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2023-02-14 08:51:50

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診療マル秘裏話  号外Vol.2402 令和4年4月15日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
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目次

1)阪大がゼブラフィッシュでガン初期発生機構一端解明
2)制吐薬使用が虚血性脳卒中リスクの上昇と関連

 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 阪大がゼブラフィッシュでガン初期発生機構一端解明

 
 
 
 
 
 
 大阪大学微生物病研究所の石
谷太教授の研究グループはゼブ
ラフィッシュを用い、ガン初期
発生機構の一端を明らかにしま
した。上皮組織に生じた前ガン
細胞(ガン遺伝子などに変異を
持つ細胞)の動きを可視化解析
する実験系を構築しました。前
ガン細胞が存在しても健康な組
織の場合は同細胞の排除活性を
持ち、一方でダメージを負った
組織では腫瘍を形成します。そ
の違いには老化細胞の役割が密
接に関わっていたことが分かり
ました。ガン発生の初期段階へ
の理解を深め、予防対策に近づ
く成果といえそうです。成果は
英科学誌「ネイチャーコミュニ
ケーションズ」に掲載されまし
た。ガンの初期発生機構は、解
析困難でほとんど未解明です。

 上皮にヒトの代表的なガン遺
伝子Rasによって変異した細
胞(前ガン細胞)が発生するよ
うに操作した同モデル(稚魚)
を用いて観察した所、腫瘍がで
きず、ガンの抑制を確認しまし
た。周辺の正常細胞が前ガン細
胞を速やかに増殖停止させ、老
化細胞化させて体外に排出して
いました。一方、ガン抑制遺伝
子であるp53にも変異を与え
たRas二重変異細胞を持つ同
モデルでは、腫瘍が形成されま
した。二重変異の前ガン細胞が
周辺の正常細胞を巻き込み、ダ
メージを加えて細胞老化と増殖
を促す仕組みが存在していまし
た。

 ガン発生の理由と予防方法

について解説している動画です。

 
 


 
 
 主要な腫瘍の形成を抑制する
物質。          笑

 
 
 
 
 
 
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2】 制吐薬使用が虚血性脳卒中リスクの上昇と関連

 
 
 
 
 
 制吐薬の使用が虚血性脳卒中
リスクの上昇と関連していまし
た。フランス・Bordeaux Unive
rsityのAnne Bénard-Laribière
氏らは、同国の全国保健データ
システムSystème National des
Données de Santé(SNDS) の
データを用いて、ドパミン受容
体拮抗作用を有する制吐薬(AD
A) と虚血性脳卒中の関係をケ
ースタイムコントロール解析法
で検討した結果をBMJ(2022; 3
76: e066192)に報告しました。

 ADA は抗精神病薬と同様に、
脳内のドパミン活性を阻害し、
片頭痛、化学療法・放射線療法・
手術後に引き起こされる嘔気・
嘔吐を軽減するために広く使用
されています。これまで抗精神
病薬は虚血性脳卒中リスクの上
昇に関連することが報告されて
いますが、ADA などのドパミン
受容体拮抗薬と虚血性脳卒中リ
スクの関連は明らかではありま
せん。そこでBénard-Laribière
氏らは、SNDSのデータを用いて
ADA と虚血性脳卒中の関係を検
討しました。

 対象はSNDSに登録された1万3
,922例のうち、18歳以上で2012
~16 年に初めて虚血性脳卒中
と診断され脳卒中発症前70日以
内に少なくとも1回ADA(ドンペ
リドン、metopimazine、メトク
ロプラミド)の償還を受けた患
者さん(症例群:脳血管疾患、
ガンの既往、観察期間前に1回
以上ADA の償還を受けた者など
は除外)。各患者のリスク期間
(脳卒中発症前1~14日)と3つ
の参照期間(1. 脳卒中発症前
29~42日、2. 43~56日、3.
57~70日)におけるADA 償還回
数を比較しました。また脳卒中
患者さんと年齢、性、虚血性脳
卒中の危険因子をマッチングさ
せ、同時期にADA の償還を受け
た脳卒中未発症例をランダムに
選択して時間系列対照群とし、
症例群のリスク期間と3つの参
照期間におけるADA 償還回数を
比較しました。解析は、抗凝固
薬、抗血小板薬、血栓形成促進
薬、血管収縮薬などの時間依存
性交絡因子を調整して行いまし
た。

