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2022-10-31 17:24:57

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診療マル秘裏話  号外Vol.2311 令和3年12月30日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)CAR-T細胞がPRDM1遺伝子欠失で寿命延長される
2)iPS細胞からの血小板産生,効率化する手法開発

 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 CAR-T細胞がPRDM1遺伝子欠失で寿命延長される

 
 
 
 
 
 
 愛知県ガンセンターと日本医
療研究開発機構は12月6日、ガ
ン免疫療法の一種である「キメ
ラ抗原受容体導入T細胞療法」
(CAR-T 細胞療法)において、T
細胞に関する「PRDM1」 遺伝子
を欠失させることで、従来の「
CAR-T 細胞」よりも長い寿命を
与えられることを動物実験モデ
ルで示したと発表しました。

 同成果は、愛知県ガンセンタ
ー腫瘍免疫応答研究分野の籠谷
勇紀分野長らの研究チームによ
るものでし。詳細は、米血液学
会誌「Blood」 に掲載されまし
た。

 ガン免疫療法は、ヒトがもと
もと持っている免疫の力を使っ
て、ガン細胞を攻撃させる療法
であり、これまで治療が難しか
った種類のガンに対する新たな
治療法として、注目されるよう
になってきました。その免疫療
法にはさまざまな方法があり、
CAR-T 細胞療法は、患者さんの
血液中に存在する主要な免疫細
胞の1つであるT細胞を用いるこ
とが特徴となっています。

 T細胞に遺伝子「CAR」を加え
る形で、特定のガン細胞だけを
選択的に攻撃できるようにする
手法で、白血病、悪性リンパ腫
などの一部の血液ガンに対して
高い有効性が示されたことから
、2019年から保険診療において
も用いられるようになっていま
す。ただしCAR-T 細胞療法は、
現在認可されている血液ガンに
対する治療後に、再びガン細胞
が出てくる再発例も多いとされ、
さらなる治療効果が求められて
います。また、CAR-T 細胞を用
いたほかの種類のガンに対する
臨床試験が行われていますが、
今のところ十分な治療成績は得
られていないということです。

 長期にわたってCAR-T 細胞療
法の治療効果を維持するために
は、CAR-T 細胞が体内で長生き
することが重要ですが、ガン治
療に用いられるCAR-T 細胞は、
まず体外で大量に増殖させるこ
と、また体内でもガン細胞に攻
撃する過程でも増殖を続けるこ
とから「老化」が進んでしまう
とされており、長寿命化の実現
が求められていました。

 
 そこで研究チームは今回、T
細胞の性質を遺伝子のレベルで
改造することで、老化が進みに
くく、長期間にわたり生存する
能力を持つCAR-T 細胞の作製を
試みることにしたということで
す。

 ヒトには、特定の蛋白質をコ
ードする遺伝子は2万種類以上
あることが知られていますが、
その中で研究チームが今回着目
したのは、細胞の性質を大きく
変化させられる「エピジェネテ
ィック因子」と呼ばれるグルー
プをコードしている遺伝子です。
とりわけ老化したT細胞で活性
が上昇しているエピジェネティ
ック因子に絞った探索を実施し
た所、PRDM1 遺伝子を遺伝子編
集技術「CRISPR/Cas9」 を使っ
て選択的に欠失させると、増殖
の過程でCAR-T 細胞の老化が進
みにくくなることが見出された
ということです。

 健常者の血液から作製された
PRDM1欠失CAR-T細胞を、ガン細
胞を移植した実験マウスモデル
に投与した所、通常のCAR-T 細
胞と比べて体内に長期間にわた
って生き残り、その結果として
腫瘍の再発を持続的に抑え続け
られることが確認されたという
ことです。

 CAR-T 細胞は、どの目印を標
的とするかによって、多数のタ
イプが開発されています。今回
の研究では、臨床でも用いられ
ている蛋白質「CD19」を狙うCA
R-T 細胞を中心に、複数のタイ
プでPRDM1欠失型CAR-T細胞を作
製しました。いずれにおいても
同様に、ガン細胞を攻撃する過
程でメモリーT細胞としての機
能を維持できることが確認され
たとしています。

