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2022-06-18 20:19:04

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診療マル秘裏話  号外Vol.2195 令和3年8月16日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
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目次

1)小児肉腫疑い患者遺伝子解析で正確な診断可能
2)悪性高熱症や重度熱中症を治療可能な物質発見

 
 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 小児肉腫疑い患者遺伝子解析で正確な診断可能

 
 
 
 
 
 
 名古屋大学は6月29日、小児
の固形ガンのうち特に肉腫が疑
われた患者さんに対し、遺伝子
解析を行った結果を発表しまし
た。同大学大学院医学系研究科
小児科学の高橋義行教授、村松
秀城講師、同大医学部附属病院
小児ガン療センターの奥野友介
病院講師、病理部の下山芳江准
教授、名古屋医療センター小児
科の市川大輔医員、埼玉県立小
児医療センター臨床研究部の中
澤温子部長らの研究グループに
よるものです。

 小児の固形ガンは、100 以上
のタイプに細分化されています
が、異なるタイプでもよく似た
病理所見などが存在することか
ら、病理組織診断が困難とされ
ています。病理組織診断は、生
検や手術で摘出された病変を標
本にして、病理医が顕微鏡で組
織を観察して行います。

 研究グループは、小児の固形
ガンが疑われる患者さん47人に
対し、RNA を調べる「次世代シ
ーケンサー」を使った遺伝子検
査を実施しました。その結果、
47人中23人の患者さんで、診断
につながる遺伝子変異を見つけ、
そのうち1人では新しい融合遺
伝子を見つけました。

 47人の患者さん全員の病理組
織診断を、小児の固形ガンを専
門とする複数の病理医が再度行
った結果、5人は未分化肉腫と
診断され、すでに判明している
組織学的特徴と一致しませんで
した。また、5人のうち4人の患
者さんでは、RNA シーケンサー
により疾患に特徴的と考えられ
る遺伝子変異を検出しました。
42人のうち5人で見つかった遺
伝子変異により、別のタイプに
分類されました。全体として、
47人中9人の患者さんで病理組
織診断が変更されました。さら
に、見つかった遺伝子変異には
これまでに報告のない「SMARCA
4」と「THOP1」が融合した「SM
ARCA4-THOP1」 融合遺伝子が含
まれました。研究グループは今
後の展開として、次のように述
べています。

 「小児固形腫瘍の診断におい
て、病理組織診断とRNA シーケ
ンスによる遺伝子解析を組み合
わせることにより、より正確な
診断が可能と考えられます。ま
た、正確な診断により適切な治
療が提供可能となり、治療成績
の向上や治療合併症の軽減につ
ながることが期待されます」

 小児ガンの治療について解説

している動画です。

 
 


 
 
 主要な小児固形腫瘍を診断可
となる。         笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 悪性高熱症や重度熱中症を治療可能な物質発見

 
 
 
 
 
 
 東京慈恵会医科大学・分子生
理学講座准教授の山澤德志子氏
らの研究グループは、「国立精
神・神経医療研究センターなど
との共同研究で、悪性高熱症や
重度熱中症の発熱抑制などに対
し優れた効果を有する物質を見
いだした」とNature Communica
tions (2021年 7月13日オンラ
イン版)に発表しました。動物
試験で発熱を顕著に抑えるなど
の優れた有効性が確認されたこ
とから、「安全に使用できる悪
性高熱症の治療薬になる可能性
が示された」としています。

 悪性高熱症は、外科手術の全
身麻酔時に筋の持続収縮(筋硬
直)が生じて高熱を発する遺伝
性の筋疾患です。全身麻酔で使
用される吸入麻酔薬によって誘
発され、まれではありますが、
早期発見、早期治療を行わなけ
れば死に至ることもあります。

 主な原因は、筋細胞における
筋小胞体で筋収縮を起こす引き
金となるカルシウムイオン(Ca
2+)チャネルの1リアノジン受
容体(RyR1)の遺伝子突然変異
による機能異常といわれていま
す。誘発作用のある薬により、
骨格筋のCa2+遊離が起こること
でCa濃度が上昇して代謝亢進状
態となり、体温上昇、筋強直、
骨格筋の崩壊などが生じると考
えられています。吸入麻酔によ
り急激に発症するため、迅速な
対応に加え、症状の回復後は速
やかな薬物の消失が必要となり
ます。

