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2022-07-30 22:20:10

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診療マル秘裏話  号外Vol.2231 令和3年9月27日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)HBV肝ガン発症機構を解明しHBV関連肝発ガン抑止
2)腸内細菌叢異常は,SLE発症誘発環境因子と判明

 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 HBV肝ガン発症機構を解明しHBV関連肝発ガン抑止

 
 
 
 
 
 
 東京大学附属病院は9月1日、
B型肝炎ウイルス(HBV)による
肝ガンの発症機構の一端を解明
するとともに、HBV 関連肝発ガ
ンを抑止する新たな方法を見出
したと発表しました。この研究
は、東京大学医学部附属病院消
化器内科の關場一磨特任臨床医
(研究当時)、大塚基之講師、
小池和彦教授(研究当時)らの
研究グループによるものです。
研究成果は、「Journal of Hep
atology」に掲載されています。
 HBV は、全世界で2億5千万人
以上が持続感染し、HBV 関連疾
患により毎年約82万人が死亡し
ており、その克服は日本のみな
らず世界的な重要課題です。特
に、死亡原因の多くを占めるの
が肝ガンです。既存のHBV 治療
薬では発ガンをゼロにすること
はできず、また、そもそもの発
ガン機構も十分には解明されて
いませんでした。

 肝発ガンの重要な因子として、
HBV が産生するウイルス蛋白質
HBx が知られていましたが、HB
x 蛋白質による詳細な発ガン機
序は十分に解明されておらず、
新たな治療薬開発の大きな障害
となっていました。研究グルー
プは、「ウイルス蛋白質HBx が
宿主蛋白質Smc5/6を分解してウ
イルス転写を活性化している」
という報告と「宿主蛋白質Smc5
/6はDNA ダメージ修復に関わる」
という報告に着目しました。「
ウイルス蛋白質HBx による宿主
蛋白質Smc5/6の分解は、ウイル
ス複製の亢進だけでなく宿主DN
A ダメージの修復阻害という二
つの働きを持つのではないか」
と仮説を立て、検証しました。

 まず、研究グループはHBV 陽
性ヒト肝組織やHBV 感染ヒト肝
細胞キメラマウス、HBx トラン
スジェニックマウスを用いて、
Smc5/6の発現量とDNA ダメージ
蓄積量との相関を検討しました。
その結果、HBV感染やHBx発現に
伴いSmc5/6の発現が低下してい
る組織で、DNA ダメージの蓄積
が有意に増加していることを確
認しました。

 続いて、細胞株を用いて、Sm
c5のノックダウンを行い、DNA
ダメージを誘導した所、通常の
細胞と比較して、宿主DNA ダメ
ージ修復が阻害されていること
が分かりました。HBx 強制発現
細胞でも同様の結果が得られた
上に、Smc5/6の分解能を持たな
い変異型HBx ではこの宿主DNA
ダメージ修復阻害効果がないこ
とを確認しました。さらに、NT
CP強制発現細胞や初代ヒト肝細
胞を用いたHBV 感染実験で、Sm
c5/6が分解されるとDNA ダメー
ジ誘導時の修復が阻害されてい
ることが分かりました。

 ここで、研究グループが以前
に同定した、HBV 感染下でSmc5
/6分解阻害作用を有する化合物
ニタゾキサニドを細胞に投与し
てSmc5/6の分解を阻害すると、
宿主DNA ダメージ修復能も回復
することが実証されました。ま
た、Smc5/6の分解を受けた細胞
では腫瘍形成能が上昇している
ことが細胞株およびマウスを用
いた実験系で確認されました。

 以上のことから、HBV はウイ
ルス蛋白質HBx を産生し、宿主
蛋白質Smc5/6を分解することで、
ウイルスの転写を活性化してい
るだけでなく、宿主DNA ダメー
ジ修復も阻害していることが示
唆されました。

 これらの結果は、ウイルス蛋
白質HBx による肝発ガン機構を
明らかにするとともに宿主蛋白
質Smc5/6の分解阻害という肝ガ
ン抑制のための新たな治療標的
を提唱するものです。「ニタゾ
キサニドに関しては、抗HBV 薬
の候補として国際的な治験(NC
T03905655) が行われており、
そのウイルス複製阻害効果を注
視するとともに、発ガン抑制効
果についても検証を重ねて、臨
床応用の可能性を探っていきた
い」と研究グループは述べてい
ます。

 B型肝炎について解説してい

る動画です。

 
 


 
 
 
 注視することを中止した。笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 腸内細菌叢異常は,SLE発症誘発環境因子と判明

 
 
 
 
 
 
