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2022-06-20 18:30:52

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診療マル秘裏話  号外Vol.2197 令和3年8月19日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
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目次

1)骨肉腫細胞が血小板を利用する事で肺転移促進
2)フォシーガを慢性腎臓病にも使用可とする事を了承

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 骨肉腫細胞が血小板を利用する事で肺転移促進

 
 
 
 
 
 
 ガン研究所は7月26日、骨肉
腫細胞が血小板を利用すること
で肺転移を促進すること、LPAR
1 を標的とした薬剤が肺転移を
抑制することで骨肉腫の予後改
善に貢献できる可能性を実験的
に示したと発表しました。この
研究は、ガン研究会ガン化学療
法センター基礎研究部の高木聡
研究員、片山量平部長らの研究
グループによるものです。研究
成果は、「Oncogene」に掲載さ
れています。

 骨肉腫は、100 万人に1~3人
程度に発症する希少ガンであり、
患者さんの75%以上は25歳以下
の小児や若年者。主に四肢の骨
に発生し、組織学的・遺伝学的
に多様な性質を示す間葉系細胞
を起源としています。その特徴
として、高率に肺転移を来すこ
とが知られており、転移・再発
臓器の90%が肺であり、肺転移
が予後不良因子です。

 ガンが他臓器に転移する際、
ガン細胞は血流中で血小板と相
互作用することが知られていま
す。ガン細胞と血小板からなる
凝集塊は、転移巣形成の足掛か
りとなるだけでなく、血流シェ
アストレスや免疫細胞の攻撃か
らガン細胞を保護することが知
られています。さらに、血小板
から産生・放出される種々の増
殖因子が、ガン細胞の増殖を促
進するだけでなく、上皮-間葉
転換を誘導することで、ガン細
胞の運動能亢進等を通じて転移
を促進します。そのため、血小
板はガンの遠隔転移に重要な役
割を果たしていることが、さま
ざまな先行研究により明らかに
されてきました。しかし、骨肉
腫のような間葉系細胞を起源と
する希少ガンの転移機構につい
ては不明な点が多く残されてい
るため、今回の研究ではその詳
細なメカニズム解明を目的に、
検討を行いました。

 最初に、骨肉腫細胞が血小板
を活性化する能力を持つかどう
かを調べるために、調整した血
小板懸濁液に骨肉腫細胞を添加
し、血小板とガン細胞からなる
凝集塊の形成度を血小板凝集計
で計測しました。その結果、低
転移性の肺ガン細胞株A549では
凝集塊の形成が全く誘導されな
かったのに対して、骨肉腫細胞
では8株全てにおいて、速やか
に凝集塊が形成されました。こ
のことから、骨肉腫細胞は血小
板を活性化する能力が非常に高
いことが明らかになりました。

 血小板の主な生理的役割は創
傷治癒であることから、その内
部には細胞増殖や炎症を誘引す
るさまざまな生理活性物質が含
まれており、血小板の活性化に
伴い外部へと産生・放出される
ことが知られています。そこで、
活性化血小板から産生・放出さ
れる生理活性物質(血小板放出
物)が骨肉腫細胞に与える影響
を評価した所、血小板放出物は
骨肉腫細胞の浸潤能を亢進する
ことが明らかになりました。さ
らに、血小板放出物を熱処理し
た場合にも骨肉腫の浸潤能を亢
進する活性が保持されたことか
ら、耐熱性分子である脂質メデ
ィエータに着目して研究を進め
た所、この責任分子がリゾホス
ファチジン酸(LPA) であるこ
とが明らかになりました。

 続いて、公共データベースに
登録されている骨肉腫患者検体
および細胞株のRNA-seq データ
を再解析しました。その結果、
骨肉腫ではLPA 受容体の一つで
あるLPAR1 が高発現している可
能性が示唆されました。そのた
め、複数の骨肉腫細胞株と骨肉
腫患者由来ゼノグラフトを用い
て検証を実施した所、骨肉腫で
は確かにLPAR1 が高発現してい
ることが確認されました。

 そこで、LPAR1 をノックアウ
トした骨肉腫細胞を樹立しその
浸潤能を評価しました。その結
果、LPAR1 のノックアウトでは、
血小板放出物により誘導される
浸潤能の亢進が起こらなくなる
ことが分かったということです。

