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2019-05-18 01:27:33

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診療マル秘裏話    号外Vol.1227 平成30年7月14日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
 
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目次

1)核酸医薬を静脈注射で、脳内に送達する新技術
2)低出力パルス波超音波が、認知機能低下を抑制

 
 
 
 
 
 
 
 
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医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
 
1】 核酸医薬を静脈注射で、脳内に送達する新技術

 
 
 
 
 
 
 
 
 
東京医科歯科大学などの研究
グループは核酸医薬を静脈注射
によって脳内に送達する新技術
を開発しました。脳の血管内皮
細胞は密着結合し、これを「血
液脳関門」と呼んでいます。分
子量の大きい薬剤はこの関門を
通過できず、中枢神経系に作用
する新薬開発の障壁でした。研
究陣は血管細胞の結合を抑制し、
広げた関門から核酸を通過させ
る技術を見いだしました。認知
症など神経難病の治療薬開発へ
の応用が見込める研究成果です。

血液脳関門は、2つおよび3
つの血管内皮細胞による、密着
結合の2種類が存在し、研究グ
ループは、密着結合を構成する
蛋白質「アンギュリン1」を制
御する蛋白質断片「アンギュビ
ンディン1」が発見された3細
胞間の密着結合に着目しました。

この蛋白質断片を蛍光標識し
てマウスに静脈注射した所、脳
血管内皮細胞のアンギュリン1
に接着しました。次に蛍光色素
で標識したアンチセンス核酸を
静脈注射したところ、核酸が脳
や脊髄の神経細胞に到達してい
ることが確認されました。定量
評価においても、蛋白質断片を
投与しない群は脳への核酸の到
達量がほとんどみられないのに
対し、投与群は多量の到達が認
められました。

同様の仕組みで蛍光標識をし
ないで、蛋白質断片、核酸の順
で静脈注射したところ、脳、頸
髄、腰髄のいずれにおいても蛋
白質断片の非投与群に比べて約
40%の標的RNA(リボ核酸)
の発現抑制を示しました。

研究陣によると、脳血管内皮
細胞間の密着結合を制御して、
薬物を脳に送達する研究成果は
世界で初めてということです。
日本で昨年承認されたアンチセ
ンス核酸の「スピンラザ」は脳
脊髄液腔に投与し脊髄性筋萎縮
症を治療するもので、神経難病
の根本治療の可能性が高まって
きました。静脈注射が可能にな
れば、認知症等より多くの神経
難病の新薬開発に道が開けます。

血液脳関門についてのクイズを

解説している動画です。

 
 


 
 
 
蛍光標識の薬剤を携行する。


 
 
 
 
 
 
 
 
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2】 低出力パルス波超音波が、認知機能低下を抑制

 
 
 
 
 
 
 
 
 
東北大学は6月19日、低出力
パルス波超音波がマウスのアル
ツハイマー型認知症モデルにお
いて認知機能低下を抑制する可
能性があることを見出し、この
6月より世界で初めて臨床の現
場で探索的医師主導治験を開始
すると発表しました。この研究
は、同大学大学院医学系研究科
循環器内科学分野の下川宏明教
授、進藤智彦助教、江口久美子
医師、同大学加齢医学研究所老
年医学分野の荒井啓行教授らの
研究グループによるものです。
同治験は、医薬品医療機器総合
機構(PMDA)からの指導を受け
て行われ日本医療研究開発機構
(AMED)の革新的医療シーズ実
用化研究事業において、課題名
「認知症に対する経頭蓋超音波
治療装置の開発」で支援を受け
て実施されます。

現在、アルツハイマー型認知症
に対する治療の主流は、家族や
介護者からの支援的ケアといわ
れており、内服薬としてはコリ
ンエステラーゼ阻害薬やグルタ
ミン酸拮抗薬が用いられます。
これらの薬剤は根本的な治療薬
ではなく、神経伝達物質に作用
する症状改善薬といわれていま
す。 この症状改善薬に対して、
アルツハイマー型認知症を根本
的に治療できる可能性をもった
疾患修飾薬の開発が急務となっ
ています。

