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2019-11-02 03:07:38

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診療マル秘裏話  号外Vol.1371 平成30年12月29日作成

作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
 
目次

1)iPS 細胞から様々な眼細胞へ選択的に分化誘導
2)家屋被害と心理的苦痛、平均歩数、骨密度関連

 
 
 
 
 
 
 
 
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医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
 
 
1】 iPS 細胞から様々な眼細胞へ選択的に分化誘導

 
 
 
 
 
 
 
大阪大学は12月5日、iPS細胞
からさまざまな異なる眼の細胞
へ選択的に分化誘導することに
成功したと発表しました。この
研究は、同大大学院医学系研究
科の林竜平寄附講座教授(幹細
胞応用医学寄附講座)、西田幸
二教授(眼科学)、柴田峻共同
研究員(ロート製薬、眼科学)
らの研究グループが、同蛋白質
研究所の関口清俊寄附研究部門
教授らと共同で行ったものです。
研究成果は米科学雑誌「Cell R
eports」に11月6 日に掲載され
ました。

iPS 細胞は無限に増殖し、人間
の身体を構成する様々な細胞に
分化することができることから、
再生医療や創薬研究、発生研究
に非常に有用な細胞です。研究
グループはこれまでに、ヒトiP
S 細胞から眼全体の発生を模倣
した2次元培養系を用いて、さ
まざまな眼の細胞を含む多層状
コロニー(SEAM)を誘導し、さ
らに、機能的な角膜上皮組織(
iPS 角膜上皮シート)を作製す
ることに成功しています。iPS
角膜上皮シート移植は、外傷や
病気により、角膜上皮の幹細胞
が失われた難治性角膜疾患に対
する新たな再生医療として期待
されています。

iPS 細胞がどのような細胞にな
るかという運命決定において、
成長因子などを含む培養液と同
様に、細胞の足場となる基質も
重要な役割を果たすことが近年
報告されています。 眼全体の
発生を模倣したSEAMは、神経、
神経提、網膜、角膜等で構成さ
れており細胞の足場となる基質、
基底膜蛋白質のラミニン上で、
iPS 細胞から自律的に発生しま
す。しかし、SEAMの発生におけ
るラミニンの役割はわかってい
ませんでした。今回、研究グル
ープは、足場がiPS 細胞の分化
に与える影響について着目しま
した。ラミニン211 を基質とし
てiPS 細胞を培養・分化させる
と、神経堤細胞が多く誘導され
ました。その際に、Wnt シグナ
ルパスウェイに関連する遺伝子
やWnt シグナルの標的となる遺
伝子(AXIN2、LEF1 )の発現が
上昇しており、神経堤細胞の分
化過程でWnt シグナルが活性化
していることが明らかになりま
した。 次に、ラミニン332 を
基質とすると、角膜上皮細胞が
多く誘導されました。ラミニン
332 上で誘導し作製したiPS 角
膜上皮細胞シートでは、角膜上
皮細胞のマーカー(PAX6,KRT12,
MUC16,p63 )が発現している事
を確認しました。ラミニン511
では、iPS 細胞が網膜・角膜を
含む多層構造へ分化することが
先行研究で明らかとなっていた
ことから、培養皿のコーティン
グに用いるラミニンのアイソフ
ォームが、iPS 細胞の眼の細胞
への運命決定に寄与している事
を新たに解明したとしています。

またラミニン511 を用いて培養
すると、iPS 細胞は高度に凝集
しました。コロニー内の細胞に
おけるYAP の局在を観察すると、
凝集している中央部では、YAP
が細胞質に局在していました。
これにより、中央部では高い細
胞密度によってYAP シグナルが
OFF になることが示されました。
この中央部では、神経外胚葉マ
ーカーのN-カドヘリン陽性細胞
が分化しました。一方、コロニ
ーの周縁部では、YAP は核に局
在し、YAP のシグナルがONにな
っていたということです。この
周縁部では、表面外胚葉のマー
カーのE-カドヘリン陽性細胞が
分化していました。 これらの
結果から、ラミニン511 を用い
たiPS 細胞のSEAMへの分化には、
細胞密度によって制御されるYA
P シグナルが関連していること
が示唆されました。

今回の研究成果により、目的の
眼組織で発現するラミニンのア
イソフォームを、iPS 細胞から
の眼細胞分化誘導に用いること
で、その組織の誘導を促進する
可能性が示唆されました。研究
グループは、「本研究を応用す
ることで、iPS 細胞の足場によ
る運命決定制御や眼の発生機序
の解明、角膜再生医療実用化に
向けたiPS 角膜上皮細胞の作製
効率化が期待される」と述べて
います。

iPS 細胞角膜移植で視力回復し

たというニュース動画です。

 


 
 
発現する蛋白質について発言
した。笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 家屋被害と心理的苦痛、平均歩数、骨密度関連

 
 
 
 
 
 
 
東北大学は12月5日、東北メ
ディカル・メガバンク計画の地
域住民コホート調査において、
震災被害の長期的な影響として、
家屋被害の大きさと心理的苦痛、
平均歩数、骨密度で関連が示さ
れたと発表しました。この研究
成果の主な内容は、2018年10月
に福島県郡山市で開催された「
第77回日本公衆衛生学会総会」
にて発表されています。

