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2023-01-13 08:17:07

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診療マル秘裏話  号外Vol.2374 令和4年3月13日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
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目次

1)KRAS変異を有する膵臓ガンの新規治療法に期待
2)広範囲脳梗塞でも、血管内治療で身体機能改善

 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 KRAS変異を有する膵臓ガンの新規治療法に期待

 
 
 
 
 
 
 近畿大学は2月17日、化合物
「ACAGT-007a」(以下、GT-7)
が、特定の遺伝子変異のある膵
臓ガン細胞の増殖を強力に抑制
し、細胞死(アポトーシス)を
誘導することを発見したと発表
しました。この研究は、同大薬
学部分子医療・ゲノム創薬学研
究室の杉浦麗子教授らの研究グ
ループによるものです。研究成
果は,「Cells」に掲載されてい
ます。

 細胞の増殖や細胞死には、多
様な蛋白質によるシグナル伝達
が関わっており、それが細胞の
ターンオーバーを正常に制御し
ています。しかし、蛋白質の遺
伝子に変異が生じると細胞死が
正しく誘導されなくなり、ガン
細胞増殖の原因となります。

 90%以上の膵臓ガンにおいて
は、蛋白質KRASの遺伝子に変異
が生じることで、細胞増殖を促
進する「ERK MAPK」(以下、ER
K)、「PI3K/AKT」(以下、AKT)
の働きが異常に活発になり、ガ
ン細胞の増殖を抑制できなくな
ると考えられています。これま
での抗ガン剤開発は、ERK が関
与するシグナル伝達を阻害する
ことでガン細胞の増殖を抑制す
るものが中心となっていますが、
膵臓ガンに対する治療効果は十
分ではありません。そのため、
別の作用を原理とした新しい治
療薬の開発が強く望まれていま
す。

 今回、研究グループは、GT-7
の膵臓ガンへの効果を検証する
にあたり、まず、KRAS遺伝子の
異なる部分に変異が入った3種
類の膵臓ガン細胞「MIA-Pa-Ca-
2」「T3M4」「PANC-1」 を準備
しました。それぞれの細胞にGT
-7を添加した所、GT-7の濃度依
存的に細胞死が誘導され、10μ
MのGT-7を添加した際には、T3M
4では77.1%、MIA-Pa-Ca-2では
47.4%、PANC-1では32.3%の細
胞に細胞死が誘導されました。
また、GT-7は、すでに膵臓ガン
治療薬として有望視されている
化合物ホノキオールより低濃度
でも細胞死誘導に有効であるこ
とが分かったということです。

 次に、GT-7がどのように細胞
死を誘導するかを検証するため、
GT-7添加と同時に、ERK を活性
化する蛋白質MEK を阻害する化
合物(MEK阻害剤:U0126)を添
加しました。その結果、特にT3
M4においてERK の活性と細胞死
が強く抑制されました。このこ
とから、メラノーマを用いた先
行研究と同様に、膵臓ガン細胞
でもERK をさらに活性化させる
ことで細胞死を誘導することが
明らかになりました。

 また、KRASの変異によって活
性化する別のシグナル伝達経路
としてAKT 経路があり、これを
阻害する化合物としてワートマ
ニンが知られています。ワート
マニンとGT-7を同時に膵臓ガン
細胞に添加したところ、T3M4と
MIA-Pa-Ca-2においては,誘導さ
れる細胞死の割合が顕著に増加
しました。

 以上の結果から、GT-7は膵臓
ガン細胞にあるERK をさらに活
性化させることで細胞死を誘導
する世界初の化合物であり、そ
の誘導効果はAKT 阻害剤と併用
することによって増強されるこ
とが明らかになりました。

 「今回の研究成果を活用し、
今後、特定のKRAS変異を有する
膵臓ガンに対して,GT-7とAKT阻
害剤を併用した新たな治療法の
確立が期待される」と研究グル
ープは述べています。

 膵臓ガンについて解説して

いる動画です。

 
 


 
 
 治療法の確立の確率を増やす。


 
 
 
 
 
 
 
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2】 広範囲脳梗塞でも、血管内治療で身体機能改善

 
 
 
 
 
 
 血管内治療は一般に広範囲の
急性期脳梗塞では回避されます
が、Alberta Stroke Program E
arly Computed Tomographic Sc
ore(ASPECTS)※1が,3~5の広
範囲脳梗塞を有する患者さんに
おいても、通常の内科的脳梗塞
治療に比べ血管内治療では発症
90日後の身体機能を改善する可
能性があることが示されました。
兵庫医科大学脳神経外科主任教
授の吉村紳一氏らが、国内多施
設非盲検ランダム化比較試験RE
SCUE-Japan LIMITの結果を国際
脳卒中会議(ISC 2022、2月9~
11日、ウェブ併催)で報告、詳
細がN Engl J Med(2022年2月9
日オンライン版)に同時掲載さ
れました。

