最近の号外Vol.2197メルマガ

2022-06-20 18:30:52

カテゴリー:ブログ



藤田のブログランキングアップにご協力お願いします。
以下のバナーをぽちっとクリックお願いします。


病院・診療所ランキング

 
診療マル秘裏話  号外Vol.2197 令和3年8月19日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)骨肉腫細胞が血小板を利用する事で肺転移促進
2)フォシーガを慢性腎臓病にも使用可とする事を了承

 
 
 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 骨肉腫細胞が血小板を利用する事で肺転移促進

 
 
 
 
 
 
 ガン研究所は7月26日、骨肉
腫細胞が血小板を利用すること
で肺転移を促進すること、LPAR
1 を標的とした薬剤が肺転移を
抑制することで骨肉腫の予後改
善に貢献できる可能性を実験的
に示したと発表しました。この
研究は、ガン研究会ガン化学療
法センター基礎研究部の高木聡
研究員、片山量平部長らの研究
グループによるものです。研究
成果は、「Oncogene」に掲載さ
れています。

 骨肉腫は、100 万人に1~3人
程度に発症する希少ガンであり、
患者さんの75%以上は25歳以下
の小児や若年者。主に四肢の骨
に発生し、組織学的・遺伝学的
に多様な性質を示す間葉系細胞
を起源としています。その特徴
として、高率に肺転移を来すこ
とが知られており、転移・再発
臓器の90%が肺であり、肺転移
が予後不良因子です。

 ガンが他臓器に転移する際、
ガン細胞は血流中で血小板と相
互作用することが知られていま
す。ガン細胞と血小板からなる
凝集塊は、転移巣形成の足掛か
りとなるだけでなく、血流シェ
アストレスや免疫細胞の攻撃か
らガン細胞を保護することが知
られています。さらに、血小板
から産生・放出される種々の増
殖因子が、ガン細胞の増殖を促
進するだけでなく、上皮-間葉
転換を誘導することで、ガン細
胞の運動能亢進等を通じて転移
を促進します。そのため、血小
板はガンの遠隔転移に重要な役
割を果たしていることが、さま
ざまな先行研究により明らかに
されてきました。しかし、骨肉
腫のような間葉系細胞を起源と
する希少ガンの転移機構につい
ては不明な点が多く残されてい
るため、今回の研究ではその詳
細なメカニズム解明を目的に、
検討を行いました。

 最初に、骨肉腫細胞が血小板
を活性化する能力を持つかどう
かを調べるために、調整した血
小板懸濁液に骨肉腫細胞を添加
し、血小板とガン細胞からなる
凝集塊の形成度を血小板凝集計
で計測しました。その結果、低
転移性の肺ガン細胞株A549では
凝集塊の形成が全く誘導されな
かったのに対して、骨肉腫細胞
では8株全てにおいて、速やか
に凝集塊が形成されました。こ
のことから、骨肉腫細胞は血小
板を活性化する能力が非常に高
いことが明らかになりました。

 血小板の主な生理的役割は創
傷治癒であることから、その内
部には細胞増殖や炎症を誘引す
るさまざまな生理活性物質が含
まれており、血小板の活性化に
伴い外部へと産生・放出される
ことが知られています。そこで、
活性化血小板から産生・放出さ
れる生理活性物質(血小板放出
物)が骨肉腫細胞に与える影響
を評価した所、血小板放出物は
骨肉腫細胞の浸潤能を亢進する
ことが明らかになりました。さ
らに、血小板放出物を熱処理し
た場合にも骨肉腫の浸潤能を亢
進する活性が保持されたことか
ら、耐熱性分子である脂質メデ
ィエータに着目して研究を進め
た所、この責任分子がリゾホス
ファチジン酸(LPA) であるこ
とが明らかになりました。

 続いて、公共データベースに
登録されている骨肉腫患者検体
および細胞株のRNA-seq データ
を再解析しました。その結果、
骨肉腫ではLPA 受容体の一つで
あるLPAR1 が高発現している可
能性が示唆されました。そのた
め、複数の骨肉腫細胞株と骨肉
腫患者由来ゼノグラフトを用い
て検証を実施した所、骨肉腫で
は確かにLPAR1 が高発現してい
ることが確認されました。

 そこで、LPAR1 をノックアウ
トした骨肉腫細胞を樹立しその
浸潤能を評価しました。その結
果、LPAR1 のノックアウトでは、
血小板放出物により誘導される
浸潤能の亢進が起こらなくなる
ことが分かったということです。

 また、LPAR1 ノックアウト骨
肉腫細胞にイメージングプロー
ブAkaLucを遺伝子導入し、その
肺転移能を実験的肺転移モデル
で評価しました。その結果、骨
肉腫細胞により形成される早期
の肺転移結節がLPAR1 のノック
アウトにより阻害されることが
観察されました。

 最後に、LPAR1 の機能を阻害
するLPAR1 アンタゴニストをマ
ウスに投与し、骨肉腫の実験的
肺転移に与える影響を評価しま
した。その結果、LPAR1 アンタ
ゴニストの事前投与により、骨
肉腫細胞の早期の肺への生着が
有意に抑制されることが示され
ました。今回の研究により、LP
AR1 の機能を阻害する薬剤は、
骨肉腫の肺転移を抑制する分子
標的薬となる可能性が示唆され
ました。

 なお、LPAR1 アンタゴニスト
は、特発性肺線維症の治療薬と
して現在臨床試験下にあります
が、骨肉腫患者さんに投与した
際の安全性や有効性を明らかに
するためには、臨床試験による
さらなる検討が必須になります。

 骨肉腫について解説している

動画です。

 
 


 
 
 氷菓の味を評価する。  笑

 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
2】 フォシーガを慢性腎臓病にも使用可とする事を了承

 
 
 
 
 
 
 厚生労働省の部会は7月28日、
糖尿病などの薬「フォシーガ」
を、慢性腎臓病にも使えるよう
にすることを了承しました。慢
性腎臓病のための薬は国内で初
めてとなります。人工透析中や
末期腎不全は除きます。厚労相
が8月にも製造販売を承認しま
す。慢性腎臓病患者さんは国内
に約1330万人いるとされ、病気
の進行を抑えることが期待され
ています。

 フォシーガは英アストラゼネ
カ社がつくる内服薬です。約4
千人の慢性腎臓病患者さんが参
加した国際共同治験で、標準治
療と合わせてフォシーガを投与
したグループは、偽薬を使った
グループよりも、腎機能が悪化
したり死亡したりする割合が39
%低かったということです。

 慢性腎臓病は、糖尿病などで
腎臓の機能が低下することで生
じる進行性の病気です。悪化す
れば、体に有害な尿素などを取
り除くことができずに人工透析
が必要になったり、死亡したり
する恐れがあります。

 このニュースのニュース動画

です。

 
 


 
 
 昨日の腎臓の機能が低下する。


 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
編集後記

 ガン研究所が7月26日、骨肉
腫細胞が血小板を利用すること
で肺転移を促進すること、LPAR
1 を標的とした薬剤が肺転移を
抑制することで骨肉腫の予後改
善に貢献できる可能性を実験的
に示したと発表したのは、素晴
らしい業績です。骨肉腫の治療
は、私が医学生だった頃は四肢
の切断でした。流石に、現在で
は、四肢の切断は行われていな
いようですが、それ位、転移が
早い肉腫であることは事実だと
思います。LPAR1 を標的とした
薬剤が肺転移を抑制することで
骨肉腫の予後改善に貢献できる
可能性を更に追究して頂くこと
で、やがては、臨床で使用可能
な薬剤となることを期待したい
と思います。
 厚生労働省の部会が7月28日、
糖尿病などの薬「フォシーガ」
を、慢性腎臓病にも使えるよう
にすることを了承したのは喜ば
しいことです。 フォシーガは、
SGLT-2阻害薬であり、尿
細管からのブドウ糖の再吸収を
抑制することで、尿中にブドウ
糖を排泄する作用のある薬剤で
す。このフォシーガは、糖尿病
のみならず、虚血性心疾患や脂
質異常症に対しても効果的と言
われている薬剤です。副作用と
しては、尿中にブドウ糖を排泄
するため、高確率で尿路感染症
を起こす可能性があるというこ
とと、尿の浸透圧利尿作用によ
り、脱水となる可能性があると
いうことです。こうした副作用
に注意を払いつつ、腎臓病にも
使って頂きたいと思います。

 中尉が下士官に注意する。笑

 
 
 
 
 
 
 
************************

このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

発行者名  医療法人社団 永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト www.eitokukaisalanuma.or.jp/ ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。
このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント

最近の号外Vol.2196メルマガ

2022-06-19 20:26:30

カテゴリー:ブログ



藤田のブログランキングアップにご協力お願いします。
以下のバナーをぽちっとクリックお願いします。


病院・診療所ランキング

 
 
診療マル秘裏話  号外Vol.2196 令和3年8月17日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)皮膚生検DLI と生存、再発、進行の関連を検討
2)皮膚ターンオーバー(新陳代謝)に蛋白質JSG1が関与

 
 
 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 皮膚生検DLI と生存、再発、進行の関連を検討

 
 
 
 
 
 
 炎症性乳ガン(IBC) 女性患
者さん340 例を対象に、皮膚生
検時に検出された皮膚リンパ管
侵襲(DLI) と生存、再発、進
行の関連を検討しました。DLI
検出率は63.2%でした。

