最近の号外Vol.2408メルマガ

  1. Home
  2. 最近の号外Vol.2408メルマガ

2023-02-21 07:57:17

カテゴリー:ブログ



藤田のブログランキングアップにご協力お願いします。
以下のバナーをぽちっとクリックお願いします。


病院・診療所ランキング

 
診療マル秘裏話  号外Vol.2408 令和4年4月22日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)卵巣ガン細胞を手術中に可視化する新蛍光色素
2)円形脱毛症にJAK阻害薬バリシチニブ,発毛効果示す

 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 卵巣ガン細胞を手術中に可視化する新蛍光色素

 
 
 
 
 
 
 大阪市立大学は3月29日、近
赤外線レーザーを照射すること
で卵巣ガン細胞を手術中に可視
化する新しい蛍光色素を開発と
発表しました。この研究は、同
大大学院医学研究科女性病態医
学の福田武史講師はハーバード
大学、ジョージア州立大学との
共同研究グループによるもので
す。研究成果は、「Angewandte
Chemie」に掲載されています。

 卵巣ガン患者さんの予後を改
善する最も重要な要素が手術に
よる病巣の完全切除です。医学
が進歩している現在でも、手術
中のガンの場所や正常組織との
境目は、いまだに術者が眼で見
るか触って確認する方法に頼っ
ていますが、現実はガンや正常
組織を見たり触ったりするだけ
で区別するのは簡単ではありま
せん。卵巣ガンは治療開始時点
で腹腔内に小さい腫瘍が散らば
る播種という状態が多く、この
ような1ミリ以下の微小な病巣
まできれいに切除することが大
切です。

 手術中にガンの場所をくっき
り蛍光で標識する蛍光ガイド手
術は、腫瘍の局在を明らかにす
ることで外科医の助けとなり、
腫瘍切除成績を向上させる技術
として注目を集めています。し
かし、現在認可されている数少
ない蛍光色素は腫瘍集積性に乏
しい上、薬物動態に改良の余地
があり、さらに毒性により実臨
床での効果や実用性に大きな限
界があります。

 今回、研究グループは、近赤
外領域に蛍光を持つスクアライ
ン色素の化学構造や電荷に修飾
を加えることで、高輝度で安定
した卵巣ガン指向性のある蛍光
色素を開発しました。合成、検
討したスクアライン派生蛍光色
素の中で、フッ素を持つOCTL14
は血清蛋白との結合能が低いた
め標的組織に迅速に分布し、細
胞膜上の有機カチオントランス
ポーターを介し卵巣ガン細胞内
へ迅速に取り込まれ、リソソー
ムに集積することでガン細胞内
に保持されることが判明しまし
た。また、OCTL14を卵巣ガン腹
膜播種マウスモデルに投与した
所、投与24時間後まで1ミリ以
下の微小な腫瘍組織を検出し、
その蛍光ガイド下での手術では
肉眼だけに比べて多数の腫瘍の
除去が可能でした。

 OCTL14の薬物動態を調べた所、
ガン細胞に取り込まれなかった
OCTL14は素早く胆汁や尿を介し
て体外に排泄され、そのことに
よりガン細胞と周辺組織とのコ
ントラストが付きやすく、また
毒性が低いことも分かりました。
さらに、異なる波長の蛍光を発
する色素とOCTL14を併用するこ
とで、尿管など機能的に重要な
正常組織とガン組織を同時に検
出することが可能であることも
明らかにし、卵巣ガン手術を含
む婦人科手術の際の合併症の一
つである尿管損傷のリスクを減
少させつつ、腫瘍の完全切除を
手助けし迅速かつ正確な手術の
遂行に貢献できることも証明し
ました。

 OCTL14は小さな分子で、比較
的簡単・安価に大量合成が可能
で、臨床応用にも適しており、
広く普及すると期待されます。
近年手術は腹腔鏡などによる非
侵襲的な方法が主流になってき
ている上、ダビンチ・システム
などを使ったロボット手術が増
えると、手術のナビゲーション
技術の重要性は増すと期待され
ています。

 しかし現在のところ、医薬品
として認可されている蛍光物質
はICG 含め数個と限られており、
選択肢が少ないことがこの技術
の限界となっています。卵巣ガ
ンのような女性特有の疾患に対
する新しい診断、治療法の開発
は遅れがちですが、この蛍光物
質が将来的に認可されて手術に
応用されると、卵巣ガンの手術
成績が向上し、卵巣ガン患者さ
んの予後が改善されることが期
待されます。

 卵巣ガンについて解説してい

る動画です。

 
 


 
 
 蛍光物質を携行する傾向があ
る。           笑

 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
2】 円形脱毛症にJAK阻害薬バリシチニブ,発毛効果示す

 
 
 
 
 
 円形脱毛症(alopecia areat
a;AA) に対するブレークスル
ーセラピーとして米食品医薬品
局(FDA) から指定を受けてい
るヤヌスキナーゼ(JAK) 阻害
薬バリシチニブ。BRAVE-AA研究
グループ/米・Yale School of
MedicineのBrett King氏らは、
バリシチニブの2件の第3相臨
床試験結果をN Engl J Med(20
22年3月26日オンライン版)に
報告しました。AAに対してプラ
セボ群と比べてバリシチニブ群
で有意な発毛効果が示されたこ
とを明らかにしました。

