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2023-02-01 09:20:07

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診療マル秘裏話  Vol.901 令和3年3月17日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
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目次

1)GISTのHSP阻害剤pimitespib の治験結果を発表
2)武漢熱感染症の治療薬向けに麹菌化合物を提案

 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
1】 GISTのHSP阻害剤pimitespib の治験結果を発表
 
 
 
 
 
 大鵬薬品工業は本日(2月22
日)、既治療の消化管間質腫瘍
(GIST)患者さんにおいて経口
ヒートショックプロテイン(HS
P)阻害剤pimitespib(TAS-116)
の有効性と安全性をプラセボを
対照に検証した第3相臨床試験
CHAPTER-GIST-301で、主要評価
項目である無増悪生存期間(PF
S) を有意に延長したことを発
表しました。試験結果の詳細は
今後の学術集会や学術雑誌での
公表を予定しているということ
です。

 pimitespibは,HSP90を阻害す
ることによりガンの増殖や生存
などに関与するKIT,血小板由来
成長因子(PDGFR)A、HER2や上
皮成長因子受容体(EGFR)など
の蛋白を不安定化し、減少させ
ることで抗腫瘍効果を示すとさ
れています。

 GISTについて解説している

動画です。

 
 


 
 
 主要な腫瘍で、抗腫瘍効果を
認めた。         笑

 Hsp90 は非ストレス環境下に
おいても細胞内発現量が高く、
真正細菌や真核生物において広
く発現して分子シャペロンとし
て機能します。例えばHsp90 は
細胞内において不活性状態のス
テロイド受容体と複合体を形成
していることが知られており、
その機能維持を行っています。
また、Hsp90 はガンの進展との
関連が深く、Hsp90 阻害剤は抗
ガン剤として期待されています。

 Kit キナーゼは造血系の前駆
細胞の生存・分化・増殖の制御
に関わっています。さらに、肥
満細胞・メラノサイト・始原生
殖細胞・カハール細胞の成長に
重要な役割を果たしています。
このような細胞における正常な
機能ばかりではなく、その制御
が乱れることにより引き起こさ
れる消化管間質腫瘍(GIST)、
肥満細胞症(mastocytosis)や
急性骨髄性白血病(AML) など
の疾病との関係も明らかになり
つつあります。

 PDGF(platelet-derived   gro
wth factor; 血小板由来増殖因
子)は血小板α顆粒に貯蔵され
ている液性因子であり、血管平
滑筋細胞や線維芽細胞の増殖因
子として精製されました。動脈
硬化や創傷治癒などに関与する
とされていましたが、PGDF-Bは
サル肉腫ウイルスの癌遺伝子v-
sisと92%の相同性を有すること
が明らかになっており、現在で
はガンと深く関与していると考
えられています。PDGFはチロシ
ンキナーゼ関連型であるPDGF受
容体(platelet-derived growt
h factor receptor; PDGFR)を
介してその生理作用を発現しま
す。PGDFには、αサブユニット
とβサブユニットがあり、αサ
ブユニットをPDGF-A、βサブユ
ニットをPDGF-Bと呼びます。

 HER2とは、細胞の表面に存在
している細胞増殖の調節などに
関与する蛋白質のことをいいま
す。

 上皮成長因子受容体(Epider
mal Growth Factor Receptor;
EGFR)は、細胞の増殖や成長を
制御する上皮成長因子 (EGF)
を認識し、シグナル伝達を行う
受容体です。チロシンキナーゼ
型受容体で、細胞膜を貫通して
存在する分子量170kDa(キロダ
ルトン)の糖蛋白質です。HER1、
ErbB1とも呼ばれます。

 
 
 
 
 
 
 
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2】 武漢熱感染症の治療薬向けに麹菌化合物を提案

 
 
 
 
 
 
