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2022-05-02 20:19:46

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診療マル秘裏話  号外Vol.2155 令和3年7月1日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
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目次

1)「短鎖脂肪酸」が前立腺ガンの増殖を惹起する
2)子宮腺筋症不妊発症メカニズムの一端を解明と発表

 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
1】 「短鎖脂肪酸」が前立腺ガンの増殖を惹起する

 
 
 
 
 
 
 近畿大学(近大)と大阪大学(
阪大)は5月27日、腸内フローラ
が作り出す物質である「短鎖脂
肪酸」が、前立腺ガンの増殖を
引き起こすことを明らかにした
ことを発表しました。

 同成果は、近大医学部泌尿器
科学教室の藤田和利准教授、阪
大大学院 医学系研究科 泌尿器
科学の松下慎大学院生、米・ア
ラバマ大学の研究者も参加した
国際共同研究チームによるもの
です。詳細は、ガンに特化した
国際学術誌「Cancer Research」
にオンライン掲載されました。

 前立腺ガンは、近年高齢化と
ともに発症数が増加し、国内で
は男性で最も多いガンとなりま
した。食生活と密接に関連する
ガンでもあり、日本における近
年の罹患率上昇は、高脂肪食を
特徴とする欧米型食生活の普及
が一因であるといわれています。

 一方、腸内フローラやその代
謝産物は、大腸ガンなどのさま
ざまな疾患に関与することが最
近報告されており、新たな治療
ターゲットとして脚光を浴びて
いるということです。ヒトの腸
内には40兆もの細菌が棲み着い
ており、それらの細菌が形成す
る細菌叢を腸内フローラといい
ます。次世代シークエンサーの
登場により、遺伝子を基にした
細菌叢全体の解析が可能になっ
たことで、飛躍的に理解が深ま
っており、ヒトにとって腸内フ
ローラが重要であることが分か
ってきています。

 前立腺ガン患者さんは、その
腸内フローラが特異であること
が報告されており、これまで前
立腺ガンとの関連が示唆されて
きました。実際、国際共同研究
チームもこれまでの研究におい
て、前立腺ガンモデルマウスに
高脂肪食を投与して肥満になる
と、前立腺ガン増殖が促進され
ることを確認しているというこ
とです。しかし、腸内フローラ
と前立腺ガンが関連するメカニ
ズムそのものについては明らか
になっていませんでした。

 そこで国際共同研究チームは
今回、高脂肪食を投与して肥満
状態にした前立腺ガンモデルマ
ウスに抗生物質を投与して、腸
内フローラを変化させることを
試みました。すると短鎖脂肪酸
を作る腸内細菌が減少し、便中
の短鎖脂肪酸量も減少しました。
それが宿主であるマウスに作用
し、血中とマウスの前立腺ガン
中のホルモン「IGF-1」 が低下
することが確認されたのです。

 短鎖脂肪酸とは、酪酸、酢酸、
プロピオン酸など、炭素が2~4
個ほどの脂肪酸のことを指して
いいます。大腸で腸内細菌によ
り産生され、大腸ガンの予防効
果や糖尿病や肥満の予防効果が
報告されています。またIGF-1
とは、成長ホルモンにより肝臓
や筋肉などで産生され、体の成
長に重要な役割を果たすホルモ
ンのことです。

 一方、これらのマウスに短鎖
脂肪酸を補充すると、血中のIG
F-1 は増加し、前立腺ガンの増
殖が促進されることが明らかと
なりました。これによって、腸
内細菌の産生する短鎖脂肪酸が、
IGF-1 を介して前立腺ガン増殖
を促進することが判明したので
す。

 また肥満患者さんの前立腺全
摘標本を用いて、免疫組織化学
染色によりIGF-1 の発現の調査
が行われました。すると、ヒト
でも肥満患者さんの前立腺ガン
組織で非肥満患者と比べてIGF-
1 が増加しており、マウスと同
様のメカニズムが存在すること
が示唆されたということです。

 今回の研究成果は、腸内フロ
ーラをターゲットとした、前立
腺ガンの新規予防法・治療法の
開発につながると期待されると
しています。

 前立腺ガンについて解説して

いる動画です。

 
 


 
 
 町内の人の腸内フローラを調
査する。         笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 子宮腺筋症不妊発症メカニズムの一端を解明と発表

 
 
 
 
 
 
 京都府立医科大学は6月4日、
子宮腺筋症が及ぼす不妊発症メ
カニズムの一端を解明したと発
表しました。この研究は、同大
附属病院臨床研究推進センター
のカーン・カレク准教授、同大
の北脇城名誉教授らの研究グル
ープによるものです。研究成果
は、「Human Reproduction」に
掲載されています。

 子宮腺筋症は、子宮筋層内に
子宮内膜腺管様組織が存在する
疾患で、慢性骨盤痛、月経困難
症、過多月経、貧血などの症状
を有する疾患です。子宮腺筋症
は性成熟期後半に好発するため、
以前は不妊症との関連は指摘さ
れておらず、むしろ経産婦に多
いと考えられてきました。しか
しながら近年、晩婚・晩産化に
伴い、子宮腺筋症を合併する挙
児希望女性への対応の機会が増
加しています。

