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2023-03-20 06:14:02

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診療マル秘裏話  号外Vol.2432 令和4年5月19日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)ATLの増殖を,既存糖尿病治療薬で抑制の可能性
2)くも膜下出血後に生じる脳血管攣縮の新薬発売

 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 ATLの増殖を,既存糖尿病治療薬で抑制の可能性

 
 
 
 
 
 沖縄や九州で多く発症する難
治性の血液ガン「成人T細胞白
血病(ATL)」 の増殖を、既存
の糖尿病治療薬で抑えられる可
能性があるとの研究成果を琉球
大学大学院医学研究科の研究チ
ームがまとめました。尿中の糖
分の排出を促す糖尿病治療薬の
働きを応用し、ガン細胞のエネ
ルギー源となるブドウ糖(グル
コース)を供給させずに「兵糧
攻め」する仕組みです。研究チ
ームは「抗ガン剤と併用するこ
とで効果を高めたり、副作用を
軽減させたりすることが期待で
きる」と話しています。

 研究成果は世界初ということ
です。国際医学誌バイオメディ
スン&ファーマコセラピーにウ
ェブ掲載されました。研究チー
ムは、内分泌代謝・血液・膠原
(こうげん)病内科学講座(第
二内科)の仲地佐和子講師、岡
本士毅助教、益崎裕章教授ら。
ATL は主に母乳感染する血液ガ
ンで、進行が非常に早く、決定
的な治療法は確立されていませ
ん。研究チームは、増殖期のAT
L 細胞がグルコースを積極的に
取り込んでいることに着目しま
した。この働きに関わるグルコ
ース輸送体を阻む糖尿病治療薬
(SGLT-2阻害剤)を投与すると、
ガン細胞がエネルギー不足にな
り、増殖が50%以上抑制される
ことを突き止めました。

 今後はマウスを使った実験な
どで、さらに研究成果の信頼性
を高めます。仲地さんらは「画
期的な治療法につながる可能性
がある。沖縄の医療にも貢献し
たい」と述べました。

 成人T細胞白血病について解

説している動画です。

 
 


 
 
 高検が勝訴に貢献した。 笑

 
 
 
 
 
 
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2】 くも膜下出血後に生じる脳血管攣縮の新薬発売

 
 
 
 
 
 脳動脈瘤破裂によるくも膜下
出血(aSAH)後に生じる脳血管
攣縮は、脳梗塞を引き起こすな
ど転帰不良をもたらす最も重篤
な合併症の1つです。いまだ治
療が困難な脳血管攣縮やこれに
伴う脳梗塞や脳虚血症状の発症
抑制効果を有するエンドセリン
(ET)受容体拮抗薬クラゾセン
タン(商品名ピヴラッツ)が世
界に先駆けて、日本で4月20日
に発売されました。製造販売元
であるイドルシア ファーマシ
ューティカルズ ジャパンが同
日開催したメディアセミナーで
は、東北大学病院病院長の冨永
悌二氏が登壇しました。同薬登
場の意義について「脳血管攣縮
の第一選択薬として使われる可
能性が極めて高い。同薬の登場
は脳外科医にとって非常に歓迎
すべきこと」と期待を示しまし
た。

 くも膜下出血(SAH) は頭蓋
内のくも膜下腔(くも膜と脳表
の間の脳脊髄液腔)への出血の
総称で、aSAHが最も多く85%を
占めています(脳卒中治療ガイ
ドライン2021)。脳血管攣縮に
より、最大20~50%が遅発性虚
血性神経脱落症状(DIND)に至
り、脳血管攣縮を来した患者さ
んの半数が脳梗塞を起こすとさ
れています。aSAHの発症率は10
万人・年当たり22.5人で、日本
は他の国に比べ2~3倍というこ
とです。

 aSAH発症後の治療の第一段階
として行われるのは、破裂を起
こした脳動脈瘤の再出血や再破
裂の防止です。脳動脈瘤は破裂
して出血した後は自然に止血さ
れますが、放置すると2週間以
内に再破裂を来すといわれてい
ます。

 治療法には、開頭手術で脳動
脈瘤の根本に直接金属(チタン
製)のクリップを挟み込むクリ
ッピング術と、脚の付け根の血
管からカテーテルを挿入し、脳
内の動脈瘤まで到達させてプラ
チナ製のコイルを詰め込む血管
内治療(コイル塞栓術)の2つ
の種類があります。

