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2022-06-22 16:33:17

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診療マル秘裏話  Vol.869 令和2年8月5日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
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目次

1)ガン関連線維芽細胞がガン細胞の悪性化を促進
2)アデイポネクチンが治癒の促進因子であることを発見

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 ガン関連線維芽細胞がガン細胞の悪性化を促進

 
 
 
 
 
 
 東京医科歯科大学は7月14日、
トランスフォーミング増殖因子
β(TGF-β)と腫瘍壊死因子α
(TNF-α)により血管内皮細胞
から形成されるガン関連線維芽
細胞(CAF )が、ガン細胞の悪
性化を促進するメカニズムをつ
きとめたと発表しました。これ
は、同大大学院医歯学総合研究
科硬組織病態生化学分野の渡部
徹郎教授と吉松康裕講師(現・
新潟大学)の研究グループが、
東京大学大学院医学系研究科分
子病理学分野の宮園浩平教授と
赤津裕一氏(現・日本化薬株式
会社)、北海道大学大学院歯学
研究院口腔病態学分野の樋田京
子教授との共同研究によるもの
です。研究成果は国際科学誌「
Cancer Science」に掲載されて
います。腫瘍組織には、ガン細
胞のみならず腫瘍血管やCAF な
ど多種類の細胞が存在し、ガン
微小環境が構成されています。
こうした構成細胞はさまざまな
液性因子(サイトカイン)を介
して相互作用し、ガンの進展を
誘導します。つまり、ガン微小
環境ネットワークをより良く理
解することは、新規ガン治療法
を開発するために重要です。

多くの種類のガンにおいて高発
現しているTGF-βは、上皮ガン
細胞から転移能の高い間葉系細
胞(線維芽細胞など)への分化
転換(上皮間葉移行:EMT )の
みならず、血管内皮胞からCAF
への分化転換(内皮間葉移行:
EndMT )を誘導します。研究グ
ループは以前EndMT 由来のCAF
が、ガンの悪性化を亢進するこ
とを報告しました。しかし、こ
の現象のメカニズムについては
解明されていません。さらに、
腫瘍組織に浸潤する炎症細胞は
TNF-αを含むさまざまな炎症性
サイトカインを分泌しますが、
これら2つの因子によるシグナ
ルがどのように相互作用してい
るかについては未解明な部分が
多いとされています。研究グル
ープは、複数の種類のヒト血管
内皮細胞を用いてTGF-βにより
CAF へと分化転換する過程にお
けるTNF-αの役割について解析
しました。その結果、血管内皮
細胞はTGF-β存在下で培養する
と間葉系細胞の性質を獲得しま
すが、TNF-αを添加するとTGF-
βによるEndMT はさらに亢進す
ることが分かりました。

また、血管内皮細胞をTGF-βと
TNF-αで処理することで分化転
換するCAF において、TGF-βシ
グナルが長時間維持されること
が判明しました。TGF-βシグナ
ルを活性化するTGF-β自身をCA
F が産生するのではないかと予
測していたことから、TGF-βフ
ァミリーメンバーの発現に対す
るTGF-βとTNF-αの効果を検討
した所、TGF-β2の発現上昇が
示されました。以上の結果から、
TNF-αはTGF-βによるEndMT 誘
導をTGF-βシグナルの増強によ
り亢進することが示唆されまし
た。

TGF-βとTNF-αによるEndMT に
より形成したCAF において、ガ
ン細胞の悪性度の指標であるEM
T を誘導するTGF-β2が産生さ
れているということが示された
ことから、研究グループは続い
て、産生されたTGF-β2が実際
にガン細胞のEMT を誘導できる
か検討しました。TGF-βとTNF-
αの存在下で培養した血管内皮
細胞(CAF )の培養上清に含ま
れる液性因子を加えて、口腔扁
平上皮ガン細胞を培養した所、
上皮細胞マーカーであるE-カド
ヘリンの発現が低下し、間葉系
細胞マーカーであるビメンチン
の発現が上昇しました。さらに、
この効果がCAF から分泌された
TGF-βによるものであるか検討
するために、中和抗体を用いた
TGF-βの阻害実験を行った所、
CAF 由来液性因子によるEMT 誘
導作用が抑制されました。以上
の結果から、TNF-αがTGF-βに
よるEndMT 誘導を亢進すること
で、ガンの悪性化に寄与するこ
とが示唆されました。

近年、ガン治療の標的として、
ガン悪性化を制御するCAF が注
目されています。CAF の起源と
しては腫瘍組織に存在する線維
芽細胞が知られていますが、血
管内皮細胞から分化転換するCA
F が、CAF における3割程度を
占めるという報告もあり、TGF-
βによる血管内皮細胞からCAF
への分化転換はガン治療の標的
として注目を集めています。「
今回、中和抗体を用いたTGF-β
シグナル阻害によってガンの悪
性化を抑制することができたこ
とから、将来、腫瘍組織におけ
るTGF-βシグナルを抑制するこ
とで、ガン微小環境ネットワー
クを標的とした新たなガン治療
法の開発へ応用されることが期
待される」と、研究グループは
述べています。

