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2022-09-01 17:15:06

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診療マル秘裏話  号外Vol.2259 令和3年10月30日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
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目次

1)不良ミトコンドリアを、蛍光蛋白質で可視化するセンサー
2)特発性肺線維症進行や予後関与のメカニズムを解明

 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 不良ミトコンドリアを、蛍光蛋白質で可視化するセンサー

 
 
 
 
 
 
 
 新潟大学は10月7日、口腔ガ
ンの進展にはガン関連線維芽細
胞(CAFs)の存在が重要である
ことを明らかにしたと発表しま
した。この研究は、同大大学院
医歯学総合研究科の羽賀健太歯
科医師、同研究科口腔病理学分
野の山崎学講師、田沼順一教授
ら、同研究科生体組織再生工学
分野の泉健次教授らの研究グル
ープによるものです。研究成果
は、「Translational Oncology」
にオンライン掲載されています。

 口腔は、摂食、嚥下、発音と
いった機能を有することから、
ヒトにとって重要な器官の1つ
とされています。そのため、口
腔ガン術後経過は、患者さんの
尊厳やQOLを大きく左右します。

 先行研究により、研究グルー
プは、手術で切除された組織を
調査し、ガン細胞のSOX9発現と
予後不良が関連し、SOX9が口腔
ガン悪性度の指標となり得るこ
とを報告しています。また、近
年、さまざまなガンにおいて、
ガン細胞周囲の微小環境を構成
するCAFsが、ガンの悪性度を左
右していることが明らかになっ
てきました。しかし、CAFsとガ
ン細胞がどのようにお互いに影
響し合っているのかについては、
未解明な部分があります。

 まず、研究グループは、CAFs
と口腔ガン細胞から成る3Dイン
ビトロモデル作製に成功しまし
た。正常口腔粘膜線維芽細胞(
NOF) と比較して、このモデル
ではガン細胞の悪性度を示す深
部への浸潤/遊走が増し、ガン
細胞内のSOX9発現が高いことが
分かりました。

 この実験モデルにより、CAFs
が分泌するTGF-βが、ガン細胞
のSOX9発現や細胞の浸潤/遊走
能の亢進に深く関わっているこ
とが判明しました。CAFsが分泌
するTGF-βが、ガン化していく
上皮間葉転換を誘導しているこ
とが示唆されました。

 さらに、3Dインビトロモデル
の結果を個体レベルで検証する
ため、口腔ガン細胞とCAFsまた
はNOF を混ぜ合わせて免疫不全
マウスに皮下移植して検討しま
した。その結果、CAFsの共移植
群では、NOFの群より2倍サイズ
の腫瘍形成がありましたが、TG
F-βに選択的に働く阻害剤を同
時に添加することで、腫瘍形成
作用が抑制されることが分かり
ました。

 また、手術で切除されたヒト
ガン組織を解析しました。SOX9
陽性細胞が多く認められた口腔
ガン組織の間質にはCAFsの存在
割合が高いこと、かつ、CAFsが
多く認められた口腔ガン患者さ
んでは再発率が高いという関連
性を見出しました。

 今回の研究により、ガン間質
に存在するCAFsが分泌する増殖
因子TGF-βにより、口腔ガン細
胞でSOX9転写因子発現が亢進し、
ガン細胞に上皮間葉転換が誘導
され、口腔ガン細胞の悪性度(
浸潤、遊走能)が増すことが示
されました。このことは、以前
報告したSOX9陽性細胞と患者さ
んの予後の関連にTGF-β/SOX9
軸が作用していることの実証に
つながりました。

 「ガン悪性化を制御するCAFs
とその細胞が分泌するTGF-βを
標的とすることで、ガン組織周
囲の微小環境も、新たにガン治
療のターゲットとして加えるこ
とができることになり、ガン細
胞を標的とした抗ガン剤との併
用による新規治療法開発への応
用が期待できる」と研究グルー
プは述べています。

 口腔ガンについて解説してい

る動画です。

 
 


 
 
 微小環境が改善されたことを
知り、微笑する。     笑

 
 
 
 
 
 
 
 
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2】 特発性肺線維症進行や予後関与のメカニズムを解明

 
 
 
 
 
 
 
 群馬大学は10月6日、特発性
肺線維症(特発性間質性肺炎)
の進行や予後に関わるメカニズ
ムの一部を明らかにしたと発表
しました。この研究は、同大大
学院医学系研究科呼吸器・アレ
ルギー内科学の古賀康彦助教ら、
量子科学技術研究開発機構高崎
量子応用研究所の佐藤隆博上席
研究員、群馬大学大学院保健学
研究科の土橋邦生名誉教授(現
上武呼吸器内科病院院長)の研
究グループによるものです。研
究成果は、「Environmental Sc
ience & Technology Letters」
に掲載されています。

