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2022-12-05 11:53:20

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診療マル秘裏話  号外Vol.2341 令和4年2月3日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
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目次

1)内視鏡発生後大腸ガン発生リスクをビックデータで検討
2)遺伝性癲癇発症に関与の膜貫通型蛋白質ADAM22

 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 内視鏡発生後大腸ガン発生リスクをビックデータで検討

 
 
 
 
 
 
 大腸内視鏡検査で病変が検出
されなかった後に発生した大腸
ガンを内視鏡発生後大腸ガン(
PCCRC) といいます。デンマー
ク・Aarhus UniversityのFrede
rikke S. Troelsen 氏らは、同
国の全国患者登録データを用い
PCCRC の発生リスクを検討しま
した。その結果、2型糖尿病で
ない者と比べ、2型糖尿病患者
さんでは初回検査後のPCCRC 発
生リスクが44%高かったとBMJ
Open Gastro(2021;8:e000786)
に発表しました。

 PCCRC は大腸ガン全体の最大
8%を占めています。大多数は初
回の大腸内視鏡検査で見逃され
たか、切除が不十分だった大腸
病変から発生したものであると
考えられています。Troelsen氏
らによると、2型糖尿病患者さ
んでは、消化管運動機能障害に
より大腸内視鏡検査前の腸管洗
浄の質が低下する可能性がある
ため、前ガン病変の見逃しやPC
CRC のリスクが高くなる可能性
があるということです。

 今回の解析対象は、デンマー
クで1995~2015年に大腸内視鏡
検査を受けた2型糖尿病患者2万
9,031例および非2型糖尿病者33
万3,232例。PCCRCの定義は、大
腸ガンが検出されなかった大腸
内視鏡検査実施の6~36カ月後
に診断された大腸ガンとしまし
た。

 評価項目1はPCCRCの発生リス
クとし、絶対リスクとして死亡
および結腸全摘術を競合リスク
とし初回の大腸内視鏡検査6~
36カ月後におけるPCCRC の累積
発生率を算出しました。また、
Cox 比例ハザード回帰モデルを
用い、非2型糖尿病者に対する
2型糖尿病患者さんのPCCRC 発
生のハザード比(HR)を算出し
ました。評価項目2は大腸ガン
全体に占めるPCCRC の割合とし、
PCCRC の3年発生率を算出しま
した。

 初回の大腸内視鏡検査後6~
36カ月におけるPCCRC の発生は
非2型糖尿病者さんで1,099例、
2型糖尿病患者さんで160 例で
した。解析の結果、同期間にお
けるPCCRC の累積発生率は、非
2型糖尿病者の0.36%(95%CI
0.34~0.38%)に比べて2型糖
尿病患者では0.64%(同0.55~
0.74%)と高いと言う結果がで
ました。

 性、検査時年齢、検査実施年、
併存疾患を調整後の非糖尿病者
に対する2型糖尿病患者さんに
おけるPCCRC 発生の調整後HRは、
初回の大腸内視鏡検査後で1.44
(95%CI 1.21~1.72)、2回目
(初回検査後6カ月以降)の検
査後で1.18(同0.75~1.85)で
した。PCCRCの3年発生率は2型
糖尿病患者さんで7.9%、非2型
糖尿病者で7.4%でした。

 以上を踏まえ、Troelsen氏ら
は「2型糖尿病患者は2型糖尿
病でない者に比べ、PCCRC のリ
スクが高かった。ただし、検査
の6~36カ月後におけるPCCRC
の累積発生率は、2型糖尿病の
有無にかかわらず1%未満だった」
と結論しました。さらに、初回
に比べて2回目以降の大腸内視
鏡検査でPCCRC のHRが低い結果
が得られた点については、「浸
潤ガンに進行するリスクがある
腺腫の見逃し例や切除不十分例
は、反復検査により減少すると
いう仮説を支持するものだ」と
考察しています。

 大腸ガンについて解説してい

る動画です。

 
 


 
 
 反復検査により、減少すると
いう現象。        笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 遺伝性癲癇発症に関与の膜貫通型蛋白質ADAM22

 
 
 
 
 
 
 現在さまざまな抗てんかん薬
が臨床で使用されていますが、
てんかん患者さんの30%以上は
発作のコントロールが不十分と
感じており、発作メカニズムの
解明と代替戦略が望まれてきま
した。自然科学研究機構生理学
研究所(NIPS)教授の深田正紀
氏らのグループは、マウス脳を
用いて遺伝性のてんかん発症に
関わる膜貫通型蛋白質ADAM22の
調節機構を検討しました。ADAM
22はリン酸化され14-3-3蛋白質
と結合することで正常に機能し、
ADAM22とLGI1の量が閾値を下回
るとてんかん発作に結び付くこ
とをCell Reports(2021年12月
15日オンライン版)に発表しま
した。

