最近の号外Vol.1742メルマガ

  1. Home
  2. 最近の号外Vol.1742メルマガ

2021-01-08 00:16:57

カテゴリー:ブログ



藤田のブログランキングアップにご協力お願いします。
以下のバナーをぽちっとクリックお願いします。


病院・診療所ランキング

 

診療マル秘裏話  号外Vol.1742 令和2年3月6日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
 
目次

1)胃組織幹細胞遺伝子変異で胃ガン幹細胞に変化
2)難治性脳腫瘍の特徴的な染色体構造異常を発見

 
 
 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】 胃組織幹細胞遺伝子変異で胃ガン幹細胞に変化

 
 
 
 
 
 
 
 金沢大学は、2月7日、傷付い
た胃の再生を担う組織幹細胞に
アクアポリン5(AQP5)遺伝子
が発現していることを突き止め、
ヒトの胃組織幹細胞を特定し、
それらの正常胃組織幹細胞に遺
伝子変異が蓄積することで胃が
ん幹細胞に変化することを明ら
かにしたと発表しました。この
研究は、同大ガン進展制御研究
所およびA*STAR 研究所医学生
物学研究所(IMB)のNick Bark
er博士(金沢大学ガン進展制御
研究所リサーチプロフェッサー
(招へい型))が率いるIMB 、
金沢大学、シンガポールのゲノ
ム研究所、国立シンガポール大
学およびオランダのマーストリ
ヒト大学などの研究グループに
よるものです。研究成果は、英
国科学誌「Nature」に掲載され
ています。胃ガンは、日本を含
むアジアでの罹患率が高く、転
移・再発した場合の生存率が低
いとされています。また、悪性
化した胃ガンに対して有効な治
療薬が開発されていない理由と
して、ガン組織幹細胞が特定さ
れておらず、発ガンメカニズム
の研究が遅れていたことが挙げ
られます。

研究グループは先行研究により、
マウスの胃腺底部に胃組織の恒
常性維持および傷害からの修復
を担うLgr5遺伝子を発現する組
織幹細胞を特定しました。また、
これらの組織幹細胞に遺伝子変
異が蓄積することで、胃ガンが
生じうることを明らかにしてい
ました。一方、ヒト胃組織では、
幹細胞の単離と解析を可能にす
る表面マーカーが存在せず、マ
ウス胃組織幹細胞に相当する上
皮幹細胞の存在は知られていま
せんでした。

Lgr5遺伝子は小腸、胃、腎臓な
どさまざまな臓器に発現してい
るため、胃のLgr5陽性組織細胞
に限ってガン遺伝子の変異を誘
発できるマウスを作成すること
が不可能であり、このことが新
規ガン遺伝子の詳細な解析を妨
げていました。そのため、研究
グループは今回、ヒト胃組織幹
細胞を同定し、胃ガンの発生機
序を解明するためにマウス・ヒ
ト胃組織幹細胞にのみ発現する
マーカー遺伝子の特定を試みま
した。研究グループは、Lgr5遺
伝子を発現するマウス消化管幹
細胞の遺伝子発現パターンを詳
細に解析した結果、マウス・ヒ
トの胃幽門前庭部の組織幹細胞
に細胞表面蛋白質AQP5が特徴的
に発現していることを発見しま
した。これにより、抗体を用い
てヒトAQP5陽性細胞を単離する
ことが可能となり、それらの細
胞機能を検証した結果、ヒト胃
組織幹細胞を同定することに成
功しました。また、AQP5陽性胃
組織幹細胞でのみ選択的に遺伝
子変異を誘発できるマウスを開
発し、Wnt シグナル経路の活性
化によって生じる初期胃ガンの
進展に、組織幹細胞が深く関与
していることを明らかにしまし
た。変異の蓄積したAQP5陽性胃
組織幹細胞は、胃ガン幹細胞と
して振る舞うことも明らかにな
ったとしています。

今回の研究により、胃ガンの発
生段階におけるWnt シグナル経
路の関与が明らかとなり、同シ
グナル経路を標的とする治療薬
開発の重要性が示されました。
Barker博士は、「AQP5は膜蛋白
質であるため、抗体を用いて実
際の胃ガン検体からヒト胃ガン
幹細胞の単離が可能となる。が
ん幹細胞を単離できることで、
胃ガンの発生機序の詳細な解析
やガン幹細胞に対する薬剤スク
リーニングを行うことも可能と
なる」と、コメントしています。
同研究成果は、胃ガンの発生・
進展メカニズムの解明に貢献し、
治療標的の発見などを通して、
胃ガンに対する効果的な治療法
の開発につながることが期待さ
れます。

胃ガンの症状について解説して

いる動画です。

 
 


 
 
 研究成果を生家で盛夏にまと
める。          笑

 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
 
2】 難治性脳腫瘍の特徴的な染色体構造異常を発見

 
 
 
 
 
 
