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2021-01-02 21:24:16

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診療マル秘裏話  号外Vol.1738 令和2年3月1日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
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目次

1)自閉症モデルマウス 脳機能異常可視化に成功と発表
2)日本人リー脳症患者の分子遺伝学的特徴と予後

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】 自閉症モデルマウス 脳機能異常可視化に成功と発表

 
 
 
 
 
 
 
 神戸大学は2月6日、無麻酔マ
ウスのfMRIを用いて自閉症モデ
ルマウスの脳機能異常の可視化
に成功したと発表しました。こ
れは、同大大学院医学研究科の
内匠透教授(理化学研究所脳神
経科学研究センターチームリー
ダー)、フランスニューロスピ
ンの釣木澤朋和研究員、メルボ
ルン大学らの国際共同研究グル
ープによるものです。米国科学
誌「Science Advances」に掲載
されています。

 自閉スペクトラム症(自閉症)
は、社会的相互作用やコミュニ
ケーションの欠如、活動・行動・
興味の限局・繰り返しを特徴と
する発達障害です。患者数は指
数関数的に増加しているにも関
わらず、的確な治療法は確立さ
れておらず、その病態解明は少
子化に悩む日本にとって喫緊の
課題です。自閉症のヒト遺伝学
および動物モデルの研究は急速
に進歩しており、自閉症動物モ
デルによる病態メカニズム解明
が期待されています。

 自閉症の原因として「コピー
数多型」と呼ばれるゲノム異常
が知られていますが、15q dup
マウスは、世界で最初のコピー
数多型によるヒト型自閉症モデ
ルマウスとして確立されました。
同モデルマウスは社会性行動、
シナプス、セロトニン等の異常
を示すことが分かっていました
が、脳全体の機能的結合に関し
ては、これまで詳細に調べられ
ていませんでした。

 全脳での脳機能計測を可能に
する技法として、機能的MRI(f
unctional MRI, fMRI )が挙げ
られます。しかし現在、マウス
fMRIは主に麻酔下で行われてい
ます。麻酔はfMRIの信号源であ
る神経活動に付随する脳局所血
流変化(Neurovascular coupli
ng)だけでなく、意識レベルも
低下させるため、マウス麻酔下
fMRIとヒト覚醒下fMRIでは比較
が難しいと考えられています。

 研究グループは、無麻酔fMRI
を遂行するため、マウス用の頭
部固定器具、送受信コイルおよ
びベッドを作成しました。撮像
中のストレスを極力抑えるため、
特殊な耳栓によりMRI 撮像中の
ノイズを遮断し、順化トレーニ
ング法を開発しました。匂い刺
激を提供する導管とマスクを頭
部固定装置に導入し、MRI 撮像
中に他者の匂いによる刺激を与
えました。健常マウスでは、他
者の匂い刺激により嗅球、青斑
核を含む領域や視床などの中継
核、そして記憶に関与する海馬
の活動上昇が見られました。一
方、15q dup マウスでは嗅球以
外の領域に活動が認められませ
んでした。

 さらに、安静時fMRIを用いて、
脳領域の機能的結合(function
al connectivity )を調べた所、
15q dup マウスでは広範囲に渡
って機能的結合の低下が認めら
れました。次に、これらの機能
異常が神経構造の異常によるも
のかどうか調べるため、拡散テ
ンソル画像Diffusion tensor i
maging (DTI)を用いて解剖学
的結合を調べました。15q dup
マウスでは解剖学的結合も広範
囲に低下しており、機能的結合
とある程度の相関が認められま
した。

 続いてD-cycloserine(DCS)
はグルタミン酸(NMDA)受容体
に作用し、自閉症患者の症状を
軽減するという研究報告がある
ことから、15q dup マウスにお
いても症状を軽減させるのか調
べました。その結果、DCS 投与
により社会的相互作用の異常が
軽減され、さらに、脳機能異常
も前頭野を中心として、部分的
にではあるものの改善すること
が分かりました。

 MRI の利点は、マウスからヒ
トまで同じ撮像法で非侵襲的に
計測が可能なことです。無麻酔
fMRIを用いることで、疾患モデ
ルマウスの認知機能に関する領
域の機能異常を計測することが
可能となり、ヒトの臨床MRI デ
ータと直接的に比較することが
可能となります。

 また、他の侵襲計測法(免疫
抗体染色、遺伝子改変、神経活
動記録など)と組み合わせるこ
とで、疾患による脳機能異常の
メカニズムを、遺伝子レベルか
らネットワークレベルまで包括
的に解明されることが期待され
ます。

fMRIを用いた脳科学の研究に

ついて解説している動画です。

 
 


 
 
 脳機能異常の以上のメカニズ
ムを解明。        笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 )日本人リー脳症患者の分子遺伝学的特徴と予後