 その結果、DLI がある患者さ
んの方がDLI がない患者さんに
比べde novo転移(37.7% vs.
26.4%)、乳房の皮膚潰瘍(6.
1% vs. 2.4%),乳房実質内の
リンパ管侵襲(52.9% vs. 25.
5%)がある割合が高く,触知可
能な乳房腫瘤(48.2% vs. 70.
6%) がある割合が低いという
結果がでました。追跡期間中央
値2.0年で147例が死亡しました。
多変量モデルで、DLI に生存や
再発との関連は見られなかった
(いずれもP≧0.10)。例えば、
DLIがある3期の患者さんのハザ
ード比は、全生存1.29(95%CI
0.77-2.15)、局所領域再発1.
29(0.56-3.00)、遠隔転移1.7
1(0.97-3.02)でした。

 乳ガンの手術について解説し

ている動画です。

 
 


 
 
 基幹の医療機関で追跡期間を
決定する。        笑

 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
2】 皮膚ターンオーバー(新陳代謝)に蛋白質JSG1が関与

 
 
 
 
 
 
 日本メナード化粧品は、7月
20日、皮膚のターンオーバー(
新陳代謝)に蛋白質「JAG1」
が関与していることを発見した
と発表しました。加齢や紫外線
でJAG1の発現が弱まると表
皮に老化細胞が蓄積して老化を
加速するため、JAG1の発現
を維持・向上すれば、皮膚の再
生能力を高められるとしていま
す。

 同社は表皮のターンオーバー
が遅延し、老化細胞が蓄積して
いる皮膚を解析しました。その
結果、表皮の基底層に存在する
角化細胞表面にあるJAG1の
発現が低下していることを突き
止めました。また、老化細胞は
「NOTCH1」と呼ばれる特
異的な蛋白質も発現していまし
た。

 3次元培養表皮でも解析し、
正常な表皮モデルでは老化細胞
は上層に排出されターンオーバ
ーが正常だった一方、JAG1
の発現を低下させたモデルでは
老化細胞が基底層にとどまって
いました。老化細胞は炎症性サ
イトカインなど皮膚組織にダメ
ージを与えるSASP因子が分
泌するため、JAG1の発現低
下はターンオーバーを停滞させ、
皮膚老化を加速すると考えられ
るとしています。

 皮膚のターンオーバーを早め

る方法について解説している動

画です。

 
 


 
 
 手痛い売り上げの停滞を経験
する。          笑

 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
編集後記

 炎症性乳ガン(IBC) 女性患
者さん340 例を対象に、皮膚生
検時に検出された皮膚リンパ管
侵襲(DLI) と生存、再発、進
行の関連を検討したのは、素晴
らしい業績です。その結果、DL
I がある患者さんの方がDLI が
ない患者さんに比べde novo 転
移(37.7% vs. 26.4%),乳房
の皮膚潰瘍(6.1% vs. 2.4%),
乳房実質内のリンパ管侵襲(52
.9% vs. 25.5%) がある割合
が高く,触知可能な乳房腫瘤(4
8.2% vs. 70.6%)がある割合
が低いという結果がでたという
ことです。DLI は、忍者のよう
に潜んでいる悪い腫瘍であると
感じました。
 日本メナード化粧品が、7月
20日、皮膚のターンオーバー(
新陳代謝)に蛋白質「JAG1」
が関与していることを発見した
と発表したのは、素晴らしい業
績です。老化細胞は「NOTC
H1」と呼ばれる特異的な蛋白
質も発現していることも分かっ
たのは、追加の素晴らしい発見
と言えましょう。3次元培養表
皮でも解析し、正常な表皮モデ
ルでは老化細胞は上層に排出さ
れターンオーバーが正常だった
一方、JAG1の発現を低下さ
せたモデルでは老化細胞が基底
層にとどまっていることが分か
り、再確認されたのは凄いと思
いました。

 上層の階の高貴な方に上奏し
た。           笑

 
 
 
 
 
 
************************

このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

発行者名  医療法人社団 永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト www.eitokukaisalanuma.or.jp/ ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。
このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント

最近の号外Vol.2195メルマガ

2022-06-18 20:19:04

カテゴリー:ブログ



藤田のブログランキングアップにご協力お願いします。
以下のバナーをぽちっとクリックお願いします。


病院・診療所ランキング

 
診療マル秘裏話  号外Vol.2195 令和3年8月16日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)小児肉腫疑い患者遺伝子解析で正確な診断可能
2)悪性高熱症や重度熱中症を治療可能な物質発見

 
 
 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 小児肉腫疑い患者遺伝子解析で正確な診断可能

 
 
 
 
 
 
 名古屋大学は6月29日、小児
の固形ガンのうち特に肉腫が疑
われた患者さんに対し、遺伝子
解析を行った結果を発表しまし
た。同大学大学院医学系研究科
小児科学の高橋義行教授、村松
秀城講師、同大医学部附属病院
小児ガン療センターの奥野友介
病院講師、病理部の下山芳江准
教授、名古屋医療センター小児
科の市川大輔医員、埼玉県立小
児医療センター臨床研究部の中
澤温子部長らの研究グループに
よるものです。

 小児の固形ガンは、100 以上
のタイプに細分化されています
が、異なるタイプでもよく似た
病理所見などが存在することか
ら、病理組織診断が困難とされ
ています。病理組織診断は、生
検や手術で摘出された病変を標
本にして、病理医が顕微鏡で組
織を観察して行います。

 研究グループは、小児の固形
ガンが疑われる患者さん47人に
対し、RNA を調べる「次世代シ
ーケンサー」を使った遺伝子検
査を実施しました。その結果、
47人中23人の患者さんで、診断
につながる遺伝子変異を見つけ、
そのうち1人では新しい融合遺
伝子を見つけました。

 47人の患者さん全員の病理組
織診断を、小児の固形ガンを専
門とする複数の病理医が再度行
った結果、5人は未分化肉腫と
診断され、すでに判明している
組織学的特徴と一致しませんで
した。また、5人のうち4人の患
者さんでは、RNA シーケンサー
により疾患に特徴的と考えられ
る遺伝子変異を検出しました。
42人のうち5人で見つかった遺
伝子変異により、別のタイプに
分類されました。全体として、
47人中9人の患者さんで病理組
織診断が変更されました。さら
に、見つかった遺伝子変異には
これまでに報告のない「SMARCA
4」と「THOP1」が融合した「SM
ARCA4-THOP1」 融合遺伝子が含
まれました。研究グループは今
後の展開として、次のように述
べています。

 「小児固形腫瘍の診断におい
て、病理組織診断とRNA シーケ
ンスによる遺伝子解析を組み合
わせることにより、より正確な
診断が可能と考えられます。ま
た、正確な診断により適切な治
療が提供可能となり、治療成績
の向上や治療合併症の軽減につ
ながることが期待されます」

 小児ガンの治療について解説

している動画です。

 
 


 
 
 主要な小児固形腫瘍を診断可
となる。         笑

 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
2】 悪性高熱症や重度熱中症を治療可能な物質発見

 
 
 
 
 
 
 東京慈恵会医科大学・分子生
理学講座准教授の山澤德志子氏
らの研究グループは、「国立精
神・神経医療研究センターなど
との共同研究で、悪性高熱症や
重度熱中症の発熱抑制などに対
し優れた効果を有する物質を見
いだした」とNature Communica
tions (2021年 7月13日オンラ
イン版)に発表しました。動物
試験で発熱を顕著に抑えるなど
の優れた有効性が確認されたこ
とから、「安全に使用できる悪
性高熱症の治療薬になる可能性
が示された」としています。

 悪性高熱症は、外科手術の全
身麻酔時に筋の持続収縮(筋硬
直)が生じて高熱を発する遺伝
性の筋疾患です。全身麻酔で使
用される吸入麻酔薬によって誘
発され、まれではありますが、
早期発見、早期治療を行わなけ
れば死に至ることもあります。

 主な原因は、筋細胞における
筋小胞体で筋収縮を起こす引き
金となるカルシウムイオン(Ca
2+)チャネルの1リアノジン受
容体(RyR1)の遺伝子突然変異
による機能異常といわれていま
す。誘発作用のある薬により、
骨格筋のCa2+遊離が起こること
でCa濃度が上昇して代謝亢進状
態となり、体温上昇、筋強直、
骨格筋の崩壊などが生じると考
えられています。吸入麻酔によ
り急激に発症するため、迅速な
対応に加え、症状の回復後は速
やかな薬物の消失が必要となり
ます。

 悪性高熱症の治療薬として筋
弛緩薬の1でRyR1阻害薬ダント
ロレンが使用されていますが、
点滴静脈注射用の生理食塩水に
溶けず、血中半減期が長いため
副作用のリスクが高いといった
欠点があります。また、重症の
熱中症患者さんでは、RyR1遺伝
子の突然変異が報告されている
例があり、RyR1阻害物質が治療
の有力な候補になると考えられ
ます。

 そこで、研究グループは化合
物ライブラリを用いて候補物質
を選定し、薬理作用のある化合
物の構造を変えるなどしてより
有用な化合物を探索しました。
ダントロレンとは化学構造が異
なる新たなRyR1阻害薬の開発を
進めた所、RyR1阻害物質Cpd1を
見いだしました。Cpd1はCa2+遊
離を止めることで筋弛緩を引き
起こし、発熱を抑制して救命す
る作用が期待されます。

 研究グループは、RyR1チャネ
ル活性の高い悪性高熱症のモデ
ルマウスを作製し、Cpd1の有効
性の評価を行いました。このマ
ウスは吸入麻酔薬イソフルラン
を投与すると悪性高熱発作を起
こし、体温が急上昇して死亡に
至ります。

 モデルマウスに麻酔を行った
後、Cpd1非投与(無処置)のマ
ウスとCpd1を投与したマウスで
経過を検討した所、非投与群は
体温が急上昇して死亡しました
が、投与群では濃度依存的に発
熱が抑制されました。次に、Cp
d1非投与群と投与群の2用量(3
mg/kg、10mg/kg)で生存率を比
較しました。その結果、非投与
群は16例全てが死亡したのに対
し、3mg/kg投与群では6(10匹
中6匹)、10mg/kg投与群では8
匹全例が生存していました。