 さらに、肺ガン、卵巣ガン、
子宮ガンなどの患者さんの体内
に存在するガン細胞を攻撃する
能力を持ったT細胞と考えられ
ている「腫瘍浸潤リンパ球」(T
IL)においてもPRDM1遺伝子の欠
失が行われた所、同様に長期間
生き残る能力のあるメモリーT
細胞としての性質を獲得できる
ことも判明しました。TIL を体
外で増やして患者さんに注射す
るTIL 療法も開発されています
が、長期にわたる有効性は示さ
れていなかったとする他、TIL
は体の中でガン細胞を攻撃する
過程で老化が進んでいることか
ら、CAR-T 細胞以上に長期間に
わたって生存する能力が低下し
ていることも確認されており、
今回の研究で開発されたPRDM1
欠失技術は、そうしたTIL 療法
においても有用であることが示
唆されたと研究チームでは説明
しています。

 なお、今回開発されたPRDM1
欠失型の長期生存する能力を持
つT細胞について研究チームで
は、さらに複数の治療モデルを
用いた治療効果の検証、安全性
の確認を進めることで、持続的
な治療効果を持つ免疫細胞療法
の開発につなげたいとしていま
す。

 CAR-T 細胞療法について解説

している動画です。

 
 


 
 
 
 両方の療法を試す。   笑

 
 
 
 
 
 
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2】 iPS細胞からの血小板産生,効率化する手法開発

 
 
 
 
 
 
 千葉大学は12月3日、ヒトiPS
細胞から血小板を産生するため
の従来法よりも効率的な手法の
開発に取り組んだ結果、細胞の
増殖を妨げるCDKN1Aとp53 とい
う2つの遺伝子の働きを抑える
ことで、高効率に血小板産生細
胞を得られることが分かったと
発表しました。この研究は、同
大大学院医学研究院の高山直也
准教授、江藤浩之教授、北海道
大学の曽根正光助教、京都大学
iPS 細胞研究所の中村壮特任助
教らの研究グループによるもの
です。研究成果は、「Stem Cel
l Reports」 にオンライン掲載
されています。

 研究グループは以前、ヒト多
能性幹細胞を、血小板を生み出
す細胞である巨核球へと分化さ
せ、さらに増殖を促進するMYC、
BMI1、BCLXLという3種類の遺伝
子(これらをまとめて以降MBX
とする)を強力に発現させるこ
とで、その巨核球を不死化する
ことに成功していました。これ
により血小板の元となる不死化
巨核球を大量に増殖させ、輸血
に必要とされる膨大な血小板を
作製することが理論上可能とな
りました。しかし、多能性幹細
胞から不死化巨核球を樹立でき
る確率は5%以下と低く、ほと
んどの試行においてMBX を発現
させても巨核球が増殖を2か月
以内に停止してしまうという問
題がありました。また増殖能力
の低い巨核球は、1つの巨核球
あたりから産生される血小板数
も低いということが分かってい
ました。そこで研究グループは、
巨核球が不死化する確率が高く
なるよう手法の改善を目指しま
した。

 まず、さまざまなヒトiPS 細
胞株を元に、従来法で得られた
巨核球をその増殖能力の程度に
よって高/中/低増殖の3カテ
ゴリーに分類しました。そのう
えでRNA-seq 法により遺伝子発
現解析を行った所、高増殖巨核
球に比べ、低または中増殖巨核
球では細胞の増殖を抑える働き
があることが知られるCDKN1Aお
よびCDKN2A遺伝子の発現が高い
傾向にあることが明らかになり
ました。

 そこで、従来法で作製された
低/中増殖巨核球において、sh
ort hairpin RNA(shRNA)によ
りこれらの遺伝子を抑制するこ
とで、鈍化した増殖能を活性化
することができるかどうかを試
みました。その結果、CDKN1A遺
伝子に対するshRNA を導入した
場合と、CDKN1Aの発現を促進す
るp53遺伝子に対するshRNAを導
入した場合に、最終的に100 倍
以上の細胞数が得られ、増殖が
著しく改善されました。一方、
CDKN2Aに対するshRNA にはその
ような増殖促進効果はありませ
んでした。

