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2022-07-23 20:11:30

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診療マル秘裏話  号外Vol.2225 令和3年9月20日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
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目次

1)ホルモン療法無効乳ガンの特徴はTRIM47蛋白質多い重症
2)武漢熱重症患者に腹臥位療法で気管挿管移行率低下

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 ホルモン療法無効乳ガンの特徴はTRIM47蛋白質多い

 
 
 
 
 
 
 東京都健康長寿医療センター
研究所は8月24日、ホルモン療
法が効きにくい乳ガンの特徴と
して、TRIM47蛋白質が多いこと
を発見したと発表しました。こ
の研究は、同研究所・老化機構
研究チーム・システム加齢医学
研究の井上聡研究部長、東浩太
郎研究員(現所属:東京大学医
学部附属病院老年病科講師)、
埼玉医科大学の池田和博准教授
らの研究グループによるもので
す。研究成果は、「米国科学ア
カデミー紀要(PNAS)」に掲載
されています。

 日本において、乳ガンは女性
のガンの中で患者数が最多であ
り、世界では女性のガンの死亡
原因の第一位です。また、日本
では人口の高齢化に伴い、高齢
者の乳ガン患者数が増加してい
ます。

 乳ガン治療では、乳ガン細胞
が女性ホルモンに反応して増え
るかどうかが重要であり、女性
ホルモンの受け手(受容体)を
持つかどうかを外科手術の際や
ガンの一部をとる検査の際に調
べます。乳ガンのうち7割程度
は、ホルモン受容体を持つ乳ガ
ンであり、手術でガンを取り除
くことに加えて女性ホルモンの
働きを抑えるホルモン療法によ
り治療します。高齢者において
も、脂肪組織で女性ホルモンが
つくられるため、ホルモン療法
は重要です。しかし、中にはホ
ルモン療法が効きにくい場合が
あり、再発の原因となることが
問題となっていますが、詳しい
メカニズムは不明であり、これ
を克服する方法は見つかってい
ません。

 今回の研究では、ホルモン療
法によって治療された乳ガン患
者さんを対象に、免疫組織検査
で腫瘍の中の蛋白質TRIM47量を
調べました。 TRIM47は肺ガン、
大腸ガンなどでもガンを促進し
ていると報告されていましたが、
乳ガンでの働きはこれまであま
りよく分かっていませんでした。

 研究の結果、TRIM47量が多い
乳ガンの患者さんに再発が多い
ことがわかり、TRIM47蛋白質量
を調べることにより、ホルモン
療法の効きにくさを予測できる
ことが分かりました。

 また、この研究では、TRIM47
が細胞の中で2種類のリン酸化
酵素(PKCεとPKD3) に結合し、
壊されないようにすることによ
り、ホルモン療法の効きにくさ
につながるNF-κBが伝わりやす
くなる仕組みも解明しました。

 さらに、乳ガン細胞内のTRIM
47の量を増やすと、ホルモン療
法に用いる抗ガン剤を入れても
増殖し、一方でTRIM47の蛋白質
量を減らすと、細胞の増殖が起
こりにくくなることも明らかに
なりました。これらの結果より、
TRIM47を減らす治療は、ホルモ
ン療法が効きにくい乳ガンの新
しい治療法になりうることが推
測されます。

 「今回の研究は、乳ガン組織
のTRIM47蛋白質の情報を活用す
ることにより、有効な治療法が
見つからなかった乳ガン患者に
対して、より有効で個別化した
治療法の提供につながると考え
られる。」と研究グループは述
べています。

 乳ガンのホルモン療法につい

て解説している動画です。

 
 


 
 
 戸別に個別の調査を行う。笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 武漢熱重症患者に腹臥位療法で気管挿管移行率低下

 
 
 
 
 
 
 
 高流量鼻カニュラ酸素療法(
HFNC)を要する新型コロナウイ
ルス感染症(武漢熱)重症患者
さんにおいて、覚醒下で腹臥位
療法を行うと28日後の死亡また
は気管挿管への移行率が14%有
意に低下したことが、大規模国
際共同非盲検仰臥位対照ランダ
ム化比較試験(RCT) の結果か
ら分かりました。フランス・Ce
ntre Hospitalier Régional Un
iversitaire de ToursのStepha
n Ehrmann氏らがLancet Respir
Med (2021年8月20日オンライ
ン版)に報告しました。

 武漢熱患者さんでは急性低酸
素血症性呼吸不全を特徴とする
重症例が多く、侵襲的人工呼吸
管理を要する割合が高いとされ
ています。そのような中、侵襲
的人工呼吸管理を施行した中等
症~重症の急性呼吸窮迫症候群
(ARDS)患者さんに対する腹臥
位療法により、呼吸の改善およ
び死亡率の低下が示されていま
す。重症武漢熱患者さんにおい
ても、覚醒下の腹臥位療法によ
る呼吸の改善が複数報告されて
います(Lancet Respir Med 20
20; 8: 765-774、Chest 2021;
160: 85-88、 Respir Care 202
1年7月7日オンライン版)。

 患者さんの予後を検討した大
規模RCT によるエビデンスは少
ないにもかかわらず、臨床現場
で注目されたことで、欧州呼吸
器学会(ESR) の診療ガイドラ
イン(Eur Respir J 2021; 57:
2100048)や,専門家パネルによ
るコンセンサスステートメント
(Crit Care 2021; 25: 106、A
m J Trop Med Hyg 2021; 104:
60-71) では腹臥位療法が推奨
されています。

