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2022-12-12 09:46:32

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療マル秘裏話  号外Vol.2347 令和4年2月10日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)cirAE 発現が死亡率に強く関連することが示唆
2)SLC2A12トランスポーターが血液から脳へのビタミンC供給

 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 cirAE 発現が死亡率に強く関連することが示唆

 
 
 
 
 
 
 免疫チェックポイント阻害薬
(ICI)は,ガン治療に革新的な
進歩をもたらしましたが,3分の
1を超える患者さんで免疫関連
有害事象(irAE)が発現し、特
に皮膚関連のirAE(cirAE) が
頻発(発現率20~40%)するこ
とが問題となっています。米・
Massachusetts General Hospit
alのKimberly Tang氏らは、ICI
投与開始後にcirAE が発現した
患者さん群と発現しなかった対
照群(各7,008例) を対象にし
た後ろ向きコホート研究で、ci
rAE 発現と死亡率の関連を検討
しました。その結果、ICI 投与
開始後6カ月時点の解析で、cir
AEの発現が死亡率に強く関連す
ることが示されたとJAMA Derma
tol(2022年1月12日オンライン
版)に発表しました。

 Tang氏らはまず、欧米の患者
さん2億人超の電子医療記録が
登録された国際医療研究データ
ベースTriNetX Diamond Networ
kから,消化器ガン、気管支・肺
ガン、尿路ガン、悪性黒色腫に
対する抗PD-1抗体(cemiplimab、
ニボルマブ、ペムブロリズマブ
)または抗PD-L1 抗体(アテゾ
リズマブ、アベルマブ、デュル
バルマブ)による治療開始後に
cirAE を発現した患者さん7,00
8例(平均年齢68.2歳、女性43.
3%)を抽出(抗CTLA-4抗体イピ
リムマブは除外)しました。

 次に、傾向スコアマッチング
を用いて1:1で,年齢、性、人種、
ガンの種類をマッチさせたcirA
Eを発現していない対照群7,008
例(同68.3歳、43.4%)を設定
し、解析に組み入れました。Be
njamini-Hochberg(BH)法によ
る多重性の調整を行い、患者さ
ん背景、ガンの種類およびステ
ージを調整したCox 比例ハザー
ドモデルを用いて対照群に対す
るcirAE 発現群における死亡の
ハザード比(HR)を算出しまし
た。 生存期間の中央値はcirAE
発現群で1,278日(四分位範囲5
58日~未到達)、対照群で1,02
4日(同455日~未到達)でした。

 BH法を用い偽発見率を0.05(
有意水準P=0.001)とした解析
の結果、皮膚掻痒症(HR 0.695、
95%CI 0.602~0.803、P<0.00
1)、薬疹(同0.755、0.635~0
.897、P=0.001)、乾皮症(同
0.626、0.469~0.834、P=0.00
1)、非特異的発疹(同0.704、
0.634~0.781、P<0.001)、な
んらかのcirAE(同0.778、0.72
6~0.834、P<0.001)の発現は
死亡率の有意な低下と関連して
いました。

 乾癬(HR 0.703、95%CI 0.4
97~0.994、P=0.045) および
扁平苔癬/苔癬様皮膚炎(同0.
511、0.279~0.939、P=0.03)
でも死亡率の有意な低下が認め
られましたが、BH法の有意水準
P=0.001には達しませんでした。
また、有意ではないものの、湿
疹様皮膚炎(HR 0.612、95%CI
0.314~1.195)、白斑(同0.5
34、0.254~1.123)、水疱性類
天疱瘡(同0.524、0.140~1.95
6)、Grover病(同0.468、0.11
5~1.898)でも死亡率の低下傾
向が見られました。

 一方、多汗症(HR 1.381、95
%CI 0.961~1.985、P=0.08)
および粘膜炎(同1.161、0.920
~1.466、P=0.21)では死亡率
の低下が認められませんでした。
以上を踏まえ、Tang氏らは「IC
I投与開始後のcirAE発現は、IC
I に対する治療反応性と生存率
に強く関連しており、良好な治
療反応性の臨床指標になりうる
ことが示唆された」と結論しま
した。「今後の研究で、cirAE
の管理と生存率の関連性や、ci
rAE が発現した場合にICI の中
断または中止が臨床的に求めら
れるかどうか、中断・中止が全
生存率に関連するかどうかを検
討する必要がある」と付言して
います。

