早期に見極め、治
療方針や治療強度の検討の際に
有用な情報が得られるというこ
とです。また、臓器障害の予測
に基づいて、治療の早期開始が
可能になります。

 エクルーシス試薬IL-6を全身
性炎症反応症候群と診断、また
は疑われる場合に重症度判定の
補助を目的として使用した場合、
一連の治療につき2回に限り算
定できます。保険点数は,170点
です。医学的な必要性から一連
の治療につき3回以上算定する
場合は、3回以上の測定を必要
とした詳細な理由を診療報酬明
細書の摘要欄に記載する必要が
あります。

 同試薬は、武漢熱の重症患者
さんで生じる臓器の炎症の重症
度判定にも有用です。武漢熱を
めぐっては、血中から武漢熱ウ
イルスのRNA が検出された患者
さんでIL-6が有意に高値である
ことが報告されており、武漢熱
患者さんを対象にした解析で「
IL-6値の上昇が致死率と関連し
ていた」との報告があります。
そうしたことから、国内外でIL
-6の働きを抑えるIL-6阻害薬ト
シリズマブ、サリルマブなどが
武漢熱治療薬の候補として開発
が進められています。両剤はIL
-6の作用を抑制し、免疫抑制効
果を示す分子標的治療薬で、国
内外において関節リウマチ薬な
どとして使われています。

 これらIL-6阻害薬については、
英国政府が今月7日、武漢熱患
者さんに有効だと発表しました。
政府資金によるREMAP-CAP 臨床
試験の結果として、集中治療室
に入室後24時間以内に抗炎症薬
のデキサメタゾンなどによる標
準治療を受けた患者さんの死亡
率が35.8%だったのに対し、標
準治療にトシリズマブを追加で
投与すると27.3%だったと報告
しました。サリルマブの追加投
与でも死亡率の低下が見られま
した。また、患者さんの死亡リ
スクを24%減少させた他、集中
治療室に入る期間を7~10日短
縮できたということです。

 同試薬は武漢熱患者さんの人
工呼吸に伴う挿管の必要性を判
断することを目的として、2020
年5月に米食品医薬品局の緊急
使用承認(EUA) を取得しまし
た。また、武漢熱ウイルスの血
中RNA が検出された患者さん群
で、IL-6が有意に高値であるこ
とも報告されていることから、
国内でも救急・集中治療を要す
る武漢熱患者さんの重症度判定
への活用が期待されるというこ
とです。

 武漢熱の重症化とその治療薬

について解説している動画で

す。

 
 


 
 
 旧島津藩邸の花の美しさを判
定した。         笑

 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
編集後記

 
 名古屋大学が1月12日、卵巣
明細胞ガンにおいて、X染色体
長腕27.3領域に存在する複数の
マイクロRNA が、再発や抗ガン
剤抵抗性に関与していることを
明らかにしたと発表したのは、
素晴らしい業績です。明細胞ガ
ンは、抗ガン剤耐性が高いとい
う特徴をもっているため、その
抗ガン剤耐性を克服することが
求められています。その克服の
一端として、マイクロRNA に目
を付けたのは慧眼だと思います。
今回同定したマイクロRNA の機
能や、そのターゲット遺伝子の
機能をさらに追及することによ
り新たな卵巣ガンの治療法の開
発につなげて頂きたいものです。
 重症の武漢熱患者さんなど、
救急搬送または集中治療を必要
とする患者さんの重症度を判定
する体外診断薬(IVD) エクル
ーシス試薬IL-6が、今年(2021
年)1月1日付で保険収載された
と臨床検査薬大手のロシュ・ダ
イアグノスティックスが発表し
たのは喜ばしいことです。武漢
熱は、その重症の度合いが問題
となります。軽症者は自宅待機
となり、入院の可否は必要ない
と考えられますが、中等症以上
の場合、その重症度によって、
搬送される病院が違ったり、科
が違ったりするからです。サイ
トカインストームの起こり始め
を予想することで中等症以上の
患者さんの転帰が変わってくる
と思います。

 予想された行動は、止そう。


 
 
 
 
 
 
 
************************

このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

発行者名  医療法人永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト www.eitokukaisalanuma.or.jp/ ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。
このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント