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2023-03-03 07:12:40

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診療マル秘裏話  号外Vol.2417 令和4年5月1日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
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目次

1)大腸ガン患者末梢血由来iPS細胞で樹状細胞樹立
2)難治性尿路感染症に対し、使用可能な抗生物質

 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 大腸ガン患者末梢血由来iPS細胞で樹状細胞樹立

 
 
 
 
 
 
 和歌山県立医科大学は、2022
年3月9日、大腸ガン患者さんの
末梢血から、iPS 細胞を使った
樹状細胞の樹立に成功し、試験
管内実験で大腸ガンに対するワ
クチン効果を確認したことを発
表しました。同大学外科学第2
講座の山上裕機教授、尾島敏康
講師、丸岡慎平医師らの研究グ
ループによるものです。

 樹状細胞は、ガン免疫で中心
的な役割を担っており、これま
でに樹状細胞を使ったワクチン
療法は数多く研究されています。
しかし、樹状細胞ワクチン療法
の臨床応用は、患者さんから誘
導された樹状細胞は採取できる
数が少ない、脆弱性があるなど
問題点が多くあります。

 研究グループは、こうした問
題点を解決するためにiPS 細胞
に着目しました。これまでに、
マウス由来のiPS 樹状細胞を樹
立し、メラノーマに対し腫瘍抗
原遺伝子を導入したiPS 樹状細
胞ワクチンの高い抗腫瘍効果を
確認したこと、続いて健常人か
ら樹立したiPS 樹状細胞ワクチ
ンでも、試験管内実験で抗腫瘍
効果が認められたことも報告し
ていました。

 今回、3人の大腸ガン患者さん
の末梢血から、ヒトiPS 細胞を
使った樹状細胞の樹立に成功し
ました。これらの大腸ガン患者
さんの腫瘍由来のメッセンジャ
ーRNAをヒトiPS樹状細胞に導入
し、細胞傷害性Tリンパ球を誘
導したところ、3人全員で抗腫
瘍効果が認められました。研究
グループは結論と波及効果とし
て、次のように述べています。

 「我々の研究グループは組織
不適合がなく、無限増殖能をも
つiPS 細胞を用いたガンワクチ
ン療法の研究に着目してきた。
今回、我々はガン患者さんより
誘導したiPS 樹状細胞が自己の
ガン細胞に対してワクチン効果
を発揮する可能性があることを
世界で初めて立証した。さらに
このワクチンシステムが新規ガ
ン抗原であるネオアンチゲンを
認識することを初めて確認しま
した。今回の研究におけるiPS
樹状細胞ワクチン療法の研究成
果は前臨床試験として世界にイ
ンパクトを与えるとともに、多
くの難治性消化器固形ガン患者
さんに大きな希望を与えると確
信する」

 ガンワクチン療法について解

説している動画です。

 
 


 
 
 
 八機の飛行機が性能を発揮し
た。           笑

 
 
 
 
 
 
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2】 難治性尿路感染症に対し、使用可能な抗生物質

 
 
 
 
 
 米・Spero Therapeutics社の
Paul B. Eckburg 氏らは、耐性
菌への感染を含む複雑性尿路感
染症または急性腎盂腎炎の入院
患者さんを対象に経口カルバペ
ネム系抗菌薬テビペネムピボキ
シルの有効性と安全性を第3相
国際ランダム化二重盲検ダブル
ダミー非劣性試験で検討した結
果、エルタペネム静脈内投与に
対するテビペネムピボキシル経
口投与の非劣性が示されたとN
Engl J Med(2022; 386: 1327-
1338)に発表しました。

 同試験では、複雑性尿路感染
症または急性腎盂腎炎と診断さ
れた18歳以上の入院患者さん1,
372例を登録し,テビペネムピボ
キシル群(8時間ごとに600mg経
口投与)とエルタペネム群(24
時間ごとに1g静脈内投与)に1:
1でランダムに割り付けて7~1
0日間 (菌血症の患者さんでは
最大14日間)治療しました。な
お、ダブルダミーとして全例に
他群のプラセボを投与しました。