 免疫チェックポイント阻害剤

の副作用について解説している

動画です。

 
 


 
 
 
 
 
 
 
 普賢岳の噴火について付言す
る。           笑

 
 
 
 
 
 
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2】 SLC2A12トランスポーターが血液から脳へのビタミンC供給

 
 
 
 
 
 
 東京大学医学部附属病院(東
大病院)は1月14日、培養細胞
や遺伝子欠損マウスを用いた実
験などから、膜輸送体の一つで
あるSLC2A12 トランスポーター
が血液から脳へのビタミンC供
給に重要な役割を果たすことを
見出し、「ビタミンC排出蛋白
質:VCEP」と名付けたと発表し
ました。この研究は、東京大学
大学院薬学系研究科博士後期課
程の宮田大資大学院生(研究当
時、現・東大病院薬剤部助教)、
同病院薬剤部の豊田優研究員、
同大医学部の高田龍平講師(同
病院薬剤部第一副部長)、同医
学部の鈴木洋史教授(同病院薬
剤部第部長)らの研究グループ
によるものです。研究成果は、
「iScience」オンライン版に掲
載されています。

 ビタミンCは、壊血病予防因
子としての役割など、さまざま
な生理活性を持つ必須栄養素と
して広く知られています。とこ
ろが、これまでの研究はその生
理作用や抗酸化物質としての性
質に着目したものがほとんどで、
ビタミンCの体内動態を制御す
る分子機構についてはあまり研
究されていませんでした。

 水溶性の物質であるビタミン
Cは、生理的条件下ではアニオ
ンとして存在するため、細胞膜
を受動的に通過することができ
ません。そのため、ビタミンC
を基質とする膜輸送体(トラン
スポーター)蛋白質が、その体
内動態制御においてきわめて重
要な役割を果たしています。ヒ
トにおいて生理的に重要なビタ
ミンC輸送体として同定されて
いるのは、ナトリウム依存性ビ
タミンCトランスポーター(SV
CTトランスポーター) のSVCT1
とSVCT2の2種類のみで、いずれ
も細胞外から細胞内へのビタミ
ンC輸送を担う取り込み型の輸
送体です。細胞を横断するビタ
ミンC輸送においては、これら
の輸送体と対になって細胞内か
ら細胞外へのビタミンC輸送を
担う排出型の輸送体が必要とな
りますが、その分子実体は未解
明のままでした。今回の研究は、
この謎を明らかにすることを目
的としたものです。

 研究グループは、脳へのビタ
ミンC供給経路に着目しました。
脳(中枢)は、関門組織(血液
脳関門や血液脳脊髄液関門)と
呼ばれるバリア組織によって循
環血液から隔離されており、ビ
タミンCの血液から脳への移行
については、血液脳脊髄液関門
を形成する脈絡叢を経由する経
路が重要であることが報告され
ていました。そこで、「脈絡叢
を構成する上皮細胞では、血液
側の細胞膜上におけるビタミン
Cの入口としてSVCTが機能して
おり、その反対側(脳脊髄液側)
の細胞膜上には、出口として機
能する未知の排出型ビタミンC
輸送体が存在するはず」との考
えのもと、研究を進めました。
そして、既知の情報などを注意
深く精査・分析した結果、脈絡
叢に発現する遺伝子のなかから、
目的の候補因子として,SLC2A12
遺伝子を見出しました。

 まずSLC2A12 蛋白質がビタミ
ンCを輸送するかどうかを、培
養細胞を用いた実験で調べまし
た。放射線を出す特殊なビタミ
ンCをあらかじめ取り込ませた
細胞を用いて、細胞内から細胞
外への輸送を評価する独自の輸
送活性測定法を開発し、SLC2A1
2蛋白質がビタミンCの排出を担
うことを突き止めました。

