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2021-07-09 21:59:10

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診療マル秘裏話  号外Vol.1899 令和2年9月5日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
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目次

1)多発性骨髄腫BUB1過剰発現が難治病態形成促進
2)アドレナリンが保湿蛋白フィラグリンの遺伝子発現量低下

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
1】 多発性骨髄腫BUB1過剰発現が難治病態形成促進

 
 
 
 
 
 
 
 京都府立医科大学は8月11日、
多発性骨髄腫において、有糸分
裂チェックポイント分子である
BUB1の過剰発現が腫瘍細胞の染
色体不安定性を亢進し、難治病
態形成を促進していることを解
明したと発表しました。この研
究は、同大大学院医学研究科血
液内科学の黒田純也教授、分子
診断治療センターの谷脇雅史特
任教授の研究グループによるも
のです。研究成果は、「Cancer
s 」に掲載されています。染色
体異常や遺伝子の異常は、ガン
の発生とクローン性進化の根幹
を担うイベントです。ガン細胞
は1つの細胞の中に多くの染色
体異常や遺伝子異常を同時に有
し、その中にはガンの発生や悪
化を直接的に促進するものと(
ドライバー変異)、機能的な意
義の乏しいもの(パッセンジャ
ー変異)が混在しています。そ
して、こうした多くの異常は、
最初から全てガン細胞内に存在
するわけではなく、最初に「創
始者変異」と呼ばれる1つの異
常が細胞に加わることでガン細
胞の元になるクローンが発生し、
これに加えて、細胞が増えたり
生き残ったりするのに好都合な
「ドライバー」として働く付加
的・二次的な染色体異常や遺伝
子異常が経時的・段階的に加わ
ります。より悪性度の高いクロ
ーンが派生・増殖することで「
ガン」として成立し、さらに、
より高悪性度で治療抵抗性のサ
ブクローンが発生するという、
ガンの病態形成の過程が明らか
になってきました。また、遺伝
子変異が生じるメカニズムにつ
いても、多くのことが明らかに
なってきています。しかし、ガ
ン細胞の染色体異常の獲得過程
は、未知の領域です。

1つの染色体には、多くの重要
な遺伝子が含まれているため、
本来、染色体異常が生じた細胞
は生き残ることも増えることも
困難であり、細胞死に陥るはず
です。しかし、なぜ、ガン細胞
では染色体不安定性が高度であ
り染色体異常が生じるのでしょ
うか、なぜ染色体異常を獲得し
た細胞が生き残り、むしろ、高
度悪性形質を有する細胞として
増殖優位性を獲得しうるのかは、
「ガンのバイオロジー」を理解
するための重要な課題として残
されてきました。多発性骨髄腫
は血液腫瘍の中で2番目に多い
疾患であり、高齢化社会におい
て有病率は増加の一途にありま
す。近年、治療薬の進歩は目覚
ましいものがありますが、従来、
極めて難治性であり、今も完治
を得ることは容易ではなく、予
後の改善をもたらす治療戦略の
開発が求められています。骨髄
腫では、染色体異常の獲得が初
期の病態形成と悪性形質の高度
化の両者において極めて重要で
すが、そのメカニズムには不明
点が多く残されてきました。特
に再発状態や、治療抵抗性獲得
状態など難治状態では、治療初
期には認めなかった高度の染色
体異常が獲得されていることが
しばしばであることから、クロ
ーン性進展によって病態悪化を
もたらす染色体異常の獲得機序
そのものを明確にし、その克服
戦略が確立できれば、疾患悪化
を抑制することが出来る可能性
があるものと期待されてきまし
た。
1つの細胞が2つの細胞に分裂
することで細胞は増殖します。
この時、新しい細胞には元の細
胞と同じ量、同じ質の染色体が
等しく分配される必要があるた
め、細胞分裂前には染色体は倍
に増加し、これが正しく二等分
されるために多くの細胞分裂制
御分子が協調的に働くことが重
要です。BUB1は、本来、そのよ
うな過程で重要な役割を果たす
有糸分裂チェックポイント分子
ですが、今回の研究では、多発
性骨髄腫において、病勢進行と
ともにBUB1が正常の数倍以上に
過剰発現し、むしろ、細胞分裂
における染色体分配エラーを許
容すること、ならびにそうした
細胞のクローン性増殖を促進す
ることが明らかになりました。
つまり、BUB1は適度の発現レベ
ルであってこそ正しく機能する
ことが可能であり、過剰発現す
ると、むしろ染色体不安定性の
亢進によって、より高度悪性形
質を有する腫瘍細胞の発生に一
役買ってしまうことが判明した
わけです。