 モデルマウスは外気温の上昇
により熱中症を引き起こします
が、Cpd1の投与により熱中症発
作による死亡も抑制しました。
別の悪性高熱症モデルマウスを
用いた検証でも同様の結果が得
られました。なお、Cpd1は生理
食塩水への溶解性がダントロレ
ンに比べて大きく改善した他、
マウス血中半減期は約10分と非
常に短く、筋弛緩の副作用も投
与後一時間以内に消失しました。

 以上の結果を踏まえ、研究グ
ループは「Cpd1は悪性高熱症に
対して優れた治療効果を示すと
ともに、既存薬のダレトロレン
と比較して高い水溶性と短い血
中半減期を有することから、よ
り安全に使用できる治療薬であ
る」と結論しました。また、Ry
R1の異常活性化は筋ジストロフ
ィーをはじめとした筋疾患でも
報告されているため、「重症熱
中症や種々の筋疾患に対する治
療薬になる可能性があり、臨床
応用が期待される」としていま
す。

 全身麻酔薬について解説して

いる動画です。

 
 


 
 
 
 水曜に、水溶性を示す物質を
発見した。        笑

 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
編集後記

 名古屋大学が6月29日、小児
の固形ガンのうち特に肉腫が疑
われた患者さんに対し、遺伝子
解析を行った結果を発表したの
は、素晴らしい業績です。結論
的には、小児固形腫瘍の診断に
おいて、病理組織診断とRNA シ
ーケンスによる遺伝子解析を組
み合わせることにより、より正
確な診断が可能と考えられます。
正確な診断により適切な治療が
提供可能となり、治療成績の向
上や治療合併症の軽減につなが
ることが期待されます。しかし、
小児固形腫瘍には、まだまだ分
からないことが多く、治療自体
も確定していないことが多く、
あくまで、可能性や期待という
レベルであることをご記憶頂き
たいと思います。
 東京慈恵会医科大学・分子生
理学講座准教授の山澤德志子氏
らの研究グループが、「国立精
神・神経医療研究センターなど
との共同研究で、悪性高熱症や
重度熱中症の発熱抑制などに対
し優れた効果を有する物質を見
いだした」とNature Communica
tions (2021年 7月13日オンラ
イン版)に発表したのは、素晴
らしい業績です。研究グループ
が「Cpd1は悪性高熱症に対して
優れた治療効果を示すとともに、
既存薬のダレトロレンと比較し
て高い水溶性と短い血中半減期
を有することから、より安全に
使用できる治療薬である」と結
論したので、臨床で使えるよう
になることを期待したいと思い
ます。

 優れた仕様の製品を私用で、
使用する。        笑

 
 
 
 
 
 
 
************************

このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

発行者名  医療法人社団 永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト www.eitokukaisalanuma.or.jp/ ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。
このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント

最近の号外Vol.2194メルマガ

2022-06-17 19:34:35

カテゴリー:ブログ



藤田のブログランキングアップにご協力お願いします。
以下のバナーをぽちっとクリックお願いします。


病院・診療所ランキング

 
診療マル秘裏話  号外Vol.2194 令和3年8月15日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)適量範囲内の飲酒でも、ガンリスクは存在する
2)小麦アレルギーWDEIAに、HLAの内、特定の型が関連

 
 
 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 適量範囲内の飲酒でも、ガンリスクは存在する

 
 
 
 
 
 
 飲酒はさまざまなガンの発症
と関連します。フランス・Inte
rnational Agency for Researc
h on Cancer のHarriet Rumgay
氏らは、2020年の飲酒に起因す
る新規発症ガン症例数を推計し
ました。その結果、2020年に全
世界で新たに発症したガンの4.
1%が飲酒に起因するものであり、
そのうちの7分の1は適量範囲内
の飲酒にも関わらず、ガンを発
症していたと、Lancet Oncol(
2021年7月13日オンライン版)
に発表しました。

 Rumgay氏らは、非飲酒下での
理論的最小リスク値、2010年の
アルコール摂取量(アルコール
摂取からガン診断までの期間を
10年と想定)、世界ガン研究基
金(WCRF)によるシステマチッ
クレビューに基づく相対リスク
の推定値から、人口寄与割合(
PAF)を算出しました。PAFをGL
OBOCAN 2020 のガン発生率デー
タに適用し、飲酒に起因する新
規発症ガン症例数を推定しまし
た。2010年のアルコール摂取量
は、アルコールと健康に関する
グローバル情報システム(GISA
H)から推定しました。 また、
アルコールの摂取量別〔適量(
20g/日未満)、多量(20~60g/
日)、超多量(60g/日超)〕、
1日のアルコール摂取が10g増量
(最大150gまで)するごとの新
規発症ガン症例数も算出しまし
た。

 その結果、2020年に全世界で
新規に発症した飲酒に起因する
ガンは74万1,300例〔95%不確実
性区間(UI) 55万8,500~95万
1,200例〕と推計され,全てのガ
ンの4.1%(同3.1~5.3%)を占
めました。男性の割合は76.7%
〔56万8,700例(95%UI 42万2,
500~73万1,100例)〕、女性の
割合は23.3%17万2,600例(同13
万5,900~22万100例)〕でした。

ガン種別では、食道ガンが18
万9,700例(95%UI 11万900~2
7万4,600例)と最多で、以下、
肝臓ガン15万4,700例(同4万3,
700~28万1,500例),乳ガン9万
8,300例(同6万8,200~13万500
例)の順でした。

 PAF が最も低かったのは北ア
フリカ(0.3%、95%UI 0.1~3
.3)で,次いで西アジア(0.7%、
同0.5~1.2)でした。反対に、
最も高かったのは東アジア(5.
7%、同3.6~7.9)で,中東欧(
5.6%、同4.6~6.6) が続きま
した。

 アルコール摂取量別の飲酒に
起因する新規ガン発症は、超多
量群の34万6,400例(95%UI 22
万7,900~48万9,400例)が最多
で,以下、多量群の29万1,800例
(同22万7,700~33万3,100例)、
適量群の10万3,100例(同8万2,
600~20万7,200例)と続きまし
た。また、1 日のアルコール摂
取量が10g 増えると、飲酒に起
因する新規ガン発症は4万1,300
例(95%UI 3万5,400~14万5,8
00例)増えることが示されまし
た。

 Rumgay氏らは「アルコール摂
取が適量の範囲内であっても、
年間10万3,000 例超が飲酒に起
因するガンを発症すると推定さ
れた。これは、飲酒に起因する
ガン全体の7分の1に相当する」
とコメントしました。

 同氏らは、研究の限界として
1.新型コロナウイルス感染症(
武漢熱)パンデミックにより飲
酒行動が変化し、ガンのリスク
や診断率に影響を与えた可能性
がある。2.過去の飲酒歴や喫煙
歴を考慮していない。3.モンゴ
ルなど一部の国では,B型および
C型肝炎 ウイルス感染との相互
作用の可能性があり、飲酒に起
因する肝ガンを過大評価してい
る可能性がある。4.低・中所得
国では、ガン症例に関する医療
記録の質を保証できない可能性
がある―という点を挙げました。

 その上で、同氏らは「飲酒は
適量であってもガンのリスクに
なる。今回の研究により、飲酒
に起因するガンの発症を抑える
ための効果的な政策と介入の必
要性が浮き彫りになった」と結
論しています。

 お酒で増える5つのガンにつ

いて解説している動画です。

 
 


 
 
 清作が効果的な政策を考えた。


 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
2】 小麦アレルギーWDEIAに、HLAの内、特定の型が関連

 
 
 
 
 
 
 
 食物アレルギーのうち、小麦
製品を食べた後に運動すると呼
吸困難などを起こすアレルギー
があります。「小麦依存性運動
誘発アナフィラキシー(WDEIA)」
と呼ばれ、重篤なケースでは救
命措置が必要です。理化学研究
所(理研)と島根大学の研究グ
ループは、この怖い小麦アレル
ギーに「白血球の血液型」と言
われるHLA のうち、特定の型が
関連していることが分かったと
発表しました。発症リスクを予
測するバイオマーカーとして活
用できる可能性があるというこ
とです。

 WDEIA は、うどんなどの小麦
製品を食べた後に運動すると、
じんましん、下痢、腹痛や呼吸
困難などを起こす食物アレルギ
ーの一つで、重篤な場合はアナ
フィラキシーショックを来たし
ます。成人に見られる小麦アレ
ルギーの大部分を占め、子供が
給食でうどんなどの小麦製品を
食べた後に運動し、救急搬送の
例も多く報告されています。主
要な原因は小麦にわずかに含ま
れる「オメガ-5グリアジン」と
いう蛋白質であることが明らか
になっているが、発症要因はよ
く分かっていません。

 理研・生命医科学研究センタ
ーファーマコゲノミクス研究チ
ームの莚田泰誠チームリーダー、
福永航也研究員、島根大学医学
部の森田栄伸教授、千貫祐子准
教授らの研究グループは、WDEI
A の発症要因を究明するために、
まずWDEIA 患者さん77人と比較
対象の日本人924 人を対象に「
ゲノムワイド関連解析(GWAS)」
と呼ばれる遺伝子解析をしまし
た。

 その結果、WDEIA 患者さんで
は、ヒトゲノムDNA 上で一塩基
だけ異なる「SNP(一塩基多型)」
のうち「rs9277630」 という特
定のSNP が関連していることが
分かりました。

 研究グループは次に、別のWD
EIA 患者さん91人を調査対象に
追加し、さらに詳しく解析しま
した。その結果、「HLA- DPB1*
02:01:02」という特定のHLA の
保有率が、比較対象の日本人が
39%であるの対してWDEIA 患者
さんは73%もあり、統計的に有
意に高いことが判明しました。