 解析対象は,症例群2,824例中
2,612例(平均年齢71.9歳,男性
33.9%)です。うちリスク期間
にADAを服用した患者さんは1,2
50例、参照期間にADA を服用し
た患者さんは,1,060例でした。
一方、時間系列対照群2万1,859
例のうち、リスク期間にADA を
服用した患者さんは5,128例,参
照期間にADA を服用した患者さ
んは1万3,165例でした。

 条件付きロジスティック回帰
分析法を用いて、症例群および
時間系列対照群のケースクロス
オーバー調整オッズ比(aOR)
を算出し、症例群のaOR を時間
系列対照群のaOR で割って算出
したケースタイムコントロール
解析によるaOR の比は3.12(95
%CI 2.85~3.42)で,脳卒中発
症直前の14日間にADA を服用し
た患者さんでは脳卒中発症リス
クが有意に高いという結果でし
た。年齢(70歳以上/未満)、
性、認知症歴、胃腸炎流行期で
層別化した解析でも同様の結果
でした。ケースタイムコントロ
ール解析によるaOR の比が最も
大きかったのは男性(3.59、95
%CI 3.06~4.20)でした。

 ADA の種類別に行ったケース
タイムコントロール解析による
aOR の比は、ドンペリドンで2.
51(95%CI 2.18~ 2.88)、me
topimazineで3.62(同3.11~ 4
.23)、メトクロプラミドで3.5
3(同2.62 ~ 4.76)と,血液脳
関門を通過する薬剤でより高い
という結果でした。

 以上から、Bénard-Laribière
氏らは「ADA の使用は虚血性脳
卒中リスクの上昇に関連してい
た」と結論しました。「特に血
液脳関門を通過するmetopimazi
neとメトクロプラミドでリスク
が高かったことから、ADA が脳
血流に影響を及ぼした可能性が
考えられる」と付言しました。

 制吐薬について解説している

動画です。

 
 


 
 
 
 
 持参分の通貨を税関で通過さ
せる。          笑

 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 大阪大学微生物病研究所の石
谷太教授の研究グループがゼブ
ラフィッシュを用い、ガン初期
発生機構の一端を明らかにした
のは、素晴らしい業績です。上
皮組織に生じた前ガン細胞(ガ
ン遺伝子などに変異を持つ細胞)
の動きを可視化解析する実験系
を構築しするだけでも、本当に
凄い業績と言えるものだと思い
ます。その実験系を使って、前
ガン細胞が存在しても健康な組
織の場合は同細胞の排除活性を
持ち、一方でダメージを負った
組織では腫瘍を形成することが
分かったのは画期的な発見と言
えましょう。その違いには老化
細胞の役割が密接に関わってい
たことが、分かったのも意外で
した。
 制吐薬の使用が虚血性脳卒中
リスクの上昇と関連していたの
は、意外でした。制吐剤の副作
用として、錐体外路症状が知ら
れていますが、虚血性脳卒中リ
スクがあるとは聞いたことがあ
りませんでした。フランス・Bo
rdeaux UniversityのAnne Béna
rd-Laribière氏らが、同国の全
国保健データシステムSystème
National des Données de Sant
é(SNDS) のデータを用いて、
ドパミン受容体拮抗作用を有す
る制吐薬(ADA) と虚血性脳卒
中の関係をケースタイムコント
ロール解析法で検討した結果を
BMJ(2022; 376: e066192) に
報告したのは、素晴らしい業績
です。

 私用の使用を追究される。笑

 
 
 
 
 
 
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職業    医師の箸くれ(はしくれ)
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