 ただし、これらの治療で脳動
脈瘤の再出血を無事に食い止め
たとしても、2週間以内に続発
する合併症への治療が必要とな
ります。短期的に起こる可能性
が高いのは、脳血管攣縮と水頭
症です。発症した場合には、迅
速に治療を開始する必要があり
ます。脳血管攣縮は脳の血管が
縮んで血流が悪化した状態で、
aSAH発症から5~14日間で40~
70%に報告されています。時に
脳梗塞を引き起こし、四肢の麻
痺や言語障害、意識障害の原因
となり予後を悪化させ、脳梗塞
が重症の場合は死に至ることも
あります。

 こうしたことから、脳血管攣
縮の発症予防および治療はaSAH
患者さんの予後改善において極
めて重要な課題となっており、
治療の第2段階として脳血管攣
縮の予防を講じる必要がありま
す。冨永氏は「脳血管攣縮は、
SAH発症から通常5~14日以内に
起こる一過性の現象です。aSAH
発症例では血管造影上の脳血管
攣縮が最大70%で生じ、症候性
脳血管攣縮は20~40%で見られ
ることが知られています。脳血
管が極めて細くなり脳梗塞の原
因となります。第二関門として
は脳血管攣縮が生じやすい2週
間を無事に乗り切るかが重要で、
外科医の腕の見せ所であり、力
を注ぐべきところ」と強調しま
した。

 手術後の脳血管攣縮に対する
既存の全身薬物療法としては、
脳循環改善薬ファスジルまたは
トロンボキサン合成酵素阻害薬
オザグレルの静脈内投与が推奨
されています(推奨度 B:行う
ことは妥当です)。しかし、こ
れらの薬剤を投与しても脳血管
攣縮が生じる例もあること、ま
た出血などの安全性の問題があ
るなどアンメット・メディカル
ニーズが存在していました。同
氏は両薬について、「2000年代
になって国内で使用されるよう
になりましたが、ガイドライン
では両薬とも推奨度は「B」 で
エビデンスレベルが低いとされ
ています。また両薬が使用可能
になってから、長い間、脳血管
攣縮に対する治療薬は登場して
おらず、有効な薬剤が求められ
ていました」と解説しました。

 こうした中、今年(2022年)
4月20日、「aSAH処置後の脳血
管攣縮、およびこれに伴う脳梗
塞および脳虚血症状の発症抑制」
を効能・効果とする新薬クラゾ
センタンが発売されました。

 血管収縮を引き起こすエンド
セリン(ET)は主に内皮細胞か
ら産生されるペプチドで,A型(
ETA) 受容体とB型(ETB)受容
体があること、ET-1、ET-2、ET
-3の3つのアイソフォームがあ
ることが知られています。強力
な血管収縮物質で、その受容体
にET-1がETA 受容体に結合する
と血管平滑筋細胞の細胞内カル
シウム濃度の上昇を介して血管
の収縮を誘発します。クラゾセ
ンタンはETA 受容体に対し選択
的な拮抗作用を示して血管収縮
を抑制、脳血管攣縮を抑制する
とされています。

 クラゾセンタンは、日本人成
人を対象にaSAH後の脳血管攣縮
に対するクラゾセンタンの有効
性および安全性を検討した第3
相試験2件の結果に基づき承認
されました。国内57施設で実施
された第3相のプラセボ対照二
重盲検ランダム化比較試験であ
り、aSAH発症から48時間以内に
クラゾセンタンまたはプラセボ
のいずれかを最大15日間持続静
脈内投与しました。2件中1件は
コイル塞栓術、1件は外科的ク
リッピング術で、各試験とも22
1 例を登録しました。

 主要評価項目は、最大の解析
対象集団(FAS) における脳血
管攣縮に関連した新規脳梗塞、
脳血管攣縮に関連したDIND、原
因を問わない死亡のいずれかを
発現した患者さんの割合としま
した。

 2件の第3相試験の事前に計
画された併合解析の結果、主要
評価項目の発生率はプラセボ群
の34.1%に対し、クラゾセンタ
ン群では14.9%と有意な低下が
認められました(相対リスク低
下56%、95%CI 36~70%、P<
0.0001)。術式の違いで見たと
ころ、コイル塞栓術後患者さん
を対象とした第3相試験では、
主要評価項目はプラセボ群の41
.4%に対しクラゾセンタン群で
33.0%(P=0.1871),クリッピ
ング術後患者さんを対象とした
第3相試験ではそれぞれ57.5%、
45.7%(P=0.0880)でした。