低出力パルス波超音波(low-in
tensity pulsed ultrasound:L
IPUS)は細胞・組織障害が非常
に少ない低侵襲治療としてさま
ざまな分野で注目され始めてい
ます。研究グループは、狭心症
や心筋梗塞などの虚血性心疾患
において超音波が血管内皮細胞
表面の窪み構造(カベオラ)を
伸展させることで、細胞膜表面
の機械刺激受容体を刺激し、内
皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)
の発現および血管新生を誘導す
ることを報告しました。

また、LIPUS を全脳に照射する
と進行性の認知機能低下が抑制
される可能性があることを、マ
ウスを用いた2つの認知症モデ
ルから見出しました。アルツハ
イマー型認知症の動物モデルで
は、その二大病理のひとつであ
るアミロイドβの蓄積を有意に
減少させたということです。こ
の治療法は、物理刺激を用いた
革新的なアプローチであり薬物
では通過しにくい血液脳関門の
影響を全く受けることなく十分
な治療効果を得る事ができます。

これらの成果をもとに、研究グ
ループは企業と連携して経頭蓋
超音波治療装置を開発しました。
2018年6月から、軽度アルツハ
イマー型認知症患者さんを対象
として、プラセボ治療群を対照
群とする、単施設盲検無作為化
比較試験(探索的医師主導治験)
を東北大学病院で開始します。
治療は3か月毎に行い、全観察
期間は18か月です。主な有効性
評価項目は、認知機能試験(MM
SE、ADAS-J cog、CDR/CDR-SB)
と行動試験(NPI-Q、Zarit)で、
安全性の評価として,頭部MRI検
査を実施する予定としています。

この治験の結果をもとに、将来
的には検証的治験の実施、薬事
承認申請を目指します。同治療
法の有効性が認められれば世界
初のアルツハイマー型認知症に
対する「疾患修飾療法」として、
革新的な治療装置となることが
期待される、と研究グループは
述べています。

このニュースのニュース動画で

す。

 
 


 
 
疾患修飾療法に関する知識を
使って、就職する。笑

 
 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
 
 
核酸医薬を静脈注射によって
脳内に送達する新技術を開発し
たのは、偉大な業績です。従来
血液脳関門は、特定の分子しか
通してくれず、そのためパーキ
ンソン病の治療薬は、ドーパミ
ンの先駆体であるL-DOPAを投与
しています。いわば、パーキン
ソン病の治療で、ドーパミンそ
のものを静脈注射して、血液脳
関門を通過させるようなもので
す。 脳血管内皮細胞間の密着
結合を制御して薬物を脳に送達
する研究成果は世界で初めてと
いうことですから、いかに優れ
た研究成果であったか想像でき
ます。
低出力パルス波超音波が、マ
ウスのアルツハイマー型認知症
モデルにおいて認知機能低下を
抑制する可能性があることを見
出し、この6月より世界で初め
て臨床の現場で探索的医師主導
治験を開始すると発表したのは、
素晴らしい業績です。 低出力
パルス波超音波がそのような力
があるとは、認知しておりませ
んでした。超音波と言えば胎児
の発育を見るほど、体には影響
がないと教わってきたので本当
に意外でした。以前のメルマガ
にも書いた通り、根本的治療を
薬剤で目指すことを困難と判断
して製薬会社が薬剤開発の撤退
を表明している最中です。薬剤
投与ではなく物理刺激を用いた
革新的なアプローチであり薬物
では通過しにくい血液脳関門の
影響を全く受けることなく十分
な治療効果を得るという本当に
素晴らしいエレガントな治療法
と言えましょう。

仮想通貨の検査の不法通過が
あったことを認める。笑

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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