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2020-12-15 22:54:15

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診療マル秘裏話  号外Vol.1723 令和2年2月13日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
 
目次

1)急性骨髄性白血病向けに、新分子標的薬が承認
2)福山型筋ジストロフィーの新発症メカニズムを解明と発表

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】 急性骨髄性白血病向けに、新分子標的薬が承認

 
 
 
 
 
 
 
 これまでの治療薬が効きにく
いタイプの急性骨髄性白血病(
AML )向けに、新しい分子標的
薬が相次いで承認されました。
骨髄などの造血幹細胞移植も、
合併症を予防しやすくなり、治
療の選択肢が広がっています。
東京都八王子市に住む岡本弘
さん(60)は2016年、人間ドッ
クがきっかけで精密検査を受け、
急性骨髄性白血病と分かりまし
た。同時に「FLT3」という遺伝
子に変異があり、治療が難しい
タイプであることも告げられま
した。

 「俺ダメなんだ。移植もでき
ないなんて」とショックを受け
たが、この遺伝子変異がある患
者さんを対象に、分子標的薬「
FLT3阻害剤」の治験を医師に紹
介されました。治験に参加して
薬を使ったところ、白血病細胞
が激減しました。骨髄移植でき
る状態になり、同年5月に骨髄
移植を受けました。昨年10月、
合併症によって再び移植を受け、
2カ月の入院を経て現在は通院
しながら経過を観察中です。岡
本さんは「この薬のおかげで移
植できる状態になった。ゴルフ
ができるよう体力を回復させた
い」と話しています。

 AML の治療はまず、複数の抗
ガン剤を使い、骨髄中に白血病
細胞がなくなり白血球や赤血球
などの数が正常範囲になる「寛
解」を目指します。その後、半
数近くの人は骨髄や臍帯血(さ
いたいけつ)などの造血幹細胞
を移植する2本立てで治療をし
ます。

 岡本さんのようにFLT3遺伝子
に変異があるのは、AML 患者さ
んの2~3割とされています。こ
の変異があると、白血病細胞を
無制限に増やすスイッチが入っ
てしまいます。これまでは変異
がある場合、抗ガン剤を使って
も、骨髄移植ができる状態まで
白血病細胞を抑えることが難し
いとされてきました。

 しかし、2018~19年にかけて、
国内でFLT3阻害剤のギルテリチ
ニブとギザルチニブが承認され
ました。白血病細胞を無制限に
増やす信号を妨げる作用がある
とされ、臨床試験では約3~5割
が「寛解」となりました。移植
につながったということです。

 独協医科大の三谷絹子教授(
血液内科)は、「現時点ではこ
れだけで治癒する、という薬で
はない。造血幹細胞移植に橋渡
しできる可能性が高まり、患者
にとって希望をつなげる薬」と
話しています。従来の抗ガン剤
治療と比べて副作用も少ないと
され、「高齢者も生活の質を維
持して治療を継続できる」と指
摘しています。急性骨髄性白血
病の場合、薬だけで「治る」の
は約10%。化学療法で「寛解」
まで白血病細胞を減らした後、
ほかの人から全ての血液の元に
なる造血幹細胞を移植して完治
を目指します。

 兄弟姉妹や親子など血縁者間
や、骨髄バンクなどを通じた非
血縁者間での造血幹細胞移植は、
年に約3700件(17年)に及びま
す。20年前と比べて3倍以上に
増えています。おもな理由は、
臍帯血バンクの充実や、白血球
の型であるHLA が半分だけ一致
した血縁者間での「ハプロ移植」
の普及です。

 国内では、HLA が完全に一致
した血縁者の提供者(ドナー)
が見つかる可能性は25%前後と
されています。国立ガン研究セ
ンター中央病院造血幹細胞移植
科の福田隆浩科長は「以前はド
ナーがおらず移植できないこと
もあったが、現在はたいてい見
つかる」と説明しています。