 
 ヒトの腸内細菌叢は免疫反応
や代謝応答と密接に関わってお
り、関節リウマチなどの自己免
疫疾患や代謝疾患の発症に影響
することが知られています。そ
のため、腸内細菌叢の異常は自
己免疫疾患である全身性エリテ
マトーデス(SLE) の発症を誘
発する環境因子と考えられてき
ましたが、両者の関係は明らか
ではありませんでした。大阪大
学大学院遺伝統計学の友藤嘉彦
氏らは、SLE 患者さんと健常者
の腸内細菌叢をメタゲノム解析
し、SLE との関連を網羅的に検
討した結果をAnn Rheum Dis(2
021年8月25日オンライン版)に
報告しました。

 友藤氏らは、日本人のSLE 患
者さん群47例と健常対照群203
例を対象に、腸内細菌叢の次世
代シークエンサーによるショッ
トガンメタゲノム解析を実施し
ました。得られた大規模なゲノ
ム配列情報を用いて、腸内細菌
叢の構成とSLE との関連を網羅
的に探索するメタゲノムワイド
関連解析を行いました。

 その結果、SLE 患者さんの腸
内細菌叢では,Streptococcus属
のS. anginosusとS. intermedi
usの2菌種が健常対照群より有
意に多いという結果が出ました。
両菌種がSLE の病態に関与して
いる可能性が示唆されました。

 腸内細菌叢の多様性について
も比較解析した所、SLE 群では
多様性が低下しており、腸内細
菌叢の破綻(dysbiosis) が起
きていることが示されました。
dysbiosisは,自己免疫細胞が腸
の細胞を攻撃して炎症を引き起
こす炎症性腸疾患(IBD) への
関与が報告されており(Gastro
enterology 2014; 146: 1489-1
499)、SLEの病態形成との関連
も示唆されました。

 さらに、腸内細菌叢由来の遺
伝子や、生体活動に持続に必要
な化学反応などの生物学的過程
を示すパスウェイについても比
較したところ、SLE 群では酸化
還元反応に関与する遺伝子の増
加、硫黄代謝、鞭毛の形成に関
与するパスウェイの変動が生じ
ていることが分かりました。

 腸内細菌叢は血中代謝物の濃
度に影響を及ぼすことが知られ
ていることから、友藤氏らは、
メタゲノム解析の結果と質量分
析計で測定した血中代謝物情報
を統合し、腸内細菌叢と血中代
謝物との関連も検討しました。

 その結果、SLE 群で有意に多
かったS. intermediusと、炎症
との関連が報告されている代謝
物であるアシルカルニチンに正
の相関が見いだされました。こ
のことから、S. intermediusが
アシルカルニチンを介し、異常
な免疫反応を活性化させている
可能性が示唆されました。

 同氏らは、今回の研究により
同定された菌種、遺伝子、血中
代謝物についてさらなる検討を
進めることで、「SLE の新たな
治療標的・バイオマーカーの開
発につながることを期待する」
としています。

 腸内環境を整える方法につい

て解説している動画です。

 
 


 
 
 拳闘の試合を検討した。 笑

 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 東京大学附属病院が9月1日、
B型肝炎ウイルス(HBV)による
肝ガンの発症機構の一端を解明
するとともに、HBV 関連肝発ガ
ンを抑止する新たな方法を見出
したと発表したのは、素晴らし
い業績です。HBV は、全世界で
2億5千万人以上が持続感染し、
HBV 関連疾患により毎年約82万
人が死亡しており、その克服は
日本のみならず世界的な重要課
題であり、なおかつ死亡原因の
多くを占めるのが肝ガンという
ことですから、HBV 関連肝発ガ
ンを抑止するのは、至上命題で
した。その新しい方法が見つか
ったということですから、世紀
の大発見と言っても過言ではな
いでしょう。
 大阪大学大学院遺伝統計学の
友藤嘉彦氏らが、SLE 患者さん
と健常者の腸内細菌叢をメタゲ
ノム解析し、SLE との関連を網
羅的に検討した結果をAnn Rheu
m Dis(2021年8月25日オンライ
ン版)に報告したのは、素晴ら
しい業績です。今回の研究によ
り同定された菌種、遺伝子、血
中代謝物についてさらなる検討
を進めることで、「SLE の新た
な治療標的・バイオマーカーの
開発につながることを期待した
いと思います。腸内細菌が、ト
レハロースを与えることで、制
御性T細胞を増やすことが分か
っています。治療標的・バイオ
マーカーが同定されるまでは、
トレハロースを経口摂取するこ
とが望ましいと思われます。

 蛍光目印をつけた携行食を、
経口で投与した。     笑

 
 
 
 
 
 
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