最近の号外Vol.1915メルマガ

  1. Home
  2. 最近の号外Vol.1915メルマガ

2021-07-26 21:50:38

カテゴリー:ブログ



藤田のブログランキングアップにご協力お願いします。
以下のバナーをぽちっとクリックお願いします。


病院・診療所ランキング

 
診療マル秘裏話  号外Vol.1915 令和2年9月24日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
目次

1)PD-L1がガン細胞免疫応答や炎症関与遺伝子調節
2)多発性硬化症は腸内細菌改善で症状緩和可能性

 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 PD-L1がガン細胞免疫応答や炎症関与遺伝子調節

 
 
 
 
 
 東京医科歯科大学は8月27日、
PD-L1 が乳ガンをはじめとする
さまざまなガン細胞の核内にて
免疫応答や炎症反応に関わる遺
伝子の転写誘導を制御している
ことを明らかにし、その制御機
構をつきとめたと発表しました。
この研究は、同大難治疾患研究
所分子遺伝分野の三木義男教授
らの研究グループが、ハーバー
ド大学医学大学院ベス・イスラ
エル・ディーコネス・メディカ
ルセンターのWenyi Wei 教授、
同大ダナ・ファーバーガン研究
所のGordon J. Freeman教授、P
iotr Sicinski 教授、国立ガン
研究センター研究所の尾野雅哉
博士との共同研究として行った
ものです。研究成果は、「Natu
re Cell Biology 」のオンライ
ン版に掲載されており、同誌内
の「news&views」にも取り上げ
られています。ガン細胞は免疫
チェックポイント分子とそのリ
ガンドの結合を介して、免疫細
胞に免疫抑制シグナルを伝達す
ることで免疫細胞の増殖・活性
化を抑制し、その結果として、
免疫系による排除機構から回避
し、生体内での増殖を可能とし
ます。免疫チェックポイント蛋
白質PD-L1 はガン細胞上に発現
し、免疫細胞に発現するPD-1の
リガンドとして免疫抑制シグナ
ルを伝達します。 PD-1やPD-L1
に対する抗体薬によってこれら
の分子の機能を抑制するという
アプローチは、ガン細胞による
免疫細胞への機能抑制の解除を
促し、ガン細胞の排除につなが
ることがさまざまな研究結果に
よって示されています。しかし、
このような免疫チェックポイン
トを標的とした単剤での治療成
績には限界が認められているこ
とから、現在では抗PD-1/PD-L1
抗体と細胞障害性抗ガン薬や分
子標的薬との併用療法による臨
床試験が進められています。ま
た、PD-1/PD-L1を標的とした抗
体薬の抗腫瘍効果は他の免疫チ
ェックポイント分子を標的とし
たものと比べ有効性が高いこと
から、研究グループはPD-L1 が
「PD-1のリガンド」としての機
能以外にも何らかの別の機能を
有しているのではないかと考え、
PD-L1 のガン細胞内での機能に
焦点をあて解析を進めました。
ユビキチン化やアセチル化など
によるリジン残基の翻訳後修飾
は、蛋白質の発現調節や細胞内
の局在制御に関与します。PD-L
1 はユビキチン化による発現制
御を受けることが報告されてお
り、PD-L1 の細胞内ドメイン内
には5つのリジン残基が存在す
ることから、研究グループはPD
-L1 がアセチル化修飾を受ける
のではないかと仮説を立て、そ
の検証を行いました。その結果、
PD-L1 はp300によるアセチル化
とHDAC2 による脱アセチル化に
よって263 番目のリジン残基の
アセチル化が制御されているこ
とを発見しました。また、細胞
分画法による解析より、ガン細
胞に限らずさまざまな細胞でPD
-L1 の核内での発現が認められ、
HDAC2 阻害剤の添加によってPD
-L1 の核内移行が抑制されるこ
とが判明しました。さらに、核
内に発現するPD-L1 のアセチル
化レベルは細胞膜上に発現する
PD-L1 に比べ低いことから、細
胞膜上に発現するPD-L1はHDAC2
による脱アセチル化が引き金と
なり核内へと局在を変えること
が示唆されました。

