2023-02-07 10:27:29

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診療マル秘裏話　　号外Vol.2396 令和4年4月8日作成
作者　医療法人社団　永徳会　藤田　亨

 
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目次

1)ｵﾙｶﾞﾉｲﾄﾞを使う、新規薬剤ｽｸﾘｰﾆﾝｸﾞｼｽﾃﾑを開発
2)β-ｸﾞﾙｶﾝ補助食品摂取で自閉症小児の行動改善

 
 
 
 
 
 
 
 
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　医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 ｵﾙｶﾞﾉｲﾄﾞを使う、新規薬剤ｽｸﾘｰﾆﾝｸﾞｼｽﾃﾑを開発

 
 
 
 
 
 
　慶應義塾大学(慶大)は３月11
日、大腸ガンに対する患者さん
由来オルガノイドを用いた新規
薬剤スクリーニングシステムを
開発したと発表しました。同成
果は、慶大医学部 坂口光洋記
念講座(オルガノイド医学)の佐
藤俊朗教授らの研究チームによ
るものです。詳細は、英科学誌
「Nature」系の化学と生物学と
その関連分野全般を扱う学術誌
「Nature Chemical Biology」
に掲載されました。

　大規模薬剤スクリーニングで
は、多数の候補薬剤をさまざま
な濃度で検討するため、事前に
細胞を効率よく大量に培養する
ことが求められます。また、バ
ラつきが少なく信頼性が高いデ
ータを取得するためには、細胞
あるいはオルガノイドを均等に
育てる必要もあります。しかし、
従来のヒト大腸オルガノイド培
養法は効率が低かったため、正
常ヒト大腸オルガノイドを大規
模薬剤スクリーニングに用いる
ことが難しかったということで
す。そうした中、近年の研究か
らIGF-1とFGF-2という増殖因子
を培地に添加することで、ヒト
腸管オルガノイドの培養効率が
向上できることを報告したのが
佐藤教授率いる研究チームだと
いうことです。

　今回の研究では、この培養条
件を応用した浮遊培養技術を用
いることで、内視鏡下生検検体
に相当する少量の組織量から、
正常ヒト大腸および大腸ガン細
胞を約1～2か月の間に1000万細
胞まで安定的に増やすことが可
能となる技術が開発されました。
また、同システムを用いて正常
ヒト大腸オルガノイド６株とヒ
ト大腸ガンオルガノイド20株に
対して56種類の薬剤を用いてス
クリーニングが行われ、高精度
な薬剤感受性データを取得しま
した。正常大腸オルガノイドと
大腸ガンオルガノイドの治療応
答性を直接比較することで、正
常細胞を傷害せず大腸ガンに対
してのみ効果を示す薬剤が探索
された所、ブロモドメイン蛋白
質阻害剤「(+)-JQ1」が,正常大
腸オルガノイドに比べて大腸ガ
ンオルガノイドに対して強い効
果を示すことが判明したほか、
トランスクリプトミクス分析に
より,(+)-JQ1は結腸直腸ガンで
異常に活性化される遺伝子発現
を抑制することも確かめられた
としています。

　ブロモドメイン蛋白質阻害剤
はスーパーエンハンサーを標的
とすることが知られているため、
今回の研究結果は,(+)-JQ1が発
ガン性依存性プログラムを抑制
することによって、ガンオルガ
ノイドの増殖を抑制したことが
示唆されたと研究チームでは説
明しているほか、潜在的な治療
法の発見のために正常細胞を使
用することの有用性も示された
ともしています。ガンでは多数
の遺伝子異常が見られますが、
同時に、遺伝子配列には異常を
きたさない異常 (エピゲノム異
常) があることも知られていま
す。また、大腸ガンでは、約20
％の症例において、「CpG isla
nd methylator phenotype」(CI
MP) というエピゲノム異常が確
認されていますが、今回の研究
では、薬物反応の統合分析によ
り、パクリタキセル感受性とCp
G アイランドメチレーター表現
型(CIMP)の間に有意な正の相関
が検出されたとのことで、これ
はBRAF変異とマイクロサテライ
ト不安定性を伴う結腸直腸ガン
でよく見られるということです。