 ベースラインで尿培養陽性だ
ったテビペネムピボキシル群44
9例とエルタペネム群419例の計
868例(平均年齢58.1歳、女性5
8.2%)を微生物学的intention
-to-treat(ITT)集団に組み入
れました。患者さんの内訳は50
.8%が複雑性尿路感染症、49.2
%が急性腎盂腎炎で、これらの
原因菌の90%超が腸内細菌目細
菌でした。また、耐性菌への感
染率が高く、24.3%が基質特異
性拡張型β-ラクタマーゼ(ESB
L)産生菌,39%がフルオロキノ
ロン非感受性菌、43%がトリメ
トプリム・スルファメトキサゾ
ール耐性菌に感染していました。

 有効性の主要評価項目は、微
生物学的ITT 集団における治癒
判定(test of cure;TOC) 時
点(治療19±2日目) の総合効
果【臨床的治癒と微生物学的効
果の良好判定(尿培養103CFU/m
L未満および血液培養の陰性化)
の複合】としました。

 解析の結果、主要評価項目の
総合効果が認められた患者さん
の割合は、エルタペネム群の61
.6%に対しテビペネムピボキシ
ル群では58.8%でした(加重差
-3.3%ポイント、95%CI -9.
7~3.2%ポイント)。2群間の
差が事前に設定した非劣性マー
ジン12.5%の範囲内であること
から、エルタペネムに対するテ
ビペネムピボキシルの非劣性が
示されました。

 またTOC 時点で臨床的治癒が
認められた患者さんの割合は、
エルタペネム群の93.6%に対し
テビペネムピボキシル群で93.1
%でした (加重差-0.6%ポイ
ント,95%CI -4.0~2.8%ポイ
ント)。同時点で微生物学的効
果の判定が不良だった患者さん
の大部分は、無症候性細菌尿で
抗菌薬を追加投与されなかった
患者さんでした。

 有害事象の発現率は両群で同
等でした(テビペネムピボキシ
ル群25.7% vs.エルタペネム群
25.6%)。発現率が最も高かっ
た有害事象は下痢(5.7% vs.4
.4%),次いで頭痛(両群3.8%)
でした。

 以上を踏まえ、Eckburg 氏ら
は「複雑性尿路感染症および急
性腎盂腎炎の治療において、テ
ビペネムピボキシル経口投与は
エルタペネム静脈内投与に対し
非劣性であり、両者の安全性プ
ロファイルは同等であった。耐
性菌による複雑性尿路感染症お
よび急性腎盂腎炎に対して有効
な経口治療薬が限られている現
状において、テビペネムピボキ
シルが新たな選択肢になる可能
性がある」と結論しています。

 カルバペネム系抗生物質につ

いて解説している動画です。

 
 
 


 
 
 経口投与用に携行した薬剤を
開封した。        笑

 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 和歌山県立医科大学が、2022
年3月9日、大腸ガン患者さんの
末梢血から、iPS 細胞を使った
樹状細胞の樹立に成功し、試験
管内実験で大腸ガンに対するワ
クチン効果を確認したことを発
表したのは素晴らしい業績です。
樹状細胞ワクチン療法の臨床応
用は、患者さんから誘導された
樹状細胞は採取できる数が少な
い、脆弱性があるなど問題点が
多くありますが、その問題点を
iPS 細胞で解決したのは見事で
あると思いました。今回、3人
の大腸ガン患者さんの末梢血か
ら、ヒトiPS 細胞を使った樹状
細胞の樹立に成功し、これらの
大腸ガン患者さんの腫瘍由来の
メッセンジャーRNAをヒトiPS樹
状細胞に導入し、細胞傷害性T
リンパ球を誘導したところ、3
人全員で抗腫瘍効果が認められ
たのは、抜群の効果的治療の誕
生であると考えます。
 米・Spero Therapeutics社の
Paul B. Eckburg 氏らは、耐性
菌への感染を含む複雑性尿路感
染症または急性腎盂腎炎の入院
患者さんを対象に経口カルバペ
ネム系抗菌薬テビペネムピボキ
シルの有効性と安全性を第3相
国際ランダム化二重盲検ダブル
ダミー非劣性試験で検討した結
果、エルタペネム静脈内投与に
対するテビペネムピボキシル経
口投与の非劣性が示されたとN
Engl J Med(2022; 386: 1327-
1338)に発表したのは、素晴ら
しい業績です。耐性菌への感染
を含む複雑性尿路感染症または
急性腎盂腎炎以外でも、耐性菌
に対して、効果が認められるこ
とを期待したいと思います。と
にかく耐性菌に対して有効な抗
生物質が見いだされたのは、素
晴らしいことです。

 対象以外に、意外な効能を発
見した。         笑

 
 
 
 
 
 
 
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