 次に、新たにiPS 細胞から巨
核球を分化する過程でこれらの
shRNA を導入し、巨核球の不死
化効率が改善するかどうかを調
べました。その結果、MBX に加
えてCDKN1Aとp53 に対するshRN
A を同時に導入することで、増
殖期間が4倍程度、増殖率が10
10以上と増殖能力が飛躍的に改
善しました。
 最後に、shRNA を用いて得ら
れた増殖能の高い巨核球が血小
板を生産することができるのか、
その生産効率と生産された血小
板の機能を解析しました。その
結果、従来法で得た中増殖巨核
球にshRNA を導入した巨核球株
と、iPS 細胞からの分化の過程
でshRNA を用いる新規法で樹立
した巨核球は、いずれもshRNA
を用いないで得た巨核球よりも
血小板産生能力が数倍~数十倍
高いことが判明しました。その
能力はこれまでに作製した中で
最も血小板産生能力の高い巨核
球株に比類するものでした。

 新規法で得た巨核球株は、同
じiPS 細胞由来の従来法で得た
巨核球に比べDMS (血小板産生
が旺盛な巨核球に見られる特殊
な細胞内膜構造)を発達させて
いる様子が観察され、高い血小
板産生能力を裏付けていました。
さらに、血小板の機能を調べる
ためPMA 刺激を行ったところ、
shRNA を用いた巨核球株由来の
血小板が20%を超える高い割合
でPAC1抗体染色陽性となり、明
瞭な応答性を示したことから機
能性を有することが示されまし
た。

 今回の研究により、CDKN1Aと
p53という2つの遺伝子を抑制す
ることにより高確率で増殖能力
の高い巨核球を樹立できること
が分かりました。研究グループ
は、「この成果により、これま
でネックとなっていた個別のiP
S 細胞からの不死化巨核球の作
製が効率化され、例えば血小板
不応症患者の体内で抗体反応が
起きにくい血小板など、患者の
疾患に合わせた機能を持つテイ
ラーメイド血小板の作製に応用
されることが期待される」と、
述べています。

 このニュースのニュース動画

です。

 
 


 
 
 勉強の効率化を進めて高率で
公立高校に受かる方法。  笑

 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
編集後記

 
 愛知県ガンセンターと日本医
療研究開発機構が12月6日、ガ
ン免疫療法の一種である「キメ
ラ抗原受容体導入T細胞療法」
(CAR-T 細胞療法)において、T
細胞に関する「PRDM1」 遺伝子
を欠失させることで、従来の「
CAR-T 細胞」よりも長い寿命を
与えられることを動物実験モデ
ルで示したと発表したのは、素
晴らしい業績です。従来の「CA
R-T 細胞」よりも長い寿命が得
られることで、ガン細胞を長期
に渡って攻撃し、治療効果を上
げるというのはエレガントな手
法だと思いました。さらに複数
の治療モデルを用いた治療効果
の検証、安全性の確認を進める
ことで、持続的な治療効果を持
つ免疫細胞療法の開発に繋げて
頂きたいものです。
 千葉大学が12月3日、ヒトiPS
細胞から血小板を産生するため
の従来法よりも効率的な手法の
開発に取り組んだ結果、細胞の
増殖を妨げるCDKN1Aとp53 とい
う2つの遺伝子の働きを抑える
ことで、高効率に血小板産生細
胞を得られることが分かったと
発表したのは、画期的な業績だ
と思います。ヒトiPS 細胞から
血小板を効率的に大量に産生す
ることができるようになると輸
血が必要なくなると考えられま
す。現在でも、特発性血小板減
少性紫斑病の人や特殊な血液型
の患者さんに輸血する際には、
HLAが一致したドナーや特殊
な血液型を持つドナーが必要と
されていますが、それも必要な
くなる可能性があります。

 酸性の溶液を産生する工場を
見学するのに賛成した。  笑

 
 
 
 
 
 
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