 深田氏らのグループは以前、
1.てんかん発作に関連する膜貫
通蛋白質ADAM22と分泌蛋白質LG
I1が神経シナプス上で複合体を
形成していること、2.ADAM22-L
GI1複合体の量が,減少するとて
んかんを引き起こすことを報告
しています(Science 2006; 31
3: 1792-1795、Nat Med 2015;
21: 19-26、Proc Natl Acad Sc
i U S A 2021; 118: e20225801
18)。そこで今回、ADAM22の生
合成経路と分解のメカニズムを
調べました。

 検討の結果、ADAM22が安定化
してシナプス上で正常に機能す
るためには、リン酸化酵素PKA
によってリン酸化され、14-3-3
蛋白質と強固に結合することが
必要だと分かりました。リン酸
化セリン残基(S832)をアラニ
ン(A) に置換したリン酸化欠
損変異であるS832Aを導入し、A
DAM22 がリン酸化されない遺伝
子改変マウス (Adam22SA/SAマ
ウス)を作製した所、ADAM22は
14-3-3蛋白質と結合できずに、
AP2 蛋白質と結合して細胞内に
取り込まれて分解されることを
見いだしました。

 ADAM22ノックアウトマウス(
Adam22-/-)は,てんかん発作に
より生後早期に死亡することが
報告されています(BMC Neuros
ci 2005; 6: 33)。今回の検討
で、Adam22SA/SA マウスは脳内
のADAM22量が野生型マウスの約
40%まで減少することが分かり
ました。また、Adam22cfn 対立
遺伝子を持ったマウスはADAM22
蛋白質発現量が低下しました(
J Neurosci 2010; 30: 3857-38
64)。

 そこで、てんかん発作の抑制
に必要なADAM22量を検討するた
めに、6種のマウス系統を作製
し、ADAM22とLGI1の発現量を野
生型マウスと比較しました。

 その結果、Adam22cfn/cfn マ
ウスではADAM22量が野生型マウ
スの約30%に低下し、Adam22cf
n/-マウスでは約10%でした。こ
れらのマウスはてんかん発作を
引き起こさなかったため、ADAM
22が野生型マウスの10%あれば
致死性てんかん発作を引き起こ
さないことが推察されました。

 同様に、てんかん発作を抑制
するために必要なLGI1量も検討
しました。Adam22SA/SA;Lgi1+
/-マウスのLGI1量を測定すると、
野生型マウスの約30%であり、1
14日後までに半数が自発性発作
で突然死しました。一方、LGI1
量が約50%になるAdam22+/+;L
gi1+/-マウスとAdam22SA/SA;L
gi1+/+マウスは生存したため、
LGI1は50%あれば死なないが30
%では大半が死に至ることが分
かりました。

 深田氏らはこれらの結果より、
致死性てんかん発作を抑制する
にはADAM22が野生型マウスの10
%、LGI1は50%必要であると結
論づけました。

 同氏らは「これまでのてんか
ん治療薬は、γアミノ酪酸(GA
BA)やイオンチャネルに作用す
るものが多く、めまいや認知障
害などの副作用が懸念されてい
た。ADAM22-LGI1 複合体は、こ
れまでと異なるてんかん治療の
ターゲットになりうるだろう」
と述べています。

 てんかんは遺伝するか否かに

ついて解説している動画です。

 
 


 
 
 てんかん治療の転換点となる
発見。          笑

 
 
 
 
 
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編集後記

 
 デンマーク・Aarhus Univers
ityのFrederikke S. Troelsen
氏らは、同国の全国患者登録デ
ータを用いPCCRC の発生リスク
を検討し、その結果、2型糖尿
病でない者と比べ、2型糖尿病
患者さんでは初回検査後のPCCR
C 発生リスクが44%高かったと
BMJ Open Gastro(2021;8:e000
786)に発表したのは,素晴らし
い業績です。人間の眼で見て、
検査を完璧にするのは、困難で
あり、今回のような見落としの
事例は後を絶たないものと推測
されます。ただ、AIの画像診断
が普及するようになると話は違
ってくるものと思われます。
 現在さまざまな抗てんかん薬
が臨床で使用されていますが、
てんかん患者さんの30%以上は
発作のコントロールが不十分と
感じており、発作メカニズムの
解明と代替戦略が望まれてきた
のは、事実です。これまでのて
んかん治療薬は、γアミノ酪酸
(GABA)やイオンチャネルに作
用するものが多く、めまいや認
知障害などの副作用が懸念され
ていたというのも頷ける所です。
これら副作用の観点からも、発
作抑制の点からも、ADAM22-LGI
1 複合体は、これまでと異なる
てんかん治療のターゲットにな
って欲しいと切に願う次第です。

 大体、代替戦略が完成した。


 
 
 
 
 
 
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