 国内創薬ベンチャーが、武漢
熱感染症の治療薬向けに新技術
を提案しています。静岡県立大
発バイオベンチャーのアデノプ
リベント(名古屋市千種区)は
麹菌由来の化合物が新型コロナ
ウイルス(武漢熱ウイルス)の
増殖を阻害することを発見し、
3年以内の実用化を目指します。
ルカ・サイエンス(東京都中央
区)は肺組織の修復を促すミト
コンドリア製剤を、武漢熱にと
もなう急性呼吸窮迫症候群(A
RDS)の治療に応用します。

 アデノプリベントが見つけた
麹菌由来の化合物は、ウイルス
に内在し増殖を促す酵素「メイ
ンプロテアーゼ」の働きを抑え
ます。武漢熱ウイルス特有のメ
インプロテアーゼに作用し、活
性を阻害できます。人間の蛋白
質を標的にしないため、副作用
の懸念も小さいとされています。

 1月に特許を申請しており、
共同開発企業を募り、治療薬開
発に向け非臨床試験を実施する
計画です。本来、エボラやイン
フルエンザなどを対象とする既
存の武漢熱治療薬に比べて効率
的に作用するため、少量でウイ
ルスの増殖を阻害できると期待
されます。食物由来のため安全
性が高く、早期の実用化が見込
めます。

 ルカ・サイエンスが治療対象
とするARDSは、武漢熱で集
中治療室に入院した重症患者さ
んのうち、半数以上が診断されて
いるといわれています。急激に
重症化し、生命予後に大きく影
響するうえ、有効な治療薬もほ
とんどありません。

 同社のミトコンドリア製剤は、
肺組織の修復と免疫機能の回復
を同時に狙っています。武漢熱
変異種や、武漢熱以外のウイル
ス、ウイルスによらないARD
Sへの効果も期待できます。

 今年中に非臨床試験を実施予
定で、5年間、日本医療研究開
発機構(AMED)の支援を受
けることも決まりました。京都
大学や北海道大学など、複数の
アカデミアと連携して開発を進
めます。

 オンコリスバイオファーマや
そーせいグループ、ペプチドリ
ームなども独自のモダリティ(
治療手段)で武漢熱薬開発に取
り組んでいます。今後は臨床開
発のノウハウを持つ製薬大手と
の連携が、早期実用化のカギを
握りそうです。

 武漢熱増殖抑制する化合物に

ついて解説している動画です。

 
 


 
 
 連係プレーで連携を維持する。


 メインプロテアーゼとは、特定
の配列を切断するウイルス由来の
プロテアーゼ(蛋白質分解酵素)
のこと。ウイルス増殖を促す働き
があります。

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 大鵬薬品工業が本日(2月22
日)、既治療の消化管間質腫瘍
(GIST)患者さんにおいて経口
ヒートショックプロテイン(HS
P)阻害剤pimitespib(TAS-116)
の有効性と安全性をプラセボを
対照に検証した第3相臨床試験
CHAPTER-GIST-301で、主要評価
項目である無増悪生存期間(PF
S) を有意に延長したことを発
表したのは、素晴らしい業績で
す。主要評価項目である無増悪
生存期間(PFS) を有意に延長
したのは、抗ガン剤として期待
できる成果だと思います。それ
に加えて経口薬であることは、
忍容性が良いと考えられます。
後は、副作用が少ないことを期
待したいと思います。
 国内創薬ベンチャーが、武漢
熱感染症の治療薬向けに新技術
を提案しており、静岡県立大発
バイオベンチャーのアデノプリ
ベント(名古屋市千種区)は麹
菌由来の化合物が新型ウイルス
の増殖を阻害することを発見し、
3年以内の実用化を目指してい
るのは、画期的発見と言えるで
しょう。武漢熱ウイルス特有の
メインプロテアーゼに作用し、
活性を阻害できるとともに、人
間の蛋白質を標的にしないため、
副作用の懸念も小さいとされて
いるのも、優れた点と言えまし
ょう。同社のミトコンドリア製
剤は、肺組織の修復と免疫機能
の回復を同時に狙っているとの
ことですので、今後の実用化を
期待したいと思います。

 笛吹童子が、同時に、現れた。


 
 
 
 
 
 
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