 研究グループは、『「HLA- D
PB1*02:01:02」という特定のHL
Aを持っている人は,持っていな
い人よりもWDEIA を発症するリ
スクが高いことが示された』と
結論付けました。発症リスクを
予測するバイオマーカーとして、
将来的には遺伝子検査に活用さ
れることが期待できるとしてい
ます。

 HLA は、赤血球の型である血
液型に対して白血球の型を示し
ています。白血球以外にもHLA
は存在するため、正確には「ヒ
ト白血球抗原」と呼ばれていま
す。免疫に関係が深く、免疫が
関係する多くの疾患の発症や副
作用の発現リスク因子でもある
とされています。新型コロナウ
イルス感染症の感染、発症にも
関係するとの見方もありますが、
現時点で詳しいことは不明です。

 小麦依存性運動誘発アナフィ

ラキシーの漫画動画です。

 
 


 
 
 現時点で選挙の投票数は次点
でした。         笑

 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
編集後記

 フランス・International Ag
ency for Research on Cancer
のHarriet Rumgay氏らは、2020
年の飲酒に起因する新規発症ガ
ン症例数を推計し、その結果、
2020年に全世界で新たに発症し
たガンの4.1%が飲酒に起因する
ものであり、そのうちの7分の1
は適量範囲内の飲酒にも関わら
ず、ガンを発症していたと、La
ncet Oncol(2021年7月13日オ
ンライン版)に発表したのは、
素晴らしい業績です。ガンのリ
スクを引き下げるためには、ア
ルコールは飲まないに越したこ
とはないということだと思いま
す。少なくともリスクを考えた
上で飲酒して頂きたいものです。
 理化学研究所(理研)と島根
大学の研究グループは、この怖
い小麦アレルギーに「白血球の
血液型」と言われるHLA のうち、
特定の型が関連していることが
分かったと発表したのは、素晴
らしい業績です。研究グループ
は、『「HLA- DPB1*02:01:02」
という特定のHLA を持っている
人は,持っていない人よりもWDE
IAを発症するリスクが高いこと
が示された』と結論付けたと言
うことですから、劇症型アレル
ギーを防ぐ、第一歩としてこの
HLA の型をスクリーニングして
おく必要があると思います。

 劇症型アレルギーの研究につ
いて激賞した。      笑

 
 
 
 
 
 
 
************************

このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

発行者名  医療法人社団 永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト www.eitokukaisalanuma.or.jp/ ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。
このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント

最近の号外Vol.2193メルマガ

2022-06-16 20:36:21

カテゴリー:ブログ



藤田のブログランキングアップにご協力お願いします。
以下のバナーをぽちっとクリックお願いします。


病院・診療所ランキング

 
診療マル秘裏話  号外Vol.2193 令和3年8月14日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)妊婦の放射線の取り扱いと神経芽腫発症に関連
2)特発性肺線維症の病態発症メカニズムの一端を解明

 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 妊婦の放射線の取り扱いと神経芽腫発症に関連

 
 
 
 
 
 
 九州大学は7月20日、子ども
の健康と環境に関する全国調査
(エコチル調査)の約10万人の
データを使用して、乳児期の小
児ガンと両親が職業で取り扱っ
た医療用物質との関連について
解析し、妊婦の放射線の取り扱
いと出生児の乳児期の神経芽腫
の発症に関連がある可能性を示
したことを発表しました。この
研究は、同大小児科の古賀友紀
准教授(エコチル調査九州大学
サブユニットセンター)らの研
究グループによるものです。研
究成果は、「Pediatric Resear
ch」に掲載されています。

 小児ガンはまれで、命を脅か
す可能性のある疾患です。はっ
きりとした原因は分かっていま
せんが、これまでの研究から、
いろいろな環境因子の関与が指
摘されています。さまざまな職
業の中で、医療従事者は、放射
線や抗ガン剤のような有害な影
響を与えうる物質を業務として
取り扱うことがあります。これ
までに、妊婦が職業で取り扱っ
た医療用物質と、出生した子ど
もの乳児期の腫瘍の関連をみた
報告はありません。

 エコチル調査は、胎児期から
小児期にかけての化学物質曝露
が子どもの健康に与える影響を
明らかにするために、2010年度
より全国で10万組の親子を対象
として開始した、大規模かつ長
期にわたる出生コホート調査で
す。今回の研究では、両親が職
業で取り扱った医療用物質と出
生した子どもの1歳までのガン
の発生に関連があるか否かを調
査しました。2018年3月に確定
した、約10万組の妊婦と出生し
た子どもおよび約5万人の父親
のデータのうち、解析対象は、
性別・出生体重・両親の医療用
物質の取り扱い・子どものガン
に関するデータがそろっている
9万2,619人の子どもとしました。

 約9万2,000人の妊婦のうち、
妊娠期間中に,放射線を2,142人
(2.3%)、抗ガン剤を1,298人
(1.4%)、麻酔薬を1,015人(
1.1%)が、月1回以上取り扱っ
ていました。生まれた子ども約
9万2,000人のうち,1歳までに15
人の神経芽腫、8人の白血病、3
人の脳腫瘍が発生していました。
放射線を取り扱った2,142 人の
妊婦から生まれた子どものうち、
3人が神経芽腫を発症しました。
その発生率は10万人当たり140.
1人で,取り扱っていない妊婦か
ら生まれた子どもの発症率(10
万人当たり13.3人)よりも高い
傾向であることが分かりました。

 その3人の子どもの母親のう
ち、2人は抗ガン剤と麻酔薬も
取り扱っていました。上記の3
種類の医療用物質を取り扱った
妊婦から出生した子どもで、白
血病や脳腫瘍を発症した子ども
はいませんでした。出生体重な
どを考慮に入れた多変量解析で
は、放射線を取り扱った母親の
子どもは、神経芽腫のリスクが
10.68(95%信頼区間は2.98-38.
27)倍と算出されました。

 一方、父親の情報は母親の約
半数の4万5,000人で、そのうち
放射線を1,446人(3.2%)、抗
ガン剤を289人(0.6%)、麻酔
薬を328人(0.7%)が、月1回
以上取り扱っていました。父親
のデータがある子ども約4万5,0
00人のうち、7人の神経芽腫、3
人の白血病、3人の脳腫瘍が発
生していましたが、それらの医
療用物質を取り扱った父親はい
ませんでした。

 この研究は、妊婦の医療用物
質の取り扱いと子どもの神経芽
腫に関連がある可能性を示した
最初の報告です。ただし、この
研究では、質問票から得られた
情報を使用したため取り扱いの
様式・時間・量およびガンの分
類などが分からないこと、神経
芽腫を発症した児の症例数が少
ないこと、父親の情報は母親の
約半数であることなどの制約が
あることを考慮しなければなり
ません。

 「今後、子どもの年齢が上が
ってくるにつれて、より多くの
小児ガンが発生してくることが
予測され、それぞれの医療用物
質の関与が明らかになると考え
られる。今回の結果はあくまで
も可能性を示したもので、結果
が本当かどうかを見極めるため
には、動物実験でのメカニズム
についての研究や国際的な小児
ガン登録を含めた詳細な検討が
必要だ」と、研究グループは述
べています。

 神経芽腫について解説してい

る動画です。

 
 


 
 
 商才の有無の詳細な検討が必
要となる。        笑

 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
2】 特発性肺線維症の病態発症メカニズムの一端を解明

 
 
 
 
 
 
 
 名古屋大学は7月16日、肺線
維症の発症原因の一つ蛋白質架
橋酵素トランスグルタミナーゼ
により架橋修飾される標的蛋白
質群の同定解析手法を開発し、
特発性肺線維症(IPF) の病態
発症メカニズムの一端を明らか
にしたと発表しました。この研
究は、同大大学院創薬科学研究
科の辰川英樹助教、竹内大修大
学院生、人見清隆教授ら、同大
トランスフォーマティブ生命分
子研究所(WPI-ITbM)の桑田啓
子センターチーフらの研究グル
ープによるものです。研究成果
は、「American Journal of Re
spiratory Cell and Molecular
Biology」オンライン版に掲載
されています。

 IPF は、肺に線維性蛋白質が
過剰に蓄積して病態が進行する
国指定の難治性疾患です。IPF
の患者数は日本では約1万数千
人と推測され、自覚症状が認め
られてからの生存期間は、一般
的に3~5年と予後が大変悪いと
されています。現時点で、疾患
を直接抑制する有効な治療法は
確立されておらず、疾患増悪に
関わる詳細な分子病態メカニズ
ムの解明が求められています。

 IPF の解析研究には、抗ガン
剤「ブレオマイシン」を投与し
た肺線維化マウスモデルが用い
られます。今回の研究では、同
マウスモデルにおいて、疾患発
症の原因となる「蛋白質架橋酵
素トランスグルタミナーゼ2(T
G2)」に着目しました。病態形
成時にTG2 が活性化する領域で
架橋修飾される標的基質蛋白質
を同定する実験手法を開発しま
した。

 TG2 は、蛋白質のグルタミン
残基とリジン残基の間に不可逆
的な架橋結合を形成する酵素で
す。肺が線維化した領域ではTG
2 の活性増加(蛍光標識一級ア
ミンの架橋修飾の増加)が顕著
に観察されました。内在性TG2
により、肺組織切片中のグルタ
ミン残基を持つ蛋白質に一級ア
ミンが架橋修飾され、これを指
標としてTG2 活性を調べること
ができます。

 研究グループは、このような
一級アミンと架橋した組織中の
グルタミン残基を持つ蛋白質を
調べることにより、線維化領域
でTG2 によって架橋される基質
蛋白質を同定できるのではない
かと考え、実験系の構築を行い
ました。

