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2022-06-16 20:36:21

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診療マル秘裏話  号外Vol.2193 令和3年8月14日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
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目次

1)妊婦の放射線の取り扱いと神経芽腫発症に関連
2)特発性肺線維症の病態発症メカニズムの一端を解明

 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 妊婦の放射線の取り扱いと神経芽腫発症に関連

 
 
 
 
 
 
 九州大学は7月20日、子ども
の健康と環境に関する全国調査
(エコチル調査)の約10万人の
データを使用して、乳児期の小
児ガンと両親が職業で取り扱っ
た医療用物質との関連について
解析し、妊婦の放射線の取り扱
いと出生児の乳児期の神経芽腫
の発症に関連がある可能性を示
したことを発表しました。この
研究は、同大小児科の古賀友紀
准教授(エコチル調査九州大学
サブユニットセンター)らの研
究グループによるものです。研
究成果は、「Pediatric Resear
ch」に掲載されています。

 小児ガンはまれで、命を脅か
す可能性のある疾患です。はっ
きりとした原因は分かっていま
せんが、これまでの研究から、
いろいろな環境因子の関与が指
摘されています。さまざまな職
業の中で、医療従事者は、放射
線や抗ガン剤のような有害な影
響を与えうる物質を業務として
取り扱うことがあります。これ
までに、妊婦が職業で取り扱っ
た医療用物質と、出生した子ど
もの乳児期の腫瘍の関連をみた
報告はありません。

 エコチル調査は、胎児期から
小児期にかけての化学物質曝露
が子どもの健康に与える影響を
明らかにするために、2010年度
より全国で10万組の親子を対象
として開始した、大規模かつ長
期にわたる出生コホート調査で
す。今回の研究では、両親が職
業で取り扱った医療用物質と出
生した子どもの1歳までのガン
の発生に関連があるか否かを調
査しました。2018年3月に確定
した、約10万組の妊婦と出生し
た子どもおよび約5万人の父親
のデータのうち、解析対象は、
性別・出生体重・両親の医療用
物質の取り扱い・子どものガン
に関するデータがそろっている
9万2,619人の子どもとしました。

 約9万2,000人の妊婦のうち、
妊娠期間中に,放射線を2,142人
(2.3%)、抗ガン剤を1,298人
(1.4%)、麻酔薬を1,015人(
1.1%)が、月1回以上取り扱っ
ていました。生まれた子ども約
9万2,000人のうち,1歳までに15
人の神経芽腫、8人の白血病、3
人の脳腫瘍が発生していました。
放射線を取り扱った2,142 人の
妊婦から生まれた子どものうち、
3人が神経芽腫を発症しました。
その発生率は10万人当たり140.
1人で,取り扱っていない妊婦か
ら生まれた子どもの発症率(10
万人当たり13.3人)よりも高い
傾向であることが分かりました。

 その3人の子どもの母親のう
ち、2人は抗ガン剤と麻酔薬も
取り扱っていました。上記の3
種類の医療用物質を取り扱った
妊婦から出生した子どもで、白
血病や脳腫瘍を発症した子ども
はいませんでした。出生体重な
どを考慮に入れた多変量解析で
は、放射線を取り扱った母親の
子どもは、神経芽腫のリスクが
10.68(95%信頼区間は2.98-38.
27)倍と算出されました。

 一方、父親の情報は母親の約
半数の4万5,000人で、そのうち
放射線を1,446人(3.2%)、抗
ガン剤を289人(0.6%)、麻酔
薬を328人(0.7%)が、月1回
以上取り扱っていました。父親
のデータがある子ども約4万5,0
00人のうち、7人の神経芽腫、3
人の白血病、3人の脳腫瘍が発
生していましたが、それらの医
療用物質を取り扱った父親はい
ませんでした。

 この研究は、妊婦の医療用物
質の取り扱いと子どもの神経芽
腫に関連がある可能性を示した
最初の報告です。ただし、この
研究では、質問票から得られた
情報を使用したため取り扱いの
様式・時間・量およびガンの分
類などが分からないこと、神経
芽腫を発症した児の症例数が少
ないこと、父親の情報は母親の
約半数であることなどの制約が
あることを考慮しなければなり
ません。

 「今後、子どもの年齢が上が
ってくるにつれて、より多くの
小児ガンが発生してくることが
予測され、それぞれの医療用物
質の関与が明らかになると考え
られる。今回の結果はあくまで
も可能性を示したもので、結果
が本当かどうかを見極めるため
には、動物実験でのメカニズム
についての研究や国際的な小児
ガン登録を含めた詳細な検討が
必要だ」と、研究グループは述
べています。

 神経芽腫について解説してい

る動画です。

 
 


 
 
 商才の有無の詳細な検討が必
要となる。        笑

 
 
 
 
 
 
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2】 特発性肺線維症の病態発症メカニズムの一端を解明

 
 
 
 
 
 
