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2023-03-30 06:41:19

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診療マル秘裏話  号外Vol.2440 令和4年5月29日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)卵巣ガン腹膜転移を腹膜環境正常化で抑制する
2)ADへの進行AIで最大88%の精度で予測する技術

 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 卵巣ガン腹膜転移を腹膜環境正常化で抑制する

 
 
 
 
 
 名古屋大学は4月27日、卵巣
ガン腹膜転移を腹膜環境の正常
化により抑制するメカニズムを
解明したと発表しました。この
研究は、同大大学院医学系研究
科産婦人科学の北見和久大学院
生(研究当時)、吉原雅人特任
助教、梶山広明教授、ベルリサ
ーチセンター産婦人科産学協同
研究講座の那波明宏特任教授、
分子病理学・腫瘍病理学の榎本
篤教授らの研究グループによる
ものです。研究成果は「Matrix
Biology」に掲載されています。
 卵巣ガンは婦人科領域におけ
る最も予後不良なガン腫の一つ
であり、腹膜播種を伴う特徴的
な進展様式を示します。腹膜播
種は手術による完全切除が困難
であり、化学療法による治療後
もオカルトなガン細胞の温床と
なって再発することから、卵巣
ガンの根治を難しくする病態で
す。

 ガン細胞が原発巣である卵巣
から遊離して腹水中を漂い、中
皮細胞で覆われる腹膜や大網、
腸間膜、横隔膜などに接着・増
殖することで腹膜播種が形成さ
れます。研究グループはこれま
でに、腹腔を覆う本来防御的な
中皮細胞がガン由来のTGF-β(
transforming growth factorβ
)によって上皮間葉転換(EMT:
epithelial-mesenchymal trans
ition) を遂げ、ガン関連中皮
細胞(CAM:cancer associated
mesothelial cell) に変化す
ることを見出しています。CAM
は腹膜表面のみならず腹膜播種
の間質・ガン微小環境に多数存
在し、VEGF分泌を介した悪性腹
水の生成や、fibronectin 分泌
を介した卵巣ガンプラチナ耐性
化に寄与し、ガン促進的な役割
を果たすことを明らかにしてき
ました。

 ビタミンD は紫外線を浴びる
ことにより皮膚で合成されるホ
ルモンであり、カルシウムや骨
の代謝に重要な役割を果たして
います。他にも抗炎症作用や抗
線維化作用などがあります。ビ
タミンD 補充がガン関連死亡率
を低下させるという報告や、ビ
タミンD がガン間質をリプログ
ラミングして化学療法の効果を
高めるという報告もあります。
ビタミンD 製剤は骨粗鬆症など
に広く用いられており、大きな
副作用のない薬剤です。研究で
は、ビタミンD を用いて中皮細
胞のEMT を制御して腹膜環境を
正常化することにより卵巣ガン
腹膜播種を抑制できないか検討
しました。

 研究グループは、大網由来の
中皮細胞にTGF-β1でEMTを誘導
し、ガン関連中皮細胞に変化さ
せる実験を行いました。すると、
ガン関連中皮細胞は中皮細胞が
持つ細胞表面の微絨毛を失い、
卵巣ガン細胞との接着が亢進す
ることが分かりました。ガン関
連中皮細胞と卵巣ガン細胞を共
培養すると、ガン細胞増殖が亢
進することも確認しました。一
方、ビタミンDによりEMTを抑制
された中皮細胞は、微絨毛が保
たれ、ガン細胞の接着や増殖は
抑制されることが分かりました。
中皮細胞の遺伝子網羅解析から、
トロンボスポンジン1という細
胞接着や増殖に関わる細胞外基
質がEMT に伴い亢進する一方、
ビタミンD によって抑制される
ことも分かりました。

 次に、トロンボスポンジン1
の関与を、ガン関連中皮細胞に
おける発現抑制や中皮細胞への
蛋白添加による実験で確認した
所、トロンボスポンジン1が中
皮細胞とガン細胞間の接着に重
要な役割を果たすことが明らか
となりました。メカニズムとし
てビタミンD 受容体がTGF-βパ
スウェイ下流の転写因子SmaD2/
3と競合してDNAへの結合が阻害
されることで、トロンボスポン
ジン1の発現が抑制されること
が判明しました。また卵巣ガン
におけるトロンボスポンジン1
発現量の多さは予後不良因子で
あり、卵巣ガン原発巣よりも腹
膜播種巣で発現量が多いことも
分かりました。

 さらに、マウスを用いて卵巣
ガンのガン性腹膜炎を模した条
件で検討を行い、ビタミンD が
中皮細胞のトロンボスポンジン
1発現を抑制し、腹膜播種形成
を抑制することも確認しました。
また腫瘍由来のオルガノイドモ
デルとマウスを用いた検討で、
ビタミンD がガン関連中皮細胞
に間葉上皮転換(MET) を誘導
し、トロンボスポンジン1発現
を正常化することも確認しまし
た。