 架橋蛋白質の同定手法を用い
て、線維化肺で顕著に架橋修飾
される蛋白質群を調査しました。
その結果、病態増悪に伴い架橋
される126 種類の基質蛋白質を
見出しました。同定された蛋白
質群はファゴソーム、脂質代謝、
免疫応答、小胞体の蛋白質のプ
ロセシングなどを含む21種類の
シグナル伝達経路に関わること
が判明しました。さらに、蛋白
質相互作用解析により、小胞体
ストレスやペルオキシソーム増
殖因子活性化受容体シグナルに
関連する6つのクラスターとシ
グナル伝達経路において、中心
性が高い上位20個のハブ蛋白質
を抽出しました。

 これらの同定因子やパスウェ
イの一部は、IPF 患者さんの遺
伝子発現解析の結果と類似して
おり、架橋修飾反応を起点とし
て誘導するシグナル伝達経路が、
IPF の病態発症メカニズムに関
わることが分かったということ
です。

 「特定の基質蛋白質の架橋修
飾と病態形成の関係性が今後解
明されることにより、IPF の病
態機構解明と新たな治療標的を
対象とする創薬シーズの開発に
つながることが期待される」と
研究グループは述べています。

 間質性肺炎について解説して

いる動画です。

 
 


 
 
 
 華僑が建築する架橋の開通式
が佳境となった。     笑

 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
編集後記

 九州大学が7月20日、子ども
の健康と環境に関する全国調査
(エコチル調査)の約10万人の
データを使用して、乳児期の小
児ガンと両親が職業で取り扱っ
た医療用物質との関連について
解析し、妊婦の放射線の取り扱
いと出生児の乳児期の神経芽腫
の発症に関連がある可能性を示
したことを発表したのは、素晴
らしい業績です。動物の医療用
物質曝露については、日常的に
調べられているものの、ヒトで
は、今回がはじめてということ
で、妊婦さんのフィルムバッジ
による管理を厳格にするべきだ
と思いました。
 名古屋大学が7月16日、肺線
維症の発症原因の一つ蛋白質架
橋酵素トランスグルタミナーゼ
により架橋修飾される標的蛋白
質群の同定解析手法を開発し、
特発性肺線維症(IPF) の病態
発症メカニズムの一端を明らか
にしたと発表したのは、素晴ら
しい業績です。 しかしながら、
肺線維症は、ブレオマイシンの
ような薬剤性のものから、特発
性と言って原因の良く分からな
いもの、膠原病に伴うものなど
たくさんの原因があり、その一
つ一つのモデルマウスを作って
実験系を組まなければ、正確な
メカニズムは、分からないと思
いました。

 正確な性格を把握する。 笑

 
 
 
 
 
 
************************

このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

発行者名  医療法人社団 永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト www.eitokukaisalanuma.or.jp/ ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。
このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント

最新号より100号前のメルマガ

2022-06-15 19:59:32

カテゴリー:ブログ



藤田のブログランキングアップにご協力お願いします。
以下のバナーをぽちっとクリックお願いします。


病院・診療所ランキング

 
診療マル秘裏話  Vol.868 令和2年7月29日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
 
目次

1)AGEsの摂取量と、乳ガン発症リスクに関連あり
2)卵巣ガン細胞でチロシンキナーゼ受容体型蛋白質が関与

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 )AGEsの摂取量と、乳ガン発症リスクに関連あり

 
 
 
 
 
 
 米サウスカロライナ医科大学
は6月10日、米国の大規模ガン
スクリーニング研究により、終
末糖化産物(Advanced Glycati
on End Products、以下AGEs )
の摂取量と、乳ガン発症リスク
に関連があるという新たな知見
を発表しました。これは、同大
HollingsガンセンターのDavid
P. Turner医学博士、Susan Ste
ck医学博士らの研究グループに
よるものです。研究成果は、「
Cancer Prevention Research」
に掲載されています。AGEsは、
蛋白質と脂質が糖に暴露された
とき、「糖化」と呼ばれる化学
変化を経て作られる物質です。
体内でも自然に産生されていま
すが、加工食品や高温調理され
た食品に非常に多く含まれてお
り、これらの摂取により体内で
過剰になる危険性があります。
AGEsの存在は少なくとも100 年
前から知られており、David 博
士によると「ほぼすべての慢性
疾患に関連がある」という。し
かし、ガンにおけるAGEsとの関
連研究はようやく進み始めたと
ころで、どのように機能してい
るかなどは不明です。

今回、研究グループは、食事中
のAGEs摂取量と乳ガンリスクと
の関連を調査しました。この調
査は、前立腺ガン、肺ガン、結
腸直腸ガン、卵巣ガンのスクリ
ーニングを目的に10年以上かけ
て行われた米国の観察研究「PL
CO研究」の一環として行われま
した。対象者は、研究開始時に
ガンを発症していなかった55〜
74歳の7万8,000人以上の女性で
す。調査開始時と開始から5年
後に、食事摂取頻度調査票によ
るアンケートを実施し、食品中
の「NƐカルボキシメチルリジン
-AGEs(CML-AGEs)」の含有量
を定量化して解析を行いました。
研究グループは、Cox 比例ハザ
ードモデルを用いて、女性全員
に対して乳がんのハザード比(
HR)、95%信頼区間(95% CI)
を推定し、人種/民族、疾患の
侵襲性、およびホルモン受容体
の状態によって層別化しました。
追跡期間の中央値である11.5年
後、1,592 人の女性が乳ガンと
診断されていました。人種/民
族で分類した解析では、女性全
体(HR:1.30、95%CI:1.04-1
.62 )と非ヒスパニック系白人
女性(HR:1.21、95%CI:1.02-
1.44)でCML-AGEsの摂取量が多
いと乳ガンのリスクが高くなる
ことが分かりました。また、CM
L-AGEs摂取量の増加は、非浸潤
(HR:1.49、95%CI:1.11-2.0
1 )および、ホルモン受容体陽
性(HR:1.24、95%CI:1.01-1
.53 )乳ガンのリスク増加と関
連していました。

「今回の研究から、体内でのAG
Esレベルはガン発症リスクと関
連することが明らかとなった。
一般の人々に向けてAGEsと疾患
の関わりについて啓発し、より
良い食生活を心がけてもらいた
い」と、研究グループは述べて
います。

 乳ガン発症リスクについて解

説している動画です。

 
 


 
 
 層別化したことで送別会をす
る羽目になった。     笑

 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
2】 卵巣ガン細胞でチロシンキナーゼ受容体型蛋白質が関与

 
 
 
 
 
 東北大学は7月6日、卵巣ガン
細胞において、チロシンキナー
ゼ受容体型蛋白質「TIE-1 」が
細胞増殖に関与していることを
発見したと発表しました。これ
は同大大学院医学系研究科の産
婦人科分野の八重樫伸生教授と
摂南大学薬学部の北谷和之講師
らの研究グループによるもので
す。研究成果は「Cancers 」に
掲載されています。卵巣ガンは
婦人科の悪性腫瘍の中で最も治
療後の経過が悪い疾病で、その
罹患率および死亡率は年々増加
傾向にあります。卵巣ガンには、
DNA 複製を阻害する白金製剤と
細胞分裂を阻害するタキサン系
薬剤の併用による化学療法が有
効ですが、多くの症例で治療後
に耐性が生じてしまい、治療経
過が悪くなる原因となっていま
す。そのため、卵巣ガンにおけ
る新規治療標的の探索や抗ガン
剤耐性を伴う難治性ガンに対す
る治療法の開発は、婦人科腫瘍
の治療において喫緊の課題です。

近年、白血病細胞あるいは乳ガ
ン、メラノーマなど種々のガン
組織において、血管の新生およ
び血管の安定性に関与する因子
TIE-1 が過剰に発現し、腫瘍に
おける血管の形成に関与してい
ることが報告されました。これ
により、TIE-1 は悪性腫瘍の進
行や治療後の経過の予測因子と
なる可能性が認識されてきまし
た。八重樫教授らのグループは、
以前に、TIE-1 が卵巣がん細胞
においてDNA 修復機構を活性化
することで抗ガン剤耐性を獲得
させることを明らかにし、TIE-
1 の機能を阻害することでガン
細胞の増殖が抑えられることを
報告しています。研究において、
卵巣ガン細胞でTIE-1 の量を人
為的に抑えると、細胞の増殖や
生存に関与する一連の因子(PI
3K/Aktシグナル伝達経路分子)
の量が顕著に減少。さらに、11
種類の卵巣がん細胞株において
TIE-1 の量を抑えた結果、PI3K
の発現量が高い細胞株では細胞
増殖が減少し、PI3Kの発現量が
低い細胞株では細胞の増殖は減
少しないことが確認されました。
以上よりTIE-1 はPI3Kを介して
細胞増殖を制御しており、TIE-
1 の阻害による細胞増殖の抑制
効果は、PI3K高発現の卵巣ガン
に対してのみ効果的であること
が明らかになりました。また、
PI3K発現が低い細胞株において、
TIE-1 の発現量を人為的に高く
するとPI3K発現も高くなり、細
胞の増殖も促進されました。よ
って、TIE-1 はPI3K/Aktシグナ
ル伝達経路を介して、卵巣ガン
細胞の増殖を制御していると考
えられます。

今回の研究から、TIE-1 がPI3K
発現の高い卵巣ガンに対する新
たな治療標的となる可能性が見
出されました。「将来的にはTI
E-1 阻害剤を開発し、卵巣ガン
の特徴に合わせた治療を提供す
ることで、難治性卵巣ガンの治
療効果の改善に大きく貢献でき
ることが期待される」と、研究
グループは述べています。

 卵巣ガンについて解説してい

る動画です。

 
 


 
 
