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2021-12-19 16:42:10

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診療マル秘裏話  号外Vol.2040 令和3年2月16日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)聴神経腫瘍に関連して発症した急性難聴の研究
2)αクロトーが重症心不全患者新治療反応性予測因子

 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
1】 聴神経腫瘍に関連して発症した急性難聴の研究

 
 
 
 
 
 慶應義塾大学は1月22日、聴
神経腫瘍に関連して発症した急
性難聴に関する多施設共同後ろ
向き観察研究により、反復再発
により難聴の治癒率が低下する
こと、1年間に25%の患者さん
に再発がみられることを明らか
にしたと発表しました。この研
究は、同大医学部耳鼻咽喉科学
教室の大石直樹専任講師と国立
病院機構東京医療センター聴覚
障害研究室の和佐野浩一郎室長
らの研究グループによるもので
す。研究成果は、「Scientific
Reports」電子版に掲載されて
います。

 聴神経腫瘍は、脳と内耳をつ
なぐ内耳道内に発生する脳腫瘍
の一種です。内耳道には「聴覚
を伝える蝸牛神経」「平衡感覚
を伝える前庭神経(2本)」「
顔の表情を動かす顔面神経」の
4本の重要な神経が走行してい
ます。腫瘍自体は下前庭神経か
ら発生することが多いのですが、
隣接するそれぞれの神経に影響
して、難聴、めまい・ふらつき、
顔面神経麻痺などさまざまな症
状を呈します。分類上は脳腫瘍
ですが、耳鼻咽喉科が主に扱う
症状で発症することや耳の奥の
構造物を越えて手術を行う場合
もあり、診断や治療において脳
神経外科に加えて耳鼻咽喉科が
重要な役割を果たしています。
症状が進行すると治療を行って
も回復しないことや、腫瘍が大
きくなると脳幹を圧迫すること
で生命にも影響が出ることがあ
るため、できるだけ早期に診断
を受け、治療方針を検討してお
くことが重要であると考えられ
ています。

 特に、難聴は一般的に珍しく
ない症状であることから、すべ
ての難聴患者さんに対して腫瘍
の可能性を考えた検査は行われ
ません。聴神経腫瘍に関連した
難聴はゆっくり進行する進行性
難聴、急に発症する急性難聴、
さらに難聴発作を繰り返す反復
難聴などさまざまなタイプを呈
します。

 そのため、急性難聴のステロ
イド治療による治癒率、反復再
発のパターン、聴力検査結果の
特徴などの臨床情報を解析する
ことで、どのような患者さんに
対して腫瘍の可能性を考えた検
査を行うべきなのかを明らかに
できると考えられます。

 今回の研究では、稲城市立病
院、慶應義塾大学病院、国立病
院機構東京医療センター、済生
会宇都宮病院、静岡赤十字病院、
日野市立病院、平塚市民病院(
50音順)の7医療機関において、
77症例のべ107 回の急性難聴発
作に関する詳細なデータを収集
しました。これは、これまで世
界中から報告されている論文の
中では最も多くの症例数を扱っ
たデータだということです。そ
れらのデータを基に、統計学的
な解析を行いました。

 その結果、急性難聴発作は反
復再発に伴い治癒率が有意に低
下すること、初回の急性難聴か
ら数えて1年間あたり25%の患
者さんに難聴が再発することが
明らかになりました。

 一般的に突然発症する感音難
聴は、急性感音難聴と呼ばれて
おり、その原因としては、同研
究のテーマである聴神経腫瘍に
伴う難聴に加え、強大音の曝露
に伴う音響外傷、内耳に瘻孔を
生じたことによる外リンパ瘻、
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
の原因ウイルスであるムンプス
ウイルスへの感染によるムンプ
ス難聴などが挙げられます。し
かし、原因が明らかでない難聴
の場合が多く、原因の精査を十
分に行っても原因不明である急
性難聴を突発性難聴と診断しま
す。

