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診療マル秘裏話  Vol.888 令和2年12月16日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
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目次

1)β2受容体作動薬が口腔ガン悪性化と腫瘍を抑制
2)トクヤマは、調光性能を高めた眼鏡レンズ材料を開発

 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 β2受容体作動薬が口腔ガン悪性化と腫瘍を抑制

 
 
 
 
 
 東京医科歯科大学は11月20日、
β2アドレナリン受容体作動薬
であるイソクスプリンが口腔ガ
ン細胞の悪性化と腫瘍形成を抑
制することを見出したと発表し
ました。これは、同大学院医歯
学総合研究科硬組織病態生化学
分野の渡部徹郎教授、井上カタ
ジナアンナ助教、榊谷振太郎大
学院生(顎口腔外科学分野)ら
と、同顎口腔外科分野の原田浩
之教授、生体材料工学研究所薬
化学分野の影近弘之教授との共
同研究によるものです。研究成
果は「Cancer Science」オンラ
イン版に掲載されています。

 口腔ガンでは早期から頸部リ
ンパ節に転移して急速に進行す
る悪性度の高いものがあり、遠
隔臓器への転移が主な死亡の原
因となっています。口腔ガンの
9割を占める口腔扁平上皮ガン
細胞はトランスフォーミング増
殖因子β(transforming growt
h factor-β:TGF-β) シグナ
ルにより上皮間葉移行(EMT)
を起こし、転移を起こします。
EMT は上皮系形質を有するガン
細胞がその細胞間結合性を失い、
高い運動能などの間葉系形質を
獲得するという、ガンの悪性化
を誘導するプロセスで、近年で
は完全に間葉系形質を獲得する
以前の部分的なEMT(partial E
MT)の状態が腫瘍形成能や薬剤
耐性を誘導するということが報
告されています。TGF-βシグナ
ルの阻害作用がある低分子化合
物は、ガン治療効果を有するこ
とが期待されている一方、正常
細胞の増殖を抑制する作用を持
つTGF-βシグナルを阻害するこ
とは正常細胞をガン化させるリ
スクを伴っています。このこと
から、TGF-βシグナルを阻害せ
ずに、EMT だけを抑制する新規
治療薬の開発が望まれていまし
た。

 ヒト口腔扁平上皮ガン細胞株
SAS では、TGF-βの添加により
EMT が起こる一方で、TGF-β阻
害剤により間葉系細胞の性質が
低下し、細胞の運動能が低下す
るという間葉上皮移行(MET)
が起こることが報告されていま
す。研究グループはこのSAS 口
腔ガン細胞株の特性を利用し、
生体材料工学研究所が有するラ
イブラリーを用いてEMT を誘導
する低分子化合物をスクリーニ
ングした結果、β2アドレナリ
ン受容体作動薬であるイソクス
プリン(イソクスプリン塩酸塩)
を同定しました。

 イソクスプリンは末梢血管拡
張作用や子宮鎮痙作用を示す薬
剤として、一般に用いられてい
ます。SAS 口腔ガン細胞株を用
いた解析により、イソクスプリ
ンがTGF-β阻害剤と同様にEMT
によって上昇する細胞運動能を
低下させることが明らかになり
ました。また、このEMT 抑制作
用がTGF-βシグナルを阻害する
ことによるものではないことも
示されました。イソクスプリン
はβ2アドレナリン受容体に結
合することが知られていますが、
イソクスプリンのEMT 抑制作用
がβ2アドレナリン受容体シグ
ナルを介することが、薬理学的
そして遺伝学的な解析を用いて
明らかになりました。

 さらに、個体レベルでの腫瘍
形成に対するイソクスプリンの
作用を検討するため、SAS 口腔
扁平上皮ガン細胞株を免疫不全
マウスの皮下に移植して腫瘍が
形成された後(移植後19日目)
にイソクスプリンの投与を開始
し、腫瘍体積を計測しました。
その結果、イソクスプリンを投
与したマウスにおける腫瘍形成
は、コントロール群と比較し
顕著に低下しました。

 近年、舌ガンを含む口腔ガン
による死亡者は増加しており、
有効な治療法の開発は急務とさ
れています。口腔ガンによる主
要な死因である転移を抑制でき
る治療法にはまだ有効なものが
なく、転移の原因となるEMT を
標的とした治療薬の開発が望ま
れていました。「これまでβ2
アドレナリン受容体シグナルを
活性化することで口腔扁平上皮
ガン細胞のEMT を抑制するとい
う報告はなく、今回の研究成果
はガン転移をはじめとしたさま
ざまな疾患の要因となるEMT の
分子機序解明に寄与するととも
に、EMT を標的とした場合の正
常組織のガン化という副作用の
リスクが少ない新たなガン治療
法の開発へ応用されることが期
待される」と、研究グループは
述べています。

 口腔ガンについて解説してい

る動画です。

 
 