 
 名古屋大学は2月5日、小児や
若年成人に多い難治性の脳腫瘍
である「H3 K27M 変異型びまん
性正中部神経膠腫」(diffuse
midline glioma, H3 K27M-muta
nt:DMG)の全ゲノム解析を行い、
特徴的な染色体構造異常を発見
したと発表しました。これは、
同大大学院医学系研究科脳神経
外科学の前田紗知大学院生、大
岡史治助教、夏目敦至准教授ら
の研究グループによるものです。
研究成果は、英科学誌「Acta N
europathologica Communicatio
ns」に掲載されています。予後
不良な脳腫瘍である「神経膠腫」
は、小児期や若年成人期には脳
幹部等の中枢神経の中心部位に
発生することが多く、手術も困
難であり、極めて難治性の脳腫
瘍です。このタイプの神経膠腫
は、H3F3A 遺伝子のK27M変異を
認めることが多いとされていま
す。脳幹部等の中枢神経の中心
部位は重要な生命機能を司って
いるため、この腫瘍の組織を採
取することも困難です。近年、
DMG の分子研究は進みつつあり、
さまざまな遺伝子異常、エピゲ
ノム異常が見つかっていますが、
少数・少量の腫瘍検体で研究を
進めなければならない点が大き
な問題となっています。研究グ
ループと宮崎大学脳神経外科で
同定した計15例のDMG について、
ドロップレットデジタルPCR(d
dPCR) 解析を行ったところ、4
例でH3F3A K27M変異型アレル数
が、野生型アレル数よりも多く
なっていることが分かりました。
通常腫瘍細胞では2本のアレル
のうち1本のアレルのみに見ら
れることがわかっており(通常、
腫瘍組織から得られる全アレル
中、変異アレルの頻度は50%以
下)、この変異はH3F3A 遺伝子
がある1番染色体(長腕)の染
色体構造の異常と考えられたた
め、この4例の全ゲノム解析を
行いました。

染色体のコピー数解析と、1番
染色体上の大多数の人にみられ
る一塩基多型(Single Nucleot
ide Polymorphism: SNPs)の変
異アレル頻度解析を行い、ddPC
R解析によるH3F3A K27M 変異ア
レル頻度を用いて、染色体構造
解析を実施しました。その結果、
2例で1番染色体の短腕が1本、1
番染色体長腕が3本になってい
ました。さらに、1番染色体上
のSNPsの変異アレル頻度を解析
し、H3F3A K27M変異のアレル頻
度を組み合わせて解析を進めた
所、3本の1番染色体長腕は、1
例で3本ともにH3F3A K27M 変異
型となっていること、1例で2本
がH3F3A K27M変異型、1本はH3F
3A野生型であることが明らかに
なりました。

また、別の1例では、1番染色体
の染色体数には異常はありませ
んでしたが、SNPsの変異アレル
頻度、H3F3A K27M変異アレル頻
度から2本の1番染色体はいずれ
もH3F3A K27M変異であることが
分かりました。さらに別の1例
では、1番染色体長腕のH3F3A遺
伝子領域周辺の部分欠損があり、
残存している1番染色体長腕上
にH3F3A K27M変異があることも
分かりました。染色体短腕、長
腕のプローブを用いたFISH解析
でも、これらの症例は同様の結
果でした。また、この4例は、
その他の症例(低H3F3A K27M変
異アレル頻度群、以下低頻度群)
と比較して、変異型H3F3A 蛋白
質(H3 K27M)の発現が増加して
いること、エピゲノム機構の1
つであるヒストン修飾のH3K27m
e3レベルが減少していることも
分かりました。近年、さまざま
なガンで、特に重要な役割を果
たしているガン遺伝子では、変
異型アレルの増幅もしくは野生
型アレルの欠失により不均衡が
生じて変異型アレルが優位にな
る「Mutant Allele SpecificIm
balance(MASI)」という現象が
同定されています。特に、KRAS
という遺伝子の変異では膵臓が
んや大腸ガンにおいて、そのMA
SIが予後不良因子であることが
報告されています。同研究でも
H3F3A K27M変異にMASIがある4
症例は、低頻度群と比較して不
良な経過をたどることが明らか
になりました。「極めて予後不
良なDMG では、未だ有効性が証
明された標準治療は確立されて
いません。MASIが誘導する分子
異常を詳細に解明することで新
規治療標的を同定し、新規治療
法の開発につなげる」と、研究
グループは述べています。

神経膠腫について解説している

動画です。

 
 


 
 
 跡継ぎの商才を詳細に検討し
た。           笑

 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
 
編集後記

 
 
 金沢大学が、2月7日、傷付い
た胃の再生を担う組織幹細胞に
アクアポリン5(AQP5)遺伝子
が発現していることを突き止め、
ヒトの胃組織幹細胞を特定し、
それらの正常胃組織幹細胞に遺
伝子変異が蓄積することで胃が
ん幹細胞に変化することを明ら
かにしたと発表したのは偉大な
業績です。胃ガンは、日本を含
むアジアでの罹患率が高く、転
移・再発した場合の生存率が低
いとされており、悪性化した胃
ガンに対して有効な治療薬が開
発されていない理由として、が
ん組織幹細胞が特定されておら
ず、発ガンメカニズムの研究が
遅れていたことが挙げられると
いうことですから、今回の研究
成果で発ガンメカニズムが解明
されたことで飛躍的な治療成績
をもたらす治療薬の開発に期待
したいと思います。
 名古屋大学が2月5日、小児や
若年成人に多い難治性の脳腫瘍
である「H3 K27M 変異型びまん
性正中部神経膠腫」(diffuse
midline glioma, H3 K27M-muta
nt:DMG)の全ゲノム解析を行い、
特徴的な染色体構造異常を発見
したと発表したのは素晴らしい
業績です。予後不良な脳腫瘍で
ある「神経膠腫」は、小児期や
若年成人期には脳幹部等の中枢
神経の中心部位に発生すること
が多く、手術も困難であり、極
めて難治性の脳腫瘍ということ
ですから、染色体構造異常など
の治療法開発に結び付く、構造
異常を発見することが急務とさ
れていたと推察します。極めて
予後不良なDMG では、未だ有効
性が証明された標準治療は確立
されていないので、MASIが誘導
する分子異常を詳細に解明する
ことで新規治療標的を同定し、
新規治療法の開発につなげて頂
きたいものです。

 照明の有用性を証明した。笑

 
 
 
 
 
 
 
************************

このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

発行者名  医療法人永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト www.eitokukaisalanuma.or.jp/ ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。

 
 
このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント

コメント

コメントがありません。お気軽にどうぞ。