 研究グループの研究成果を、
突発性難聴に関する過去の報告
と比較し検討することで、聴神
経腫瘍に関連する急性難聴の特
徴を解明しました。

 まず、突発性難聴の治癒率41
.2%(1317/3194)と比べて、
聴神経腫瘍に関連する急性難聴
の初回発作の治癒率は53.5%(
38/71)であり、治癒率が高い
傾向でした。

 続いて、突発性難聴の発症年
齢54.2歳(標準偏差17.0)と比
べて、聴神経腫瘍に関連する急
性難聴の初回発作の発症年齢は
48.9歳(標準偏差14.2)であり、
発症年齢が有意に若いことが明
らかになりました。

 最後に難聴のタイプについて
は、突発性難聴での谷型の聴力
型を示す割合10.9%(90/828)
と比べて、聴神経腫瘍に関連す
る急性難聴では41.1%(30/73
)と、谷型を示す割合が有意に
多いことが分かったということ
です。

 病歴や症状の詳細な聴取とと
もに、聴神経腫瘍の診断にはMR
I などの検査を行う必要があり
ます。そのため、急性感音難聴
の診療に当たってはMRI などの
検査が推奨されていますが、全
例で検査は行われていません。
実際には、聴神経腫瘍に関連す
る難聴であったにも関わらず、
適切な検査が行われなかったた
めに、診断の遅延、難聴の再発・
進行、腫瘍の増大を来たす症例
をしばしば経験しているのだと
いうことです。

 厚生労働省特定疾患急性高度
難聴調査研究班により突発性難
聴の年間罹患率は10万人あたり
60.9人(2012年調査)、治療を
受けるのは27.5人(2001年調査)
と報告されており、1年間に日
本国内で7万人程度が発症し、
3万5,000人程度が治療を受けて
いると推測されます。患者数が
比較的多いことや検査へのアク
セスが限定される医療機関も少
なくないことから、全例で詳細
な検査を行うのは困難であるこ
とが予想されますが、急性感音
難聴と診断された場合、特に「
発症年齢が若い」患者さんで「
谷型の聴力型」を呈し、ステロ
イド治療で「治癒した」症例に
対しては、症状が他の病気が原
因ではないことを確認するため、
MRI などの検査による聴神経腫
瘍の除外診断が重要であること
を提唱しています。

 「今回の研究成果により、急
性感音難聴、突発性難聴、聴神
経腫瘍を取り巻く診療内容が向
上し、多くの患者が早期に正し
い診断を受けた上で適切な治療
を選択できることが期待される」
と研究グループは述べています。

 聴神経腫瘍について解説して

いる動画です。

 
 


 
 
 低床の車両を使うことを提唱
した。          笑

 
 
 
 
 
 
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2】 αクロトーが重症心不全患者新治療反応性予測因子

 
 
 
 
 
 
 
 大阪大学は1月21日、老化関
連分子として知られるαクロト
ーの血中濃度が、重症心不全患
者さんにおける新たな治療反応
性予測因子となることを世界で
初めて明らかにしたと発表しま
した。この研究は、同大キャン
パスライフ健康支援センターの
種池学助教、瀧原圭子教授らの
研究グループと、同大大学院医
学系研究科循環器内科学の坂田
泰史教授らとの共同研究による
ものです。研究成果は、「Scie
ntific Reports」に掲載されて
います。

 心不全は、確立された最先端
の治療法を用いても、未だに5
年生存率は50%程度と高いまま
です。また、欧米化、高齢化が
進む日本でも、心不全患者数は
増加の一途をたどっており、「
心不全パンデミック」の脅威に
さらされているため、新しい治
療法の開発が急務とされていま
す。しかし、心不全になる原因
は非常に多岐にわたっているこ
とに加え、心臓という単一臓器
の疾患ではなく全身疾患である
ことが、新規治療法の開発や適
切な治療法の選択を難しくして
います。一方、これまで心不全
患者さんにおいて、多くの生命
予後予測因子が明らかにされて
きました。しかし、治療反応性
についての予測因子は確立され
たものがなく、治療後の経過を
慎重に見ながらその都度評価し、
治療の継続や変更を検討してい
かなければならない、という課
題がありました。