 また、LPAR1 ノックアウト骨
肉腫細胞にイメージングプロー
ブAkaLucを遺伝子導入し、その
肺転移能を実験的肺転移モデル
で評価しました。その結果、骨
肉腫細胞により形成される早期
の肺転移結節がLPAR1 のノック
アウトにより阻害されることが
観察されました。

 最後に、LPAR1 の機能を阻害
するLPAR1 アンタゴニストをマ
ウスに投与し、骨肉腫の実験的
肺転移に与える影響を評価しま
した。その結果、LPAR1 アンタ
ゴニストの事前投与により、骨
肉腫細胞の早期の肺への生着が
有意に抑制されることが示され
ました。今回の研究により、LP
AR1 の機能を阻害する薬剤は、
骨肉腫の肺転移を抑制する分子
標的薬となる可能性が示唆され
ました。

 なお、LPAR1 アンタゴニスト
は、特発性肺線維症の治療薬と
して現在臨床試験下にあります
が、骨肉腫患者さんに投与した
際の安全性や有効性を明らかに
するためには、臨床試験による
さらなる検討が必須になります。

 骨肉腫について解説している

動画です。

 
 


 
 
 氷菓の味を評価する。  笑

 
 
 
 
 
 
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2】 フォシーガを慢性腎臓病にも使用可とする事を了承

 
 
 
 
 
 
 厚生労働省の部会は7月28日、
糖尿病などの薬「フォシーガ」
を、慢性腎臓病にも使えるよう
にすることを了承しました。慢
性腎臓病のための薬は国内で初
めてとなります。人工透析中や
末期腎不全は除きます。厚労相
が8月にも製造販売を承認しま
す。慢性腎臓病患者さんは国内
に約1330万人いるとされ、病気
の進行を抑えることが期待され
ています。

 フォシーガは英アストラゼネ
カ社がつくる内服薬です。約4
千人の慢性腎臓病患者さんが参
加した国際共同治験で、標準治
療と合わせてフォシーガを投与
したグループは、偽薬を使った
グループよりも、腎機能が悪化
したり死亡したりする割合が39
%低かったということです。

 慢性腎臓病は、糖尿病などで
腎臓の機能が低下することで生
じる進行性の病気です。悪化す
れば、体に有害な尿素などを取
り除くことができずに人工透析
が必要になったり、死亡したり
する恐れがあります。

 このニュースのニュース動画

です。

 
 


 
 
 昨日の腎臓の機能が低下する。


 
 
 
 
 
 
 
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編集後記

 ガン研究所が7月26日、骨肉
腫細胞が血小板を利用すること
で肺転移を促進すること、LPAR
1 を標的とした薬剤が肺転移を
抑制することで骨肉腫の予後改
善に貢献できる可能性を実験的
に示したと発表したのは、素晴
らしい業績です。骨肉腫の治療
は、私が医学生だった頃は四肢
の切断でした。流石に、現在で
は、四肢の切断は行われていな
いようですが、それ位、転移が
早い肉腫であることは事実だと
思います。LPAR1 を標的とした
薬剤が肺転移を抑制することで
骨肉腫の予後改善に貢献できる
可能性を更に追究して頂くこと
で、やがては、臨床で使用可能
な薬剤となることを期待したい
と思います。
 厚生労働省の部会が7月28日、
糖尿病などの薬「フォシーガ」
を、慢性腎臓病にも使えるよう
にすることを了承したのは喜ば
しいことです。 フォシーガは、
SGLT-2阻害薬であり、尿
細管からのブドウ糖の再吸収を
抑制することで、尿中にブドウ
糖を排泄する作用のある薬剤で
す。このフォシーガは、糖尿病
のみならず、虚血性心疾患や脂
質異常症に対しても効果的と言
われている薬剤です。副作用と
しては、尿中にブドウ糖を排泄
するため、高確率で尿路感染症
を起こす可能性があるというこ
とと、尿の浸透圧利尿作用によ
り、脱水となる可能性があると
いうことです。こうした副作用
に注意を払いつつ、腎臓病にも
使って頂きたいと思います。

 中尉が下士官に注意する。笑

 
 
 
 
 
 
 
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