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2022-06-02 22:10:10

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診療マル秘裏話  号外Vol.2181 令和3年7月31日作成
作者 医療法人社団 永徳会 藤田 亨

 
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 
 
 
 
 
目次

1)NTRK融合遺伝子陽性進行・再発固形ガン治療薬
2)自閉症モデルマウスの主たる原因遺伝子を解明

 
 
 
 
 
 
 
 
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 医療界のトピックスを紹介するこのメールマガジンは
1週間に1回の割合で発行しています。もっと回数を増や
して欲しいという要望もあるのですが、私の能力のなさ
から1週間に1回が限度となっています。これからも当た
り前の医療をしながら、なおかつ貪欲に、新しい知識を
吸収し読者の皆様に提供してゆきたいと思っております。
不撓不屈の精神で取り組む所存ですのでどうかお許し下
さい。

 
 
 
 
 
1】 NTRK融合遺伝子陽性進行・再発固形ガン治療薬

 
 
 
 
 
 
 バイエル薬品は7月7日、神
経栄養因子チロシンキナーゼ受
容体(NTRK)融合遺伝子陽性の
進行・再発固形ガン治療薬ヴァ
イトラックビカプセル25mg、同
100mg (一般名:ラロトレクチ
ニブ硫酸塩)を発売しました。
カプセル剤と同日に承認され、
薬価収載された内用液20mg/mL
は発売に向けて準備を進めます。
薬価は、25mg1カプセルが4042
.50円、100mg1カプセルが1万
4542.90円(1日薬価:2万908
5.80円)。

 同剤は、NTRK遺伝子融合と呼
ばれる稀なゲノム変化を有する
局所進行性または転移性の成人
及び小児の固形ガン治療に特化
して開発された経口トロポミオ
シン受容体キナーゼ(TRK) 阻
害薬です。TRK 融合蛋白質は、
体内の発生部位にかかわらず、
ガン患者のガンの広がりや増殖
を促進する発ガン性ドライバー
として作用します。

 同剤は、中外製薬の遺伝子変
異解析プログラム・Foundation
One CDx ガンゲノムプロファイ
ルで、同剤の有効性が期待され
るTRK 融合ガンかどうかを調べ
た上で使用します。

 バイエルは、「ガンの種類や
患者さんの年齢にかかわらず、
NTRK遺伝子融合を有するすべて
のガン患者さんに革新的な個別
化治療を提供するような、ガン
領域におけるアンメット・メデ
ィカル・ニーズに応える努力を
今後も続けていく」としていま
す。

 分子標的薬について解説して

いる動画です。

 
 


 
 
 革新的な個別化医療の核心に
迫る。          笑

 
 
 
 
 
 
 
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2】 自閉症モデルマウスの主たる原因遺伝子を解明

 
 
 
 
 
 
 神戸大学は7月6日、染色体異
常のコピー数多型を有する自閉
症モデルマウスの主たる原因遺
伝子(Necdin、NDN) を明らか
にしたと発表しました。この研
究は、同大大学院医学研究科生
理学分野の内匠透教授(理化学
研究所生命機能科学研究センタ
ー客員主管研究員)、玉田紘太
助教らの研究グループによるも
のです。研究成果は、「Nature
Communications」に掲載されて
います。

 自閉症(自閉スペクトラム症)
は、患者数が急増しているにも
かかわらず、未解明な部分の多
い発達障害です。その原因は、
遺伝的要因と環境的要因に分け
られます。 遺伝的要因の中で、
特定のコピー数多型、例えば染
色体15q11-q13 領域の重複など
が自閉症患者で見られることが
知られています。15q11-q13 領
域では、母性由来染色体が重複
しているケースと父性由来染色
体が重複しているケースに分け
られます。母性由来染色体の重
複はUbe3a 遺伝子が重要である
ことがわかっている一方で、父
性由来染色体の重複はどの遺伝
子が重要であるかは分かってい
ませんでした。

 研究グループは先行研究で、
15q11-13領域の重複をマウスで
モデル化(以下、15q dup マウ
ス)することに成功しました。
自閉症様の行動学的異常、幼少
期における樹状突起スパインの
動態異常などの数々の異常が父
性由来染色体重複に見られるこ
とを見出してきました。しかし、
同領域には多数のnon coding R
NAや、蛋白質をコードする遺伝
子が含まれるため、どの遺伝子
が自閉症様行動に対して重要で
あるかは分かっていませんでし
た。