 悪性高熱症の治療薬として筋
弛緩薬の1でRyR1阻害薬ダント
ロレンが使用されていますが、
点滴静脈注射用の生理食塩水に
溶けず、血中半減期が長いため
副作用のリスクが高いといった
欠点があります。また、重症の
熱中症患者さんでは、RyR1遺伝
子の突然変異が報告されている
例があり、RyR1阻害物質が治療
の有力な候補になると考えられ
ます。

 そこで、研究グループは化合
物ライブラリを用いて候補物質
を選定し、薬理作用のある化合
物の構造を変えるなどしてより
有用な化合物を探索しました。
ダントロレンとは化学構造が異
なる新たなRyR1阻害薬の開発を
進めた所、RyR1阻害物質Cpd1を
見いだしました。Cpd1はCa2+遊
離を止めることで筋弛緩を引き
起こし、発熱を抑制して救命す
る作用が期待されます。

 研究グループは、RyR1チャネ
ル活性の高い悪性高熱症のモデ
ルマウスを作製し、Cpd1の有効
性の評価を行いました。このマ
ウスは吸入麻酔薬イソフルラン
を投与すると悪性高熱発作を起
こし、体温が急上昇して死亡に
至ります。

 モデルマウスに麻酔を行った
後、Cpd1非投与(無処置)のマ
ウスとCpd1を投与したマウスで
経過を検討した所、非投与群は
体温が急上昇して死亡しました
が、投与群では濃度依存的に発
熱が抑制されました。次に、Cp
d1非投与群と投与群の2用量(3
mg/kg、10mg/kg)で生存率を比
較しました。その結果、非投与
群は16例全てが死亡したのに対
し、3mg/kg投与群では6(10匹
中6匹)、10mg/kg投与群では8
匹全例が生存していました。

 モデルマウスは外気温の上昇
により熱中症を引き起こします
が、Cpd1の投与により熱中症発
作による死亡も抑制しました。
別の悪性高熱症モデルマウスを
用いた検証でも同様の結果が得
られました。なお、Cpd1は生理
食塩水への溶解性がダントロレ
ンに比べて大きく改善した他、
マウス血中半減期は約10分と非
常に短く、筋弛緩の副作用も投
与後一時間以内に消失しました。

 以上の結果を踏まえ、研究グ
ループは「Cpd1は悪性高熱症に
対して優れた治療効果を示すと
ともに、既存薬のダレトロレン
と比較して高い水溶性と短い血
中半減期を有することから、よ
り安全に使用できる治療薬であ
る」と結論しました。また、Ry
R1の異常活性化は筋ジストロフ
ィーをはじめとした筋疾患でも
報告されているため、「重症熱
中症や種々の筋疾患に対する治
療薬になる可能性があり、臨床
応用が期待される」としていま
す。

 全身麻酔薬について解説して

いる動画です。

 
 


 
 
 
 水曜に、水溶性を示す物質を
発見した。        笑

 
 
 
 
 
 
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編集後記

 名古屋大学が6月29日、小児
の固形ガンのうち特に肉腫が疑
われた患者さんに対し、遺伝子
解析を行った結果を発表したの
は、素晴らしい業績です。結論
的には、小児固形腫瘍の診断に
おいて、病理組織診断とRNA シ
ーケンスによる遺伝子解析を組
み合わせることにより、より正
確な診断が可能と考えられます。
正確な診断により適切な治療が
提供可能となり、治療成績の向
上や治療合併症の軽減につなが
ることが期待されます。しかし、
小児固形腫瘍には、まだまだ分
からないことが多く、治療自体
も確定していないことが多く、
あくまで、可能性や期待という
レベルであることをご記憶頂き
たいと思います。
 東京慈恵会医科大学・分子生
理学講座准教授の山澤德志子氏
らの研究グループが、「国立精
神・神経医療研究センターなど
との共同研究で、悪性高熱症や
重度熱中症の発熱抑制などに対
し優れた効果を有する物質を見
いだした」とNature Communica
tions (2021年 7月13日オンラ
イン版)に発表したのは、素晴
らしい業績です。研究グループ
が「Cpd1は悪性高熱症に対して
優れた治療効果を示すとともに、
既存薬のダレトロレンと比較し
て高い水溶性と短い血中半減期
を有することから、より安全に
使用できる治療薬である」と結
論したので、臨床で使えるよう
になることを期待したいと思い
ます。

 優れた仕様の製品を私用で、
使用する。        笑

 
 
 
 
 
 
 
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