 
 名古屋大学は7月16日、肺線
維症の発症原因の一つ蛋白質架
橋酵素トランスグルタミナーゼ
により架橋修飾される標的蛋白
質群の同定解析手法を開発し、
特発性肺線維症(IPF) の病態
発症メカニズムの一端を明らか
にしたと発表しました。この研
究は、同大大学院創薬科学研究
科の辰川英樹助教、竹内大修大
学院生、人見清隆教授ら、同大
トランスフォーマティブ生命分
子研究所(WPI-ITbM)の桑田啓
子センターチーフらの研究グル
ープによるものです。研究成果
は、「American Journal of Re
spiratory Cell and Molecular
Biology」オンライン版に掲載
されています。

 IPF は、肺に線維性蛋白質が
過剰に蓄積して病態が進行する
国指定の難治性疾患です。IPF
の患者数は日本では約1万数千
人と推測され、自覚症状が認め
られてからの生存期間は、一般
的に3~5年と予後が大変悪いと
されています。現時点で、疾患
を直接抑制する有効な治療法は
確立されておらず、疾患増悪に
関わる詳細な分子病態メカニズ
ムの解明が求められています。

 IPF の解析研究には、抗ガン
剤「ブレオマイシン」を投与し
た肺線維化マウスモデルが用い
られます。今回の研究では、同
マウスモデルにおいて、疾患発
症の原因となる「蛋白質架橋酵
素トランスグルタミナーゼ2(T
G2)」に着目しました。病態形
成時にTG2 が活性化する領域で
架橋修飾される標的基質蛋白質
を同定する実験手法を開発しま
した。

 TG2 は、蛋白質のグルタミン
残基とリジン残基の間に不可逆
的な架橋結合を形成する酵素で
す。肺が線維化した領域ではTG
2 の活性増加(蛍光標識一級ア
ミンの架橋修飾の増加)が顕著
に観察されました。内在性TG2
により、肺組織切片中のグルタ
ミン残基を持つ蛋白質に一級ア
ミンが架橋修飾され、これを指
標としてTG2 活性を調べること
ができます。

 研究グループは、このような
一級アミンと架橋した組織中の
グルタミン残基を持つ蛋白質を
調べることにより、線維化領域
でTG2 によって架橋される基質
蛋白質を同定できるのではない
かと考え、実験系の構築を行い
ました。

 架橋蛋白質の同定手法を用い
て、線維化肺で顕著に架橋修飾
される蛋白質群を調査しました。
その結果、病態増悪に伴い架橋
される126 種類の基質蛋白質を
見出しました。同定された蛋白
質群はファゴソーム、脂質代謝、
免疫応答、小胞体の蛋白質のプ
ロセシングなどを含む21種類の
シグナル伝達経路に関わること
が判明しました。さらに、蛋白
質相互作用解析により、小胞体
ストレスやペルオキシソーム増
殖因子活性化受容体シグナルに
関連する6つのクラスターとシ
グナル伝達経路において、中心
性が高い上位20個のハブ蛋白質
を抽出しました。

 これらの同定因子やパスウェ
イの一部は、IPF 患者さんの遺
伝子発現解析の結果と類似して
おり、架橋修飾反応を起点とし
て誘導するシグナル伝達経路が、
IPF の病態発症メカニズムに関
わることが分かったということ
です。

 「特定の基質蛋白質の架橋修
飾と病態形成の関係性が今後解
明されることにより、IPF の病
態機構解明と新たな治療標的を
対象とする創薬シーズの開発に
つながることが期待される」と
研究グループは述べています。

 間質性肺炎について解説して

いる動画です。

 
 


 
 
 
 華僑が建築する架橋の開通式
が佳境となった。     笑

 
 
 
 
 
 
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編集後記

 九州大学が7月20日、子ども
の健康と環境に関する全国調査
(エコチル調査)の約10万人の
データを使用して、乳児期の小
児ガンと両親が職業で取り扱っ
た医療用物質との関連について
解析し、妊婦の放射線の取り扱
いと出生児の乳児期の神経芽腫
の発症に関連がある可能性を示
したことを発表したのは、素晴
らしい業績です。動物の医療用
物質曝露については、日常的に
調べられているものの、ヒトで
は、今回がはじめてということ
で、妊婦さんのフィルムバッジ
による管理を厳格にするべきだ
と思いました。
 名古屋大学が7月16日、肺線
維症の発症原因の一つ蛋白質架
橋酵素トランスグルタミナーゼ
により架橋修飾される標的蛋白
質群の同定解析手法を開発し、
特発性肺線維症(IPF) の病態
発症メカニズムの一端を明らか
にしたと発表したのは、素晴ら
しい業績です。 しかしながら、
肺線維症は、ブレオマイシンの
ような薬剤性のものから、特発
性と言って原因の良く分からな
いもの、膠原病に伴うものなど
たくさんの原因があり、その一
つ一つのモデルマウスを作って
実験系を組まなければ、正確な
メカニズムは、分からないと思
いました。

 正確な性格を把握する。 笑

 
 
 
 
 
 
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