 
 
 要員が足らないのが、失敗の
要因となった。      笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 トクヤマは、調光性能を高めた眼鏡レンズ材料を開発

 
 
 
 
 
 
 トクヤマは、調光性能を高め
た眼鏡レンズ材料を開発しまし
た。紫外線により発色するフォ
トクロミック化合物の色素など
を改良し、発色状態から無色に
戻るスピードを従来の2倍程度
に引き上げました。調光レンズ
の発色・退色の速度は需要家か
ら常に向上を求められるメイン
テーマの一つです。調光レンズ
を使った眼鏡はまぶしさや紫外
線の対策、網膜保護などの観点
から欧米で普及しており、年2
~3%の成長率で市場が拡大し
ているといわれています。一段
高い性能を提供することでシェ
ア拡大を狙っています。

 調光レンズの発色時の色はグ
レーやブラウンが一般的です。
発色させた際の濃い色を維持す
ることが、まぶしさを遮る性能
を左右します。熱エネルギーを
利用する退色反応の速度は色の
維持と相反することから、これ
らを両立した機能向上が課題と
なっていました。

 有機合成のノウハウを生かし
ました。発色する色は複数の色
素を組み合わせて作ります。ト
クヤマはオリジナルの色素を手
がけ、色素の分子設計を独自に
構築し特許を取得しました。色
の濃さを維持する機能は従来と
同等にとどめ、退色速度を上げ
ました。室温でレンズが無色に
戻る速さは世界最速級となりま
した。

 また、眼鏡レンズとしてあら
ゆる度数への加工に対応できる
強度、120~130℃ほどの
熱にさらされるハードコートの
硬化工程を前提とした耐熱性も
兼ね備えています。

 眼鏡用レンズの世界生産は年
10億枚ほどといわれ、このうち
調光レンズは10~15%程度を占
めるとみられています。欧米で
は紫外線などから子どもの目を
保護するためにサングラスを使
うことが習慣化しています。豪
州では小学校でサングラス着用
を義務化するなど、政府が対策
を打ち出す国もあり市場は成長
しています。

 国内での普及は道半ばです。
ただ、調光レンズは目に負担を
かけるパソコンやスマートフォ
ンのブルーライトに代表される
短波長の光をカットする機能も
備えており、新型コロナで在宅
勤務が増えるなか市場で受け入
れられる可能性が高まっていま
す。短波長の光に対しまぶしさ
を感じやすいシニア層を中心に、
外出やレジャーでのサングラス
着用も広がっており、普及の下
地は次第に整ってきています。

 同社の調光レンズ材料の世界
シェアはレンズ枚数ベースで15
%ほど。3~5年の開発サイク
ルで次世代モデル開発を進めて
おり、機能性の向上でさらなる
シェア獲得につなげる予定です。

 調光レンズについて解説して

いる動画です。

 
 


 
 
 昨日の機能性向上だけでは、
検査をパスできない。   笑

 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 東京医科歯科大学が11月20日、
β2アドレナリン受容体作動薬
であるイソクスプリンが口腔ガ
ン細胞の悪性化と腫瘍形成を抑
制することを見出したと発表し
たのは、素晴らしい業績です。
アドレナリンの受容体は、β1
とβ2があって、β1は心臓で
β2が気管支にあるとされてい
ます。そこで、気管支喘息の治
療薬としてβ2受容体作動薬が
使われます。ただし、β2の選
択性があるといっても、90%ぐ
らいなので、動悸など心臓の副
作用が稀にでることがあるので
注意が必要です。ただ口腔ガン
だけかもしれませんが、β2受
容体作動薬がガンに効くという
のは、初耳です。ガンに効かせ
る場合でも、気管支に作用させ
て喘息を治療する場合と同様に
心臓への副作用を考慮する必要
があると思います。
 トクヤマが、調光性能を高め
た眼鏡レンズ材料を開発したと
いうのは、素晴らしい業績です。
有機合成のノウハウを生かして
おり、発色する色は複数の色素
を組み合わせて作るというのは
オリジナリティあふれる開発だ
と考えられます。トクヤマはオ
リジナルの色素を手がけ、色素
の分子設計を独自に構築し特許
を取得しました。色の濃さを維
持する機能は従来と同等にとど
め、退色速度を上げたというの
は素晴らしいことです。室温で
レンズが無色に戻る速さは世界
最速級となったのも、独自技術
を切磋琢磨して初めてできるこ
とだと思います。同社の調光レ
ンズ材料の世界シェアはレンズ
枚数ベースで15%ほどであり、
3~5年の開発サイクルで次世
代モデル開発を進めており、機
能性の向上でさらなるシェア獲
得につなげる予定というのは、
目標設定がしっかりしていて、
頼もしい限りです。

 機能性の向上で、工場での生
産性を上げる。      笑

 
 
 
 
 
 
 
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