 子宮腺筋症の臨床像は幅広く、
重症の子宮腺筋症は難治性の不
妊症となります。子宮腺筋症は
その発症病因が明らかでなく、
不妊症との関連も不明瞭でした。
これまでの研究では、子宮から
卵管内の精子輸送異常や組織内
炎症の存在、炎症が誘導する卵
管粘膜繊毛の損傷などがその要
因として考えられてきました。
一方、子宮腺筋症はその発症部
位によりサブタイプに分類され、
サブタイプにより異なった病因
論が提唱されており、それに基
づいた治療法が模索されていま
す。

 今回の研究では、子宮腺筋症
が及ぼす不妊症発症機序を明ら
かにするため、子宮腺筋症(局
在型、びまん型)における子宮
内膜における組織マクロファー
ジの発現と子宮内膜上皮の微絨
毛内の微小管の分布について検
証しました。

 はじめに研究グループは、手
術時に得られた子宮腺筋症(局
在型、びまん型)、子宮内膜お
よび対照(子宮頸部上皮内腫瘍)
検体におけるCD68マクロファー
ジの発現について免疫組織化学
法を用いて検討しました。さら
に子宮腺筋症患者(局在型、び
まん型)の患側(症状がある側)
および健側(症状がない側)子
宮内膜における微絨毛数および
微絨毛内の微小管の分布につい
て透過型電子顕微鏡を用いて評
価しました。

 子宮内膜におけるCD68マクロ
ファージは、局在型の患側およ
び局在型の前壁/後壁で有意に
発現していることを確認しまし
た(P=0.02、0.03)。子宮腺筋
症(局在型)患者さんのうち、
症状を有する群(有症状群)と
有さない群(無症状群)におけ
るサブグループ解析では、有症
状群の患側子宮内膜においてマ
クロファージが無症状群よりも
多く浸潤している傾向を示しま
した(P=0.07)。また、有症状
群における局在型の患側子宮内
膜におけるマクロファージは健
側と比べて有意に高発現してい
ました(P=0.03)。対照群の子
宮内膜におけるマクロファージ
の発現は、子宮腺筋症(局在型)
の子宮内膜より低いことを示し
ました。

 一方、電子顕微鏡を用いて子
宮内膜上皮の微絨毛数を観察し
た所、局在型の患側では健側に
比べて有意にその数は減少して
いました。また子宮腺筋症症例
では微小管の異常を多く認めま
した。局在型での患側では特に
異常な微小管を多く認めました。
びまん型でも対照群と比べて有
意に微小管の異常を認めました。
これらの結果から、子宮腺筋症
女性の子宮内膜における微絨毛
内の微小管の異常分布がその妊
孕性の低下に関与している可能
性が考えられるということです。

 「子宮腺筋症女性の子宮内膜
上皮における微細な構造変化が
妊娠成立に必要な精子の遡上や
胚の着床に影響すると考えられ
る。晩婚化・晩産化により増え
続ける子宮腺筋症を合併する挙
児希望女性にとって、重要な知
見であり、子宮内膜上皮をフォ
ーカスとする新たな生殖医療の
展開が期待される」と、研究グ
ループは述べています。

 不妊治療と子宮筋腫・子宮腺

筋症について解説している動画

です。

 
 


 
 
 至急、子宮腺筋症を疑う。笑

 
 
 
 
 
 
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編集後記

 近畿大学(近大)と大阪大学(
阪大)が5月27日、腸内フローラ
が作り出す物質である「短鎖脂
肪酸」が、前立腺ガンの増殖を
引き起こすことを明らかにした
ことを発表したのは、素晴らし
い業績です。高脂肪食を投与し
て肥満状態にした前立腺ガンモ
デルマウスに抗生物質を投与し
て、腸内フローラを変化させる
ことを試みた所、短鎖脂肪酸を
作る腸内細菌が減少し、便中の
短鎖脂肪酸量も減少したとのこ
とでした。さらにこれらのマウ
スに短鎖脂肪酸を補充すると、
血中のIGF-1 は増加し、前立腺
ガンの増殖が促進されることが
明らかとなったということです。
腸内フローラをターゲットとし
た、前立腺ガンの新規予防法・
治療法の開発に是非繋げて頂き
たいものです。
 京都府立医科大学は6月4日、
子宮腺筋症が及ぼす不妊発症メ
カニズムの一端を解明したと発
表したのは素晴らしい業績です。
重症の子宮腺筋症は難治性の不
妊症となることが分かっている
ものの、その発症病因が明らか
でなく、不妊症との関連も不明
瞭ということでした。 今回の
研究結果から子宮腺筋症女性の
子宮内膜上皮における微細な構
造変化が妊娠成立に必要な精子
の遡上や胚の着床に影響すると
考えられることが分かりました。
今後の研究で、子宮内膜上皮を
フォーカスとする新たな生殖医
療の展開を期待したいと思いま
す。子宮腺筋症の治療が上手く
いって、たくさんの健康な新生
児が誕生することを、切に願う
次第です。

 津波が遡上したことで、被害
は、甚大となり、お互いの訴状
合戦となった。      笑

 
 
 
 
 
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(イジニイワト)

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藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
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