今回の成果について研究グルー
プは、「多発性骨髄腫の多段階
進展、クローン性進化の分子メ
カニズムの一端を明らかにした
点で重要であり、BUB1、ならび
に関連分子の制御が、疾患の高
度悪性化を防ぐ突破口となる可
能性を示したものと期待される」
と、述べています。

多発性骨髄腫について解説して

いる動画です。

 
 


 
 
 一反木綿の一端を掴む。笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 アドレナリンが保湿蛋白フィラグリンの遺伝子発現量低下

 
 
 
 
 
 
 
 シーボンはホルモンの一種「
アドレナリン」が、肌の保湿な
どにかかわる蛋白質「フィラグ
リン」の遺伝子発現量を低下さ
せることを見いだしました。化
粧品原料メーカーであるテクノ
ーブル(大阪市西区)との共同
研究です。アドレナリンが神経
成長因子「NGF」を介して、
フィラグリンに働きかけること
が分かりました。カラー由来の
エキスが、フィラグリン遺伝子
の発現量低下を抑制することも
確認しています。今後は、アド
レナリンによる乾燥やかゆみな
どから肌を守る製品開発が期待
されます。

 両社は、ストレス負荷時に経
験するかゆみや乾燥といった皮
膚症状と、全身性ストレス反応
に起因するアドレナリン分泌と
の関連性に着目しました。アド
レナリンが皮膚に与える影響を
調べることにしました。

 まず、培養した正常ヒト表皮
角化細胞にアドレナリンを添加
しました。かゆみ伝達にかかわ
るNGF遺伝子の発現量増加が
確認できました。その際、天然
保湿因子の素となるフィラグリ
ン遺伝子の発現量低下もみられ
たということです。ここから、
アドレナリンによってNGFが
産生されることで、フィラグリ
ン遺伝子の発現量が低下する可
能性があると考えました。

 続けて、アドレナリンと同時
にNGF阻害剤を表皮角化細胞
に添加して培養しました。フィ
ラグリン遺伝子の発現量低下が
抑制されたため、アドレナリン
はNGFを介してフィラグリン
遺伝子の発現量を低下させると
見ています。

 さらに、フィラグリン遺伝子
の発現量低下を抑制する成分も
探索しました。カラーの花から
酵母を採取・培養して得られた
エキス「HCY」が有用である
ことを見いだしました。

 研究成果は今夏、ウェブ上で
開催された「第119回日本皮
膚科学会総会」で発表しました。

フィラグリンについて解説して

いる動画です。

 
 


 
 
 
 会議で発現量低下について、
発言する。        笑

 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
 京都府立医科大学が8月11日、
多発性骨髄腫において、有糸分
裂チェックポイント分子である
BUB1の過剰発現が腫瘍細胞の染
色体不安定性を亢進し、難治病
態形成を促進していることを解
明したと発表したのは、喜ばし
いことです。BUB1は適度の発現
レベルであってこそ正しく機能
することが可能であり、過剰発
現すると、むしろ染色体不安定
性の亢進によって、より高度悪
性形質を有する腫瘍細胞の発生
に一役買ってしまうことが判明
したということです。この過剰
発現こそが、腫瘍発生の大元で
あるという気がします。 BUB1、
ならびに関連分子の制御が、疾
患の高度悪性化を防ぐ突破口と
なる可能性を追求して頂きたい
ものです。ただその可能性を追
い求めるのは、一朝一夕には、
できず。長い時間を要するもの
と考えています。
シーボンはホルモンの一種「
アドレナリン」が、肌の保湿な
どにかかわる蛋白質「フィラグ
リン」の遺伝子発現量を低下さ
せることを見いだしたというの
は、素晴らしい業績です。アド
レナリンは、血管を収縮させて、
血圧を上げたり、血行を悪くし
たりする働きがあります。フィ
ラグリンの遺伝子発現量を低下
させることも、保湿を妨げると
思いますが、血行が悪くなって
も保湿は妨げられると考えます。
このように、ホルモンという物
質は、少量で多方面の働きがあ
ることが多く、その解析が困難
ということも時々あります。一
面をとって理論づけをするのが
元々、難しいのかもしれません。
ただ、フィラグリンの遺伝子の
発現量を低下させることで確実
に保湿力が妨げられることは、
事実だと思います。

 血行が悪くなって結構と啖呵
を切った。        笑

 
 
 
 
 
 
 
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