 
 
 
 
 
 
 
 千葉県こども病院は2月6日、
日本人のリー脳症患者166 人の
分子遺伝学的な特徴と予後につ
いて分析を行い、原因遺伝子ご
との詳細な自然歴について、初
めて明らかにしたと発表しまし
た。この研究は、千葉県こども
病院遺伝診療センターの村山圭
センター長(同院代謝科部長/
千葉県ガンセンター研究所主任
医長)らの研究グループが、埼
玉医科大学、順天堂大学、日本
大学と共同で行ったものです。
研究成果は、先天代謝異常分野
で権威ある科学雑誌「Journal
of Inherited Metabolic Disea
se」に掲載されています。ミト
コンドリア病は5,000人に1人の
頻度で発症するエネルギー代謝
系の先天代謝異常症です。リー
脳症は小児期に発症するミトコ
ンドリア病の代表的な病型の1
つです。 乳幼児期に発症し、
精神運動の発達の遅れや退行を
示す難治性の慢性進行性の疾患
です。予後は不良で、発症後に
数年で死亡するとされています。
原因遺伝子は、ミトコンドリア
遺伝子だけでなく核遺伝子など
多岐に渡ります。しかしながら、
これまで日本におけるリー脳症
の長期的な予後は全く明らかに
なっていませんでした。166 例
のうち、調査時点で生存してい
たのは124 例であり、死亡が40
例、追跡不能が2例でした。生
存124例 を調査した時点におけ
る年齢は、中央値が8歳であり1
歳から39歳まで分布していまし
た。発症から調査時点または死
亡時点までの罹病期間の中央値
は、生存例で91か月、死亡例で
23.5か月でした。死亡40例の9
割が6歳までに亡くなっていま
した。生後6か月未満で発症し
た場合、生後6か月以降の発症
例と比較して有意に生存率が低
く、特に新生児期に発症した例
は、全例が死亡または寝たきり
でした。

原因遺伝子と予後について、原
因遺伝子の変異がわ分かってい
る103 例について分析した結果、
ミトコンドリア遺伝子のMT-ATP
6遺伝子(m.8993T>G変異)やMT
-ND5遺伝子の変異によるリー脳
症は予後が不良である一方で、
核遺伝子のECHS1遺伝子やSURF1
遺伝子、NDUFAF6 遺伝子の変異
によるリー脳症の予後は比較的
良いことが判明しました。発症
時期が予後にもたらす影響は、
原因遺伝子によっても異なるこ
とが分かりました。生存例の臨
床症状は多くの場合に重篤でし
たが、中には自発呼吸を維持し、
経口摂取が可能で、歩行できる
例もありました。研究グループ
は、「今回の報告は、日本で初
めて取りまとめられたリー脳症
の予後に関する大規模な報告で
あり、治療薬の開発や臨床試験
に必要な基礎的エビデンスを提
供するものである」と、述べて
います。

ミトコンドリア病について解説

している動画です。リー脳症も

ミトコンドリア病の一種です。

 
 


 
 
 木曽で堤防工事の基礎工事を
行う。          笑

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
 神戸大学が2月6日、無麻酔マ
ウスのfMRIを用いて自閉症モデ
ルマウスの脳機能異常の可視化
に成功したと発表したのは素晴
らしい業績です。自閉症スペク
トラム障害では、その発症原因
や治療法について謎であること
が多く、小児期に、見過ごされ
た大人の自閉症スペクトラム障
害の方が、苦労されることは、
皆さんご存じだと思います。し
かし、脳機能の異常がはっきり
している以上、将来、必ず治療
法が見つかるものと考えていま
す。しかし、治療法が見つかる
までは、障害に対する差別など
と闘っていかなければなりませ
ん。欠点を少なくし、長所を多
くする工夫を忘れてはならない
と思います。
 千葉県こども病院が2月6日、
日本人のリー脳症患者166 人の
分子遺伝学的な特徴と予後につ
いて分析を行い、原因遺伝子ご
との詳細な自然歴について、初
めて明らかにしたと発表したの
は、素晴らしい業績です。ミト
コンドリア病は、ミトコンドリ
ア機能が障害され、臨床症状が
出現する病態を総称しています。
ミトコンドリアはエネルギー産
生に加えて、活性酸素産生、ア
ポトーシス、カルシウムイオン
の貯蔵、感染防御などにも関わ
っているため、ミトコンドリア
病ではこれらの生物学的機能が
変化している可能性があります。
しかし、現在のところ、ミトコ
ンドリア病における機能異常の
主体はエネルギー産生低下と考
えられており、そのエネルギー
代謝障害による病態が基本です。

 昨日の機能異常について考え
る。           笑

 
 
 
 
 
 
 
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