 Ehrmann 氏らは今回、HFNCを
要する18歳以上の重症武漢熱患
者さんに対する覚醒下腹臥位療
法の有効性について仰臥位群を
対照に比較検討する6件の試験
を統合し、大規模国際共同非盲
検RCT を実施しました。データ
を前向きにメタ解析に取り込む
という、検討結果が急がれる武
漢熱流行下に適した研究手法を
導入しました(BMJ Open 2020;
10: e041520)。

 カナダ、フランス、アイルラ
ンド、メキシコ、米国、スペイ
ンの6カ国において、18歳以上
で武漢熱関連肺炎による急性低
酸素血症性呼吸不全の確定また
は臨床的に強い疑い例2,350 例
を登録しました。1,126 例を抽
出し、覚醒下腹臥位群(567例、
平均年齢61.5歳、女性33%)と
仰臥位群(559例、同60.7歳、3
4%)にランダムに割り付け、1
,121例をintention-to-treat解
析の対象としました。

 ベースライン時に全体の88%
がグルココルチコイドを投与さ
れており、平均酸素飽和度(Sp
O2)/吸入酸素濃度(FiO2)は
腹臥位群が147.9〔標準偏差(S
D)±43.9〕、仰臥位群が148.6
(同43.1)でした。HFNC投与量
の中央値は両群とも50.0L/分〔
四分位範囲(IQR):腹臥位群4
0.0~55.0L/分vs. 仰臥位群50.
0L/分(同40.0~50.0L/分)〕、
FiO2中央値はいずれも0.6(同0
.5~0.8)でした。

 主要評価項目である治療失敗
率(28日後の死亡または気管挿
管)は、仰臥位群の46.0%に対
し腹臥位群は40.0%と有意に抑
制されていました〔相対リスク
(RR)0.86、95%CI 0.75~0.9
8〕。

 28日以内で見ても、仰臥位群
に比べ腹臥位群で治療失敗率が
22.0%有意に抑制されていまし
た〔ハザード比(HR)0.78、95
%CI 0.65~0.93、P=0.0069〕。
28日以内の治療失敗率を項目ご
とに見ると、気管挿管は腹臥位
群で25.0%有意に抑制されてい
ました(同0.75、0.62~0.91、
P=0.0038)ものの,死亡に有意
差はありませんでした(同0.87、
0.68~1.11、P=0.27)。 さら
に腹臥位群では、28日以内のHF
NCからの離脱率が有意に高いこ
とも示されました(HR 1.19、9
5%CI 1.01~1.39、P=0.035)。

 有害事象の発現率は皮膚の損
傷(腹臥位群1%、仰臥位群2%)、
嘔吐(同3%、3%)、中枢神経
系または動脈圧の脱落(同5%、
3%),心停止(同1%、0%)と
いずれも低く、両群で同程度で
した。

 以上の結果を踏まえ,Ehrmann
氏らは「武漢熱関連ARDS患者に
おいて、覚醒下での腹臥位療法
は治療失敗の発生を抑制し、有
害事象への懸念が小さく気管挿
管リスクを低減させることが示
された。今回の結果は、HFNCを
必要とする武漢熱患者のルーチ
ンな覚醒下体位を支持するもの」
と結論しました。「少なくとも
1日8時間は患者が腹臥位を維持
できる管理体制を取ることが重
要である」と付言しています。

 腹臥位療法の動画です。

 
 


 
 
 不言の誓いを付言した。 笑

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 東京都健康長寿医療センター
研究所が8月24日、ホルモン療
法が効きにくい乳ガンの特徴と
して、TRIM47蛋白質が多いこと
を発見したと発表したのは素晴
らしい業績です。乳ガンのうち
7割程度は、ホルモン受容体を
持つ乳ガンであり、手術でガン
を取り除くことに加えて女性ホ
ルモンの働きを抑えるホルモン
療法により治療するということ
ですが、ホルモン療法には、大
きな問題点が2つあり、一つは、
耐性を生じやすく、効かなくな
ること。もう一つは、肝臓の副
作用があり、肝硬変や肝炎など
の肝臓の病気を持つ人には、使
いづらいことです。ホルモン受
容体を持つ乳ガンの人には、有
効な治療法が見つからない場合、
TRIM47を減らす治療が開発され
れば、有効な治療となると予想
されます。
 高流量鼻カニュラ酸素療法(
HFNC)を要する新型コロナウイ
ルス感染症(武漢熱)重症患者
さんにおいて、覚醒下で腹臥位
療法を行うと28日後の死亡また
は気管挿管への移行率が14%有
意に低下したことが、大規模国
際共同非盲検仰臥位対照ランダ
ム化比較試験(RCT) の結果か
ら分かったのは素晴らしい業績
です。ここで、腹臥位にするだ
けで、気管挿管への移行率が減
少したことは、すぐに臨床応用
が可能であり、たくさんの患者
さんを救う手立てができたと言
うことだと思います。少なくと
も1日8時間は患者さんが腹臥位
を維持できる管理体制を取るこ
とが重要ということなので早速
最前線の重症化患者さんを受け
入れている病院さんで試される
ことを提案したいと思います。

 最前線にある戦場で、全線の
列車が止まった。     笑

 
 
 
 
 
 
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