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2012-06-27 00:00:00
カテゴリー:ブログ
診療マル秘裏話 Vol.348 平成21年8月5日作成作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨
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目次
1) 乳ガンの再発率を下げる薬の選択
2) 表皮水疱症に骨髄移植が有効
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医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を
増やして欲しいという要望もあるのですが、私の能力の
なさから1週間に1回が限度となっています。これからも
当たり前の医療をしながら、なおかつ貪欲に新しい知識
を吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思って
おります。不撓不屈の精神で取り組む所存ですので
どうかお許し下さい。
1】 乳ガンの再発率を下げる薬の選択
乳ガン患者さんの遺伝子を調べることで、再発予防に効果があり、
価格も低い薬を選ぶ手法を、中村祐輔・東京大教授らが開発
しました。四国ガンセンター(松山市)など四国の5医療機関
で実際の治療に応用して有効性を検証します。乳ガン手術後の
再発予防には、タモキシフェンとアロマターゼ阻害剤という
2タイプの薬が使われます。従来の研究では、タモキシフェン
を使う患者さんの20-30%が5年以内に再発し阻害剤より効果が
やや劣ることがわかっていました。
研究チームは、タモキシフェンの効果に患者さんで差があること
に着目しました。徳島県で1986-2007年に乳ガン手術を
受け、タモキシフェンだけを投与された282人の患者さん
を調べました。タモキシフェンは体内で分解され、ガンに効く
成分ができます。遺伝子の違いによって分解酵素の働きが弱い
患者さんは働きが「正常」「やや弱い」患者に比べ、再発の
危険性が2・2-9・5倍高いという結果がでました。
酵素の働きが弱いのは患者さんのうち2割の人です。
研究チームは「残りの8割にタモキシフェンを投与すれば、
再発率が10%未満に抑えられ、阻害剤よりも効果が高い」
と予測しました。タモキシフェンは後発医薬品が発売され、
価格が阻害剤の10分の1程度のものもあり、この手法を使えば
年間110億円を節約できると試算しています。
高価な薬が効果があるとは限らない。笑
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2】 表皮水疱症に骨髄移植が有効
皮膚が弱く、こすれると水ぶくれができる難病「表皮水疱
(すいほう)症」治療に骨髄移植が有効であることを、
阿部理一郎・北海道大講師の研究チームが突き止め、
米科学アカデミー紀要に発表しました。これまでの治療は
対症療法が中心でしたが、根治の可能性が出てきました。
患者さんは国内で500-600人程度と推測され、87年に
難病指定されました。
研究チームは、骨髄の中にあって血液のもとになる造血幹細胞
が、皮膚を含めさまざまな細胞になることに注目しました。
人工的に表皮水疱症のマウスを作り、正常なマウスから骨髄を移植
しました。移植したマウス20匹は、皮膚の症状が改善し、移植後
200日の時点での生存率は73・7%でした。移植しなかった
マウス17匹の同時点での生存率は27・5%でした。
移植による異色の治療法。笑
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編集後記
ガンの手術後の再発予防戦略は、絶対に必要です。
再発予防戦略が効果的だと患者さんの満足度は飛躍的
に上昇します。再発しても再手術ができないことも
多々あるのではないかと推測しています。1回の手術
と術後予防戦略で完全に押さえ込むことができれば
こんなにいいことはありません。欲をいえば、日本
では積極的でない乳房再建術に力を入れて頂きたい
ものです。ニコルスキー現象陽性の表皮水疱症は、
なかなかやっかいな病気です。ただ骨髄移植は、
かなりリスクの高い治療法なので、動物実験で成功
しても臨床試験での成果は難しい可能性が高いと
思います。ただ対症療法ではなく、根治療法が
見つかったことは偉大な発見であったと言えるでしょう。
偉大な医大。笑
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