 ガン関連繊維芽細胞について

解説している動画です。

 
 


 
 
 ガン微小環境ネットワークに
ついて聞かれ、微笑する。 笑

 
 
 
 
 
 
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2】 アデイポネクチンが治癒の促進因子であることを発見

 
 
 
 
 
 大阪大学は、間葉系幹細胞治
療において、血液に含まれる善
玉蛋白「アディポネクチン」が
治癒を促進する因子であること
を発見したと発表しました。血
中アディポネクチン濃度が上昇
すれば、治療効果が有意に高ま
ることも突き止めました。重度
の心不全だけでなく、新型コロ
ナウイルス感染症による急性呼
吸窮迫症候群を含め、さまざま
な疾患への応用が期待されます。

 大阪大学大学院医学系研究科
の喜多俊文寄附講座講師(肥満
脂肪病態学)、下村伊一郎教授
(内分泌・代謝内科学)らの研
究グループの成果です。アディ
ポネクチン欠損マウスに間葉系
幹細胞を投与したところ、心不
全マウスモデルの治療効果には
血中のアディポネクチンが必要
で、かつその濃度が重要である
ことが分かりました。

 投与した間葉系幹細胞は、膜
表面に発現する受容体であるT
-カドヘリンを介してアディポ
ネクチンを細胞内に取り込むこ
とでエクソソームを多量に産生
し、このエクソソームが心臓に
働き、心不全マウスモデルの心
機能が改善されました。また、
糖尿病治療薬の一種であるピオ
グリタゾンを併用投与すれば、
血中アディポネクチン濃度が上
がり、間葉系幹細胞が産生する
エクソソームが増え、治療効果
が有意に促進されることも明ら
かにしました。

 今回の研究成果は、米国科学
誌「モレキュラーセラピー」に
掲載されました。

 間葉系幹細胞が、抗ガン剤の

送達に使われる新治療について

解説している動画です。

 
 


 
 
 ガン細胞が産生する酸性環境。


 
 
 
 
 
 
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編集後記

 
 東京医科歯科大学が7月14日、
トランスフォーミング増殖因子
β(TGF-β)と腫瘍壊死因子α
(TNF-α)により血管内皮細胞
から形成されるガン関連線維芽
細胞(CAF )が、ガン細胞の悪
性化を促進するメカニズムをつ
きとめたと発表したのは素晴ら
しい業績です。このメカニズム
は、ガンの種類によらず有効で
あると考えられますので、凄い
発見であることは、確実だと思
います。CAF の起源としては腫
瘍組織に存在する線維芽細胞が
知られていますが、血管内皮細
胞から分化転換するCAF が、CA
F における3割程度を占めると
いう報告もあり、TGF-βによる
血管内皮細胞からCAF への分化
転換は、ガン治療の標的として
注目を集めているということで
す。そのため、私は、血管内皮
細胞からCAF への分化転換の事
実を、衝撃を持って受け止めま
した。将来、腫瘍組織における
TGF-βシグナルを抑制すること
で、ガン微小環境ネットワーク
を標的とした新たなガン治療法
の開発へ応用して頂きたいもの
です。
 大阪大学が、間葉系幹細胞治
療において、血液に含まれる善
玉蛋白「アディポネクチン」が
治癒を促進する因子であること
を発見したと発表したのは偉大
な業績です。血中アディポネク
チン濃度が上昇すれば、治療効
果が有意に高まることも突き止
めたということなので、アディ
ポネクチンは、本格的に、治癒
を促進する力があるホルモンで
あると理解しました。投与した
間葉系幹細胞は、膜表面に発現
する受容体であるT-カドヘリ
ンを介してアディポネクチンを
細胞内に取り込むことでエクソ
ソームを多量に産生し、このエ
クソソームが心臓に働き、心不
全マウスモデルの心機能が改善
されたということですので間接
的では、あるもののアディポネ
クチンが、治癒機転に関与して
いることは、確実と言えましょ
う。また、糖尿病治療薬の一種
であるピオグリタゾンを併用投
与すれば、血中アディポネクチ
ン濃度が上がり、間葉系幹細胞
が産生するエクソソームが増え、
治療効果が有意に促進されるこ
とが明らかになりました。つま
り、ピオグリタゾンとアディポ
ネクチンが相加相乗作用を示す
ということだと思います。

 基点となる貴店が機転を利か
せるべき。        笑

 
 
 
 
 
 
 
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