 次に、この遺伝子を欠損した
マウスを解析した所、血液中の
ビタミンC濃度には違いがなか
ったものの、脳におけるビタミ
ンC濃度が通常のマウスと比べ
て半分程度にまで大きく低下し
ていました。さらに、この遺伝
子欠損マウスでは、脳脊髄液に
おけるビタミンC濃度が大幅に
低下していた一方で、脈絡叢中
のビタミンC濃度は大きく上昇
していました。これは、ビタミ
ンCが脈絡叢から脳脊髄液へと
うまく移動できなくなっている
ことを示す結果であり、脈絡叢
からのビタミンCの出口が失わ
れていることが分かりました。
つまり、SLC2A12 蛋白質が脈絡
叢から脳脊髄液(脳側)へのビ
タミンC排出を担っており、こ
の輸送が血液から脳へのビタミ
ンC供給にとって生理的に重要
な経路であることが明らかにな
りました。

 これらの一連の結果により、
細胞外へのビタミンC排出を担
う輸送体を世界で初めて同定で
きたことから、「ビタミンC排
出蛋白質:VCEP」と名付けまし
た。

 脳は体のなかでもビタミンC
濃度が特に高く維持されている
臓器であり、抗酸化作用や補酵
素としての多彩な生理活性など
を踏まえ、ビタミンCが脳機能
の維持に重要な役割を果たして
いる可能性は高いと信じられて
きました。しかし、脳特異的に
ビタミンC濃度を低下させる適
切な動物モデルがなかったこと
もあり、ビタミンCが脳機能、
ひいては神経疾患にどのような
影響を与えるのかについては、
知見が少ないのが現状です。

 今回研究グループが作出した
Slc2a12(Vcep) 遺伝子欠損マ
ウスは、脳のビタミンC濃度が
大きく低下するはじめての動物
モデルです。驚くべきことにこ
のマウスは、通常の成体マウス
と比べて脳が軽いという特徴を
示しました。研究グループは、
「今回の成果を糸口として、脳
におけるビタミンCの重要性の
包括的な理解が進むことで、生
理学のみならず、栄養学や神経
科学分野のさらなる発展にもつ
ながることが期待される」と述
べています。

 ビタミンCについて解説して

いる動画です。

 
 


 
 
 製菓の工夫の成果を生家で盛
夏に発表する。      笑

 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 免疫チェックポイント阻害薬
(ICI)は,ガン治療に革新的な
進歩をもたらしましたが,3分の
1を超える患者さんで免疫関連
有害事象(irAE)が発現し、特
に皮膚関連のirAE(cirAE) が
頻発(発現率20~40%)するこ
とが問題となっているというの
は、医療関係者の間では、周知
の事実です。ICI投与開始後のc
irAE発現は、ICI に対する治療
反応性と生存率に強く関連して
おり、良好な治療反応性の臨床
指標になりうることが示唆され
たという結論ですので、常識的
に考えれば、cirAE発現はICIが
効いているため、余程、症状が
酷くない限り、cirAE を治療し
て、ICI 投与を続行するべきと
いうことになるでしょう。
 東京大学医学部附属病院(東
大病院)が1月14日、培養細胞
や遺伝子欠損マウスを用いた実
験などから、膜輸送体の一つで
あるSLC2A12 トランスポーター
が血液から脳へのビタミンC供
給に重要な役割を果たすことを
見出し、「ビタミンC排出蛋白
質:VCEP」と名付けたと発表し
たのは、素晴らしい業績です。
SLC2A12 蛋白質が脈絡叢から脳
脊髄液(脳側)へのビタミンC
排出を担っており、この輸送が
血液から脳へのビタミンC供給
にとって生理的に重要な経路で
あることが解明された訳です。
今回の成果を糸口として、脳に
おけるビタミンCの重要性の包
括的な理解が進むことで、生理
学のみならず、栄養学や神経科
学分野のさらなる発展にもつな
がることを期待したいと思いま
す。

 毛色の違う経路が発見された。


 
 
 
 
 
 
 
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