 瀧原教授らの研究グループは
これまでに、慢性的ストレスの
一つである喫煙習慣が老化関連
分子αクロトーの血中濃度を上
昇させることを報告しています。
そこで、今回の研究では心不全
という非常に強いストレスとα
クロトーとの関係性に着目し、
心不全の病態がαクロトーにど
のような影響を及ぼすかの検討
を行いました。

 研究グループは、大阪大学医
学部附属病院に入院して最適治
療を受けた重症心不全患者さん
を対象とし、NYHAスコア、血液
検査、心臓超音波検査のデータ
を取得し、血清αクロトー値と
の関連について解析を行いまし
た。

 その結果、心不全治療への反
応が良好だった群では、反応が
乏しかった群に比べて、入院時
の血清αクロトー値が有意に高
いことが明らかになりました。
治療に良好に反応する患者さん
群ではαクロトーを産生、分泌
する能力が残されていることに
より、血中αクロトーが高値に
なる可能性が考えられました。
さらに、男性の心不全患者さん
において入院時の血清αクロト
ー値は健常者と比べて有意に高
値でしたが、女性の心不全患者
さんにおいては、健常者と比べ
て有意な差はなかったというこ
とです。

 これらの結果から、重症心不
全患者における入院時の血清α
クロトー値は、その後の治療反
応性を予見している可能性があ
ること、治療反応性には性差が
存在する可能性があることが示
唆されました。

 今回の研究成果により、重症
心不全患者の治療反応性を予測
するバイオマーカーとして、血
中αクロトーが利用できる可能
性が示唆されました。「この成
果により、患者一人ひとりに合
った治療法を入院後早期に選択
することが可能になることが期
待される」と、研究グループは
述べています。

 クロトーについて解説してい

る動画です。

 
 


 
 
 治療反応性の違いは性差のせ
いさ。          笑

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 慶應義塾大学が1月22日、聴
神経腫瘍に関連して発症した急
性難聴に関する多施設共同後ろ
向き観察研究により、反復再発
により難聴の治癒率が低下する
こと、1年間に25%の患者さん
に再発がみられることを明らか
にしたと発表したのは、素晴ら
しい業績です。急性感音難聴と
診断された場合、特に「発症年
齢が若い」患者さんで「谷型の
聴力型」を呈し、ステロイド治
療で「治癒した」症例に対して
は、症状が他の病気が原因では
ないことを確認するため、MRI
などの検査による聴神経腫瘍の
除外診断が重要であることが分
かりました。今回の研究成果に
より、急性感音難聴、突発性難
聴、聴神経腫瘍を取り巻く診療
内容が向上し、多くの患者さん
が早期に正しい診断を受けた上
で適切な治療を選択できること
を期待したいと思います。
 大阪大学が1月21日、老化関
連分子として知られるαクロト
ーの血中濃度が、重症心不全患
者さんにおける新たな治療反応
性予測因子となることを世界で
初めて明らかにしたと発表した
のは、素晴らしい業績です。心
不全の患者さんは、治療が奏功
するとうそのように症状がなく
なり、あたかも治ったかのよう
な錯覚を覚えることがあります。
いつまでもその状態が続くので
はなく、生活習慣の乱れにより
治療反応性が期待できない場合、
人工補助心臓を装着して移植の
ドナーが現れるのを待つという
事になる場合があります。しか
し、人工補助心臓も数に限りが
ありますので、その適応がある
かどうか早い段階で分かること
は有用ではないかと考えていま
す。

 廊下で老化関連因子の議論を
した。          笑

 
 
 
 
 
 
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