PD-L1 の核内移行の分子機構は
これまでにほとんど明らかにな
っていなかったため、質量分析
解析を行ったところ、新規PD-L
1 会合蛋白質としてエンドサイ
トーシスに関わるClathrinやAd
aptin 分子、細胞内蛋白質輸送
を促す分子であるVimentin、核
内移行の制御因子であるImport
inファミリー分子を同定しまし
た。さらに、PD-L1 は脱アセチ
ル化された細胞内ドメインを介
してこれらの細胞内輸送・局在
制御因子と結合し、細胞膜上か
らエンドサイトーシス・細胞質
輸送、そして核内へと局在を変
えることが明らかとなりました。
続いて研究グループは、核内で
のPD-L1 の機能を明らかにする
ために、PD-L1 ノックアウト細
胞を用いて、PD-L1 の存在の有
無によって発現が変動する遺伝
子群の探索を試みました。その
結果、免疫応答に関与する遺伝
子群、NF-κBパスウェイ関連遺
伝子、インターフェロンγパス
ウェイ関連遺伝子などの免疫応
答に関与する遺伝子群がPD-L1
による発現誘導を受けることが
明らかとなりました。培養細胞
を用いた実験下において、PD-L
1 自身がDNA への結合能を持つ
ことが明らかとなったことから、
PD-L1 は核内において直接、こ
れらの遺伝子群の発現制御に関
わっていることが示唆されまし
た。また、マウスを用いた解析
では、HDAC2 阻害剤を抗PD-1治
療薬と共に投与することで、抗
PD-1治療薬による抗腫瘍効果の
増強が認められました。このこ
とから、PD-L1 の脱アセチル化
酵素の阻害剤は抗PD-1治療薬と
の併用療法に有効であることが
示唆されました。

今回の研究によって、細胞膜上
に発現していると考えられてい
たPD-L1 が、細胞質ドメインの
リジン残基の脱アセチル化によ
って、さまざまな細胞内局在の
制御因子との会合を可能とし、
その結果、核内へと移行するこ
とが明らかとなりました。そし
て、核内に移行したPD-L1はDNA
に直接結合し、免疫応答や炎症
に関わる遺伝子の転写誘導を制
御していることが世界に先駆け
て明らかにされました。この核
内での機能はPD-L1 がガン微小
環境の形成に関わっていること
を示唆していると考えられます。
また、マウスを用いた解析によ
り、HDAC2 阻害剤による核内移
行の阻害は、抗PD-1治療薬によ
る抗腫瘍効果を増強させること
が明らかとなりました。このこ
とから研究グループは、「PD-L
1 の局在制御を標的とした阻害
剤が抗PD-1治療薬との併用治療
の新たな選択肢となることが期
待できる」と、述べています。

ガン炎症性微小環境についての

動画です。

 
 


 
 
 
 警世の書で世論を形成する。


 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
 
2】 多発性硬化症は腸内細菌改善で症状緩和可能性

 
 
 
 
 
 
 脳や脊髄(せきずい)といっ
た中枢神経系の炎症によって、
視力の低下や手足のしびれなど
が起きる難病「多発性硬化症」
と「腸内細菌」のかかわりが注
目されています。国内で8月、
相次いで論文が発表され、腸内
細菌をコントロールすることで
病気の発症をゆるやかにできる
可能性があるということです。

 神経を覆うカバーの「髄鞘(
ずいしょう)」には、神経の情
報を早く伝える役割があります。
多発性硬化症は、自分自身の免
疫の細胞によって髄鞘が攻撃さ
れ、神経の情報が伝わりにくく
なる病気で、30歳前後で発病す
ることが多いとされています。
40年ほど前の国内の患者数は約
1千人でしたが、急増していま
は国内で約2万人とされていま
す。再発を繰り返す特徴があり、
薬によって症状を抑えられる人
が増えましたが、患者さんの2
~3割は進行して薬が効かず、
脳が萎縮したり歩行が難しくな
ったりします。

 ヒトの腸内には、1千種類、
数十兆個とも言われる腸内細菌
がいます。腸内細菌のバランス
の乱れが病気やアレルギーとか
かわっていることが近年、分か
ってきました。

 理化学研究所などの研究チー
ムは8月27日、小腸にいる2種
類の腸内細菌が炎症を促すこと
をマウスを使った実験で明らか
にしたとする論文を、英科学誌
「ネイチャー」に発表しました。