 特発性肺線維症は、慢性的な
経過で肺が硬くなり、徐々に肺
に空気が吸い込めなくなる疾患
です。平均予後が3~5年といわ
れており、難病に指定されてい
ます。肺線維症はその原因が特
定できていないこともあり、治
療薬の開発が遅れています。肺
線維症は肺移植の対象疾患に指
定されていますが、現状、日本
の肺移植待機期間は2~3年と欧
米と比べてとても長いことから、
肺移植を待っている間に命を落
とす患者さんがいらっしゃいま
す。

 現在、肺線維症の治療薬は2
種類で、2015年以降は新薬が登
場していません。他臓器と大き
く異なる肺組織の特徴は、外界
と直接気道を介してつながって
いることです。そのため研究グ
ループは、外界からの何らかの
刺激が肺線維症に関わりがある
のではないかと考えました。今
回は、高崎量子応用研究所にあ
るin-air micro-PIXE と呼ばれ
る、物質に含まれる微量の含有
元素の成分を検出できるイオン
ビーム分析装置に着目しました。
in-air micro-PIXE を用いて肺
内に微量に存在する元素の成分
を測定し、肺線維症の病気のメ
カニズムの手がかりを見出すこ
とが出来ないかと考えました。

 最初に、対照(コントロール)
肺を早期肺ガンの切除肺を用い
て解析しました。早期肺ガン手
術では、肺ガンを取り残さない
ようにその周囲の正常肺も一緒
に切除します。その正常肺部分
にイオンビームを照射して肺内
に含まれている元素の成分を調
べました。肺線維症の元素解析
は、肺線維症の診断目的に手術
で切除された肺組織を分析しま
した。その結果、対照肺と比較
して肺線維症の肺内にシリカが
多く蓄積していることが分かり
ました。

 次に、肺線維症患者さんの肺
活量の変化量を調べました。平
均で150mLの肺活量が1年間で減
少しており、従来の肺線維症の
平均的な変化量と同じでした。
なお、健常者の1年間の肺活量
の減少量は、約10~20mL前後で
す。肺活量の減少は肺線維症の
進行と比例します。つまり、肺
線維症が進行して肺が硬くなっ
てくると肺活量も徐々に少なく
なっていきます。

 そこで、1例1例の患者さんの
肺内のシリカの量と肺活量の減
少量とを比較分析しました。そ
の結果、肺内のシリカの量が多
ければ多いほど肺活量の減少量
が増えていることが分かりまし
た。つまり、肺内のシリカの量
が多い患者さんは、肺線維症の
進行が早いことが明らかになり
ました。肺内のシリカの量の多
い肺線維症では、少ない肺線維
症に比べて生存期間がより短く
なっていることも分かりました。

 肺線維症の患者さんでは、生
活環境や職業性環境から吸入さ
れるシリカが肺内で異常に蓄積
し、徐々に肺が硬くなることで
肺活量が早いスピードで減りま
す。その結果、肺線維症が進行
して予後が不良となることが考
えられました。

 今回の研究で検出された結晶
性シリカは、環境汚染物質であ
るPM2.5 や季節性に日本に飛来
してくる黄砂の主成分であるこ
とが報告されています。今回の
研究成果によって、このような
大気中のシリカ吸入の予防医学
の発展や、産業衛生上の吸入予
防の取り組みが進み、肺に蓄積
したシリカを除去できる様な治
療薬が開発されることが期待さ
れます。

 「その結果として、肺線維症
患者さんだけでなく、肺線維症
の発症予防にもつながる可能性
があると考えられる」と研究グ
ループは述べています。

 特発性間質性肺炎について解

説している動画です。

 
 


 
 
 
 予防医学の権威を呼ぼう。笑

 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 新潟大学が10月7日、口腔ガ
ンの進展にはガン関連線維芽細
胞(CAFs)の存在が重要である
ことを明らかにしたと発表した
のは素晴らしい業績です。CAFs
は、上皮間葉転換に関与するこ
とが知られており、今研究が、
最もホットな所であることは、
周知の事実です。ガン悪性化を
制御するCAFsとその細胞が分泌
するTGF-βを標的とすることで、
ガン組織周囲の微小環境も、新
たにガン治療のターゲットとし
て加えることができることにな
り、ガン細胞を標的とした抗ガ
ン剤との併用による新規治療法
開発への応用に期待したいと思
います。
 群馬大学が10月6日、特発性
肺線維症(特発性間質性肺炎)
の進行や予後に関わるメカニズ
ムの一部を明らかにしたと発表
したのは、素晴らしい業績です。
今回の研究成果によって、この
ような大気中のシリカ吸入の予
防医学の発展や、産業衛生上の
吸入予防の取り組みが進み、肺
に蓄積したシリカを除去できる
様な治療薬が開発されることを
期待したいと思います。肺線維
症については、まだまだ未知の
部分が多く、一部が解明されて
も、まだなお疑問が噴出する可
能性があります。その都度、疑
問を解決しながら、前進するし
かこの病気に立ち向かう術はな
いものと推測致します。

 全身をかがめて、匍匐前進し
て、前線を前進した。   笑

 
 
 
 
 
 
 
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