 一方、ハプロ移植では、移植
したドナーの細胞が患者さんの
体を攻撃して、肝臓や肺などに
炎症が起こる「移植片対宿主病」
(GVH 病)が生じる可能性が高
まることが課題でした。

 近年、移植後にシクロフォス
ファミドなどの抗ガン剤を使っ
てGVH 病を予防する方法が登場
しました。このためハプロ移植
は10年以降急増し、現在は年に
約500 件実施されているという
ことです。福田さんは「移植後
の生存率も上がり、治癒を目指
せる人が増えている」と話して
います。

血液腫瘍の分子標的薬について

解説している動画です。

 
 


 
 
 東条さんが搭乗前に登場した。


 
 
 
 
 
 
 
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2】 福山型筋ジストロフィーの新発症メカニズムを解明と発表

 
 
 
 
 
 
 
 東京都健康長寿医療センター
は1月17日、先天性筋ジストロ
フィーの原因遺伝子FKRPによる
糖鎖合成機構を解明し、筋ジス
トロフィーの新たな発症メカニ
ズムを明らかにしたと発表しま
した。この研究は、同センター
の遠藤玉夫シニアフェロー、萬
谷博研究副部長、今江理恵子研
究員、高エネルギー加速器研究
機構物質構造科学研究所の加藤
龍一准教授、桑原直之研究員(
研究当時)らの研究グループに
よるものです。研究成果は、Na
ture Publishing Group 発行の
オンライン国際科学雑誌「Natu
re Communications 」に掲載さ
れています。

 先天性筋ジストロフィーは、
全身の筋力が低下する遺伝子疾
患であり、厚生労働省の指定難
病です。研究グループは、糖鎖
の異常を原因とするタイプの筋
ジストロフィーを発見し、その
発症メカニズムを明らかにして
きました。この中には、日本の
小児筋ジストロフィーの中で2
番目に多い福山型筋ジストロフ
ィーも含まれます。

 また、研究グループはこれま
でに、福山型とその類縁疾患の
原因遺伝子産物fukutin 、FKRP
の機能を明らかにし、これらが
糖鎖を作る糖転移酵素の仲間で
あること、その働きによって「
リビトールリン酸」が2個つな
がった、ユニークな構造が形成
されることを報告しています。
このような糖鎖は、哺乳動物で
は見つかったことがない新しい
構造であり、病態解明や治療法
開発のために、この糖鎖が合成
される仕組みを明らかにする必
要がありました。

 今回、研究グループは、X線
結晶構造解析によりFKRPの立体
構造の解明に成功しました。FK
RPがリビトールリン酸をつなげ
て糖鎖を伸ばす仕組みを明らか
にしました。FKRPは、機能未知
だった部分(幹領域)と酵素活
性を担う部分(触媒領域)で構
成されますが、1分子で単独で
存在するのではなく、FKRPが4
つ集合した「4量体」という状
態で存在し、2つのFKRPのそれ
ぞれの幹領域と触媒領域を使っ
て糖鎖を両端から挟み込むよう
に捕まえることが分かったとい
うことです。FKRPと糖鎖の結合
には、リン酸というこの糖鎖に
特徴的な構造が必要でした。

 また、筋ジストロフィー患者
さんから見つかったいくつかの
変異FKRPは、4量体を作ること
ができず、酵素活性が著しく低
下していました。これらの結果
から、FKRPが複数で集まって存
在することは、FKRPが糖鎖を捕
まえるために必須であることが
判明しました。同じ酵素2つが
協調して糖鎖を捕まえるという
方式も、糖鎖を合成する仕組み
として初めての発見であり、ユ
ニークなリビトールリン酸構造
を形成する基盤であることが明
らかになりました。

 今回の研究結果より、FKRPの
変異によって4量体を作れなく
なった患者さんに対して、4量
体を作らせる化合物・薬物を探
すことで、筋ジストロフィーの
新たな治療法の開発につながる
ことが期待されます。また、加
齢性の筋肉減少症であるサルコ
ペニアにおいても、この糖鎖の
合成が徐々にうまくいかなくな
る可能性を探ることで、高齢者
医療につながることが期待され
る、と研究グループは述べてい
ます。