 理研の大野博司チームリーダ
ー(腸管免疫学)らは、同じ条
件で育てたマウスに、4種類の
抗生物質のいずれかをのませて
腸内細菌のバランスを変えた後、
多発性硬化症と似た病気を再現
させました。抗生物質によって
「エリシュペロトリカセエ科」
に属する新種の腸内細菌が小腸
内からいなくなったマウスだけ
が、炎症反応を抑えられました。
また、体内に細菌などの微生物
が存在しない「無菌マウス」を
使った実験では、新種の腸内細
菌だけが腸内にあるときよりも、
マウスの小腸内に最も多くいる
乳酸菌の一種も同時にいるとき
のほうが、炎症が悪化しました。

 通常、自分の細胞を攻撃する
免疫細胞は排除されますが、わ
ずかに残った免疫細胞を乳酸菌
の一種が増やしてしまい、新種
の細菌が病原性を高めてしまう
という相乗効果で、炎症を促し
ている可能性が高いということ
です。

 大野チームリーダーは「人は
生活スタイルがばらばらで腸内
細菌の組成も様々だが、今回マ
ウスで見つかった細菌と同じよ
うな役割を果たす腸内細菌が人
にもいるのではないか」と話し
ています。

 国立精神・神経医療研究セン
ターなどの研究チームも8月25
日、健康な人と1薬が効く段階
の患者さん2病状が進行して薬
が効きにくい患者さんの便を比
べ、どういう腸内細菌がいるか
調べ、米科学アカデミー紀要に
発表しました。

 研究チームは腸内細菌を網羅
的に調べる方法などを使い、炎
症反応を抑える免疫細胞とのか
かわりが知られる「酪酸」をつ
くる腸内細菌が健康な人に比べ
て1で顕著に減っていることを
明らかにしました。さらに2で
は1よりも腸内で、老化にも深
く関わる「酸化ストレス」が起
きていることを示す化学物質が
増えていることが分かりました。

 同センターの山村隆特任研究
部長(免疫学)は「多発性硬化
症は急激に患者が増えている病
気で、食の欧米化との関連も指
摘されている。食品を利用し、
腸内細菌を制御して症状を抑え
る研究につながる」と話してい
ます。

多発性硬化症について解説して

いる動画です。

 
 


 
 
 傘下の企業で酸化ストレスが
問題になる。       笑

 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
 
編集後記

 
 東京医科歯科大学が8月27日、
PD-L1 が乳ガンをはじめとする
さまざまなガン細胞の核内にて
免疫応答や炎症反応に関わる遺
伝子の転写誘導を制御している
ことを明らかにし、その制御機
構をつきとめたと発表したのは
素晴らしい業績です。 今回の
研究によって、細胞膜上に発現
していると考えられていたPD-L
1 が、細胞質ドメインのリジン
残基の脱アセチル化によって、
さまざまな細胞内局在の制御因
子との会合を可能とし、その結
果、核内へと移行することが明
らかとなり、この核内での機能
はPD-L1 がガン微小環境の形成
に関わっていることを示唆して
いるということですから、PD-L
1 の局在制御を標的とした阻害
剤が抗PD-1治療薬との併用治療
の新たな選択肢となることを期
待したいと思います。
 脳や脊髄(せきずい)といっ
た中枢神経系の炎症によって、
視力の低下や手足のしびれなど
が起きる難病「多発性硬化症」
と「腸内細菌」のかかわりが注
目されているということで腸内
細菌をコントロールすることで
病気の発症をゆるやかにできる
可能性があるということは喜ば
しいことです。多発性硬化症は
急激に患者さんが増えている病
気で、食の欧米化との関連も指
摘されています。食品を利用し、
腸内細菌を制御して症状を抑え
る研究に是非繋げて頂きたいも
のです。ただ非常に興味がある
のは、腸内細菌叢の環境が悪く
なるとどうして、神経の脱髄に
つながるのかという点です。脳
腸相関とは、生物にとって重要
な器官である脳と腸がお互いに
密接に影響を及ぼしあうことを
示すとされています。この腸内
相関こそが、多発性硬化症では、
病気のメカニズムを指し示して
いるのではないかと個人的には、
考えています。

 重要な器官について研究する
基幹の機関。       笑

 
 
 
 
 
 
 
************************

このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

発行者名  医療法人永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト www.eitokukaisalanuma.or.jp/ ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。

 
 
このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント

コメント

コメントがありません。お気軽にどうぞ。