 これらの結果を踏まえ、冨永
氏は「規制当局との治験相談の
際にはプラセボに対しクラゾセ
ンタンで有意な結果が出るか否
かを心配しましたが、症例数を
増やして解析したところ、驚く
ほどの有意差が認められました」
と指摘しました。その上で「ク
ラゾセンタンの臨床応用が患者
さんにとって福音になることを
期待しています」と述べました。

 さらに、副次評価項目で主要
評価項目の個々のイベントの発
生率を解析した結果、脳血管攣
縮に関するDINDの発生率は、プ
ラセボ群の19.6%に対しクラゾ
センタン群では,7.9%と60%低
下(P=0.0004),脳血管攣縮に
関連する新規脳梗塞はそれぞれ
27.4%、12.3%と55%低下しま
した(P<0.0001)。

 特徴的な副作用としては、ク
ラゾセンタンの国内第2相、第
3相試験を合算した解析の結果、
体液貯留(肺水腫、胸水、脳浮
腫など)が33%、低血圧関連が
3.6%,貧血が18%報告されまし
た。この結果について、冨永氏
は「いずれもETA 受容体の選択
的阻害によるものと推察されて
いる」と述べました。ただし、
「これらの副作用の発現例は臨
床的経験から見ても重篤でなく、
低血圧の管理、体液管理・輸液
制限、休薬といった一般的な患
者さんの管理やモニタリングで
回避できます。軽減は十分可能」
との考えを示しました。

 クラゾセンタンの臨床上の位
置付けに関しては、「aSAH発症
後の脳血管攣縮に第一選択薬と
して使われる可能性が極めて高
い。従来、脳血管攣縮を防ぐ決
定打がなかったので、脳梗塞を
起こす例が多くなっていました。
脳血管攣縮は一定数で起こるも
のと諦めている先生方もいます
が、脳血管攣縮の発症の抑制効
果を示すクラゾセンタンが登場
したことは脳外科医にとっては
非常に歓迎すべき状況です」と
述べました。

 既存薬とのすみ分けについて
ファスジルやオザグレルは脳血
管攣縮およびこれに伴う脳虚血
症状の改善薬であり、発症抑制
のエビデンスが十分得られてい
ませんでした。脳血管攣縮を起
こす患者さんを予測するのは難
しいのですが、aSAHの重症例で
は脳血管攣縮が起こる確率は高
まるが、軽症例でも起こる場合
があります。軽症例にも十分ク
ラゾセンタンが対処できるので
はないか」と説明しました。さ
らに、クラゾセンタンを投与し
ても脳血管攣縮を起こす例には
ファスジルを選択する、または
コイル塞栓術を行う症例にクラ
ゾセンタンの投与で改善しない
場合には「既存薬を用いること
も考えられます」と話していま
す。

 くも膜下出血について解説し

ている動画です。

 
 


 
 
 大所高所から対処した。 笑

 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 沖縄や九州で多く発症する難
治性の血液ガン「成人T細胞白
血病(ATL)」 の増殖を、既存
の糖尿病治療薬で抑えられる可
能性があるとの研究成果を琉球
大学大学院医学研究科の研究チ
ームがまとめたのは素晴らしい
業績です。増殖期のATL 細胞が
グルコースを積極的に取り込ん
でいることに着目し、この働き
に関わるグルコース輸送体を阻
む糖尿病治療薬(SGLT-2阻害剤)
を投与すると、ガン細胞がエネ
ルギー不足になり、増殖が50%
以上抑制されることを突き止め
たということで、補助的に使う
ことで治療に貢献するものと考
えられます。
 脳動脈瘤破裂によるくも膜下
出血(aSAH)後に生じる脳血管
攣縮は、脳梗塞を引き起こすな
ど転帰不良をもたらす最も重篤
な合併症の1つであることは、
周知の事実です。いまだ治療が
困難な脳血管攣縮やこれに伴う
脳梗塞や脳虚血症状の発症抑制
効果を有するエンドセリン(ET)
受容体拮抗薬クラゾセンタン(
商品名ピヴラッツ)が世界に先
駆けて、日本で4月20日に発売
されたのは、喜ばしいことです。
第一選択薬として使うことで、
sSAHの治療が効果的に進むこと
を期待したいと思います。

 転機となる事態が起きて転帰
が良好となる。      笑

 
 
 
 
 
 
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