 毛色の変わった経路をたどっ
て、終着駅に着く。    笑

 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
 
編集後記

 
 米サウスカロライナ医科大学
が6月10日、米国の大規模ガン
スクリーニング研究により、終
末糖化産物(Advanced Glycati
on End Products、以下AGEs )
の摂取量と、乳ガン発症リスク
に関連があるという新たな知見
を発表したのは喜ばしいことで
す。AGEsは、高温調理すること
で生まれやすく、蛋白質が糖化
することで、メイラード反応を
経ることで生じます。ですから、
家庭での料理は、煮る、蒸す、
生で食べるの低温調理が望まし
いと考えられます。
 東北大学が7月6日、卵巣ガン
細胞において、チロシンキナー
ゼ受容体型蛋白質「TIE-1 」が
細胞増殖に関与していることを
発見したと発表したのは素晴ら
しい業績です。卵巣ガンは婦人
科の悪性腫瘍の中で最も治療後
の経過が悪い疾病で、その罹患
率および死亡率は年々増加傾向
にあるということですが、チロ
シンキナーゼ受容体型蛋白質が
細胞増殖に関与していて、ガン
治療においては、この蛋白質が
ターゲットになり得るというこ
とですので、将来的にはTIE-1
阻害剤を開発し、卵巣ガンの特
徴に合わせた治療を提供するこ
とで、難治性卵巣ガンの治療効
果の改善に大きく貢献すること
を期待したいと思います。

 主要な悪性腫瘍を疑う。笑

 
 
 
 
 
 
 
************************

このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

発行者名  医療法人永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト www.eitokukaisalanuma.or.jp/ ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。
このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント

最近の号外Vol.2192メルマガ

2022-06-14 16:29:27

カテゴリー:ブログ



藤田のブログランキングアップにご協力お願いします。
以下のバナーをぽちっとクリックお願いします。


病院・診療所ランキング

 
診療マル秘裏話  号外Vol.2192 令和3年8月13日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)未治療MDSに経口BCL-2阻害薬とアザシチジンの併用
2)武漢熱の後遺症に関する過去最大規模国際研究

 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 未治療MDSに経口BCL-2阻害薬とアザシチジンの併用

 
 
 
 
 
 
 米・アッヴィは本日(7月21
日)、改訂国際予後判定システ
ム(IPSS-R)に基づいて、中等
度~超高リスクと診断された未
治療の骨髄異形成症候群(MDS)
患者さんに対する経口BCL-2 阻
害薬ベネトクラクスとアザシチ
ジンとの併用療法について、米
食品医薬品局(FDA) よりブレ
ークスルー・セラピー指定を受
けたと発表しました。今回の認
定は、第1b試験M15-531の結果
に基づいたものです。

 ベネトクラクスは、アポトー
シス抑制蛋白質であるBCL-2 を
選択的に阻害する経口投与可能
な低分子化合物です。BCL-2 は
アポトーシス促進性蛋白質(BA
X/BAK、BIMなど)と相互作用す
ることにより、アポトーシス抑
制性に機能しています。ベネト
クラクスは、BCL-2 と直接結合
することによりアポトーシス促
進性蛋白質を遊離させ、腫瘍細
胞を速やかなアポトーシスに誘
導し、抗腫瘍作用を示すと考え
られています。オタマジャクシ
がカエルになると尾や水掻きが
なくなります。その際、計画的
に細胞が死ぬことが分かってお
り、このような細胞の死に方を
アポトーシスと言います。アポ
トーシスの対極は、ネクローシ
ス(壊死)です。

 アザシチジンはDNA及びRNAに
取り込まれることで、主に蛋白
質合成を阻害し、殺細胞作用を
示します。なお、MDS では、ガ
ン抑制遺伝子プロモーター領域
のDNAの高メチル化,及び当該ガ
ン抑制遺伝子の発現抑制が報告
されており、DNA に取り込まれ
たアザシチジンは、DNA のメチ
ル化を阻害することにより、細
胞増殖抑制作用を示す可能性も
報告されています。

 骨髄異形成症候群について解

説している動画です。

 
 


 
 
 この将棋の対局の対極の局面
を考える。        笑

 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
2】 武漢熱の後遺症に関する過去最大規模国際研究

 
 
 
 
 
 
 
 新型コロナウイルス感染症(
武漢熱)の後遺症に関する過去
最大規模の国際研究の結果が明
らかになりました。英米の研究
者らを中心に武漢熱後遺症の研
究を行っているPatient-Led Re
search CollaborativeのHannah
E. Davis氏らは,オンライン調
査で得られた3,700 例超のデー
タから武漢熱後遺症の特徴を検
証しました。ほとんどの患者さ
んが、35週を超えて症状が持続
し、特に疲労、労作後の倦怠感、
認知機能障害が多く認められた
とEClinicalMedicine(2021年7
月15日オンライン版)に報告し
ました。

 Davis 氏らは武漢熱患者さん
の支援グループやSNSを通じ、2
020年 9月6日〜11月25日に武漢
熱疑い例および罹患例を対象に
オンライン調査を実施しました。
データは56カ国から収集され、
2020年6月以前に発症し症状が2
8日を超えて持続している3,762
例(罹患例1,020例、疑い例2,7
42例)の回答を分析しました。

 分析では、10カ所の臓器にお
ける症状203 種の有病率を推定
し、そのうち66種を7カ月間超
にわたり追跡しました。他にも、
武漢熱後遺症が生活や仕事へ及
ぼす影響、元の健康状態への復
帰状況などを調査しました。

 分析の結果、35週を超えて症
状が持続した患者は回答者の91
.8%を占め、65%は少なくとも
6カ月までになんらかの症状を
経験していました。症状の重症
度と平均症例数の継時的評価か
ら武漢熱後遺症の経過を推定し
たところ、重症および超重症の
割合は4週までの急性期にピー
クを迎えた一方、中等症および
軽症の割合は発症後徐々に上昇
していました。

 回答者が経験した症状の数は、
55.9±25.5(平均値±標準偏差)
でした。臓器のカテゴリー別に
見ると、全身性および頭頸部(
HEENT) 症状がほぼ全例で、ま
た筋骨格、心血管、消化器、肺・
呼吸器の症状は85%以上に認め
られ、これらは時間経過ととも
に多様な有病率を示しました。
個々の症状別では、疲労、労作
後の倦怠感、認知機能障害が特
に多いという結果がでました。

 さらに回答者の仕事への影響
を調べた所、45.2%が罹患前と
比べ仕事の量を減らす必要があ
ったと答え、22.3%は勤務が不
可能でした。

 以上の結果について,Davis氏
らは「武漢熱後遺症は多臓器に
影響を及ぼす不均一性の後遺症
であり、予後の悪化に大きく関
与することが示唆された」と指
摘しています。「武漢熱後遺症
のこのような不均一性を考慮す
ると、病態生理の理解と効果的
な治療法の開発には集学的な研
究が必要である」としています。

 武漢熱後遺症について解説し

ている動画です。

 
 


 
 
 後遺症を消す行為を発見する
のは、困難。       笑

 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
編集後記

 米・アッヴィが本日(7月21
日)、改訂国際予後判定システ
ム(IPSS-R)に基づいて、中等
度~超高リスクと診断された未
治療の骨髄異形成症候群(MDS)
患者さんに対する経口BCL-2 阻
害薬ベネトクラクスとアザシチ
ジンとの併用療法について、米
食品医薬品局(FDA) よりブレ
ークスルー・セラピー指定を受
けたと発表したのは、喜ばしい
ことです。しかし、この2剤と
も副作用があり、特に添付文書
を見るとアザシチジンの方に、
強い多種類の副作用が存在する
ため、臨床で実際に使う際には、
十分な注意が必要になると思い
ます。
 新型コロナウイルス感染症(
武漢熱)の後遺症に関する過去
最大規模の国際研究の結果が明
らかになったのは、凄いことだ
と思います。後遺症が酷いと聞
いていましたが、回答者の仕事
への影響を調べた所、45.2%が
罹患前と比べ仕事の量を減らす
必要があったと答え、22.3%は
勤務が不可能であったというこ
とまでは、分かりませんでした。
どんな人でも、仕事をしないと
生活するための、お金は入って
来ません。その仕事にこれだけ
の影響があるということは、何
かしらの対策を打つ必要がある
と思います。

 コンクールで大作に勝つ対策
を練る。         笑

 
 
 
 
 
 
************************

このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

発行者名  医療法人社団 永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト www.eitokukaisalanuma.or.jp/ ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。

このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント

最近の号外Vol.2191メルマガ

2022-06-13 18:02:44

カテゴリー:ブログ



藤田のブログランキングアップにご協力お願いします。
以下のバナーをぽちっとクリックお願いします。


病院・診療所ランキング

 
診療マル秘裏話  号外Vol.2191 令和3年8月12日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)ワクチン接種後化学療法実施中患者に免疫原性低下
2)肝線維化進展に中等度飲酒より代謝異常の合併

 
 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 ワクチン接種後化学療法実施中患者に免疫原性低下

 
 
 
 
 
 
 イスラエルの1施設で、ガン
治療中の患者さんを対象に、新
型コロナウイルス(武漢熱)ワ
クチンBNT162b2(ファイザー社
/ビオンテック社製)の有効性
と安全性をコホート研究で評価
しました。初回接種後と2回目
接種後にガン治療を受けた患者
さん232 例(平均年齢66歳、男
性57%)および年齢をマッチさ
せた健康な医療従事者261 例(
対照)を組み入れて追跡しまし
た。初回接種後と2回目接種後
の血清陽転率、武漢熱罹患を評
価項目としました。

