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2022-12-16 10:06:03

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診療マル秘裏話  号外Vol.2350 令和4年2月13日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
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目次

1)食物繊維豊富な食事が免疫療法効果を増強する
2)生存期間延長は透析治療と比べ再移植で優れる

 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 食物繊維豊富な食事が免疫療法効果を増強する

 
 
 
 
 
 
 米国立ガン研究所(NCI) ガ
ン研究センターとテキサス州立
大学MDアンダーソンガンセンタ
ーの研究者らが主導した新たな
試験によれば、食物繊維が豊富
な食事が腸内細菌叢に影響を及
ぼすことで、悪性黒色腫(メラ
ノーマ)患者さんの一部が免疫
療法の効果が出やすくなる可能
性があるという。この試験結果
は悪性黒色腫患者さんと悪性黒
色腫マウスモデルを解析したも
ので,Science誌2021年12月24日
号に掲載されました。

 免疫チェックポイント阻害薬
による免疫療法を受けた進行悪
性黒色腫患者さんのうち、食物
繊維を1日20g以上摂取した患者
さんは無増悪生存期間が最も長
いという結果がでました。これ
とは対照的に、プロバイオティ
クスのサプリメントにより免疫
チェックポイント阻害薬の効果
がやや低下したように思われま
した。プロバイオティクスは腸
内環境改善を目的として通常サ
プリメントとして摂取する生き
た微生物です。

 「このデータは、腸内細菌叢
の構成を標的にすると患者さん
が免疫療法薬に反応しやすくな
ることを示唆しています」とGi
orgio Trinchieri 医師(NCIガ
ン研究センター統合ガン免疫学
研究室主任、この研究の主たる
共同研究者の1人)は述べまし
た。「果物、野菜、豆類などの
食物繊維が豊富な食品を摂取す
ることで、免疫療法薬に反応し
やすくなる可能性があります」

 免疫チェックポイント阻害薬
による免疫療法は、腫瘍細胞を
認識し殺傷する免疫系本来の能
力を回復させるよう促します。
この薬剤は悪性黒色腫の治療に
大きな変革をもたらし、一部の
進行悪性黒色腫患者の生存期間
が時には数年単位で改善しまし
た。しかし多くの患者さんで、
免疫チェックポイント阻害薬は
腫瘍の増殖を抑制できません。
腸内細菌叢の構成が免疫療法薬
の効果に影響を及ぼす可能性を
示唆した研究もいくつかありま
す。

 「問題は、腸内細菌叢の構成
を変えれば免疫療法薬の効果を
高めることができるのかという
ことです」とTrinchieri氏は言
っています。

 先行研究では、当初は免疫チ
ェックポイント阻害薬による治
療が奏効しなかった悪性黒色腫
患者さんに同剤が奏効した患者
さんからの糞便移植を実施した
後、一部で治療効果が得られた
ことが明らかになりました。Tr
inchieri氏らは、糞便移植によ
って、免疫細胞が腫瘍に浸潤し
殺傷しやすくなる別の腸内細菌
が導入されたと結論を示しまし
た。

 「食物繊維の摂取やプロバイ
オティクスサプリメントの使用
も、腸内細菌叢の構成に影響を
及ぼすことが示されています。
腸内環境を改善しようと努力し
て、プロバイオティクスサプリ
メントを摂取するガン患者さん
は増えていますが、プロバイオ
ティクス(基本的に腸内細菌叢
の生態系を変化させる)が免疫
療法薬の効果に影響を及ぼす機
序に関してはほとんど分かって
いません」とTrinchieri氏は言
っています。

 このほか、食物繊維の摂取と
免疫療法薬の効果の関連性も明
らかになっていません。しかし、
最近実施されたRomina Goldszm
id博士(NCIガン研究センター)
が主導した研究から、ペクチン
(リンゴに多く含まれる食物繊
維)が豊富に含まれる食事を摂
取したマウスは免疫細胞が活性
化し腫瘍微小環境を再プログラ
ムすることで、腫瘍の増殖を抑
制できることが示されました。