　また、CIMP陽性ガンの異種移
植片は、一貫してパクリタキセ
ルに対する感受性が示され、CI
MP陽性の結腸直腸ガンにおける
パクリタキセル感受性の根底に
ある分子メカニズムとして、紡
錘体チェックポイント関連遺伝
子であるCHFRの不活性化が特定
され,CRISPR/Cas9を介したノッ
クアウトとオルガノイドにおけ
るCHFRの過剰発現により、CHFR
の欠陥とパクリタキセルの感受
性との因果関係が検証されたほ
か、CIMP陽性ガンのパクリタキ
セル感受性が異種移植片を使用
して試験管内で確認されたとの
ことで、今回の結果について研
究チームでは、乳ガン、胃ガン、
卵巣ガンなどのさまざまなガン
で臨床的に用いられる抗ガン剤
パクリタキセルのCIMP陽性結腸
直腸ガン治療への転用可能性が
示唆されたとしています。なお、
研究チームでは、今回開発され
た技術について、バイオマーカ
ー研究および新規創薬研究に有
用であることから、基礎研究お
よび創薬研究での幅広い応用が
期待されるとしています。

　難治性ガン細胞オルガノイド

を使った新規治療薬の開発につ

いて解説している動画です。

 
 


 
 
 
　過剰発現について箇条書きに
する。　　　　　　　　　　笑

 
 
 
 
 
 
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2】 β-ｸﾞﾙｶﾝ補助食品摂取で自閉症小児の行動改善

 
 
 
 
 
　医療技術のジーエヌコーポレ
ーション（ＧＮＣ、山梨県甲府
市）は、β－グルカンの補助食
品「ニチグルカン」の摂取で、
自閉スペクトラム障害小児の行
動などに改善が示されたとする
臨床試験の結果を発表しました。
試験では、参加小児がニチグル
カン製品「Ｎｉｃｈｉ・ＧＬＯ
Ｗ」を９０日間にわたり経口摂
取しました。その結果、参加小
児の行動・学習能力・睡眠・腸
内微生物叢に改善が見られまし
た。ニチグルカンは、黒酵母ア
ウレオバシジウム・プルランス
のＡＦＯ－２０２菌株が産生す
るβ－グルカンを含む製品で、
1996年に日本で食品添加物とし
て認可済みです。試験結果はＢ
ＭＪ・Ｎｅｕｒｏｌｏｇｙ・Ｏ
ｐｅｎ誌に掲載されました。

　自閉症スペクトラム障害の食

事療法について解説している動

画です。

 
 


 
 
 
　経口摂取できる食べ物を携行
する。　　　　　　　　　　笑

 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
　慶應義塾大学(慶大)が３月11
日、大腸ガンに対する患者さん
由来オルガノイドを用いた新規
薬剤スクリーニングシステムを
開発したと発表したのは素晴ら
しい業績です。正常大腸オルガ
ノイドと大腸ガンオルガノイド
の治療応答性を直接比較するこ
とで、正常細胞を傷害せず大腸
ガンに対してのみ効果を示す薬
剤が探索された所、ブロモドメ
イン蛋白質阻害剤「(+)-JQ1」
が、正常大腸オルガノイドに比
べて大腸ガンオルガノイドに対
して強い効果を示すことが判明
したほか、トランスクリプトミ
クス分析により,(+)-JQ1は結腸
直腸ガンで異常に活性化される
遺伝子発現を抑制することも確
かめられたというのは凄い結果
だと思います。臨床試験が待ち
遠しい限りです。
　医療技術のジーエヌコーポレ
ーション（ＧＮＣ、山梨県甲府
市）は、β－グルカンの補助食
品「ニチグルカン」の摂取で、
自閉スペクトラム障害小児の行
動などに改善が示されたとする
臨床試験の結果を発表したのは、
素晴らしい業績です。まだ臨床
試験は行われていないと思いま
すが、パクチーすなわち、商品
名中国パセリなども自閉症スペ
クトラム障害小児の行動などが
改善することが示唆されていま
す。自閉症スペクトラム小児に
対する治療は、オキシトシンの
経鼻投与などが知られています
が、健康食品で臨床試験がなさ
れたのは、稀と言わざるを得ま
せん。健康食品は、薬剤と違い
副作用が少ないので、パクチー
やこのβ‐グルカンなどに留ま
らず、果敢に臨床試験を行って
頂きたいものです。

　警備員が軽微な経鼻薬を投与
される。　　　　　　　　　笑

 
 
 
 
 
 
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