東北メディカル・メガバンク計
画は、東日本大震災からの復興
事業として計画され、宮城県で
は東北大学東北メディカル・メ
ガバンク機構(ToMMo )、岩手
県では岩手医科大学いわて東北
メディカル・メガバンク機構(
IMM )が事業主体となり、長期
健康調査(地域住民コホート調
査、三世代コホート調査)を実
施しています。地域住民コホー
ト調査は、宮城県と岩手県の20
歳以上の人を対象として、2015
年度末までに参加募集を完了し
ました。両県あわせて8万4,073
人が参加しています。参加者に
対しては、郵送による追跡調査
などを実施していますが、2017
年6月からは、より詳細な健康
状態を把握するため、宮城県内
に設置された7か所の地域支援
センターで詳細二次調査を開始
しました。

同調査は、2013年に開始された
コホート調査で行われた最初の
採血などから概ね4年経過時点
で行われ、さまざまな検査によ
り、参加者の経時変化を幅広い
観点で測定しました。 震災の
影響に加え、加齢や生活環境の
影響を調べるものです。今回の
調査で家屋被害の大きさと関連
が示されたのは、心理的苦痛、
平均歩数、骨密度でした。心理
的苦痛あり(K6スコア>13点 )
の割合は、家屋被害の程度に関
わらず、2013~2015年に実施し
たベースライン調査と比して、
詳細二次調査では低くなってい
ましたが、どちらの調査でも、
家屋被害の大きかった人で心理
的苦痛のリスクが、高いという
結果が出ました。このことから、
引き続き震災後の心理的苦痛に
ついて、継続的な支援が必要で
あると考えられます。また平均
歩数はベースライン調査から引
き続き、家屋被害が大きい人で
低い平均歩数が継続していまし
た。さらに、骨密度に関しても、
平均歩数の低下などを介して骨
密度低下が認められ「家屋被害
→平均歩数低下→骨密度低下」
という負の循環が発生している
可能性があります。 これらの
結果から、被災の大きかった人
に対しては積極的な外出を勧奨
することが必要である事が示唆
されました。

一方、糖尿病の診断や血糖コン
トロール状況の評価に用いられ
る血糖値の平均を反映する指標
「HbA1c 」、頸動脈内膜中膜肥
厚(Intima Media Thickness:
IMT )、家庭血圧値の変化につ
いては現時点で関連は示されな
かったということです。 家庭
血圧については、震災時の家屋
の被害状況とその後の血圧変化
に関連がありませんでしたが、
ベースライン調査時の尿中Na/K
比とその後の家庭血圧変化を検
討すると尿中Na/K比の大きい群
で血圧上昇の程度が大きいこと
が観察されました。

家庭血圧については、震災時の
家屋の被害状況とその後の血圧
変化に関連がなかったのですが、
ベースライン調査時の尿中Na/K
比と、その後の家庭血圧変化を
検討すると尿中Na/K比の大きい
群で血圧上昇の程度が大きい事
が観察されました。また、塩分
摂取指標と腎機能障害の発生に
ついて分析したところ、推定塩
分摂取量では差がありませんで
したが、尿中のNa/K比が有意に
腎機能低下と関連していました。
特に推定K摂取量と腎機能低下
発症の負の関連が観察され、腎
機能正常だったものについては、
尿中Na/K比が低いもので腎機能
悪化のリスクが小さいことが示
されました。従来、尿中Na/K比
と腎機能悪化リスクの関連は示
唆されていましたが、今回の報
告で初めてデータとして明らか
になったということです。また、
簡便に得られる尿中のNa/K比の
測定値が、長期的な健康影響を
示す指標として有効であること
も明らかになりました。

今回の結果から、いまだ震災被
害が心身に影響を与え一部検査
データの項目にもその影響が出
ていることが判明し、継続的な
骨密度や動脈硬化などの詳細な
検査の有効性も明らかになりま
した。研究グループは、「今後
もコホート調査から得られた分
析結果を県・市町村をはじめと
する自治体・地域と共有し、い
かにして、震災からの二次健康
被害を軽減していくかについて
検討を進めていきます。調査を
継続し、得られた情報から新た
な知見、未来型の個別化予防・
個別化医療が生まれることが期
待される」と述べています。

骨の若返り物質について解説し

ている動画です。

 
 


 
 
 
戸別に個別化医療が施される。


 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 
 
iPS 細胞からさまざまな異な
る眼の細胞へ選択的に分化誘導
することに成功したと発表した
のは偉大な業績です。 目的の
眼組織で発現するラミニンのア
イソフォームを、iPS 細胞から
の眼細胞分化誘導に用いること
で、その組織の誘導を促進する
可能性が示唆されたということ
ですから、必要な眼細胞を自由
自在にiPS 細胞から作れるよう
になったということでしょう。
本研究を応用することで、iPS
細胞の足場による運命決定制御
や、眼の発生機序の解明、角膜
再生医療実用化に向けたiPS 角
膜上皮細胞の作製効率化にぜひ
結び付けて欲しいものです。
地域住民コホート調査におい
て、震災被害の長期的な影響と
して、家屋被害の大きさと心理
的苦痛、平均歩数、骨密度で関
連が示されたと発表したのは、
素晴らしい業績です。家屋被害
にあった人が家屋がほぼ元通り
になったからと言って、心理的
苦痛、平均歩数、骨密度が改善
するという保証は、ありません
が、少なくとも家屋が元通りに
なれば、精神的苦痛は緩和され
るのではないかと私は推測して
います。精神的苦痛の緩和のた
めにも、家屋、建物が元の姿を
取り戻すことを目標に頑張って
頂きたいと切に願う次第です。
復興は、これからが正念場であ
ると思います。人間らしい思い
やりを持って、東北の人々が、
立ち直るのを微力ながら手助け
したいと思います。

閑話を聞くことで苦痛が緩和
された。笑

 
 
 
 
 
 
 
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