 今回の新たな試験では、Trin
chieri氏、Carrie R. Daniel博
士・公衆衛生学修士、Jennifer
A. Wargo 医師(テキサス州立
大学MDアンダーソンガンセンタ
ー)らが、免疫チェックポイン
ト阻害薬により治療を受けてい
る進行性悪性黒色腫患者さんの
糞便微生物の構成(腸内細菌叢)、
食生活、およびプロバイオティ
クスサプリメントの使用を調査
しました。

 食物繊維の摂取量が判明して
いる患者さん128 例のうち、20
g/日以上(この試験の目的に「
十分」とされた量)を摂取して
いると報告した患者さんは、摂
取量が少ない患者さんよりも無
増悪生存期間が長いという結果
がでました。食物繊維の摂取量
が5g/日増えるごとにガン増悪
リスクが30%低下しました。

 このほか、Trinchieri氏らは
悪性黒色腫マウスモデルで、食
物繊維が抗PD-1薬による治療効
果に及ぼす影響も調べました。
悪性黒色腫患者さんのさまざま
な食生活を再現するため、マウ
スに高食物繊維食または低食物
繊維食を給餌し、悪性黒色腫細
胞を注入後、抗PD-1療法で治療
しました。その結果、低食物繊
維食を摂取したマウスと比較す
ると、高食物繊維食を摂取した
マウスは抗PD-1治療後に腫瘍の
増殖が抑制されました。Trinch
ieri氏らは、次に無菌マウス(
腸内細菌がいないマウス)でこ
の実験を再現しました。

 「無菌マウスでは、食事によ
る免疫療法薬の効果に差は認め
られませんでした。このことか
ら、食事が腸内細菌叢の構成を
変えることで、免疫チェックポ
イント阻害薬の効果に影響を及
ぼしていることが示唆されます」
とTrinchieri氏は述べました。

 「食物繊維が有益な効果を発
揮する機序の1つとして、抗腫
瘍効果を有する特定の短鎖脂肪
酸を大量に産生するルミノコッ
カス科などの腸内細菌の種類を
増やすことが考えられます」と
Trinchieri氏は指摘しました。

 「高食物繊維食を給餌したマ
ウスでは、この短鎖脂肪酸の一
種、プロピオン酸が増加しまし
た。さらに、免疫療法薬が奏効
した悪性黒色腫患者さんでは、
治療に奏効しなかった患者さん
よりも腸内細菌叢にルミノコッ
カス科細菌が多く生息していま
した」

 研究者らは、悪性黒色腫マウ
スモデルで、プロバイオティク
スが腸内細菌に及ぼす影響も調
べました。プロバイオティクス
を給餌したマウスは、抗PD-L1
薬の効果が低下し、対照マウス
よりも腫瘍が大きくなりました。
詳細な解析の結果、プロバイオ
ティクスを給餌したマウスは、
抗腫瘍免疫細胞のレベルが低く、
免疫反応が低下していることが
示唆されました。

 ヒトでの研究では、悪性黒色
腫患者さんの約3分の1が過去1
カ月以内にプロバイオティクス
サプリメントを使用していたと
報告されました。研究者らは、
「対象患者数が少なく、患者さ
んが使用したプロバイオティク
スの種類も多様であったため、
その使用と免疫チェックポイン
ト阻害薬の効果の関連性につい
て明確な結論を出すことは困難
ですが、プロバイオティクスを
使用せず食物繊維を最も多く摂
取した患者さんの生存期間が最
も長かったことが示された」と
述べています。

 「食物繊維とプロバイオティ
クスが腸内細菌叢に及ぼす影響
は、全体像の一端でしかありま
せん」とTrinchieri氏は注意を
促します。悪性黒色腫患者さん
に免疫療法薬が奏効するかどう
かは、多くの因子が影響を及ぼ
しています。しかし、今回のデ
ータから、腸内細菌叢は最も有
力な因子の1つだと考えられま
す。また、免疫療法を受けるガ
ン患者さんにとって、市販のプ
ロバイオティクスを使用しない
方が良い可能性があることも示
唆されています」Trinchieri氏
は、大規模試験が必要であり、
悪性黒色腫以外のガンも対象に
含めるべきであると指摘しまし
た。