 同試験では、脳主幹動脈(内
頸動脈または中大脳動脈M1部)
の閉塞が確認されASPECTS 3~5
の広範囲脳梗塞と診断された18
歳以上の患者のうち、発症前の
modified Rankin Scale(mRS)
スコア※2が,0~1で最終健常確
認時刻から6時間以内、または6
~24時間以内かつMRIのFLAIR画
像で早期虚血性変化が確認され
ない患者さん203例(平均年齢7
6歳、女性44.3%) を登録しま
した。アルテプラーゼ静注を含
む通常の内科的脳梗塞治療のみ
を行う群(内科治療群、102例)
と血管内治療を併用する群(血
管内治療群,101例)に1:1でラ
ンダムに割り付けて治療しまし
た。

 主要評価項目は発症90日後の
mRS スコア0~3(後遺障害がな
し~中等度で介助なしの歩行が
可能)としました。副次評価項
目は、90日後のmRS スコアのシ
フト解析(良好な方向へのシフ
ト)、48時間後の米国立衛生研
究所脳卒中スケール (NIHSS)
スコア※3の8ポイント以上の改
善などとしました。

 解析の結果、主要評価項目を
達成した患者さんの割合は、内
科治療群の12.7%に対し血管内
治療群では31.0%と有意に高い
という結果が出ました【相対リ
スク (RR)2.43、95%CI 1.35
~4.37、P=0.002】。

 90日後のmRS スコアのシフト
解析では、血管内治療群で転帰
が良好でした(共通オッズ比2.
42,95%CI 1.46~4.01)。また、
48時間後に8ポイント以上のNIH
SSスコア改善が見られた患者さ
んの割合は,内科治療群の8.8%
に対し血管内治療群で31.0%と
高いという結果でした(RR 3.5
1、95%CI 1.76~7.00)。

 安全性の評価では、48時間以
内の頭蓋内出血(症候性または
無症候性)の発生率は内科治療
群に比べ血管内治療群で有意に
高いという結果でした(31.4%
vs. 58.0%、RR 1.85、95%CI
1.33~2.58、P<0.001)。ただ
し、症候性頭蓋内出血に関して
は有意差がありませんでした(
4.9% vs. 9.0%、同1.84、0.6
4~5.29、P=0.25)。90日以内
の脳梗塞再発 (6.9% vs. 5.0
%、同0.73、0.24~2.22、P=0
.58)、7日以内の減圧開頭術施
行(13.7% vs. 10.0%、同0.7
3、0.34~1.56、P=0.41)は2
群で同等でした。

 以上を踏まえ、吉村氏らは「
広範囲の虚血領域を有する急性
期脳梗塞の患者において、通常
の治療に比べ血管内治療では頭
蓋内出血は多かったものの、発
症90日後の機能的転帰が良好だ
った」と結論しました。ただし、
「日本では急性期脳梗塞の診断
にMRI が広く用いられているた
め、大部分のASPECTS は拡散強
調MRI に基づいて算出されまし
た。結果の解釈に際しては、CT
に基づくASPECTS との違いを考
慮すべき」と付言しています。

※1 ASPECTS:スコア範囲0~10、
低スコアほど脳梗塞が広範囲

※2 mRS :スコア範囲0~6、高
スコアほど障害が重度

※3 IHSS :スコア範囲0~42、
高スコアほど神経症状が重症

 急性期脳梗塞の血栓回収療

法について解説している動画

です。

 
 


 
 
 
 核酸についての情報を拡散す
る。           笑

 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 近畿大学が2月17日、化合物
「ACAGT-007a」(以下、GT-7)
が、特定の遺伝子変異のある膵
臓ガン細胞の増殖を強力に抑制
し、細胞死(アポトーシス)を
誘導することを発見したと発表
したのは、素晴らしい業績です。
膵臓ガンは、極めて難治性ガン
であり、5年生存率は数%とさ
れているので、特定の遺伝子変
異がある膵臓ガンに限るという
条件付きながら、素晴らしい新
治療になる可能性を秘めていま
す。早期の臨床試験が、望まれ
ます。臨床試験を経なければ、
安全性、有効性が担保されない
ので、臨床試験で結果を出し、
有効な新治療法となることを、
期待したいと思います。
 血管内治療が一般に広範囲の
急性期脳梗塞では回避されます
が、Alberta Stroke Program E
arly Computed Tomographic Sc
ore(ASPECTS)※1が,3~5の広
範囲脳梗塞を有する患者さんに
おいても、通常の内科的脳梗塞
治療に比べ血管内治療では発症
90日後の身体機能を改善する可
能性があることが示されたのは、
喜ばしいことです。血管内治療
は、患者さんの身体の負担も少
なく、極めて有望な治療法であ
ると考えられます。結果が出た
なら、早く臨床にフィードバッ
クして頂きたいと思います。即
ち、広範囲の急性期脳梗塞での
血管内治療に期待したいと思い
ます。

 昨日の身体機能の測定結果を
発表する。        笑

 
 
 
 
 
 
 
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