 初回接種後の血清陽転率は、
患者さん群29%(25例)、対照
群84%(220例)でした(P<0.
001)。 患者さん群の血清陽性
率は、2回目接種後には86%(1
87例)となりました。化学療法
実施中の患者さんに免疫原性の
低下が見られました(オッズ比
0.41、95%CI 0.17-0.98)。血
清陰性の患者さんで、39%に白
血球の絶対数減少が確認されま
した。対象期間全体の武漢熱罹
患症例は、ガン患者さん群の初
回接種直後の2例のみでした。
報告された有害事象は、参加者
のほとんどを健康被験者が占め
ていた過去の試験のデータとほ
ぼ同じでした。

 ガン患者さんの武漢熱ワクチ

ン接種について解説している動

画です。

 
 


 
 
 次章で有害事象について説明
する。          笑

 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
2】 肝線維化進展に中等度飲酒より代謝異常の合併

 
 
 
 
 
 
 
 肥満や糖尿病などの代謝異常
は肝線維化進展の危険因子であ
り、脂肪肝と代謝異常を合わせ
たMetabolic associated fatty
liver disease(MAFLD) とい
う概念が昨年(2020年)、22カ
国32人の専門医から成るIntern
ational Expert Panelにより提
唱されました(J Hepatol 2020;
73: 202-209)。 久留米大学消
化器内科准教授の川口巧氏は、
非アルコール性脂肪性肝疾患(
NAFLD)とMAFLDの肝線維化予測
能について比較検討した結果を
第57回日本肝臓学会(6月17〜
18日、ウェブ併催)で発表しま
した。「MAFLDはNAFLDに比べ、
肝線維化スクリーニングの指標
として適している」と報告しま
した。

 NAFLD では、ウイルス性肝疾
患や自己免疫肝疾患などの慢性
肝疾患例、および1日1合(20g)
以上の飲酒習慣がある例は除外
されます。一方、新たに提唱さ
れたMAFLD は代謝機能障害に関
連する脂肪肝を指し、飲酒やウ
イルス感染症、自己免疫性肝炎、
薬物性肝炎などが原因の脂肪肝
とは独立した疾患概念です。

 そこで川口氏らは、2017〜19
年に超音波検査を含む健診を受
診した脂肪肝患者さん765 例を
対象に、NAFLDとMAFLDの肝線維
化予測能を比較する後ろ向き観
察研究を行いました。アルコー
ル60g/日以上の過度の飲酒者、
B型/C型肝炎などのウイルス感
染者は除外し、FIB-4 index 1.
3 以上かつ超音波エラストグラ
フィでF2以上と診断されたもの
を肝線維化進展と定義しました。

 対象の内訳はNAFLD群541例(
70.7%)、MAFLD群609例(79.6
%)で、424 例(55.4%)は両
方に該当しました。NAFLD 群で
は脂肪肝を有するものの代謝異
常がない患者さんが117例(15.
3%)含まれ、MAFLD群には代謝
異常かつ1〜3合の飲酒習慣があ
る患者さんが185 例(24.2%)
含まれていました。MAFLD 群で
はBMI、HbA1c、肝硬度の値が高
く、高血圧、脂質異常症、飲酒
者の割合が多かったようです。
肝線維化進展を目的変数として
多変量解析を行った所、最も強
力な予測因子としてMAFLD が抽
出され、次いで飲酒、NAFLD の
順でした。

 さらに肝線維化進展に対する
決定解析では、全体の15%に肝
線維化進展が認められ、最も強
力な予測因子としてMAFLD が同
定されました。肝線維化進展は
MAFLD群609例中108例(17.7%)、
非MAFLD群156例中7例(4.5%)
に認められました。MAFLD 群で
は2番目に強力な因子として飲
酒が同定されました。飲酒なし
のMAFLD群284例中44例(15.5%)、
飲酒ありのMAFLD群325例中64例
(19.7%)に肝線維化進展が認
められました。

 肝線維化に対する予測能の比
較では、NAFLD は感度72.4%、
陰性適中率86.4%だったのに対
し、MAFLDはそれぞれ94.0%、9
5.6%と高いという結果でした。
川口氏は,「本コホートでは115
例の肝線維化進展例が存在し、
NAFLD では84例、MAFLDでは108
例が検出された。MAFLD の方が
肝線維化を有する患者を20%以
上多く発見することができた」
と強調しました。

 同研究には、MAFLD には中等
度までの飲酒例が含まれます。
川口氏らが肝線維化進展に対す
る診断能への飲酒の影響を検討
した所、飲酒量59g/日以下の患
者さんでは感度94.0%でした。
NAFLD と等しくするため20g/日
未満で解析しても94.1%と変わ
りませんでした。また、飲酒習
慣が全くない患者さんでは91.7
%でした。

 同氏は、「肝線維化進展には
中等度までの飲酒よりも、代謝
異常の合併が関わっていること
が示唆された」との見方を示し
ました。さらに、「スクリーニ
ング指標としては、感度や陰性
適中率が高いものが適している。
MAFLD は感度および陰性適中率
が高かったことから、NAFLD よ
り肝線維化の予測能に優れると
考える」と結論しました。

 非アルコール性脂肪肝につい

て解説している動画です。

 
 


 
 
 死票をカウントして、当選の
指標としてはいけない。  笑

 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
編集後記

 イスラエルの1施設で、ガン
治療中の患者さんを対象に、新
型コロナウイルス(武漢熱)ワ
クチンBNT162b2(ファイザー社
/ビオンテック社製)の有効性
と安全性をコホート研究で評価
したのは、素晴らしい業績です。
化学療法実施中の患者さんに免
疫原性の低下が見られ(オッズ
比0.41、95%CI 0.17-0.98)、
血清陰性の患者さんで、39%に
白血球の絶対数減少が確認され
たということは、化学療法実施
中のガン患者さんには、ワクチ
ンは、有効でない場合があると
いうのが結論だと思います。し
たがって、パンデミックの状況
では、化学療法(特に工夫のな
い化学療法)は、控えるべきと
いうことでしょう。
 肥満や糖尿病などの代謝異常
は肝線維化進展の危険因子であ
り、脂肪肝と代謝異常を合わせ
たMetabolic associated fatty
liver disease(MAFLD) とい
う概念が昨年(2020年)、22カ
国32人の専門医から成るIntern
ational Expert Panelにより提
唱されたということは、素晴ら
しいと思います。特に、肝線維
化進展を目的変数として多変量
解析を行った所、最も強力な予
測因子としてMAFLD が抽出され、
次いで飲酒、NAFLD の順という
ことで、MAFLD の存在意義が際
立っていると考えられます。肝
線維化進展には中等度までの飲
酒よりも、代謝異常の合併が関
わっていることが示唆され、ス
クリーニング指標としては、MA
FLD はNAFLD より肝線維化の予
測能に優れるということでしょ
う。

 存在意義に異議を唱える。笑

 
 
 
 
 
 
************************

このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

発行者名  医療法人社団 永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト www.eitokukaisalanuma.or.jp/ ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。
このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント

最近の号外Vol.2190メルマガ

2022-06-12 18:08:24

カテゴリー:ブログ



藤田のブログランキングアップにご協力お願いします。
以下のバナーをぽちっとクリックお願いします。


病院・診療所ランキング

 
診療マル秘裏話  号外Vol.2190 令和3年8月10日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)岡山大が滑膜肉腫の血液中ガンマーカーを発見
2)ES細胞から正常機能する卵巣組織の製造に成功

 
 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 岡山大が滑膜肉腫の血液中ガンマーカーを発見

 
 
 
 
 
 
 岡山大学の藤原智洋助教らの
研究グループは、岡山医療セン
ターと共同で、軟部組織ガンの
一つ、滑膜肉腫の血液中ガンマ
ーカーを発見しました。滑膜肉
腫から分泌されるエクソソーム
を分析することで腫瘍量が測定
できます。これまで滑膜肉腫に
は有用な血液腫瘍マーカーがほ
とんど存在しませんでした。新
たなモニタリング手法や治療標
的として応用が期待されます。

 滑膜肉腫は再発や転移のリス
クが高い組織型の軟部肉腫です。
研究グループは、滑膜肉腫患者
さんの血液検体や細胞株から放
出されるエクソソームを採取し、
蛋白質を解析しました。結果、
エクソソーム表面に発現するモ
ノカルボン酸トランスポーター
(MCT1)を特定し、この発
現量によって、滑膜肉腫の量が
測定できることを明らかにしま
した。

 滑膜肉腫にもMCT1は同様
に発現しており、表面に発現し
ている患者さんは肺転移を起こ
す可能性が高く、予後が悪いな
ど、滑膜肉腫自体の活動にも影
響していることが示唆されまし
た。一方、発現抑制による増殖
能力の低下なども見られたこと
から、治療の標的分子となり得
ます。滑膜肉腫における分子腫
瘍マーカー開発の第1歩となり
ました。

 腫瘍細胞について解説してい

る動画です。

 
 


 
 
 発現抑制について解説する。


 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
2】 ES細胞から正常機能する卵巣組織の製造に成功

 
 
 
 
 
 
 
 さまざまな細胞に変化させる
ことができるマウスの「ES細胞」
から正常に機能する卵巣の組織
を作り出すことに世界で初めて
成功したと、九州大学などのグ
ループが発表しました。今後、
不妊の原因の解明などに役立つ
と期待されています。これは、
九州大学大学院医学研究院の林
克彦教授や吉野剛史助教らのグ
ループが発表しました。

 「ES細胞」から卵子を作製す
る研究では胎児から取り出した
卵巣の細胞と組み合わせて培養
する必要があり、マウス以外の
動物で研究を進める上での課題
となっていました。グループで
はマウスのES細胞に特殊な蛋白
質などを加えることで「胎児の
卵巣によく似た細胞」を作り出
すことに成功し、別のマウスの
ES細胞から作製した「卵子の元
になる細胞」と組み合わせて培
養しました。その結果、この細
胞は卵巣の組織に成長し、でき
た卵子を人工授精させると正常
なマウスが生まれたということ
です。