 免疫チェックポイント阻害剤

について解説している動画です。

 
 


 
 
 
 最近の腸内細菌叢の研究をレ
ビューする。       笑

 
 
 
 
 
 
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2】 生存期間延長は透析治療と比べ再移植で優れる

 
 
 
 
 
 
 欧州の腎移植患者を対象とし
た後ろ向き研究から、移植腎機
能喪失後の生存期間の延長は透
析治療と比べて再移植で優れる
ことが示されました。ただし、
再移植までの待機期間が長くな
ると、再移植による生存期間の
延長効果は低下することも明ら
かになりました。オーストリア・
Medical University of Vienna
のRainer Oberbauer氏らがClin
J Am Soc Nephrol(2022; 17:
90-97)に報告しました。

 献腎移植を受けた患者さんの
移植腎が機能する期間の中央値
は10~15年と報告されています。
しかし、移植腎の機能が喪失し
た患者さんが再移植を受けるべ
きか、あるいは透析治療を受け
るべきかの判断を助けるデータ
は少ないとされています。

 そこで、Oberbauer 氏らは今
回、オーストリアの透析・腎移
植患者登録(Austrian Dialysi
s and Transplant Registry )
および欧州8カ国の臓器移植ネ
ットワークであるEurotranspla
ntの1980~2019年のデータを用
いて、移植腎の機能が喪失し2
回目の腎移植を待機中の18歳以
上の患者さん2,346 例を対象に
後ろ向きに解析しました。

 その結果、再移植を受けた患
者さんでは、移植待機中で維持
透析を受けていた患者さんと比
べて追跡開始から10年後の時点
における平均生存期間が5.8 カ
月長いという結果がでました(
95%CI 0.9~11.1カ月)。ただ
し、透析治療中であった患者さ
んとの間に認められた平均生存
期間の差は再移植までの待期期
間により変化しました。待機期
間が1年未満の患者さんでは8.0
カ月(95%CI 1.9~14.0カ月)
でしたが、待機期間が8年の患
者さんでは0.1 カ月(同-14.3
~15.2カ月)と短く、待機期間
が長くなると再移植による生存
期間の延長効果は消失すること
が示されました。

 Oberbauer 氏は「生存期間を
延長させるという点では再移植
の方が有利であることが明らか
になった。しかし、再移植まで
の待機期間が長くなると生存期
間の差は縮小した」と結論しま
した。また、移植を受けた患者
さんの方がQOL は高い可能性が
あるとして、「適格条件を満た
した腎の提供を受けられる場合
には再移植を選択すべき」との
見解も示しています。

 腎臓移植について解説してい

る動画です。

 
 


 
 
 大気中の待期期間が長くなっ
た。           笑

 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 米国立ガン研究所(NCI) ガ
ン研究センターとテキサス州立
大学MDアンダーソンガンセンタ
ーの研究者らが主導した新たな
試験によれば、食物繊維が豊富
な食事が腸内細菌叢に影響を及
ぼすことで、悪性黒色腫(メラ
ノーマ)患者さんの一部が免疫
療法の効果が出やすくなる可能
性があるという結果が出ました。
これは、食事中の食物繊維の量
が治療に大きな影響を与えるこ
とを示していると考えられます。
食物繊維が少ないと赤身肉の摂
取が多くなる傾向があると思わ
れるので加速度的に、腸内細菌
が悪玉菌に偏ることも影響して
いるのではないかと私は考えて
います。
 欧州の腎移植患者を対象とし
た後ろ向き研究から、移植腎機
能喪失後の生存期間の延長は透
析治療と比べて再移植で優れる
ことが示されたのは、再移植を
考えている患者さんと医師にと
っては朗報と言えましょう。し
かし、再移植までの待機期間が
長くなると、再移植による生存
期間の延長効果は低下すること
も明らかになったということも
同時に示されています。人間は、
ただ長く生きればいいというも
のではなく、生きている期間の
QOL も考慮するべきですので、
適格条件を満たした腎の提供を
受けられる場合には再移植を選
択すべきという意見には賛意を
表したいと思います。

 医療機関の診療期間を考慮す
る。           笑

 
 
 
 
 
 
 
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