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2021-12-15 22:36:20

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診療マル秘裏話  Vol.842 令和2年1月29日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
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目次

1)ガン免疫療法における効果個人差に関する研究
2)ALS 発症でSOD1立体構造が異常化する新メカニズム

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 ガン免疫療法における効果個人差に関する研究

 
 
 
 
 
 島津製作所は12月26日、ガン
免疫療法における効果の個人差
に関する研究を本格化させると
発表しました。米子会社「シマ
ヅ サイエンティフィック イ
ンストルメンツ(SSI)」は
米プロビデンスガン研究センタ
ーと2018年から質量分析計を用
いた共同研究を開始ししていま
す。抗体医薬の体内(血中、ガ
ン局所)動態の把握と、免疫シ
ステムが認識する患者さん固有
のガン抗原の同定技術の開発を
目指してきました。薬物動態や
組織内分布に係る前臨床を終え
このほど一部、臨床試験を開始
しました。まずは、頭頸部、肺、
腎などのガンをターゲットに特
異的抗原の同定を目指します。

 ガン免疫療法は一部の患者さ
んには非常に効果的ですが、約
8割の患者では効果が発揮され
ません。研究では、免疫や薬が
効きにくい多様なガン組織構造
(微少環境)および、HLA(
ヒト白血球型抗原)とそれに結
合している短鎖ペプチドに着目
しました。患者さんの個人差を
把握して投薬量や治療方法の指
標提供を目指すほか、同定した
抗原をもとにワクチンの開発も
念頭に置きます。

 8月には、SSIのバイオサ
イエンスラボ(ワシントン州ボ
セル)で液体クロマトグラフ質
量分析計「LCMS-9030」
などの最新分析装置からなる抗
原同定システムを稼働しました。
抗体の特異部分を直接分析する
ことで、高い選択性を実現し、
保存病理検体からの抗体定量も
可能な前処理キット「nSMO
L」も用いて、研究を進めてき
ました。20年からは同センタ
ーなどで臨床試験を本格化させ
る予定です。

 研究は2018年から3カ年を予
定していますが、成果が得られ
れば、継続していく方針です。
12月26日、同社本社(京都市中
京区)でSSIの嶋田崇史R&
Dマネジャーが会見しました。
2022年には臨床試験で同定され
た抗原をもとにした診断、2025
年にはワクチンなどの治療にか
かる技術開発に発展させる計画
を示しました。薬物抵抗性と抗
原との関連性についても2025年
以降に明らかにしていくそうで
す。

 ガンの免疫療法について解説

している動画です。

 
 


 
 
 製菓の会社が、営業努力で、
成果を出す。       笑

 
 
 
 
 
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2】 ALS 発症でSOD1立体構造が異常化する新メカニズム

 
 
 
 
 
 慶應義塾大学は12月26日、筋
萎縮性側索硬化症(ALS )の発
症に関わる銅・亜鉛イオン結合
蛋白質SOD1について、その立体
構造が異常化する新たなメカニ
ズムを提唱したことを発表しま
した。この研究は、同大理工学
部の古川良明准教授、徳田栄一
助教(研究当時。現・日本大学
薬学部専任講師)、大学院理工
学研究科の安齋樹(2019年博士
後期課程修了)らの研究グルー
プが、同大薬学部の三澤日出巳
教授、自然科学研究機構分子科
学研究所の秋山修志教授らと共
同で行ったものです。研究成果
は、国際科学誌「Free Radical
Biology and Medicine 」のオ
ンライン版に掲載されています。
銅・亜鉛スーパーオキシドディ
スムターゼ(SOD1)は、銅・亜
鉛イオンを結合する金属蛋白質
で、反応性の高い活性酸素であ
るスーパーオキシドを酸素分子
と過酸化水素に変換する重要な
役割を担っています。神経難病
である筋萎縮性側索硬化症(AL
S )の患者さんの一部では、SO
D1をコードする遺伝子に変異が認
められ、異常な立体構造を持つ
(ミスフォールドした)SOD1が
脊髄の運動神経に蓄積すること
が知られています。またSOD1を
コードする遺伝子に変異が認め
られない原因不明の孤発性ALS
患者さんにおいても、毒性の高
いミスフォールドしたSOD1が脳
脊髄液から検出されることを私
達の研究グループから報告して
います。つまり、SOD1の構造異
常化(ミスフォールディング)
は、ALS の発症に関与している
可能性が考えられますが、その
引き金となる要因は明らかとな
っていません。
そこで研究グループは、ALS
患者さんの脊髄やそれを取り巻
く脳脊髄液では、酸化ストレス
を示すマーカーの値が非常に高
く、さまざまな生体分子が酸化
されやすい状況にあることに着
目しました。特に、SOD1が産生
する過酸化水素は酸化剤として
機能することから、SOD1は酸化
されることでミスフォールドす
るのではないかと考えました。