 AAは頭髪、眉毛およびまつげ
の急速な脱毛を特徴とする自己
免疫疾患で、治療法は限られて
います。バリシチニブは経口の
JAK1および2 の選択的可逆的阻
害薬で、AAの病因に関与するサ
イトカインシグナル伝達を阻害
する可能性があります。

 同薬の第3相臨床試験として
多施設共同二重盲検プラセボ対
照ランダム化比較試験BRAVE-AA
1(第2/3試験)およびBRAVE-
AA2が実施され,今回、試験結果
が報告されました。

 試験は、10カ国169 施設にお
いて、AAの重症度評価ツールSe
verity of Alopecia Tool(SAL
T)スコア50以上(頭髪脱毛が5
0%以上)で、重症のAAの罹患期
間が6カ月以上8年未満の成人AA
患者さんを,バリシチニブ4mgの
1日1回投与(4mg投与群) また
は2mgの1日1回投与(2mg投与群)
およびプラセボ群に,3:2:2で
ランダムに割り付け、有効性と
安全性を評価しました。主要評
価項目は投与後36週目のSALTス
コア20以下の達成としました。

 BRAVE-AA1では第3相試験部分
の4mg投与群は281例,2mg投与群
は184例、プラセボ群は189例で
計654例、BRAVE-AA2ではそれぞ
れ234例、156例、156例の計546
例、36週間の投与を完遂したの
はそれぞれ598例(91.4%)、4
90例(89.7%)でした。年齢は
男性18〜60歳、女性18〜70歳。
AAの平均罹患期間は,BRAVE-AA1
で3.6±3.9年、BRAVE-AA2では4
.3±4.9年でした。

 投与後36週目にSALTスコア20
以下を達成した患者さんはBRAV
E-AA1でバリシチニブ4mg投与群
38.8%,バリシチニブ2mg投与群
22.8%、プラセボ群6.2%で、B
RAVE-AA2ではそれぞれ35.9%、
19.4%,3.3%でした。主要評価
項目を達成した患者さんのほと
んどは36週目でSALTスコア10以
下でした。

 BRAVE-AA1ではバリシチニブ4
mg投与群とプラセボ群の差は32
.6%ポイント(95%CI 25.6〜3
9.5%ポイント)、2mg投与群と
プラセボ群の差は16.6%ポイン
ト (同9.5〜23.8%ポイント)
でした(いずれもP<0.001)。
BRAVE-AA2では、それぞれ32.65
%ポイント(同25.6〜39.6%ポ
イント)、16.1%ポイント(同
9.1〜23.2%ポイント) でした
(いずれもP<0.001)。

 King氏らは「重症のAA患者を
対象とした2件の第3相臨床試
験の結果から、投与36週目にお
いて、バリシチニブはプラセボ
よりも有意な発毛効果を示すこ
とが認められた」と結論してい
ます。

 安全性に関しては、上気道感
染症、頭痛、鼻咽頭炎、にきび、
尿路感染症、血中クレアチンキ
ナーゼ上昇といった有害事象が
いずれかのバリシチニブ群の5%
以上に発現しました。また、バ
リシチニブ群では、帯状疱疹が
プラセボ群よりもわずかに多く、
約25%の患者さんにLDLコレステ
ロール値の上昇(130mg/dL以上)、
約40%にHDLコレステロール値の
低下(60mg/dL以下) が観察さ
れました。こうしたことから、
同氏らは「AAに対するバリシチ
ニブの有効性と安全性を評価す
るには長期試験が必要。本試験
は進行中であり,最大200週間ま
で継続予定」と付言しています。

 円形脱毛症の治療について解

説している動画です。

 
 


 
 
 
 普賢岳の土石流について付言
する。          笑

 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
編集後記

 
 大阪市立大学が3月29日、近
赤外線レーザーを照射すること
で卵巣ガン細胞を手術中に可視
化する新しい蛍光色素を開発と
発表したのは、素晴らしい業績
です。手術中の取り残しは再発
につながりかねないですし、ど
こまで切除すればいいかの判断
を勘にたよるのは、危険だと思
います。こうした蛍光色素には、
ほとんど副作用があるとは思え
ないので、早く臨床試験を終え
認可され、臨床に使えることを
期待したいと思います。
 円形脱毛症(alopecia areat
a;AA) に対するブレークスル
ーセラピーとして米食品医薬品
局(FDA) から指定を受けてい
るヤヌスキナーゼ(JAK) 阻害
薬バリシチニブは、優れた薬剤
だと思います。ただ、JAK 阻害
薬は、免疫抑制剤なので、感染
症一般、特にヘルペスの副作用
には気をつける必要があります。
こうした観点からも、AAに対す
るバリシチニブの有効性と安全
性を評価するには、長期試験が
必要という意見は妥当なもので
ある気がします。

 違憲騒動について意見を述べ
る。           笑

 
 
 
 
 
 
 
************************

このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

発行者名  医療法人社団 永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト www.eitokukaisalanuma.or.jp/ ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。
このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント

コメント

コメントがありません。お気軽にどうぞ。