 マウスのES細胞だけで正常に
機能する卵巣の組織を作製する
のは世界で初めてだということ
です。グループでは今後、ほか
の動物でもES細胞だけで卵巣や
卵子が作製できれば、不妊の原
因解明や治療法の開発、絶滅危
惧種を保護する研究などに役立
つとしています。林教授は「原
因の分かっていない卵巣に関す
る病気もあるが、ES細胞などで
卵巣の発生を再現できれば、原
因の解明につながるはずだ」と
話していました。

 生殖細胞の発生に詳しい京都
大学の斎藤通紀教授は、今回の
研究について「極めて重要な成
果で、卵子と合わせて卵巣自体
を作製したことになる。今後、
ヒトやほかの動物でも卵巣の細
胞を誘導したり、基本的に同じ
原理である精巣の細胞を誘導し
たりするなど多くの研究が進む
ことが期待される」とコメント
しました。

 ES細胞とiPS細胞について解

説している動画です。

 
 


 
 卵巣自体を作る事態に発展す
る。           笑

 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
編集後記

 岡山大学の藤原智洋助教らの
研究グループは、岡山医療セン
ターと共同で、軟部組織ガンの
一つ、滑膜肉腫の血液中ガンマ
ーカーを発見したのは、素晴ら
しい業績です。滑膜肉腫から分
泌されるエクソソームを分析す
ることで腫瘍量が測定できると
いうのは、本当に凄いことです。
これまで滑膜肉腫には有用な血
液腫瘍マーカーがほとんど存在
しなかった所に、腫瘍量まで図
れるなんて、正に正月と盆が一
遍に着た状態と言えるでしょう。
腫瘍量が測定できれば、治療の
効果が判定でき、治療の有用性
が評価されるもととなります。
 さまざまな細胞に変化させる
ことができるマウスの「ES細胞」
から正常に機能する卵巣の組織
を作り出すことに世界で初めて
成功したと、九州大学などのグ
ループが発表したのは、素晴ら
しい業績です。今後、不妊の原
因の解明などに役立つと期待さ
れているということですが、ES
細胞は、倫理的な問題で臨床に
使うことができません。それが
研究のネックになるかも知れま
せん。かと言って、iPS 細胞を
使おうとするとすると今度は、
ガン化の問題が立ち塞がります。
幹細胞を使う実験というのは、
本当に難しいものだと思い知り
ました。

 改名の謎を解明する。  笑

 
 
 
 
 
 
************************

このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

発行者名  医療法人社団 永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト www.eitokukaisalanuma.or.jp/ ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。
このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント

最近の号外Vol.2189メルマガ

2022-06-11 22:38:08

カテゴリー:ブログ



藤田のブログランキングアップにご協力お願いします。
以下のバナーをぽちっとクリックお願いします。


病院・診療所ランキング

 
診療マル秘裏話  号外Vol.2189 令和3年8月9日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)正常細胞がガン組織に適応する変化過程可視化
2)政府が武漢熱ワクチンの臨床試験の条件を大幅緩和

 
 
 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 正常細胞がガン組織に適応する変化過程可視化

 
 
 
 
 
 
 広島大学は7月2日、ガン周辺
に存在する正常な細胞が、ガン
細胞の影響でガン組織に適応し
た状態へ変化していく過程を可
視化する技術の開発に成功した
ことを発表しました。同大学院
統合生命科学研究科基礎生物学
プログラムの菊池裕教授、高橋
治子助教らの研究グループによ
るものです。

 ガン組織は、ガン細胞だけで
はなく血管や免疫細胞などさま
ざまな細胞が混在しています。
さまざまな細胞のなかの1つが
線維芽細胞で、ガン細胞の成長
や浸潤を助けることが知られて
いました。

 研究グループは、ガン細胞と
周辺の線維芽細胞を3次元的に
培養できるシステムを新たに開
発しました。ガン細胞により、
周囲の細胞がガン組織にみられ
る状態へと変化する様子を可視
化することに成功しました。線
維芽細胞の変化に応じてガン細
胞が活性化し、浸潤していく様
子が観察されました。

 また、この培養システムと画
像処理技術を組み合わせること
で、細胞特性の微量な変化を定
量化することにも成功しました
。発ガン性物質や薬剤をこのシ
ステムに添加することで、その
効果を評価することが可能にな
り、ガン悪性化を抑制する薬剤
のスクリーニングに応用できる
可能性があります。研究グルー
プは今後の展開として、次のよ
うに述べています。

 「今回開発したディスクに線
維芽細胞以外の正常細胞を加え
て共培養することにより、他の
細胞がガン組織内でどのように
変化するか観察したり、ガンと
周辺細胞との相互作用を抑制し
て、ガンの悪性化を防ぐ効果が
期待できる薬剤のスクリーニン
グに利用することが期待されま
す」

 ガンの仕組みについて解説し

ている動画です。

 
 


 
 
 線維芽細胞以外の正常細胞の
意外な変化。       笑

 
 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
2】 政府が武漢熱ワクチンの臨床試験の条件を大幅緩和

 
 
 
 
 
 
 
 政府は、新型コロナウイルス
ワクチンの効果や安全性を検証
する臨床試験(治験)の条件を
緩和します。本来は数万人必要
な参加者数を、数千人規模に縮
小する新たな方式を認めます。
日米欧などが先月、この方式の
採用に合意しました。海外に出
遅れていた国産ワクチンの実用
化に向けてスピードアップを図
ります。

 従来、開発の最終段階の治験
は、国内外で数万人の参加者を
集めます。開発中のワクチンを
接種するグループと、偽薬を接
種するグループに無作為に分け、
発症の予防効果や副反応の頻度
を調べます。

 しかし、世界では既に多くの
人が米ファイザー製や米モデル
ナ製などの接種を受けています。
今後、未接種者を数万人集める
のが厳しくなります。また、感
染が拡大する中で、偽薬を使う
ことで、本来のワクチン接種が
遅れるという課題もありました。

 新方式では、従来の方法の代
替と位置づけ、参加者全員がワ
クチンを接種します。体内でウ
イルスを攻撃する免疫物質「中
和抗体」が、既存のワクチンと
同等以上にできるかどうかで判
定します。発症の予防効果を調
べるよりも、少人数で実施でき、
短期間で効果を見極めることが
可能になります。偽薬を使わな
いことから、参加者も集めやす
くなります。ただし、まれに起
きる副反応を確かめるため、数
千人規模の参加者を確保します。

 製薬大手「第一三共」(東京
都)は、年内にも新方式を使っ
て、国内外で数千人規模での治
験を始める計画を立てています。
国内ではほかにも「塩野義製薬」
(大阪府)、「アンジェス」(
大阪府)、「KMバイオロジク
ス」(熊本県)などが開発を進
めていますが、まだ最終段階の
治験は始まっていません。

 厚生労働省は約30か国・地域
と新方式について合意していま
す。製薬会社は、この方式の治
験で、国産ワクチンを海外でも
承認を得て販売できるようにな
ります。

 国産ワクチンの実用化を加速
するため、政府は6月、研究開
発や生産体制の強化に関する国
家戦略を閣議決定しました。世
界トップレベルの研究拠点や、
治験を実施するための拠点病院、
製造施設の整備などを盛り込み
ました。

 緊急時にワクチンや薬剤の承

認が容易になる法律が可決とい

うニュース動画です。

 
 


 
 
 凄惨な現場を清算して、生産
を再開する転機が訪れる。 笑

 
 
 
 
 
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
 
 
 
 
 
編集後記

 広島大学が7月2日、ガン周辺
に存在する正常な細胞が、ガン
細胞の影響でガン組織に適応し
た状態へ変化していく過程を可
視化する技術の開発に成功した
ことを発表したのは素晴らしい
業績です。研究グループは、ガ
ン細胞と周辺の線維芽細胞を3
次元的に培養できるシステムを
新たに開発し、ガン細胞により、
周囲の細胞がガン組織にみられ
る状態へと変化する様子を可視
化することに成功したというこ
とですから、ガン関連繊維芽細
胞(CAFs)が絡んでいることは
間違いなさそうです。ついでに
TGFβとTNFαも関係しています。
 政府が、新型コロナウイルス
ワクチンの効果や安全性を検証
する臨床試験(治験)の条件を
緩和するのは喜ばしいことです。
世界中がファイザー社製やモデ
ルナ社製に席巻され、この2社
の独占状態が続き、ワクチン品
薄の根本原因になっていると思
われるからです。ワクチン供給
が外国の会社の都合で左右され
るのには、懲り懲りです。河野
大臣の「世界的品薄」発言以来
国産ワクチンの開発はまだか?
という声が開業医の間でも上が
っています。もうワクチン利権
を振りかざして、政府も自治体
も医師会も嫌がらせをするのを
止めましょう。今は、パンデミ
ックの国難の時です。国民100%
接種できることは、期待してい
ないので、希望者にたくさんの
ワクチンの接種を行うことを優
先的に実施することだけを考え
ましょう。

 理研に、利権はない。  笑

 
 
 
 
 
 
 
************************

このメールマガジンは以下の配信システムを利用して
発行しています。
解除の手続きは下記ページよりお願い致します。
「まぐまぐ」www.mag2.com/m/0000121810.html
(イジニイワト)

発行者名  医療法人社団 永徳会 皿沼クリニック院長
藤田 亨
職業    医師の箸くれ(はしくれ)
運営サイト www.eitokukaisalanuma.or.jp/ ご意見・ご感想・励ましのお便りお待ちしております。
sara2162@atlas.plala.or.jp このマガジンの掲載記事を無断で転載・使用すること
を禁じます。
このエントリーをはてなブックマークに追加 
 

コメント