蛋白質を構成するアミノ酸の中
で、システインは最も酸化され
やすいことが知られています。
SOD1には4つのシステインがあ
りますが、正常なSOD1では、そ
のうちの2つ(Cys57とCys146)
が酸化されて「ジスルフィド(
S-S) 結合」を形成し、立体構
造の安定化に寄与しています。
残りの2つのシステイン(Cys6
とCys111)は酸化されずに存在
するのが普通ですが、SOD1が産
生する過酸化水素によって、Cy
s111はスルフェン酸と呼ばれる
状態に酸化されることが分かり
ました。さらに、結合していた
銅イオン・亜鉛イオンが解離す
ると、蛋白質構造が大きく揺ら
ぎ、通常は遠く離れた位置にあ
るCys6がCys111のスルフェン酸
を攻撃して、Cys6とCys111の間
でS-S 結合が形成しました。つ
まり、酸化ストレスの増大と銅・
亜鉛イオンの解離によって、2
つのS-S結合を持った異常なSOD
1(SOD12xS-S)が形成すること
を見出しました。このSOD12xS-
S は、凝集して不溶性の沈殿に
なりやすく、運動ニューロン様
の培養細胞であるNSC-34に添加
すると毒性を示すことから、正
常なSOD1にはない性質を有する
ことが分かりました。

今回の研究では、酸化ストレス
の増大と金属イオンの解離によ
って、SOD1蛋白質は分子内に新
たなS-S結合を形成したSOD12xS
-Sへとミスフォールドする新た
なメカニズムを提案することが
できました。SOD12xS-S は高い
細胞毒性を発揮することから、
ALS の発症に関与する可能性が
考えられますが、ALS 患者さん
から実際に検出されるのかを今
後さらに検証する必要がありま
す。運動ニューロンの変性に関
わるSOD1のミスフォールド構造
やその形成メカニズムについて
知見を得ることで、ALS の治療・
予防薬開発に対して基礎科学的
な面からの貢献が期待されます。

 筋萎縮性側索硬化症について

解説している動画です。

 
 


 
 
 200 海里の解釈に解離が生ま
れる。          笑

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 島津製作所が12月26日、ガン
免疫療法における効果の個人差
に関する研究を本格化させると
発表したのは、素晴らしい企画
です。ガン免疫療法は本庶先生
が、ノーベル医学・生理学賞を
授与されて以来、最も注目され
ている治療ですから、その効果
の個人差については、医療関係
者なら誰もが、知りたい情報と
言えましょう。今や、二人に一
人は、ガンになり、三人に一人
は、ガンで死ぬ時代ですから、
この研究のニーズは、たくさん
あるものと推測致します。2022
年には、臨床試験で同定された
抗原をもとにした診断、2025年
にはワクチンなどの治療にかか
る技術開発に発展させる計画を
示し、薬物抵抗性と抗原との関
連性についても2025年以降に明
らかにしていくと言う、明確な
展望がある研究ですから、全力
で邁進して頂きたいと思います。
 慶應義塾大学は12月26日、筋
萎縮性側索硬化症(ALS )の発
症に関わる銅・亜鉛イオン結合
蛋白質SOD1について、その立体
構造が異常化する新たなメカニ
ズムを提唱したことを発表した
のは、偉大な業績です。ALS と
いう病気は、難病で知られてい
て、その原因については、何も
知られていないと思っていまし
た。立体構造が異常化するなん
て、とても思いつかないことだ
と思いますが、その研究だけを
している研究者の方は、その様
な糸口を見つけるのが、異常に
うまいと言えるでしょう。運動
ニューロンの変性に関わるSOD1
のミスフォールド構造やその形
成メカニズムについて知見を得
ることで、ALS の治療・予防薬
開発に対して基礎科学的な面か
らの貢献を大いにして頂きたい
ものです。

 治験での知見を活用する。笑

 
 
 
 
 
 
 
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