 15q dupマウスは、6Mbにも及
ぶ領域が重複していることから、
非常に多数の遺伝子を含んでい
ます。前研究により、母性由来
染色体の重複が行動学的異常を
誘発しないことが分かっていた
ことから、2Mb 近くが対象から
除外されました。残りの4Mb に
ついて、今回の研究ではまず1.
5Mb の重複マウスを新たに作製
し、その行動学的異常を調べま
した。その結果、1.5Mb の重複
マウスでは自閉症様の行動学的
異常は認められませんでした。
このことから、対象となった1.
5Mb は除外され、残りは蛋白質
をコードする3遺伝子となりま
した。

 これら3遺伝子を子宮内電気
穿孔法で大脳皮質に導入し、幼
少期におけるスパインの動態(
2日間における数の増減)を二
光子顕微鏡で調べた所、Ndn 遺
伝子を導入した際に顕著にスパ
インの数が増加することが判明
しました。また、このスパイン
の形態的分類を行うと、未成熟
なスパインがほとんどであった
ことから、Ndn 遺伝子は幼少期
におけるスパインの形成と成
熟度の調節を行っていることが
分かりました。

 次に、15q dupマウスからNdn
遺伝子のゲノムコピー数を正常
化したマウス (15q dupΔzNdn
マウス)をCRISPR-Cas9 法で作
製しました。これまでに、15q
dup マウスで認められたスパイ
ンの動態異常や抑制性シナプス
の減少などが改善されたことを
示しました。

 最後に、元々の15q dup マウ
スで認められた、新奇環境下に
おける不安度の上昇、社会性の
低下、固執性の上昇などが15q
dupΔNdnマウスにおいて認めら
れるかを調査しました。その結
果、ほとんどの行動試験の結果
で、社会性、固執性の行動学的
異常が改善されたことを示した
としていました。

 今回の研究により、NDN 遺伝
子が15q dup 自閉症モデルマウ
スにおいて、自閉症様行動だけ
でなく、シナプス動態や大脳皮
質における興奮性/抑制性のバ
ランスなどにも重要であること
が明らかとなりました。

 「今後NDN 伝子の機能を明ら
かにし、その機能を人為的に制
御、あるいは下流因子を同定・
制御することで、将来的に自閉
症をはじめとする発達障害発症
メカニズムの解明や、新たな治
療戦略を作り出すことが期待さ
れる」と研究グループは述べて
います。

 自閉症について解説している

動画です。

 
 


 
 
 下流の地点で、加硫して顆粒
を作った。        笑

 
 
 
 
 
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編集後記

 バイエル薬品が7月7日、神
経栄養因子チロシンキナーゼ受
容体(NTRK)融合遺伝子陽性の
進行・再発固形ガン治療薬ヴァ
イトラックビカプセル25mg、同
100mg (一般名:ラロトレクチ
ニブ硫酸塩)を発売したのは、
喜ばしいことです。NTRK遺伝子
融合と呼ばれる稀なゲノム変化
を有する局所進行性または転移
性の成人及び小児の固形ガン治
療に特化して開発された経口ト
ロポミオシン受容体キナーゼ(
TRK) 阻害薬ということですか
ら、この稀なゲノム変化がない
固形ガンは、治療の対象になら
ないというのが、残念な所です。
しかし、逆に、このゲノム変化
さえあれば、適応となり得ると
いうことですから、どの部位の
ガンでも、ゲノム変化を治療前
に調べる必要がありそうです。
 神戸大学が7月6日、染色体異
常のコピー数多型を有する自閉
症モデルマウスの主たる原因遺
伝子(Necdin、NDN) を明らか
にしたと発表したのは、素晴ら
しい業績です。今回の研究によ
り、NDN 遺伝子が15q dup 自閉
症モデルマウスにおいて、自閉
症様行動だけでなく、シナプス
動態や大脳皮質における興奮性
/抑制性のバランスなどにも重
要であることが明らかとなった
のは、凄い発見だったと思いま
す。今後NDN 遺伝子の機能を明
らかにし、その機能を人為的に
制御、あるいは下流因子を同定・
制御することで、将来的に自閉
症をはじめとする発達障害発症
メカニズムの解明や、新たな治
療戦略を作り出すことに期待し
たいと思います。自閉症をはじ
めとする発達障害に有効な治療
を開発して頂きたいものです。

 改名の謎を解明する。  笑

 
 
 
 
 
 
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