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2022-10-24 14:03:53

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診療マル秘裏話  号外Vol.2305 令和3年12月23日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
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目次

1)非小細胞肺ガンの新しいドライバー遺伝子発見
2)USP10蛋白質ドーパミン作動性神経細胞細胞死抑制

 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 非小細胞肺ガンの新しいドライバー遺伝子発見

 
 
 
 
 
 
 国立ガン研究センターは11月
25日、肺ガンの遺伝子スクリー
ニングプロジェクトである「LC
-SCRUM-Asia」(研究代表者:
東病院 呼吸器内科長 後藤功一)
において、非小細胞肺ガンの新
しいドライバー遺伝子となる「
CLIP1-LTK 融合遺伝子」を世界
で初めて発見したと発表しまし
た。研究成果は、「Nature」電
子版に掲載されています。

 日本における死因の第1位は
ガンであり、このうち肺ガンは
ガン死亡原因として最多となっ
ています。初期の肺ガンと診断
された場合は手術が可能ですが、
手術不能の進行肺ガンと診断さ
れた場合は、薬物療法や放射線
療法で治療を行うことになりま
す。近年の遺伝子解析技術の進
歩により、肺ガン発症の原因と
なるさまざまな遺伝子変化(ド
ライバー遺伝子)が相次いで発
見され、これらのドライバー遺
伝子を有する肺ガンには、それ
を標的とした分子標的薬の有効
性が高いことが分かってきまし
た。

 現在、EGFR、ALK、ROS1、BRA
F、NTRK、MET、RET などのドラ
イバー遺伝子を有する進行肺ガ
ンには、それぞれに対する分子
標的薬を用いることが強く推奨
されています。このように遺伝
子変化を同定して、それに対応
する有効性の高い薬剤を用いて
治療を行うことを「個別化医療」
と呼びます。しかし、非小細胞
肺ガンの約50~60%には、これ
らのドライバー遺伝子が存在し
ないため、従来の抗ガン剤や免
疫チェックポイント阻害剤を用
いた治療が行われます。

 LC-SCRUM-Asia では、国立ガ
ン研究センター東病院 呼吸器
内科の松本慎吾医長が中心とな
り、既知のドライバー遺伝子が
陰性の非小細胞肺ガンを対象に
して、全RNA シーケンス解析を
行い、新しいドライバー遺伝子
を探索する研究を2020年10月よ
り開始しました。

 その結果、肺ガンの新しいド
ライバー遺伝子として「CLIP1-
LTK融合遺伝子」 を、世界で初
めて発見しました。さらに、過
去にLC-SCRUM-Asia に登録され
た542 例の非小細胞肺ガンの検
体を用いてRT-PCR解析を行った
結果、CLIP1-LTK 融合遺伝子は
2例(0.45%)で検出されました。
CLIP1-LTK 融合遺伝子が同定さ
れた腫瘍は、いずれも肺腺ガン
であり、既知のドライバー遺伝
子とは相互排他的でした。

 さらに、国立ガン研究センタ
ー先端医療開発センター ゲノ
ムトランスレーショナルリサー
チ分野の小林進分野長らの研究
グループが、細胞や実験動物を
用いて基礎的な検討をした結果、
CLIP1-LTK 融合遺伝子は、LTK
キナーゼの恒常的な活性化によ
って、細胞増殖や腫瘍形成など、
ガン化を引き起こすことが示さ
れました。LTK遺伝子は、ALK遺
伝子と塩基配列や蛋白構造の相
同性が高いことから、ALK キナ
ーゼ阻害剤の多くはLTK キナー
ゼの阻害活性も有することが報
告されています。このことから、
7種のALK阻害剤の効果を細胞実
験で検討した結果、特にロルラ
チニブがCLIP1-LTK 融合蛋白の
キナーゼ阻害作用、および細胞
増殖抑制効果を示しました。ま
た、マウス異種移植モデルにお
いても、ロルラチニブの抗腫瘍
効果が確認されました。

 これらの基礎研究を基に、CL
IP1-LTK 融合遺伝子陽性の肺腺
ガンの患者さんに、ロルラチニ
ブ(院内諸手続き後の適応外使
用)による治療を行ったと所、
著明な抗腫瘍効果を認めました。

 CLIP1-LTK 融合遺伝子の頻度
は非小細胞肺ガンの1%未満で
あり、極めて希少な肺ガンです
が、国内だけでも年間約400 人
の患者さんがLTK 融合遺伝子陽
性肺ガンで死亡していると推測
されます。よって、これらの患
者さんへ有効な治療薬を届ける
ために、現在、研究グループは、
LC-SCRUM-Asia の遺伝子スクリ
ーニングを活用して、CLIP1-LT
K 融合遺伝子を有する非小細胞
肺ガンを見つけ出し、LTK 阻害
薬の有効性を検討する臨床試験
を行うことを計画しています。
また現在、LTK 融合遺伝子を有
する進行再発非小細胞肺ガンに
対して、ロルラチニブの安全性・
有効性を検証する臨床第2相試
験を計画中だということです。