福山型筋ジストロフィーの遺伝

子について解説している動画で

す。

 
 


 
 
 
 華麗に鰈が加齢する。笑

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
 これまでの治療薬が効きにく
いタイプの急性骨髄性白血病(
AML )向けに、新しい分子標的
薬が相次いで承認されたのは、
喜ばしいことです。従来の抗が
ん剤治療と比べて副作用も少な
いとされていますが、比較対象
として従来の抗ガン剤を選んで
いるのは、問題だと思います。
それは、従来の抗ガン剤治療を
工夫なく、使うと副作用が半端
ないことが分かっているからで
す。しかしながら、工夫とされ
る、夜間に抗ガン剤の治療を行
うであるとか、ポリマーを抗が
ん剤につけてEPR 効果を狙う等
がなされている病院施設は数え
るほどしかありません。実に嘆
かわしいことだと思います。
 東京都健康長寿医療センター
は1月17日、先天性筋ジストロ
フィーの原因遺伝子FKRPによる
糖鎖合成機構を解明し、筋ジス
トロフィーの新たな発症メカニ
ズムを明らかにしたと発表した
のは喜ばしいことです。筋ジス
トロフィーには、いろいろな型
があり、その型によって治療法
(特に、根本的な治療法)が異
なるようにすべきだと言われて
います。現在、行われているの
は対症療法であり、対症療法で
は、完治が難しいとされている
のです。 筋ジストロフィーの
患者さんにとって治療法の開発
に余り時間をとられては、その
間に寿命が無くなってしまうと
いうことが起こります。そのた
め、一刻の猶予なく、全ての型
の治療法を開発すべきであると
思います。

 八章で発症メカニズムについ
て解説する。       笑

 
 
 
 
 
 
 
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発行者名  医療法人永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
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2020-12-15 00:17:53

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診療マル秘裏話  号外Vol.1722 令和2年2月11日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
 
目次

1)AM投与安全性評価を主目的の医師主導治験実施
2)上気道内細菌叢が小児の軽度喘息重症度と関連

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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1】 AM投与安全性評価を主目的の医師主導治験実施

 
 
 
 
 
 
 
 国立循環器病研究センターは
1月16日、急性期非塞栓性脳梗
塞患者さんを対象にペプチドホ
ルモン「アドレノメデュリン(
AM)」投与の安全性評価を主目
的とした医師主導治験を2020年
1月16日より開始すると発表し
ました。この研究は、同センタ
ー脳神経内科の猪原匡史部長、
吉本武史医師、データサイエン
ス部の角田良介プロジェクトマ
ネージャーらと、宮崎大学医学
部内科学講座循環体液制御学分
野の北村和雄教授らによるもの
です。

 血栓溶解療法、血管内治療法
といった脳梗塞急性期治療の進
歩により、閉塞血管の再開通率
は70~80%となり、多くの患者
さんがその恩恵を受けるように
なりました。しかし、依然とし
て脳卒中の死亡者数は年間11万
人にのぼります。死亡には至ら
なかった場合であっても、脳梗
塞をきっかけに寝たきりや認知
症を発症するケースが多く、そ
の医療コストは年間1兆円を超
えます。したがって、脳梗塞発
症・治療後のQOL を改善するた
めには、脳梗塞により生じた脳
の組織障害・機能障害を回復さ
せること、治療により再開した
血流を利用して再生を促すこと
が重要です。

 血栓溶解療法、血管内治療法
といった脳梗塞急性期治療の進
歩により、閉塞血管の再開通率
は70~80%となり、多くの患者
さんがその恩恵を受けるように
なりました。しかし、依然とし
て脳卒中の死亡者数は年間11万
人にのぼります。死亡には至ら
なかった場合であっても、脳梗
塞をきっかけに寝たきりや認知
症を発症するケースが多く、そ
の医療コストは年間1兆円を超
えます。したがって、脳梗塞発
症・治療後のQOL を改善するた
めには、脳梗塞により生じた脳
の組織障害・機能障害を回復さ
せること、治療により再開した
血流を利用して再生を促すこと
が重要となります。