 今回の研究を通して、ビタミ
ンD による腹膜環境の正常化が
卵巣ガン腹膜播種の新規治療法
となる可能性が動物実験を含む
さまざまな実験により明らかに
なりました。ガンを標的とした
化学療法や分子標的薬などの治
療法との相乗効果も期待されて
います。「ビタミンD 製剤はす
でに臨床使用されている安全な
薬剤であり、臨床試験を企画し、
臨床的な効果の検証が期待され
る」と、研究グループは述べて
います。

 卵巣ガンについて解説してい

る動画です。

 
 


 
 
 規格について議論する企画を
提起した。        笑

 
 
 
 
 
 
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2】 ADへの進行AIで最大88%の精度で予測する技術

 
 
 
 
 
 富士フイルムは2022年4月13
日、アルツハイマー病(AD)へ
の進行をAI(人工知能)で予測
する技術(AD進行予測AI技術)
を用いて、軽度認知障害(MIC)
患者さんが2年以内にADへ進行
するかどうかを最大88%の精度
で予測することに成功したと発
表しました。国立精神・神経医
療研究センターとの共同研究に
よる成果でした。

 深層学習を用いた画像認識の
精度向上には、数多くの学習デ
ータが必要となります。現状で
は、世界最大のAD研究プロジェ
クト「NA-ADNI」 の公開データ
ベースでも、AD進行予測に利用
できるMCI患者さんデータは,10
00例前後しか存在しません。

 その限られた学習データで予
測精度の高いAI技術を確立する
ため、脳内の特定区域を対象と
した深層学習によるAD進行予測
AI技術を開発しました。対象と
したのは、ADの進行と関連性が
高いとされる、海馬と前側頭葉
を中心とした部分となります。

 学習データとしてNA-ADNI の
データを利用し、深層学習を用
いて海馬と前側頭葉を中心とす
る両区域からAD進行に関わる微
細な萎縮パターンを抽出して特
徴量として算出しました。特定
区域のみを学習させることで、
脳全体を学習したAIよりもADの
進行と関連性が高い海馬領域や
扁桃体領域の微細な萎縮パター
ンに注目するようになります。
そのパターンから、ADへの進行
を高精度で識別可能になりまし
た。

 同技術を検証するため、NA-A
DNI と日本のAD研究プロジェク
ト「J-ADNI」のデータベースを
用いて、2年以内のMCIからADへ
の進行を予測しています。正解
率はNA-ADNI で88%、J-ADNIで
84%の結果となり、異なる人種
でも高い精度で予測できること
が示されました。正解率と同様
にAIの重要な精度指標となるAU
C(ROC曲線下の面積)でも、高
精度でAD進行が予測できました。

 ADの新薬開発のため、MCI 患
者さんを対象にした臨床実験が
実施されていますが、多くが成
功に至っていません。その理由
の1つに、2年以内にADへ進行す
るMCI患者さんが2割未満と少な
く、治験薬を投与しない対照群
との統計的な有意差を証明でき
ないことが挙げられます。臨床
試験の患者選考に同技術を活用
することで、新薬の有効性を正
しく評価できる可能性があるた
め、今後その有用性をさらに検
証するとしています。

 このニュースのニュース動画

です。

 
 


 
 
 選考試験が終わった後に線香
花火を行った。      笑

 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 名古屋大学が4月27日、卵巣
ガン腹膜転移を腹膜環境の正常
化により抑制するメカニズムを
解明したと発表したのは、素晴
らしい業績です。卵巣ガンは婦
人科領域における最も予後不良
なガン腫の一つであり、腹膜播
種を伴う特徴的な進展様式を示
すということですから、これを
抑制することができて、予後を
改善することができれば、本当
に凄いことだと思います。ビタ
ミンD による腹膜環境の正常化
が卵巣ガン腹膜播種の新規治療
法となる可能性が動物実験を含
むさまざまな実験により明らか
になったことから、ビタミンD
の重要性が再認識されたと私は
考えています。
 富士フイルムが2022年4月13
日、アルツハイマー病(AD)へ
の進行をAI(人工知能)で予測
する技術(AD進行予測AI技術)
を用いて、軽度認知障害(MIC)
患者さんが2年以内にADへ進行
するかどうかを最大88%の精度
で予測することに成功したと発
表したのは素晴らしい業績です。
MIC であれば、適切な治療を行
えば、認知症に移行することを
防ぐことができます。予測を立
てることで、認知症移行を妨げ
るべく動くことが可能となりま
す。予測は、あくまでも予測で
すので、その予測を外す努力を
傾注することが一番大事なこと
です。

 意向を汲んで、以降、遺構に
移行した。        笑

 
 
 
 
 
 
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発行者名  医療法人社団 永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
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