 併せて、CLIP1-LTK 融合遺伝
子陽性肺ガンを正確に診断する
ための診断薬開発も行っていく
予定だとしています。こうした
治療薬開発、診断薬開発に基づ
いて、CLIP1-LTK 融合遺伝子に
対する有効な治療法が確立する
ことで、ドライバー遺伝子に基
づく肺ガンの個別化医療がさら
に発展していくと、研究グルー
プは考えています。

 非小細胞肺ガンのゲノム医療

について解説している動画です。

 
 


 
 
 
 性格を正確に言い当てる。笑

 
 
 
 
 
 
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2】 USP10蛋白質ドーパミン作動性神経細胞細胞死抑制

 
 
 
 
 
 
 新潟大学は11月25日、USP10
蛋白質がドーパミン作動性神経
細胞の細胞死を抑制することを
発見したと発表しました。この
研究は、同大大学院医歯学総合
研究科ウイルス学分野の山後淳
也大学院生、垣花太一助教、藤
井雅寛教授らの研究グループに
よるものです。研究成果は、「
Journal of Biological Chemis
try」に掲載されています。
 パーキンソン病は、人口の約
1,000人に1人が罹患する高頻度
の神経変性疾患です。高齢化に
伴いパーキンソン病の患者数は
増加しており、日本での患者数
は12万人を超えると推定されて
います。しかし、パーキンソン
病を完治させる治療薬は開発さ
れていません。

 パーキンソン病は、脳の黒質
に存在するドーパミン作動性神
経細胞の細胞死と、それに伴う
運動機能の低下を特徴とする神
経変性疾患です。パーキンソン
病患者の脳では、黒質のドーパ
ミン作動性神経細胞の数が減少
しています。ドーパミンは神経
伝達物質であり、ドーパミン受
容体を持つ神経細胞に作用し、
運動機能などを調節します。そ
の一方、ドーパミンは、ドーパ
ミン作動性神経細胞の細胞死を
引き起こし、パーキンソン病の
発症に関与することが報告され
ています。しかし、ドーパミン
作動性神経細胞の細胞死の分子
機構については不明な点が数多
く残されています。

 研究グループは今回、USP10
蛋白質が、ドーパミン作動性神
経細胞の細胞死を抑制すること
を発見しました。

 USP10 の発現を低下させた神
経細胞をドーパミンで処理する
と、活性酸素の産生が増加し、
強い細胞死が誘導された。USP1
0 は、抗酸化蛋白質の転写活性
化因子であるNrf2蛋白質を活性
化することで、ドーパミンによ
る細胞死を抑制することが分か
りました。ドーパミン添加前の
神経細胞では、Nrf2はKeap1 蛋
白質と結合し、プロテアソーム
で分解されています。ドーパミ
ンを添加すると、p62 がリン酸
化され、このリン酸化型p62がK
eap1をNrf2から遊離させ、Nrf2
を活性化する。USP10 は、リン
酸化されたp62 の量を増加させ、
Nrf2を活性化させることも分か
りました。

 研究グループは、USP10 の活
性化剤がパーキンソン病の治療
薬として有望であることを明ら
かにしました。活性酸素の過剰
産生は、神経変性疾患だけでな
く、ガン、加齢性疾患、ウイル
ス性疾患などの病態にも関与し
ています。USP10 は神経細胞以
外にも、多くの種類の細胞にも
発現していることから、USP10
による活性酸素の制御が神経変
性疾患以外の多くの疾患の病態
に関与している可能性が示唆さ
れました。

 「今後は、USP10 を活性化す
る薬剤の開発を進める。また、
神経変性疾患以外の、活性酸素
の異常産生が関与する疾患につ
いても、USP10 がどのように病
態に関与しているかを解析する
予定だ」と、研究グループは述
べています。

 パーキンソン病について解説

している動画です。

 
 


 
 
 懐石料理の味を解析する。笑

 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 国立ガン研究センターが11月
25日、肺ガンの遺伝子スクリー
ニングプロジェクトである「LC
-SCRUM-Asia」(研究代表者:
東病院 呼吸器内科長 後藤功一)
において、非小細胞肺ガンの新
しいドライバー遺伝子となる「
CLIP1-LTK 融合遺伝子」を世界
で初めて発見したと発表したの
は素晴らしい業績です。CLIP1-
LTK 融合遺伝子に対する有効な
治療法が確立することで、ドラ
イバー遺伝子に基づく肺ガンの
個別化医療がさらに発展してい
くことを期待したいと思います。
これからも、更に新しいドライ
バー遺伝子が見つかり、それに
対する有効な治療法を確立する
手法を推し進めて頂きたいもの
です。
 新潟大学が11月25日、USP10
蛋白質がドーパミン作動性神経
細胞の細胞死を抑制することを
発見したと発表したのは、素晴
らしい業績です。パーキンソン
病を完治させる治療薬は開発さ
れていないのは、周知の事実で
す。しかし、パーキンソン病の
原因は、細胞内小器官である、
ミトコンドリアの異常であるこ
とが分かって来ています。ミト
コンドリアでは、電子伝達系で
活性酸素ができることは以前よ
り知られていました。ミトコン
ドリアの異常で活性酸素が過剰
に発生し、その活性酸素の過剰
産生をUSP10 の活性化剤が抑制
することで、パーキンソン病が
治療可能となると言うことは理
に叶っていると言えるでしょう。

 化膿病変は治療可能です。笑

 
 
 
 
 
 
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