 近年、AMと炎症との関連が注
目されています。敗血症を起こ
したマウスへのAM投与で、血行
動態が改善し、炎症が軽減する
ことが報告されています。また、
脳梗塞に対するAM投与の有効性
は各種の動物実験で示されてき
ました。猪原匡史部長らは、脳
循環不全後に、AMが血管新生を
誘導し、炎症を抑制して、組織
を保護することを示しました。
その他、京都大学の研究チーム
により、脳梗塞モデルマウスに
AMを投与すると脳梗塞が縮小す
ることが報告され、順天堂大学
の研究チームにより、体内のAM
を少なくした動物では、脳梗塞
が拡大することが報告されてい
ます。

 AMに関しては、これまでに炎
症性腸疾患(IBD )、うっ血性
心不全、急性心筋梗塞、陳旧性
脳梗塞の患者さんへのAM投与の
臨床研究が報告されており、い
ずれも大きな有害事象は生じて
いません。また臨床試験として
は、健常者を対象とした第1相
試験が完了し、現在、潰瘍性大
腸炎とクローン病を対象とした
AMの治験が行われています。

 AMはヒトの体内に存在する生
理活性物質であることから、安
全性のリスクは相対的に小さい
と考えられます。今回は、新た
に脳梗塞で臨床応用を目指す上
での安全性を検討するため、急
性期脳梗塞患者を対象にAM投与
の安全性評価を主目的とした医
師主導治験実施に至りました。
治験のデザインは複数コホート
並行群間比較試験で、対照の種
類はプラセボ対照、盲検化のレ
ベルは二重盲検です。目標症例
数は60症例としています。

 AMによって、脳梗塞の予後・
QOLを2割改善できれば、4000億
円/年以上の経済効果が,期待さ
れる、と研究グループは述べて
います。

アドレノメデュリン(adrenome
dullin;AM)は,ヒト褐色細胞
腫組織から発見された強力な血
管拡張作用を有する生理活性ペ
プチドです.循環器疾患や炎症
性疾患では産生が増加し,心血
管保護作用,血管新生作用や抗
炎症作用など多彩な生理作用を
有することが判明しており,近
年AMを治療薬として応用するた
めの臨床研究が実施されていま
す.

長寿者が多いイタリアの村では、

アドレノメデュリンの値が低い

ことが分かったという動画です。

 
 


 
 
 生理活性ペプチドの作用を、
整理する。        笑

 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
 
2】 上気道内細菌叢が小児の軽度喘息重症度と関連

 
 
 
 
 
 
 
 近年、ヒトの体内の常在細菌
叢に関する研究が進み、さまざ
まな疾患との関連が数多く報告
されています。今回新たに、上
気道内の細菌叢が小児における
軽度~中程度の喘息の重症度と
関連していることが示唆されま
した。米・University of Conn
ecticutのYanjiao Zhou氏らが、
Nat Commun(2019; 10: 5714)
に報告しました。米国における
18歳未満の小児喘息患者は、60
0万人以上(12人に1人に相当)
に上ります。米国喘息・アレル
ギー財団(AAFA)によると、喘
息は主要な慢性小児疾患であり、
小児が学校を休む最大の原因と
なっています。

 今回の上気道の細菌叢に関す
る研究は、軽度~中等度の喘息
を有する5~11歳の小児214 人
を対象とした臨床試験Step Up
Yellow Zone Inhaled Corticos
teroids to Prevent Exacerbat
ions(STICS) と同時に実施さ
れました。この臨床試験は、米
国立心肺血液研究所(NHLBI )
の資金提供を受けて喘息の研究
を行っている医療センターの全
国ネットワークAsthmaNet の一
部として行われました。

 STICS の目的は、喘息が悪化
する最初の徴候が現れた段階で
吸入ステロイド薬(ICS )の用
量を5倍にする群と、低用量で
維持する群で有効性を比較する
ことでした。その結果、増量し
たICS による便益はなかったこ
とが既に報告されています(N
Engl J Med 2018; 378: 891-90
1)。

 同試験中に、319 の鼻腔粘液
サンプルを収集し、上気道細菌
叢について解析しました。サン
プルは全参加者で喘息がコント
ロールされていた試験開始時、
喘息コントロール不良の初期徴
候が現れた段階(イエローゾー
ン:YZ)の2度収集されました。
解析の結果、YZになった小児で
は上気道にブドウ球菌、連鎖球
菌、Moraxella など、疾患と関
連する細菌が存在する割合が高
いことが発見されました。

 一方、気道細菌叢においてCo
rynebacteriumおよびDolosigra
nulumの比率が高い小児では、Y
Zになる割合が最も低く(P=0.
005)、2回以上のYZを経験する
までの期間は最も長かったよう
です(P=0.03 )。これらのこ
とから,Corynebacteriumおよび
Dolosigranulumの比率が高い気
道内細菌叢は、喘息症状が良好
にコントロールされている期間
の長さと関連していることが分
かりました。

 さらに、CorynebacteriumとD
olosigranulum で多く占められ
ていた気道内細菌叢が、Moraxe
lla の比率が高い細菌叢に変化
した小児は、他の種類の変化を
起こした小児と比べて、喘息症
状が悪化するリスクが最も高い
ことも明らかになりました (P
=0.04)。また、YZになった時
点での細菌叢におけるCoryneba
cterium の相対比は、喘息の重
症化と逆相関していました(P=
0.002)。

 Zhou氏らは「われわれのデー
タは、良好な状態から喘息にな
った小児において気道内細菌叢
の急速な変化が生じることを実
証した。細菌叢の変化のパター
ンが喘息の増悪に重要な役割を
果たしている可能性がある」と
述べています。今後はこれらの
結果を基に、喘息の重症度と細
菌叢との因果関係を明らかにす
るため、気道内細菌叢をコント
ロールしたマウスで研究を行う
予定ということです。

小児喘息について解説している

動画です。

 
 


 
 
 最近の細菌は、耐性菌が多い。


 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
 
編集後記

 
 
 国立循環器病研究センターは
1月16日、急性期非塞栓性脳梗
塞患者を対象にペプチドホルモ
ン「アドレノメデュリン(AM)」
投与の安全性評価を主目的とし
た医師主導治験を2020年1月16
日より開始すると発表したのは
喜ばしい限りです。「アドレノ
メデュリン(AM)」という名称
も、その多様な生理活性も初耳
でした。このペプチドは、元々
人間の身体の中にあるものなの
で、免疫寛容から免疫の攻撃を
受けることは、無さそうです。
動物実験では、潰瘍性大腸炎の
モデルマウスなどで顕著な潰瘍
の縮小を認めているそうで、こ
のペプチドは急性期非塞栓性脳
梗塞の患者さんにおいても臨床
的効果が期待できそうです。
 近年、ヒトの体内の常在細菌
叢に関する研究が進み、さまざ
まな疾患との関連が数多く報告
されています。今回新たに、上
気道内の細菌叢が小児における
軽度~中程度の喘息の重症度と
関連していることが示唆された
のは素晴らしい業績です。腸内
の細菌叢が炎症性腸疾患の症状
と相関する研究は、たくさんな
されていると思いますが、呼吸
器での気道内の細菌叢が喘息の
重症度と相関しているなどとは、
夢にも思いませんでした。気道
内細菌叢を変えることによって
喘息の重症度を変えることがで
きるようになることを切に願っ
て止みません。

 免疫寛容の機構が肝要だ。笑

 
 
 
 
 
 
 
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